太陽の種と白猫の誓い   作:赤いUFO

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まだ目標まで書き上がってませんが投稿したい病というか、そんな感じでこっそり投稿です。

ライザー復活編は書き終わっていて幕間の完成度が90%。運が良ければロキ編の一話くらいまでは連続投稿できるかもです。


53話:復活?の不死鳥・前編

 一樹、白音、黒歌は神の子を見張る者の研究施設に来訪している。

 目的は一樹の検査とディオドラ戦で使い潰された槍の新調をするためだ。

 一樹が今まで使っていた槍とこれまで検査で蓄えた身体データからアザゼルの人工神器の技術を用いて作られた槍を渡すことになった。

 今はその槍を試しに振るっている最中だった。

 

「ふっ!はっ!」

 

 突きや払いをくり返し、新しい槍の感触を確かめる一樹。ある程度確認を終えたところでアザゼルから話しかけられる。

 

「どうだ一樹。槍の感触は?」

 

「えぇ。前に使っていた物と重さや形は差異がありませんし、同じ感覚で使えます」

 

 前と同じ飾り気のない長槍。違うのは以前は赤い槍だったのに対して、今度は金色というくらいだ。

 

「下手に形を変える必要はねぇからな。ちなみに、火耐性を含めた耐久性。それに矛の切れ味も増してるぜ。お前のブラフマーストラも1回の戦闘で1度なら耐えられるはずだ」

 

 使ったらメンテせにゃならんがなと付け加える。

 前と同じように槍を腕輪に戻すとアザゼルに頭を下げる。

 

「ありがとうございます。文句なしの完成度です」

 

「ったりまえだ。誰が作ったと思ってる。その太陽の光で(サンライト・)勝利する(ヴィクトリー・)聖なる(ホーリー・オア・)炎槍(フレイム・スピア)は」

 

「サンラ……なに?」

 

太陽の光で(サンライト・)勝利する(ヴィクトリー・)聖なる(ホーリー・オア・)炎槍(フレイム・スピア)だ」

 

 

 胸を張ってドヤ顔で槍の名前を告げるアザゼル。それに対して一樹の反応は―――――。

 

 

「ダッサッ!!?」

 

 盛大に引いてこの一言である。

 

「いや、それより長いですよ名前!こんなの言う機会無いじゃないですか!」

 

「なに言ってやがる。お前くらいの歳頃ならこういうセンスが重要なんだよ!大体これから何度も呼ぶことになるんだからちゃんと覚えろ」

 

「呼びませんよ!そんな長ったらしい名前!いちいち戦闘中に名乗ってたら攻撃され放題じゃないですか!」

 

 人外との戦いは威力もそうだが速度もものをいう。

 槍の名前を呼んでいる間に攻撃されてやられたら末代までの恥である。

 祐斗クラスの近接戦闘者に会ったら槍を出している間に首チョンパされるだろう。

 だがここで最悪な事実が明かされる。

 

「それな。新機能で一旦腕輪に戻すと名前を叫ばない限り槍にならねぇから」

 

「いらねぇ!?なんだその無駄過ぎる新機能!!しかも叫ぶって!」

 

「カッコいいだろ?武器の名前を叫んで出現させるシチュとか」

 

「そんなセンス俺にはねぇよ!!」

 

 もはや敬語を忘れて怒鳴る一樹にアザゼルはまぁまぁと抑える。

 

「返品と交換は受け付けてねぇから。ま、試しに呼んでみろ。テストも兼ねてな」

 

 プルプルと震えながらアザゼルを睨めつける一樹。本人はニヤニヤと笑みを浮かべていて殴りたい衝動を抑える。

 一度深呼吸をして意を決したようにヤケクソ気味に声を腹から張り上げる。

 

「サ――――――サンライト・ヴィクトリー・ホーリー・オア・フレイム・スピアァアアアアアッ!!……アレ?」

 

 腕輪は何の変化もなく一樹の腕に嵌ったままだった。

 まだ声量が足りないのか?と思っていた矢先に2方向から笑いを噛み殺すのが聞こえた。

 

「ハハ。ホントに叫びやがった」

 

