あいもかわらず駄文ですがどうぞ。
「せええええい!」
アイシャが角ウサギの腹部に短剣を突き刺す。彼女の武器は短剣である。
短剣が刺さった角ウサギは数秒後に息を引き取る。
ここは街道沿いの草原だ。街道からこの草原を挟んで森がある。森には凶暴な魔物が住み着いており危険であるためむやみに近づかないのが鉄則だ。
因みに森からこの草原までの距離は大体1㎞ぐらいだろうか、遠いようで意外と近い。
「うん、これで依頼の20頭討伐したね。」
俺が12頭、アイシャが8頭討伐した。…え?戦闘描写がない?だって俺は魔法を唱えただけだし、アイシャは短剣をさっきみたいに突き刺すだけの単純な作業だよ?勿論命かかってるけどね。
空が少しばかりオレンジ色に染まり始めたころに俺たちの依頼は完了した。
「じゃあ、角ウサギの角を剥ぎ取って帰ろうか。」
アイシャはうんと言い、自分の近くにある角ウサギの角の根元に刃を突き立てた。
俺も、近くの角ウサギから剥ぎ取り始める。前世では血を見るだけでも駄目だった俺だけど、この世界に生れ落ちてからはそんな事も言ってられず、こういった作業をもう何回もしてきて慣れてしまっている。
俺とアイシャはそれぞれ角ウサギの角を次元ポーチに詰める。因みに次元ポーチは魔法の力でいろんなものをしまえる魔法のポーチである。…決して〇次元ポケットではない。
そして、空が全体的にオレンジに染まったころに帰路に着いた。この草原までは街から2時間ほど馬を走らせる距離だった。
ここまで歩いて来ようとしていたら、また知らない商人のおじさんが「通り道だから乗っけてってやるよ。」とのことで送ってもらった。
ありがとう知らない商人のおじさんたち。
そんなことで、今は歩いて帰っているがおそらく街に着くのは夜遅くになってしまうだろう、もしかしたら野営も考えなくてはならないかもしれない…。
そんな事を考えていた時だった。
「うあああああああああああああ」
遠くから叫び声が聞こえた。
「アイシャ、聞こえた?!」
「うん!多分森のほうだよ。…あっ!あそこ!」
そうアイシャが言って指をさす、その先には今朝俺たちに絡んできたチャラーズの一人が走って森から出てきていた。…何かから逃げるようにして。
チャラーズの一人は街道に居る俺たちに気付き手を伸ばす。
「助け————。」
そして、俺たちが動き出す前に森から出てきた大蛇の口の中に消えた。
「————あれは、ポイズンスネーク!?」
俺はチャラ男を飲み込んだ魔物の名前をいう。10歳以下のころは魔法の鍛錬よりもこの世界のことをよく知ろうと村にある本を読みあさっていた。その中でも一番繰り返し読んだのは『魔物図鑑』だ。魔物と呼ばれる事のない小さい生物から伝説級の魔物の伝承まで書いてある本である。
ポイズンスネークのページだって当然読んだ。体長は大体2メートルでCランクに設定されていた。しかし草原の向こうにいるポイズンスネークの体長は7メートルを超えている。
それに、ポイズンスネークの後ろの森の木々が揺れている。まだほかにも魔物が潜んでいるのだろう。
「あの大きさじゃあBランク…、最悪Aに届いてるかも…。
アイシャ!ポイズンスネークはこっちに気付いてる。私があいつの気を引くから街まで行ってこのことを冒険者ギルドに伝えて。」
「嫌だよ!ミーちゃんが戦うなら私も戦う!」
アイシャはそう言う。そう言ってくれるのは知っていた。
とてもうれしい、でも…。
「それはダメだよ。…いい?二人がちゃんと助かる方法がそれなの。アイシャなら急げば半刻で街まで付くでしょ?私はそんなに早く走れないし、今あいつを放っておくと必ずどこかで大きな被害が出ちゃうの。…だから、ね?」
そう言ってアイシャの方を見る。アイシャは少し泣いていた。
「ミーちゃんがそう言うならそうするよ…。でも!絶対死なないでよ!初めての依頼で死んじゃうなんて私許さないからね!」
俺はポンとアイシャの頭に手を置く。
「大丈夫、私が強いのアイシャだって知ってるでしょ?何とか持ちこたえておくから。街に戻ったらおいしいもの食べようね。さぁ行って!」
頭に置いていた手でアイシャの背中を軽くたたくとアイシャは走り出した。アイシャは村で一番動きが速かった、持久力もある。彼女ならしっかりと援軍を連れてきてくれるだろう。
「さて…。」
俺はポイズンスネークに向き直る。奴はもう草原の中間地点ぐらいまで来ており、後ろの森からはゴブリンや群狼などが出てきている。
ゴブリンはDランクの魔物だがCランクの冒険者でもたまに足をすくわれることがあるらしい。
群狼は名前の通り群れで獲物を襲う。単体でのランクはDだが群れの規模によってランクが変わる。
「あれはBランク行くんじゃないかなあ…。」
そんなことを呑気に考えてしまう。森から出てきた魔物は巨大ポイズンスネーク…Bランクぐらい、ゴブリン20体、群狼40頭だ。
…怖い。まさかこれほどまでにいるとは思わなかった。
「まあ、でもやらなきゃいけないもんな。アイシャとの約束も守らなきゃいけないし。」
そう口に出し杖をかざす。————最初に狙うのは足の速い群狼。
「その槍、大地を切り裂き、我が敵の刻を凍らせたまえ————フロスト・ランス!」
素早く詠唱する。俺の周りには30センチほどの氷の槍が20本ほど浮いている。杖を振り下ろすとそれらは群狼へと向かって飛んでいき、氷の槍に貫かれた群狼は氷となって動かなくなり、近くにいた別の群狼も凍り付く。
————フロスト・ランスは俺が編み出した魔術だ。槍の当たった対象を凍らせ1メートル以内にいる別の生き物も冷気によって凍らせる対軍魔法。
群狼の数を30減らすことができ、ゴブリンにも少なからず被害が出ている。
「あれ…?」
ポイズンスネークの姿が見当たらない。あれほどの巨体から目を離していないはずなのに…、
そう考えていると、地面が揺れた。
「下!?」
俺は瞬時に後ろに跳ぶ。その数秒後に俺のいた場所にポイズンスネークが地面を割って飛び出してきた。
「少しでも気付くのが遅かったら危なかったな…。」
そうして改めてポイズンスネークと対峙する。距離として5メートルしか離れていない。
…大きい。
「フレアボール!」
杖から火球が数発出て、そのうちのいくつかが奴の体にあたる。紫色をした奴の鱗が少しばかり焦げただけで終わってしまった。
いくつか避けられた火球はゴブリンの数を減らしたのか奴の後ろから叫び声が聞こえる。
「奴の攻撃を避けながら、魔法で削っていくのか…。それなりの攻撃じゃなきゃ防御抜けなさそうだな。それに他の魔物も気を付けないといけないなんて…。まぁでも、頑張りますか!」
————そして私は、杖を振りかざし生きるために魔法を発動する。
チャラーズは滅びた慈悲はない。
読んでくださってありがとうございます。
パッと思いついてささっと書いたので誤字脱字多数あるかもですが皆さんの想像力で補ってください。
また思いついたら投稿します。