東方記録媒体 ~記憶を取り戻す旅~   作:タマモワンコ

10 / 15
犬城「どうも、第9話です。」

お衣「なによなによ。テンション低いわね。」

犬城「それがさ。」

お衣「うんうん。」

犬城「パワプロアプリで浴衣ハッチ取り損ねた…。」

お衣「どうでも良いわね。」

犬城「そんなー。」

お衣「ま、内容も少し暗くなっていくからねえ。ま、頑張ってテンションあげなさい。」

犬城「うい。では、第9話、「『F』は燃える・去り行く『W』」、どぞー。」

お衣「あ、今回は人死にがあります。気をつけてください。」


東方記録媒体 第9話 「『F』は燃える・去り行く『W』」

~白side~

 

唐突な風見のボディブローでその殺し合いは始まった。

 

「ぐはっ!」

 

痛みで意識が飛びそうになるが、なんとかこらえる。

 

「あらあら、どうしたの?死んじゃうわよ?」

 

「くそが!『ファイアボール』!」

 

いけっ!火球!

 

「ふんっ!」

 

ボンッ!

 

…え、いま気合いだけで書き消した?まじかよ…。

 

「あらぁ?その程度なのかしら?」

 

「ちくしょうめ!『アイスフォース』!『ファイアフォース』!うおぉぉぉぉぉ!」

 

右手に炎、左手に氷を纏い、身体を魔力と霊力で強化して突撃する。

 

「突っ込んでくるのね。なら、こっちものってあげるわ。」

 

「うぉおらぁっ!」

 

ガンガン!

 

これでどうだ!?

 

「うーん、ちょっとは効いたかしら。」

 

なんてこった。風見はあっさりと受け止めて、しかもまったくダメージ無しと来た。

 

此処だと下手に大規模なのは使えない。だが、このままじゃどうしようもない。どうする!?

 

「ちょっと!?白さん、何をしているんですか!」

 

…阿求の声?ああ、あの男を連れてきたのか。

 

「あらあらあらぁ。気を逸らしている暇なんてないわよ?」

 

「ぐぁっ!」

 

また殴られた。でもまあ、さっきよりはましかな。それでも既にふらふらだが。

 

「ふふ、まだ手は有るでしょう?ほらほら。出さないとあの子を殺すわよ?」

 

どうする。これ以上のものになると阿求まで巻き込んでしまう。正直こいつは鎮守府の兵器では倒せない!だが、風見を倒さないとどちらにせよ殺される。どうする、どうする!

 

 

…いや、まだ一つだけ手はある。

 

妖怪に、白狼になることだ。

 

出来るなら使いたくはない。母さんと父さんの思いを否定することになる。だが、使わなければ阿求が、場合によっては人里の皆が死ぬ。

 

皆を守るためならば、この体など、俺の平和な運命など捨ててやろう。

 

「…まだだ風見。」

 

「あら、やっぱりあったのね?ほら、はやく見せてちょうだい?」

 

「いいぜ。俺の平和な未来を捨てるんだからな。しっかりと受け止めてもらうぜ。」

 

ロストドライバーを装着する。そして、

 

『wolf』!

 

wolfメモリを起動、前部スロットに差し込む。そして、

 

「変身!」

 

ロストドライバーを起動する。

 

『wolf』!

 

再びメモリが叫ぶ。

 

謎の音楽がベルトから鳴る。

 

そして、俺の周りに風が巻き起こり、塵で周りが見えなくなる。

 

風が、塵が晴れたとき―

 

俺は白狼となっていた。

 

~風見side~

 

一体何が起こったのだろうか。白が何か変な道具を使ったと思ったら、なんと白狼になっていた。髪は白くなり、犬耳としっぽが生え、しかも、その体から感じる妖力は私に勝るとも劣らないほどだ。

 

私は少し呆然としていたが、

 

「いくぞ…!」

 

白の声を聞いて、戦闘体勢を作ろうとした。

 

だが、それよりも速く白に殴られた。

 