 こちらを指さしているアザゼルや腹を抱えてプルプル震えている黒歌。それに表情こそさして変わっていないが肩が小刻みに動いている白音も笑いを堪えているのが丸分かりである。

 要するにからかわれたわけで。

 

 ブチッとキレた一樹がアザゼルに渾身の右ストレートを放つが10年早ぇ、とあっさりと払い落とされてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「それで、イッセー……弁解はあるかしら?」

 

「いや、あの……その、ですね……」

 

「あら。そんなに怯えて、なにが怖いのかしら?」

 

 にっこりと笑みを浮かべながら一誠に近づくリアス。普段なら頬を紅潮させて喜ぶところだが今の一誠は顔を青くして滝のような汗を流している。

 

「だんまりしていたら分からないわ。一体どうゆう理由でソーナたちのクラスへの覗きなんて行ったのかしら?」

 

 事の発端は1時間ほど前。

 駒王学園で悪い意味に有名な変態3人組が毎度の如く覗き行為を行った。それも現生徒会長である支取蒼那のクラスに。そしていつもの如く捕まり一誠の友人である元浜と松田は生活指導室で教師による説教。一誠は主であるリアスの下へと引き渡された。

 それも今さっき蒼那と同じクラスである真羅副会長にまとめて小言と嫌味を小1時間聞かされて。

 簡単に纏めると。

「貴女が兵藤くんに厳しく接せないから彼がこのような猥褻な行為を止められないのではなくて?」だの。

「今までリアスの眷属ということである程度のことは大目に見てきましたが、限度がありますよ?」とか。

「彼、兵藤くんの日頃の行いがグレモリー家の評判を落とすことになっても構わないのかしら?」などだ。

 

 そんな話を小1時間聞かされるもリアスの方から何も言い返すことが出来ず、ただ謝る事しかできなかった。

 ちなみ一誠がオカルト研究部に連れて来られた時は特殊な錠で両足と後ろに回した腕の両親指を拘束されて突き出された今も外されていない。

 

 リアスとて前々から一誠の猥褻行為に関しては止めるように再三忠告しているが、頻度が下がることはあるものの止めるまでには至っていない。

 

「部長!聞いてください!俺は覗きなんてやってません!」

 

「へぇ。ならなぜソーナに突き出されたのかしら?」

 

「た、確かに覗きはしようとしましたが松田と元浜だけで俺は覗く前に見つかって結局見れませんでした!はい!」

 

 一誠の発言にリアスは目を細める。

 

「それで……ソーナたちの身体はどうだったのかしら?」

 

「はい!すごくキレイでした!!美乳って言うんですかね!俺、巨乳派ですけどたまにはああいうスレンダーな体つきもたまりません!それに真羅副会長も意外とおっぱいが大きくて!ブラを着けてたのがもったいな……はっ!?」

 

 誘導尋問とすら呼べない簡単なひっかけであったがあっさり引っかかったのを悟って一誠は口を噤む。

 先程の熱弁はどこへやら。冷や汗だけでなく歯もガチガチと鳴らしてリアスの方を向くとそこには一層笑みを深めて威圧してくる主が居た。

 

 その後のことをオカルト研究部の男子2名はこう語る。

 

「俺がオカルト研究部に入部したときはお説教か手が出てもアイアンクローくらいだったんですけどね。最近はどんどん部長の仕置きが過激になってきてて。今回は連続フックでした。ボクシングの。え~と確かデンプシーロール?って言うんでしたっけね、アレ。部長の後ろ髪が左右に揺れるんですけどそれ以上に兵藤の体が右へ左へと動くんです。倒れるなんて許さないとばかりに」

 

「ここ最近のイッセーくんの猥褻行為に部長もかなりイライラしている様子でしたし。アーシアさんや朱乃さんの話では家でシャドーボクシングを始めたらしいんですけど流れるような動きでした。最後の方なんて部長とイッセーくんの上半身が分裂しているみたいに速く動いてて……」

 

 

 

 

 

 

 一誠への折檻を一通り終えた後にリアスは朱乃の淹れた紅茶を飲む。

 

「まったく。今日はお客様がお見えになるから余裕をもってお迎えしたかったのにイッセーの所為で掻かなくていい汗を掻いてしまったわ!」

 

