太陽の種と白猫の誓い   作:赤いUFO

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17話:乱戦

 一樹と祐斗は遭遇した敵兵士3人と交戦になっていた。

 こちらが仕掛けた罠を突破してライザーの眷属はもし1週間前なら確実に倒されていたと思うほどの強者だった。

 既に敵の兵士ふたりを倒した祐斗は一樹の戦いに加わることなく増援を警戒しながら観戦している。

 

 手にした槍を振るいながら徐々に優勢へと傾いていく。

 相手が少しずつ疲れを見せ始めたのを見計らって槍の矛を喉へと突きを入れる。

 敵が目を瞑り、敗北を覚悟するが、その刃が喉を貫くことはなかった。

 刃が当たる瞬間に槍はその動きを止め、刃の側面で相手の顎を打ち抜く。

 脳を縦に揺らされて足がよろめく敵に一樹は槍をくるりと回して柄の先端で相手の腹を殴打した。

 敵はその場に崩れ落ち、数秒後にリタイアした。

 ふぅ、と息を吐く一樹に祐斗は手をぱちぱちと鳴らした。

 

「お見事。敵がリタイアするまで警戒を解かなかったことを含めて合格点だよ」

 

「そりゃどうも」

 

 槍を腕輪に戻し、祐斗の評価に適当に返事をしながら息を吐く。

 

「でもどうして相手の喉を刺さなかったんだい?そっちの方が簡単だったと思うんだけど」

 

「怖いこと言うんじゃねぇよ。流石にいきなり刃物を人に突き刺せるほどぶっ飛んだ倫理観なんて持ってねぇ!」

 

 悪魔の高い技術力ならレーティングゲームで選手が死亡する確率は驚くほど低い。それは技術もそうだが、悪魔の体力が人間とは基本比べ物にならないからだ。

 しかしそう教えられてもそれで刃物を平然と振るえるかは別問題。

 一樹はキレている場合を除けば、当たり前の倫理道徳は備えているのだ。そう、キレなければ……。

 今は戦いの高揚感はあるものの思考は極めて冷静だった。

 故に刃物で敵を刺す、という行為に踏み切れないでいた。

 自分でも甘いと思うがこればっかりはそう簡単には改められそうにない。

 一樹自身、ライザーの眷属たちに何の悪感情もないのだから。まぁ、良い感情も持っていないが。

 

「そう。ならここを離れてみんなと合流しよう。ただでさえ少数なんだ。これ以上戦力を分散させるのは得策じゃないと思う」

 

「了解だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2つに分かれていた班の合流は思いの他すんなりと成功した。

 

「あ!お前ら!」

 

「よう……」

 

「みんな無事だね。よかった」

 

 一誠たちの無事を確認すると祐斗は安堵の息を吐く。

 

「兵士3人をやったのはお前らか」

 

「うん。運動場の部室棟は重要なポイントだからね。見回っていた兵士を一網打尽にさせてもらったよ。出来れば他の駒も誘い出したかったけどなかなか挑発に乗ってくれないんだ。みんなも無事かい?他の人はどうなってるかわかる?」

 

「朱乃さんは敵の女王と戦ってる。すぐに追いつくと思うけど……」

 

「そう……」

 

 そこで白音が話に割り込んだ。

 

「それとクァルタ先輩が利き腕を負傷しています。程度はわかりませんが……」

 

「え!?」

 

「なんでお前が驚くんだよ兵藤……」

 

「気づいていたのか……」

 

「さっきから走る時に利き腕を庇っているように感じたので。あの女王の攻撃の時ですね?」

 

「あぁ。防御したはいいが、戦車の防御力を抜いて利き腕を痛めてしまった。片手で剣を振るうのは難しいだろうな。木場から貰った魔剣もその時に破壊されてしまったし」

 

 自分の未熟さを自嘲するように話すゼノヴィアに裕斗が提案する。

 

「もう一度、魔剣を創るかい?」

 

「いや、デュランダルのことがバレた以上、最早隠し通す意味もない。悪魔が相手なら聖剣のほうが有利だしな」

 

