太陽の種と白猫の誓い   作:赤いUFO

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15話:特訓・後編

 遊ばれている。

 今日も何処とも知れない場所で槍を持ってシルエットしか見えない誰かと相対していた。

 これまでは、相手が槍を動かした瞬間に既にこちらの体を貫いていることが大半だったのに、今は劣勢であることに変わりないものの曲がりなりにも戦いになっている。

 これは自分の実力が飛躍的に伸びたなどという話ではもちろんなく、相手が手加減しているためだ。

 もしくは目の前の相手がようやく匙加減を覚えたか。

 何にせよ、まだ目の前の誰かは先が見えないほど実力に差があるということだ。

 

「もらいっ!!」

 

 相手の動きが一瞬だけ止まり、突きを繰り出す。

 それが罠とも疑わずにいた間抜けな自分を殴り飛ばしたくなった。

 気がつけば相手の槍が心の臓を貫いていた。

 

 血を吐いた自分が最後に分かったのは呆れるようにタメ息を吐く誰かだった。

 

 

 

 

 

「なぁ……あれってどういうことだ?」

 

「俺が知るかよ……」

 

 一誠は腕立て伏せをしながら。

 一樹は棍を振りながら少し離れたところに居る白音とアーシアを見ていた。

 

「白音ちゃん(・・・)、スポーツドリンクどうですか?」

 

「……いただきます、アーシア(・・・・)先輩」

 

 なんというか、仲が良いのだ。

 いつもは白音が距離を取っているのに今日に限ってやたら距離が近い。

 それもお互いの呼び名が以前より親し気になっている。

 

「アーシアはこう、疑うのも馬鹿馬鹿しくなるくらい無防備だから白音も警戒を解いたんじゃないか?なんにせよ、良いことだろ?」

 

 これを足掛かりに周りとも距離が縮まるといいなぁと思いながら一樹は棍を握る手に力を籠める。

 まだまだ棍を扱う動作はぎこちなく、自分の手足のようにとはいかない。

 それでも確実に一歩一歩進むために直向きに棍を振るった。

 目標の時間まで棍を振り終わったら少し休憩を挟んで白音と体術の訓練。

 叩き込まなければならないことが沢山あり、時間がいくら有っても足りない。

 しかしひとつのことに打ち込む清涼感を感じているのも事実だった。

 要約すれば楽しい。この一言に尽きる。

 その楽しさに流されるまま一樹は棍を振るい続けた。

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁ!!」

 

「なめんな!」

 

 一樹と一誠が組手を行っていた。

 

 突進力や打撃力は一誠が優っているが、動体視力や肉体の使い方は一樹が優っており、無手の組手ならお互いの力はほぼ互角だった。

 

「今日は勝つ!」

 

「させっか!」

 

 片方が拳を打ち込めばもう片方がやり返す。

 まだ拙いながら互いの対抗意識が無意識の内に戦う技術を磨いていった。

 同程度の実力者がいるというのはそれだけ貴重なのだ。

 そんなふたりを観ながら他の前衛組は嬉しそうにしている。

 

「2人ともぐんぐん腕を上げてくね」

 

「やはり実力が近い者が近くに居るのはよい刺激になるのだろうな」

 

「そろそろ、決着が着きます」

 

 一誠が一樹の顔面に拳を放つがそれをそれを体ごと回転させて逸らすと同時に肘を胸に叩き込んだ。

 その一撃で膝を付き、一誠の敗北が決まった。

 

「クソっ!また勝てなかった!」

 

「なんとか勝ち越したな……」

 

 悔しげに地面を見下ろす一誠に対して一樹は安堵の息を吐く。

 合宿中のふたりの組手の勝率は一樹が一勝多かったが、今回で二勝になった。

 

 組手が終わったら見ていた3人から問題点を指摘される流れになる。

 

「今回は一樹の読み勝ちだな。途中からイッセーの動きをある程度操作してただろう?」

 