 不機嫌そうなリアスにゼノヴィアが質問する。

 

「それで部長。今日の客というのは?部室で説明すると聞いたが……」

 

「あぁ、それは……来たわね」

 

 リアスが呟くと部室に魔法陣が展開される。それは見覚えのある魔法陣だった。

 

「フェニックス!」

 

 祐斗が驚きの声を出すとその陣からひとりの少女が出現する。

 左右に結わえられた巻きロールの金髪。レーティングゲームや冥界でのパーティードレスではなく日本の私服だった。もっともそれなりのブランド物なのだろうが。

 

 彼女は優雅に着地し、礼をして見せる。

 

「ご無沙汰しておりますわリアスさま。この度は急な訪問に応えて頂き感謝の言葉もありません」

 

「えぇ。久しぶりね、レイヴェル。それで今日はどのような用件で人間界に来たのかしら?」

 

 フェニックス家の長女にして末っ子であるレイヴェル・フェニックスは人界へと降り立った。

 

 

 

 

 

 

 

 朱乃か淹れた紅茶に手をつけず、レイヴェルは床に転がっている一誠に目を向ける。

 

「あ、あのリアスさま。どうして赤龍帝――――――イッセーさまは錠をされて転がっているのですか?」

 

「イッセーの趣味なの。気にしないで」

 

 しれっと答えるリアスに周りが頬を引きつらせる。

 一度咳払いしてレイヴェルは早速本題へと入った。

 

「実はご相談というのは兄のライザーお兄さまのことなのです」

 

「ライザーの?」

 

 ライザー・フェニックス。

 フェニックス家の三男にしてリアスの元婚約者。

 しかし以前よりリアス自身婚約を頑なに拒否しており、結婚を賭けた非公式のレーティングゲームに敗れてからはそのショックで引きこもってしまったとは聞いていた。

 

「はい。まだ本決まりではないのですが近々ライザーお兄さまを勘当させる話が我が家に持ち上がっているのです」

 

「……どういうことかしら?」

 

 訊き返すリアスにレイヴェルは事情の説明を始めた。

 

 ライザーが引き籠ってからレイヴェルや彼の眷属たち。それに家の使用人などがどうにか立ち上がらせようと奮闘したが効果がないこと。

 また、良縁だったグレモリー家との婚約の失敗で家が被った被害もあり、それの解決に尽力するどころか逃げるように部屋に籠るライザーに両親や上の兄が大層ご立腹であること。

 ついでに余裕を見せてゲームでハンデを与えた挙句に敗れたマヌケとして同世代の上級悪魔から嘲笑の的にされていることもライザーの精神に深い傷になってしまっていること。

 そしてそんなライザーをいつまでも庇い続ける家も。

 

「少なくとも両親は今年中に回復の見込み無しと判断すれば家を出すつもりなのですわ。本人もそのことを分かっているはずなのですが一向に改善する様子もなく――――――」

 

 顔を伏して説明するレイヴェルに一樹が軽く手を挙げて質問する。

 

「勘当って、その場合色々とどうなるんだ?ほら、眷属の人たちとか」

 

 言葉としては知っていても実感のないその言葉。ましてや悪魔社会の貴族だ。一樹にはそれがどういうことなのか全く想像できない。

 

「立場としては貴族としての地位を捨てさせて平民に。上級悪魔の資格も取り上げられますわ。それに伴いレーティングゲームへの参加資格も剥奪。眷属に至っては個人にある程度身の振り方は委ねられますわね。縁があれば他の悪魔の眷属に移転する者もいますし。今の私のようにフリーの立場になる者もいます。ただ、ユーベルーナは勘当されてもライザーお兄さまについて行く気のようですが」

 

 状況は思った以上に悪いらしい。今年中と言えばまだまだ先のように聞こえるが問題は心だ。それをあと3か月ちょいで状況を改善させるのは難しいのだろう。

 

「本来ならリアスさまにお願いするのは筋違いかもしれませんが、他にどうにかできるアテもなく」

 

 そう言って頭を下げるレイヴェルにリアスは考える。

 正直に言えば婚約を破棄したことに関しては後悔はしていない。向こうが提示した条件をクリアして破棄したのだから後ろめたいこともない。しかしこのままライザーが勘当されればそれはそれで目覚めが悪い。