 負傷した腕で大剣(デュランダル)を振るうのはきついだろうに。そう強がるゼノヴィアに誰も口を挟まなかった。

 しかし一誠は気まずそうに疑問を口にする。

 

「なぁ、もしかして俺を庇ったせいで……」

 

「それは違うよ、イッセー。あの時君が倍加の譲渡をしてくれなければふたりまとめてやられていた。君は取れる最善手を取ったんだ。負い目を感じる必要はない」

 

 それは本心からの言葉なのだろう。

 ゼノヴィアの表情には一誠を気遣うような感じはなく、ただ事実だけを述べている感じだ。

 しかし、一誠本人はそれだけで納得できるものではなかった。最悪、自分が失格になるのは悔しいがまだ我慢できる。だが足を引っ張るのだけは嫌だった。

 しかし、ゼノヴィア本人にそう言われれば自分の思いなど飲み込むしかない。いつまでもグチグチと引きずっているわけにもいかない。

 だから一誠はただわかったとだけ頷いて意識を切り替えた。

 反省も後悔も後だ。今は勝つことだけを考えなければいけないのだ。

 

 頃合いを見計らって祐斗が話題を変える。

 

「この場を仕切ってるのは騎士と戦車に僧侶。相手の女王は朱乃さんが押さえてくれているのは助かるね。話に聞いた限りだと、敵の女王も朱乃さんと同じ遠距離タイプ。僕たちだと相性が悪い。出来ればこのまま勝ってほしいけど……」

 

「朱乃さんは絶対に勝つさ。勝って俺たちに追いついてくる。だからそれまでに他の敵を排除してライザーの野郎を全員でフルボッコにしてやろうぜ!」

 

「そうだね」

 

 全員、思ったより緊張がないのはコカビエルとの戦いを経験したが故だろう。

 あの向けられただけで心臓を握り潰されそうな殺気に比べればライザー眷属のそれなど、緊張感を保つに程良いくらいだ。

 

 物陰から敵の動向を見守っていると不意に甲冑を着た女性から声が上がった。

 

「私はライザーさまに仕える騎士カーマイン!こそこそ腹の探り合いをするのも飽いた!リアスグレモリーの騎士よ、いざ尋常に剣を交えようではないか!!」

 

 堂々と名乗りを上げる女性に一誠たちは呆れるような気持ちになった。

 

「どうする?一応ここからなら俺の炎の射程内だ。当たる保証は出来ないけど威嚇で一発撃つか?」

 

「いやお前さ……あれだけ堂々と名乗りを上げた女の子に何焼き焦げにする相談始めてんの?」

 

「どう見ても撃ってくださいと言わんばかりの行動だからな」

 

「まぁ、俺もあれはどうかと思うけどさ……」

 

 そんな会話が繰り広げてる中で裕斗がフッと苦笑する。

 

「まいったな……あそこまで堂々と名乗られたら騎士として。剣士として出向かないわけにはいかない」

 

「そうだな。私は戦車だが、1剣士として奴の申し出を受けるべきだと感じる。だが、私はこれだからな。今回は木場に譲ろう。その代り、邪魔をする他の駒は任せておけ」

 

「仕方ねぇか。ま、こそこそやれるような器用さもないしな。正面から叩きのめす。判り易くていい」

 

 5人全員で野球グラウンドに出るハメになった。

 

 

 

 相手が名乗ったことでこちらも名乗りを上げる。

 もっとも、一樹と白音は眷属ではない為、自分からおまけ1、2と名乗ったが。

 

「まさか全員が出てくるとはな。レーティングゲームの戦略としては落第だが私個人としてはその潔さは好むところだ。それが強者ならばなおのことな!」

 

 カーマインと名乗った女性は地に刺していた剣を構える。

 それに合わせるようにして祐斗も手にした魔剣を構えた。

 聖魔剣は強力だがまだ1時間程しか維持できない。それも非戦闘でだ。戦闘になればさらに短いだろう。

 それに聖魔剣はできることならライザー・フェニックスに当てたい。

 だからこそここは消耗の少ない通常の魔剣で相手をする、手加減しているようで悪いがこのレーティングゲームの最終目的はライザーの撃破にある。温存できるものは温存しておきたかった。