「逆にイッセーくんは焦りすぎだね。体力や純粋な身体能力なら上なんだから一樹くんの疲労を狙えば勝てる可能性はあったよ」

 

「でもいっくんは読みに頼りすぎ。もし読み間違えたらそこで終わってた」

 

 話を聞きながらふたりはあれこれと質問する。今の2人は強くなることに貪欲だった。

 

「少し休憩をしよう。一樹くん、この後に僕と打ち合おう。だいぶ棍の扱いにも慣れたみたいだしね」

 

「あぁ。今日こそお前に一本取る!」

 

「ふふ。楽しみだね」

 

「今日はそんな余裕無くしてやるからな!」

 

 何気なく交わされる会話。しかし、その会話を聞いて、一誠は言い様のない焦燥感を覚えた。

 日ノ宮一樹にとって既に木場祐斗は決して手の届かない相手ではなくなっているのだ。

 それが一誠にはどうしようもなく悔しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜中に白音はようやく完成したそれを見た。

 

「やっと、完成した……」

 

 コカビエルの時はまだ未完成だった猫上白音の切り札。

 まだ問題点は残されているもののようやく完成にこじつけたのだ。

 試行錯誤を繰り返して5年。ようやく完成した嬉しさに白音は珍しく心の底からの微笑んでいた。

 

「でも、まだ足りない……」

 

 完成したそれを見つめながら呟く。

 発動には足を止めなければならない。

 両手がふさがる。

 最低でも10秒はかかる。それも完全な無防備で。

 しかも維持できるのは30秒だけ。

 まだ詰めなければならない部分も多いが、時間をかけて必ず極める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はね、グレモリーなのよ……」

 

 リアスは自嘲して自分をそう評したが、一誠にはその言葉の真意が解らず、口を詰むんだ。

 リアスもそれを理解して噛み砕いて説明する。

 

「悪魔の中に居ると……いいえ。裏の世界にいる限り誰もが私をリアス個人ではなく、グレモリーのリアスとして見る。それは当たり前の事だし、それが嫌という訳じゃないの。私はグレモリーの家に生まれたことを誇りに思ってる。でも時々、それが煩わしく、重いと思えることがあるのよ」

 

 そう語るリアスの姿はとても小さく年相応の少女に見えた。

 兵藤一誠にとってリアス・グレモリーは常に自信があり、自分では及びもつかない力と優しさに威厳を持ったまさしく【王】に相応しい、美しい女性だった。

 あれほど隔絶とした力の差を持ったコカビエルにすら毅然とした立ち振舞いを崩さなかったほど。

 だからこそこうして弱さを吐露する彼女が意外に思えた。

 しかしそれも当然なのかもしれない。

 リアスとてまだ高校生の少女だ。ましてや数千数万の寿命を持つ悪魔に於いてはまだ若造とすら呼べないほどの。

 

「だから、私の伴侶となる人は【グレモリー】ではなく【リアス】を支えてくれる人と一緒になりたいの。そうでなければ疲れてしまうでしょ?」

 

「それで、ライザーとの結婚にも反対してるんですか?」

 

「……家のことを考えればフェニックス家との縁談は決して悪い話じゃないわ。子供の我が儘だってことも自覚しているつもりよ。でもね何千何万の時間を一緒に生きる相手くらいは心から想い合える相手がいい。それが私の夢」

 

 それが難しいことは解っているのだけどね、と笑うリアスに一誠はなんと声をかければいいのかわからなかった。

 それでも何か言わなければと必死に言葉を探す。

 

「でも、俺は部長を部長として好きですよ。俺馬鹿だから家の事とか、格式とかはさっぱりですけど俺はいつでも部長の味方です!だから部長は部長の思うままに進んでください!!」

 

 一瞬、リアスが目を丸くするが、すぐに嬉しそうに笑った。

 

「ありがとう、私の可愛いイッセー……」

 

 きっとその言葉を聞けただけで、一誠の励ましは意味のあるモノだったのだろう。

 

「それで、貴方はこんな時間にどうしたの?さっきは少し沈んでいたようだけど……」

 