さらに、吹き飛ばされた先でまた殴り飛ばされる。

 

吹き飛びながら、白の姿を確認しようとするが、見えない。

 

そんな事をしていたら、右腕を切り裂かれた。

 

どうやら爪のようなもので切り裂かれたようだ。鮮血が散る。

 

そのあとも何度も斬られた。脚を、腹を、背中を、腕を。ただただ浅く、そして何度も何度も斬られる。

 

三十秒ほど経ったか。

 

50回ほど斬られただろうか。不意に攻撃が止んだ。

 

白は里を背に、肩で息をしながら此方を見ていた。その両手には鉤爪をつけている。

 

だが、どうやらこれで打ち止めのようだ。ならば…

 

「残り、十、秒だ…。」

 

白がベルトから棒を引き抜いた。そして、ベルトの横に刺した。なにをするつもりだ?

 

『wolf! Maximum Drive!』

 

なんだ?白の周りに風が集まっていく。なにが来るんだ!?

 

「うおらぁぁぁぁ!」

 

な、右腕を振り上げた!?地面の下をなにかが来る!

 

は!避けなけれ

 

「きゃあっ!」

 

くそっ!よく分からないのに当たって身動きがとれなくなった!

 

「でぇぇぇぇぇやぁぁぁぁ!」

 

ズバッ

 

バタッ

 

 

 

~白side~

 

や、やったぞこのやろう!

45秒経った。

も、もうだめだ。変身解除…。

 

「もうむり…。」

 

バタッ

 

「う、うぅ…。」

 

うぇっ!?

 

「流石、ね、五霊、白。」

 

「うぇーい、まじかよ。そのまま気絶してくれりゃ良かったのによ…。」

 

「ふふ、私の、勝ちかしらね。」

 

「そうだな。んで?俺や阿求達を殺すのか?」

 

「いいえ、止めて、おくわ。今そんな、余力は、ないわ。」

 

「そか。ならいい。」

 

「で?あの男が、犯人、なのかしら?」

 

「さあな。聞いてみればいい。」

 

「あら、そう。わかったわ。」

 

あー、やっと動けるようになってきた

 

よっこいせっと。

 

「…貴方が、私の花を焼いたのかしら?」

 

「は」

 

「は?」

 

「あはははははははははははははははははははははははははははははは!」

 

「え、ちょっと?どうしたのよ。」

 

「なんだ!こんなに近くに強いやつがいたのか!ならあんな糞花に火ぃつけるまでもなかったな!」

 

「…どういうことよ。」

 

「あはははははははははははは!」

 

うお、あいつ小刀を取り出しやがった。なにをするつもりだ?

 

「おら!こっちに来やがれ!」

 

「ちょっ、なにをするんですか!?」

 

な!阿求を拘束して小刀を当ててやがる!

 

「てめぇ!なにしてやがる!」

 

「あははは!ただの交渉材料さ!こいつを殺されたくなかったら、里にいる全ての金持った糞野郎共を殺してこい!」

 

「なに!?貴様ふざけているのか!」

 

「ふざけてなどいないよ半人半妖!お前も殺しにいけ!」

 

「ふざけるなぁ!貴様!自分が言っていることの意味が解っているのか!私たちがその命令従えば人里は滅ぶのだぞ!」

 

「そんな事はわかっているさ!元々皆殺しにしたかったんだからな!」

 

「…わかった。やってやろう。」

 

「な!白!?何を言っている!」

 

「そうですよ白さん!私よりも里の皆を!」

 

「…大丈夫だ。一瞬で方はつく。」

 

「…ああ、そういうことね。たしかに一瞬ね。体験したもの。」

 

『wolf』!