 

「いくぞ!」

 

 カーマインの声を合図にふたりが剣を交える。

 高速で動くふたりの動きは傍目に捉えるのは至難であり、その戦闘を捉えて居るのは白音とゼノヴィアだけだった。

 

 しかし、それで他の駒が動かない道理はない。

 

「戦う相手はカーマインだけではないぞ。呆けている余裕があるのか?」

 

 顔半分を仮面で隠した女性が一誠に攻撃を仕掛けた。

 

「っの!?」

 

 咄嗟に赤龍帝の籠手で防ぐ。しかし相手は素早いコンビネーションで即座に切り返し拳を連打し、一誠の鳩尾に拳打を叩き込む。

 悪魔とはいえ、女性とは思えない拳の重さによろめいた。

 

「鍛えこんでいるな、リアス・グレモリーの兵士。今の一撃で倒せないまでも膝くらい付かせられるとふんだが」

 

「ざっけんな!鍛え方が違うんだよ!」

 

 一誠の足腰を支えたのは悪魔に成ってからリアスに施された地獄の特訓だった。

 腕立て、腹筋、スクワットで少しでも姿勢が乱れれば最初からやり直させられ、素手とはいえ、木場祐斗やゼノヴィア相手にボコボコにされた。

 極めつけはさらに過酷になった合宿での十日間。それが女のパンチ一発で膝を折っていたらリアスに顔向けできない。

 その想いが一誠の膝が地に伏すのを拒ませる。

 相手はそんな一誠に屈辱を覚えるよりもむしろ嬉しそうに口元を歪ませた。

 

「名乗るのが遅れたな。私は、ライザー・フェニックスさまの戦車、イザベラだ。ふふ。プロモーションしていない兵士と侮っていたが、ここからは対等な相手として拳を交えさせて貰おう!」

 

 どうやら、このイザベラと名乗った少女もカーマイン同様に戦闘狂(バトルマニア)の気があるらしい。

 

「そりゃどうも。俺はリアス・グレモリーさまの兵士兵藤一誠!まだ全然弱くてダメな兵士だけどな、部長を勝たせるためにアンタに勝たせてもらうぜ!」

 

 一誠とイザベラがお互いに拳を打ち付け合う中、槍を手にした一樹は最後のひとりに問いかける。

 

「で、アンタは見学か?」

 

「えぇ。元々私はこのレーティングゲームの戦闘に介入する気はございませんわ」

 

「……いいのか、それは?」

 

 巻きロールにした金髪を左右に結わえた【僧侶】と思しき少女は肩を竦める。

 

「これはお兄様の戦い。眷属とはいえ妹の私が軽はずみに前に出るわけにはまいりませんわ。それに一対一の泥臭い戦いに興味はありませんの」

 

「あぁ、そうかい…………妹?」

 

「ご挨拶が遅れました。我が主、ライザー・フェニックスの実妹。レイヴェル・フェニックスと申します」

 

 優雅に礼をして自己紹介を終えるレイヴェルに対して真っ先に声を上げたのは対峙している一樹ではなく、イザベラと戦っている一誠だった。

 

「えぇええええええええええええっ!?実の妹が眷属ってそんなのありかよ!?っていうかアイツ、妹をハーレムに加えてるのかっ!?」

 

 驚きの声を上げる一誠にイザベラ困り顔で笑い補足した。

 

「なんでも、妹を眷属悪魔に加えることに意義があるのだそうだ。上流悪魔の中には近親相姦などに憧れる方々もいるらしくてな。ライザーさまにそのような趣味はないからカタチだけということらしい」

 

「イザベラ!わざわざ身内の恥話を漏らさないでください!」

 

 レイヴェルの叱責にイザベラは飄々と受け流す。

 戦いが再開された中、一樹はレイヴェルに槍を向けた。

 