 気づいてたか、と一誠はバツが悪そうに顔をしかめる。

 リビングに水を飲みに来たのは嫌な気分を振り払う為だった。自分の不安を。

 もしここでリアスの本心が聞けなければ一誠は何でもありませんと強がっていただろう。

 しかし今は不思議と自然に弱さを口にできた。

 

「部長、俺ここに来てダメなんです。アーシアみたいに魔力も上手く使えないし、木場やゼノヴィアみたいに剣の達人でもありません。白音ちゃんみたいに凄く強いわけでもなくて。それに人間の日ノ宮みたいに新しいことだって覚えられないんです」

 

 ここに来て、一誠は自分の成長を疑っているというより、周りとの差に苦しんでいた。

 特に格闘戦で僅差とはいえ一樹に負けたことが予想以上にショックだったのだ。

 これでもし最近練習してる棍まで使われたら?

 確実に負けるだろう。

 ましてや一樹は炎の力まで使えるのだ。

 勝率はおそろしく下がるだろう。

 一誠は自分が悪魔に成ったことで人間――――少なくともフリードのような専門家でもない限り負けることはないと思っていた。

 その脆い硝子のような自尊心を早々に打ち砕かれてしまった。

 

「俺が一番弱いってここに来てわかってしまったんです。きっと今のままみんなと一緒に戦っても足手まといにしかならない気がするんです……」

 

 気がつけば、一誠は涙を流していた。

 強くはなっている。しかしあまりにもそのスピードは遅い。

 周りと比べても追いつける気がしない。

 それでも愚直に進むしかなくて。

 リアスの力になりたい。

 望まない結婚から解放してあげたい。

 でもそれを実行するには余りにも自分の力は矮小だった。

 惨めで情けなかった。

 

 そんな一誠の頭をリアスが優しく包み込む。

 

「自信が欲しいのね、イッセー。いいわ、貴方に自信をあげる。だから今は心と体を休ませなさい。それまでここに居てあげるから」

 

 撫でられる頭が心地よくて。

 優しい声音が少しずつ眠気を誘ってゆく。

 一誠が眠りに落ちるまでそう時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 早朝、全員が外に集められてリアスは合宿が始まってから一誠に禁じられていた神器の使用を許可した。

 左手に現れた籠手が十秒ごとにBOOST!と声を上げて倍加を伝えていく。

 3分ほど経ったところで倍加を止める。これが現在の一誠が上げられる倍加の限界らしい。

 赤龍帝の籠手自体には倍加の上限はないものの、使用者の肉体に起こる負担から上限は存在する。

 

「それじゃあ、その状態のまま祐斗と模擬戦をしてもらいましょうか。祐斗お願いできる?」

 

「はい、もちろん」

 

「イッセーも木刀を使う?それともそのままで?」

 

「このままでお願いします!」

 

「よろしい。では2人とも始めてちょうだい」

 

 リアスの合図と同時に一誠と裕斗は構えを取る。

 白音にここ数日格闘の基礎を叩き込まれたおかげか中々に一誠の構えも様になっていた。

 模擬戦の序盤は祐斗がセオリー通りにスピードでかく乱していたが、一誠の防御した腕に木刀を当てた瞬間に表情がより真剣なモノに変わる。

 首を傾げている一樹に白音が小声で耳打ちしてきた。

 

「兵藤先輩の倍加された防御力に木場先輩の木刀じゃダメージが通りづらいみたい。木刀も魔力で強化してるみたいだけど、今の兵藤先輩相手だと得物が心許無いかな」

 

「解説どうも」

 

 確かに一誠に大したダメージは受けてない印象だ。攻撃自体は当たっていないが一撃でも喰らったら裕斗の負けかもしれない。

 

「イッセー!魔力の塊を撃ちなさい!ケルベロスの時に撃ったアレよ!」

 

 リアスの指示に一誠は裕斗から即座に距離を取って、魔力を打ち出す構えを取る。

 