 

「変身。」

 

再び白狼になる。

 

「さあ、終焉の時だ…。」

 

『wolf! Maximum Drive!』

 

キィィィィィィン…

 

少しづつ世界が遅く、灰色になって行く。そして、"完全に止まった"。

 

男にダッシュで駆け寄り、まず小刀を持つ右腕を爪で切り落とす。

 

次に後ろに回って背中の表面と共に腰に差してあるリボルバーを切る。

 

そして最後に、右手の爪を男の首に当てる。

 

それと同時に、世界が動き出す。

 

9.8秒、それがお前の絶望までのタイムだ、なんてね。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

 

男の腕が落ち、鮮血が吹き出す。

 

「…さて、どうする?まだやるか?」

 

「ひぃっ!いやだ!死にたくない!」

 

「…そうか。ここで潔く死を受け入れるようなやつなら生かすことも考えたのだが。残念ながらサヨナラだ。」

 

「い、いやだ!死にたくない!死ーにーたーくーなーいーいーいーいー!」

 

「うるさい。」

 

右手を振り、男の首を飛ばす。

 

「なっ…」

 

「あらあら、綺麗に殺したわね。」

 

「…五霊白!」

 

「なんだ慧音。」

 

「何故、何故殺した!こんなやつであっても同じ人間だぞ!?」

 

「残念だが、同じ人間ではないよ。」

 

「なに?どういうことだ!?」

 

「俺は妖怪なのさ。白狼妖怪。だから同じ人間ではないよ。」

 

「え、嘘、だろ?白。」

 

「そ、そうですよ白さん!冗談なんてこんな状況で言わないでください!」

 

「嘘ではない。」

 

「白、貴様、今まで私たちを騙していたと言うのか!?」

 

「まあ、そうだな。」

 

「なぜ、なぜお前がそんな事を!」

 

「…簡単に言うなら、『人間であろうとした』だな。」

 

「あら、面白い考えね。それで貴方はその棒に妖怪としての力を封印したのね?」

 

「正しくは親が封印した、だな。その想いも見事にこの男に潰されたわけだが。」

 

「だが、だがこいつを殺す必要はなかっただろう!」

 

「残念だが、俺がどんな立場であったとしても殺せるなら俺はこいつを殺していたと思う。」

 

「何故だ!」

 

「そうだな…、慧音、こいつを此処で許して、生かしたとしよう。するとこいつは次にどうすると思う?」

 

「…十分反省してまともに生きようとするだろう?それがどうした。」

 

「んなわけないだろ。こいつはどうせ、また殺しをやるだけだ。」

 

「そうは言い切れないだろう!」

 

「だが、こいつが再び殺人をしようとする可能性のほうが高い。というか確実にする。だからその前に殺した。」

 

「だがこいつは普段は本当に良い奴だったんだぞ!」

 

「だがこれだ。…しかし、里の人々からの評価は良いのか?この男が。」

 

「ああ。まあ、実際はこんなやつだったが、普段は本当に良い奴だった。」

 

「…ならば、俺を悪人に仕立てあげろ。そうすればこいつの名誉も守られるし、なによりお前らに無駄な負担がかからん。」

 

「な、何を言ってるんですか白さん!?」

 

「言葉の通りだ。少なくとも、人間同士で疑心暗鬼になるとか、お前らに被害が及ぶよかぁいいだろ。」

 

「ですがそれでは白さんが!」

 

「所詮半年前に急にやって来た他所の人間だ。そんなやつを切り捨てるぐらい問題ないだろう?」

 

「それでも…それでも!私は白さんと一緒に居たいんです!私は、白さんが好きなんです!それに、里の人たちだってちゃんと説明すればわかってくれるはずです!大変な道程かもしれませんが、私は白さんと生きていきたいんです!」

 

「阿求…」

 

「あらあら、すごい真っ直ぐな告白ねぇ。ま、私には関係のないことだから帰らせてもらうわね。じゃあね。」

 

「ああ。じゃあな。」

 

「白さん…、どう、なんですか?」

 

「…阿求、お前の気持ちは嬉しい。だが、お前にそんな負担を掛させるわけにはいかない。それに、阿求には幻想郷縁起の編纂という人生をかけた仕事が有るだろう?」

 

「ですが!」

 