「わからない方ですわね。こちらに戦う意思はないと―――――」

 

「それはそっちの都合だろ?この場にいる以上、知らん顔できると思うのか?」

 

「聞いてませんの?不死身と戦うメリットがそちらにありますか?」

 

「なら、そっちの頭と戦り合う前にフェニックスの弱点を探る練習相手にさせてもらうさ」

 

 槍を構える。この場にいる以上、敵は等しく敵だ。やる気があろうがなかろうが例外はない。

 しかしそんな一樹にレイヴェルはフッと笑みを浮かべる。

 

「いえ、どうやら私がお相手する前にそちらの相手がやってきたようでしてよ?」

 

「あ?」

 

 ここ最近やけに鋭くなった危機感が針のような殺気を捉える。

 気がつけば上空からカーマインとは違う剣士が手にした大剣を振り下ろす。

 槍で防ごうとする一瞬に別の大剣が間に入った。

 

「相手がいなかったので少々困ったが、剣を使う相手がもうひとり現れてくれたのは僥倖だ。これで私も戦闘に参加できる。それにまだ増えたようだしな」

 

 間に入ったゼノヴィアがデュランダルを構える。

 そして敵は大剣を持った女性だけでなく、頭部に動物の耳を生やした少女がふたり乱入してきた。

 

「にゃっ!」

 

「にゃにゃっ!」

 

 見れば、もうひとりレイヴェルの隣に十二単を着た女性がいた。

 これで敵の王と女王を除く全ての戦力が揃ったことになる。

 

 手を出さないと言っていたがレイヴェル自身、それをいつまで守るのか不明であり、数の上では不利になってしまった。

 

「ま、それは元からだよな」

 

 数で不利なのは最初から承知している。ならば、1秒でも早く敵を排除して数の差を引っくり返せばいい。

 単純な結論に至った一樹は槍を振るって獣耳の少女たちと抗戦を始めた。

 しかし、2対1という不利な戦闘にはならなかった。

 

「片方はこっちで持つ……」

 

「助かる!」

 

 一樹の戦闘に乱入した白音が入り、抗戦する。

 正直、ふたり同時に相手をするのはキツイというより無理だ1対多数の戦闘なんて経験不足で不安しかない。

 

「ニィとリィは獣人の女戦士。体術は相当なものでしてよ。それに、シーリスは騎士道云々には拘りません。ただ、目の前の敵を倒すのみですわ!」

 

 自信満々に言い放つレイヴェルに一樹は舌打ちしながら応戦する。

 さっきから槍を振るって相手をしているが、それを掻い潜って打撃を打ってくる。

 

 

 もっとも早く戦局が動いたのはゼノヴィアだった。

 利き腕の負傷を隠しながらデュランダルを操るものの洗練さはいつもにも増して欠いており、ただ大振りに振るっているだけだった。

 元々の身体能力が高いためどうにか喰らいついているが、大剣と大剣が激突するたびに顔を険しくさせる。

 そして、この戦闘は一騎打ちなどではない。

 

「なっ!?」

 

 横払いをしようとした体が突如重くなる。

 疲労からではなく、何かに引っ張られるような重さ。

 見ると体に呪符が幾重にも貼られており、レイヴェルの隣に居る和装の女性が何らかの術を行使しているように見えた。

 

「終わりだ」

 

 無機質な声と共にシーリスはゼノヴィアの体に剣を突き立てた。

 

「がはっ!?」

 

 突き立てられた剣を引き抜くと同時に膝を折る。その表情には大して善戦できなかった悔しさとこんなところで退場する不甲斐なさで歪んでいた。

 

「すまない……みんな………」

 

 言い訳ひとつせず、ただ謝罪だけを残してゼノヴィアはこの戦場から姿を消した。

 

「ゼノヴィアッァアアアアアアアアアア!?」

 

 その事実に真っ先に反応したのは兵藤一誠だった。

 

「てめえら汚ねぇぞ!」

 