 もっとも、婚約破棄した女が今更会いに行ったところで神経を逆撫でするだけかもしれないがもしかしたらそれが引き籠りを脱するきっかけになるかもしれない。

 

「わかったわ。ライザーの件に関してはこちらにも原因があるわけだし、其方さえ良ければ協力させてもらうわ」

 

「!ありがとうございます、リアスさま!」

 

 話がまとまったところで話を聞いていたイッセーが起き上がる。

 

「イテテ……しかし、結構面倒なことになってんだな……」

 

「えぇ……あのゲーム以来高所と火に対する恐怖症まで患ってしまってどうしたものかと」

 

「……はい?」

 

「実はあれ以来高い所と火が全くダメになってしまいまして。高所に関しては2階から1階の階段を下りるのにも脚が竦んでしまい、火に関しては自らの炎にすら取り乱す始末で」

 

不死鳥(フェニックス)だよな、御宅」

 

「恥ずかしい限りですが……」

 

 どうやら本当に事態は深刻らしい。

 

「と、とにかくライザーのところへ向かいましょう!レイヴェル、案内してもらえるかしら?」

 

「はい。お手数をおかけしますわ」

 

 こうしてオカルト研究部の面々はフェニックス家へと足を踏み入れることとなった。

 

 

 

 初めてフェニックス家の領地に訪れた感想としてはグレモリー家に負けない程の広い敷地だということだ。

 レイヴェルの話ではフェニックスの涙でかなり荒稼ぎしているらしく、ここ100年で大分広大になったのだとか。

 

 レイヴェルの案内で進んでいくと見知った顔に遭遇した。

 

「イザベラ!」

 

 レイヴェルが名を呼ぶと顔半分に仮面をつけた女性。イザベラは礼をする。

 

「久しぶりだね、赤龍帝。噂は兼ねがね。私もあれから腕を上げたつもりだが今の君にまともに戦って勝てる気がしないよ。だが機会があればまた君やリアスさまの眷属と戦ってみたいな。あの時のような破廉恥な技は抜きで」

 

「……その件に関しては申し訳ないッス」

 

 そこでオカ研の中で事情を知らないイリナが首を傾げる。

 

「あの時って?それに破廉恥な技?」

 

「あぁ。私がリタイアした後なので直接見たわけではないが、以前ゲームで彼女と闘ったときに洋服破壊(ドレス・ブレイク)を使って倒したんだ」

 

「いや!倒したのはドラゴンショットだろ!?洋服破壊はあくまで隙を作っただけで!」

 

「イッセーくん、キミ……」

 

「見るな!そんな眼で俺を見ないでくれぇええええっ!?」

 

 イリナの視線に耐え切れずに声を上げるイッセーにイザベラは小さく笑い声を漏らす。

 

「相も変わらずそちらは面白いね」

 

「コホン。それで、ライザーの様子はどうなのかしら」

 

 誤魔化すように訊くリアスにイザベラの表情が少しだけ曇る。

 

「今では家族とも碌に会おうとしませんね。どうやらネットなどでチェスの対戦をしたりしているようですが細かいことは私にもわかりかねます」

 

 肩を竦めるイザベラにリアスはそう、と返す。

 

 イザベラの案内で広い屋敷を案内されて辿り着いたのはフェニックスのレリーフが刻まれた大きな扉の前だった。

 

 レイヴェルがノックをする。

 

「お兄さま、レイヴェルです……」

 

 僅かの間が置かれて中からライザーの声が返ってきた。

 

『レイヴェルか。今日は帰ってくれないか?誰とも、会いたくないんだ』

 

「お兄さま。リアスさまがお見えになってますわ」

 

『……ッ!?』

 

 中から聞こえる筈のない息を呑む声が聞こえた気がした。

 リアスがレイヴェルと替わり、ライザーに扉越しで話しかける。

 

「ライザー。開けてちょうだい。少し、話をしましょう」

 

『話?今更何の話があるっていうんだ。それとも君まで俺を嗤いに来たのか……!?』

 