「喰らえぇえええええっ!!」

 

 叫びと共に放たれた魔力砲は最初は小さくビー玉サイズだったが、爆ぜるように巨大さを増して極大な線を作る。

 しかし祐斗は難なく魔力の砲を躱した。

 だが皆が驚いたのはその後だ。

 放たれた魔力の砲撃は隣の山に直撃し、爆音とともに山の一部を刳り貫くように消し飛ばした。

 

「なんだよ、あれ……ロボットアニメのビーム砲じゃねぇんだぞ!」

 

 顔を引くつらせて唖然とする一樹。

 

『Reset』

 

 倍加の時間が終了する声が赤龍帝の籠手から告げられると同時に膝をつく。

 

「そこまで!お疲れ様。早速感想を聞こうかしら。祐斗、イッセーはどうだった」

 

「正直、驚きました」

 

 裕斗は手にした木刀を見せる。

 それは既にボロボロで折れかけていた。

 

「最初の一撃で決めるつもりでしたがイッセーくんのガードが固くて切り崩せずに逆にこちらが得物を失うところでした。あのままだったら倍加の効力が切れるまで、逃げ回るしかなかったですね」

 

「だそうよ、イッセー」

 

 リアスの言葉に一誠はなにも答えることができず唖然として自分が行った破壊痕を見ている。

 

「確かに通常時の貴方は弱いわ。でも神器を使った貴方なら話は別よ。貴方は基礎を鍛えれば鍛えるほど倍加の力は何倍にも跳ね上がる。今の一撃だって間違いなく上級悪魔クラスよ。下級悪魔。それも魔力量は底辺に居る筈の貴方がよ」

 

 親指で刳り貫かれた山を指さした。

 

「個人戦なら隙だらけで時間のかかる倍加は怖いでしょうけど、今回はチーム戦。貴方が倍加している間は私たちがフォローする。そうすれば、イッセーも私たちも強くなれる!」

 

 イッセーは自分の神器を見る。赤龍帝の籠手が与えてくれる恩恵を理解したのだ。

 使い手次第では神や魔王をも屠ることができる。それが決して誇張でないことに。

 

 籠手を装備した拳を握って一誠は確かな自信を手に入れた。

 そんな一誠を見てリアスは笑みを深める。

 

「私たちを侮ったライザーに目にもの見せてやりましょう!たとえ不死鳥(フェニックス)が相手でも私たちが勝つ!ハンデを与えたことを後悔させてあげましょう!!」

 

『はい!』

 

 グレモリー眷属が一堂に同調する。

 決戦、は近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 合宿で出来る訓練を終えて明日の朝に山を下りてその日一日休養を取ってレーティングゲームが始まる。

 今日はもう寝るだけになった時間に夜風に当たっていた一樹に声がかかった。

 

「まだ起きていたのね」

 

「どもっす」

 

 声をかけたのはリアスだった。

 

「ちゃんと寝ないとダメよ。特にあなたは私たちと違って人間なのだから、下手な夜更かしは感心しないわ」

 

「もう少ししたら寝ますよ。ただ、ここも明日立つんだと思うと、名残惜しい気持ちがあって……」

 

 訓練自体はきつかったが正直楽しかった。

 今まであまりこういったことに縁がなかったのもあるだろう。中学時代はとにかく友人が少なかった一樹にとって今回のことは目新しいことが発見が多かった。

 

 何かひとつのことに打ち込んだり、同じ目標を持った仲間と切磋琢磨する。

 そう言ったことが一樹にとって新鮮であった。

 だが、不安もある。

 

「俺は、何が出来るんですかね」

 

 自分でも、意外な程に弱気な声が出た。

 一誠がそうであったように、一樹も同様の焦燥感に駆られていた。

 一樹の操る炎は悪魔にとって天敵らしいが、それがどの程度通じるか判らない。

 棍を振るってもそれはあくまで合宿が始まってから始めた俄か仕込みもいいところだ。

 そんな自分が本当にリアスたちの役に立てるのか。その疑問は尽きなかった。

 どっちにしろその時になれば全力でことに挑むしかないのは理解しているが、足手まといではないかという考えは消えない。

 割と真剣に悩んでいる一樹にリアスは可笑しそうに笑った。

 