「何が?これは個人の決闘ではなくチーム戦でしてよ。カーマイン個人の決闘までは許可しましたが。それ以外も1対1に拘る理由はありませんわ。憤るなら、彼女を助けられなかった自分の不甲斐なさを憤るべきでは?何より聖剣使いはあなたたちの中でもっとも危険の高い駒。真っ先に潰すのは当然ですわ」

 

 一誠の怒声に全くの正論で返され、言葉が詰まる。

 だが仲間がやられた。これは理屈ではなかった。

 しかし戦いの場でその一瞬が命取りになる。

 

「私の相手をしている最中に他の女と話をするとはいただけないな!プライドが傷つく!」

 

 一誠に戦車の膂力から繰り出される強烈なボディーブローが炸裂した。

 

 そしてこの場でゼノヴィアがやられたことに動揺したのは一誠だけではなかった。

 

「もらいにゃ!」

 

 獣人の放った蹴りが一樹の手から槍を手放させる。

 

「次はお前がリタイヤにゃ!」

 

 一樹の顔に敵のフックが直撃する。

 しかし、一誠も一樹も膝を折らなかった。

 

「あれで倒れないなんて。我慢強い殿方達ですわね。どうせ結末は変わらないのに」

 

 呆れ、嘲るようなレイヴェルの声。

 

「うるせ……こんなんで負けてられっかよ。ゼノヴィアの仇を討ってそんで焼き鳥野郎をぶん殴って部長を勝たせるんだよ!」

 

 一誠は両手でイザベラを押し出す。

 

「ようやく触れられたぜ!必殺、洋服破壊(ドレスブレイク)!!」

 

 一誠が技名を叫び、指を鳴らすとイザベラの衣服が突如弾けた。

 

「なっ!?これは!?」

 

 失った衣服のせいで露になった肌を隠そうとする。それは女性として当然の行為だが戦闘中であればそれは愚行でしかない。

 

「隙ありぃいいいいいい!続いてドラゴンショットォ!!」

 

 構えを取って一誠の放った魔力の砲撃はイザベラを飲み込んだ。

 

 

 

 頬を殴られた一樹は突かれた拳を首の力だけで押し返した。

 

「にゃ!?」

 

 驚く暇もなく、一樹は獣人の娘の首を掴んでその身体を持ち上げた。そして自分がもっとも得意とすることをやる。

 

(アグニ)よ……」

 

「にゃ、ああああああああああああああああああッ!!!!?」

 

 

 首を掴んだ右手から炎が上がり、獣人の娘が悲鳴を上げた。

 20秒ほど焼かれた彼女は全身が黒焦げになり、無造作に投げ捨てられる。

 

 魔力の砲と炎で動かなくなったライザーの眷属ふたりはその場から消え去った。

 

 

『ライザーさまの戦車1名。兵士1名。リタイアを確認』

 

 グレイフィアのアナウンスが流れる。

 

「今の炎、まさか聖火!くっ流石は!リアスさまの協力者というのも頷けますわ。それにしても―――――」

 

 レイヴェルは親の仇でも見るように一誠に視線を向けた。

 

「赤龍帝!あのような破廉恥な技を女性に用いて恥ずかしくはないんですの!?」

 

「なんとでも言いやがれ!勝ちゃいんだよ勝ちゃっ!!」

 

「この女の敵!変態!」

 

「信じられないな。こうまで女を辱めるクズがリアスさまの眷属だなんて……」

 

 敵眷属から罵倒されて一誠はどこ吹く風とばかりに口笛を吹いている。しかし一誠を罵倒するのは敵だけではなかった。

 

「いやぁ、うん、その……うちのイッセーくんがスケベでごめんなさい……」

 

「ホントにな。あれと同類だと思われたら死にたくなるな」

 

「去勢されればいい……」

 

『まさか、女の身ぐるみを剝ぐ手伝いをさせられるとはな。相棒、さすがに俺も引くぞ』

 

「ちょっと君たちぃ!?俺勝ったんだよ!確かに方法はアレだったけどぉ!!」

 

 仲間からの罵倒に一誠の涙声が響いた。

 

 


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