 拗ねた子供のような声音にリアスは相手の神経を逆撫でしないように言葉を選んでドア越しのライザーに話しかける。

 もっとも、リアスがここにいる時点でライザーの精神を掻き乱しているため今更かもしれないが。

 

「そんなつもりはないわ。お願い、ここを開けて……」

 

 リアスの言葉に待つこと数秒。ライザーの部屋のドアが開かれる。

 その姿を見て以前の彼を知る面々は驚きで目を見開く。

 以前はスーツを着崩してはいたが清潔感のある風体だったにも関わらず、今はボサボサ髪に不精髭が生え、目にはうっすらと隈が見えた。

 眉間に皺を寄せ、不機嫌そうな表情でリアスを見るが同時にその後ろにいた2人を視界に入れるとヒッ!

 と掠れた声を出す。

 それに皆が首を傾げていると次の瞬間にライザーが大声を上げた。

 

「来るなぁああああああああああああああああああっ!!!?」

 

 そうして開けたばかりのドアを閉めて再び引きこもってしまってしまった。

 

「え?なに?」

 

 訳が分からず狼狽している面々にレイヴェルが説明する。

 

「おそらくはレーティングゲームで敗けた原因であるイッセーさまと一樹さまを見たことでトラウマがフラッシュバックしたんではないかと……」

 

「うわお……」

 

 レイヴェルの説明に一樹は天井を見上げて目を覆う。

 

「いやだ!あの屈辱は二度と思い出したくない!来るな!来るなぁ!」

 

 鍵はかけていなかったのでライザー眷属たちが宥めているがベッドの上からシーツを被り出ようとしない。

 ちなみにチェーンソー姉妹は白音の姿を見るなり前のゲームで首の骨を折られたこととユーベルーナの攻撃の盾にされたことを思い出して腰が引いていた。

 

「1回敗けただけでここまで……」

 

「お兄さまは生まれてこのかた敗北を経験したことがありませんでしたから」

 

「でもライザーさんもすごく強かったですよ。今戦ったらどうなのかな?」

 

 イッセーの疑問に祐斗は自分の考えを述べる。

 

「難しいね。禁手を使えばかなりいい勝負になると思うけど、まだ発動までのタイムラグがあるし。それまでに決着を着けられる可能性がある。禁手の鎧なら氏の炎や攻撃は防げると思うけど、禁手が解けるまで粘られればそこでイッセーくんの勝ち目は無くなるんじゃないかな?さすがに今の状態の氏に敗けることは無いと思うけど」

 

「なるほど。つまり禁手が発動してる際に決着を着けられるかが鍵ってわけね」

 

「で、どうするよ。何ならこのまま無理矢理に外へ出すか?」

 

「……お願いできますか?」

 

「任せろ」

 

 そうしてオカルト研究部の前衛組が加わってライザーを外へ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて。どうしたモノかしら」

 

 逃げようとするライザーを椅子に括りつけて思案するリアス。先ほど一樹が試しに手の平で炎を出した際に失神してしまったライザーをどう立ち直らせるか。

 

「いっそのこと山籠もりでもさせてみますか?環境を変えれば何とかなるかも」

 

「それもいいけど。ある程度目の届くところに置かないと不安ね。今のライザーは不死の特性が大分劣化しているらしいから。万が一に死なれたら事よ」

 

 つまり、目の届く範囲でどうにかしたいということだろう。

 そこで一樹が案を出す。

 

「部長。こういうことって出来ます?」

 

 耳打ちするとリアスは驚いたように目を見開く。

 

「可能と言えば可能だけれど。それでどうにかなるの?」

 

「まぁ、何もしないよりはマシかと。俺もそれなりに炎のコントロールが出来るようになりましたし、直撃しなければ問題ないかと」

 

「……そうね。じゃあ、お願いできるかしら」

 

「うっす!なんとかしてみます」

 

「どうしますの?」

 

 トントン拍子で意見がまとまることに不安を覚えて問うと一樹が意味不明なことを言う。

 

「横スクロールアクションゲームって面白いよなぁ」

 

 その場にいる全員がなに言ってんだこいつ?という顔をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アザゼルのネーミングセンスはこんな感じでいいのだろうかと不安になります。

やっぱり好きなように文を書くの楽しい。

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