「笑われるようなこと言いましたかね?」

 

 流石に真面目に悩んでいたことを笑われてムッとなる一樹。

 

「あぁ、ごめんなさい。少し前にイッセーも似たような悩みを持ってたから。つい可笑しくなっちゃって」

 

「……」

 

 イッセーと同じ悩み。そう言われて一樹の顔があからさまに顔を歪めた。

 

「あら。そんなにイッセーが嫌いだったのかしら?」

 

「……少なくとも好感は持ってませんね」

 

 オカルト研究部に入って一緒に活動してから以前よりは見直しているものの、やはり根本的に相容れない部分があるのも事実だった。

 それは以前から行っている変態行為やそれに伴う二次被害とか。

 だがリアスから言わせればケンカするほどなんとやらだ。

 一緒に訓練している姿を観察しているとお互いに憎まれ口を叩くことは多いが、決定的にお互いを嫌い合っているような険悪な雰囲気はない。

 それどころかお互いに意識し合っているからこそ対抗心で訓練が捗ったほどだ。そういう意味では既にリアスにとって日ノ宮一樹は充分に役立ってくれていた。

 しかしリアスが一樹に期待しているのは別だった。

 

「ライザーとのレーティングゲーム。勝利のカギを握るのは貴方とイッセーだと私は思っているわ」

 

 微笑みを崩さず、しかし声音は真剣さ持って答えた。

 

「フェニックスの能力については教えていたわね?」

 

「炎と風を操る力と再生能力でしたっけ?」

 

「そうよ」

 

 一樹から言わせれば本当にそんな能力があるのか甚だ疑問だがリアスがあるというからにはきっとあるのだろう。

 

「フェニックスの再生能力を叩く方法はそう多くないわ。ひとつは魔王級の圧倒的な力で押し潰す。でも残念だけどこの方法は今の私たちには現実的じゃない。ふたつは相手の精神を擦り潰すこと。フェニックスの再生能力は精神に依存する部分が大きいから、再生できなくなるまで何度でも叩く。もしあなたが居なければ、ふたつ目の方法でしかライザーは倒せなかったでしょうね」

 

「俺が、いなければ?」

 

「最後にこれはフェニックスに限らず悪魔全体に言えることだけど、聖なる力は私たちにとって毒に等しいモノよ。聖水や、天使や堕天使が使う光の力もね。そして貴方の炎には強い聖の力が宿っている。それを受ければ、フェニックス再生能力を封じる、とまではいかないまでも、阻害するくらいはできるはずよ。そしてそこにイッセーのパワーが加われば」

 

「いくらフェニックスでも倒せる……?」

 

「ええ。そう言った意味では聖剣使いのゼノヴィアも期待できるでしょうけど。剣士である彼女は遠距離からの攻撃に徹せられてしまうと文字通り手も足も出ないから。ある程度距離の離れた場所からでも攻撃できるあなたの方が今回は有用性が高いわ」

 

(あぁ、なんて単純……)

 

 美人に期待されているだけでさっきまでの不安が奥に引っ込んだ。

 消えたわけではないが、ずいぶん気が楽になった。

 

「さ、もう寝ましょう。そして明日家に帰ったらしっかりと英気を養って、ゲームに挑みましょう」

 

「そうですね」

 

 全力を尽くそう。

 リアスの笑顔を守るために。

 一誠ではないがそう思えた。

 日ノ宮一樹は思いの他リアス・グレモリーのことが好きだったらしい。

 そんなことを考えながら一樹は自分の部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 




一樹がリアスに対する好きはLOVEではなくLIKEの方です。
リアスとオリ主が恋仲になる展開は作者の頭の中には一切無いことを明言しておきます。

次回からレーティングゲーム開始です。

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