「それに、俺は妖怪。お前は人間だ。その二つはそもそも交わってはいけないものだ。特にお前は転生の代償として寿命が短くなっているんだ。それなのに妖怪の血を引いてしまえば、最悪の場合お前が転生出来なくなってしまう。…わかってくれ。すまない。

 

「…そう、ですか…。…わかりました。人里の、稗田家の稗田阿求として、貴方を悪しき妖怪として情報を広めます。それを殺したのも貴方だと。」

 

「…いいのか?阿求。すぐに決めてしまって。まだあいつを説得する時間はあるが?」

 

「ええ。いいんです。ですが、」

 

「なんだ?」

 

「いつか、いつか帰って来て下さいね。これは、一人の人間としての稗田阿求のお願いです。100年でも、200年であっても待っていますから。」

 

「…ああ、わかった。…さようなら。」

 

「ええ。またいつか。」

 

里に背を向け、俺は歩き出す。

手に、『killer』のメモリを握って。




犬城「…。」

お衣「あー。やっちゃったねぇ。遂に殺したよ。」

犬城「とりあえず、本編では阿求ルートは折れました。」

お衣「といっても、他にもフラグ立ちまくってるような気もするけどね。」

犬城「次回はもうちょい明るめになるはず。チルノが出るし。」

お衣「チルノってすごいわね。」

犬城「そして遂にメモリを使ってしまいました。これにより白は妖怪に戻ってしまいました。」

お衣「そして『killer』メモリか。やっぱり暗いわね。」

犬城「『慧音、妹紅が敵対しました。』」

お衣「なによいまの。」

犬城「敵対勢力情報?」

お衣「さよか。ま、まずはネタ解説と、今作品でのメモリの解説をするわよー。」

犬城「まずはネタ解説。」

お衣「『ファイアボール』、魔法世界ではお馴染みの火球を飛ばす魔法。白は近接信管タイプも撃てるわ。」

犬城「『アイスフォース』『ファイアフォース』、ドラゴンクエストⅨで登場した自身に属性を付与する特技、だったはず。この作品では魔法であり、『付与魔法』が物に属性を付与する魔法で、『フォース』が自身に属性を付与する魔法となっている。」

お衣「『謎の音楽』、ロストドライバーやダブルドライバーなどでメモリを使って変身したときに流れる音楽。此処ではどんな音楽かは特に決めていません。」

犬城「『9.8秒、それがお前の絶望までのタイムだ』、元々は『仮面ライダーW』の2号ライダーの仮面ライダーアクセルの強化フォーム、『アクセルトライアル』の止めの台詞。アクセルトライアルの方の必殺技では加速して蹴りまくる。」

お衣「『死ーにーたーくーなーいーいーいーいー!』、ゲーム『メタルマックス2』及び『メタルマックス2.Re』のラスボスの台詞。メタルマックスは面白い。」

犬城「ネタ解説しゅーりょー。では、メモリを解説します。」

お衣「『wolf』メモリ
狼の記憶を持つメモリ。五霊白のメモリであり、また彼の母親のメモリでもある。

使うと、紙が白くなり犬耳としっぽが生える。また、任意で鉤爪『ウルフクロー』を召喚できる(イメージ:仮面ライダーウィザードインフィニティの爪)。

そもそもの速度もかなり速いが、代償として最長で1分間しか行動できないうえ、体にかなりの負担がかかる。

マキシマムドライブは二種類あり、爪から風を飛ばしそれで敵を拘束した後に爪で切り裂く『ウルフスラッシュ』と、自身を限界まで加速して十秒間のみ止まった時のなかで動く『ウルフタイム』である。

ちなみに仮面ライダー555はかなり参考というか元にしている。たっくんもウルフだし。普段がアクセルフォームのようなものである。」

犬城「『killer』メモリ
殺人者の記憶を持つメモリ。星にある全ての殺人の記憶と殺人を行ったものについての情報がある。

形状が普通のメモリと異なるため、ベルトでは使用できない。」

お衣「オッケーイ!」

犬城「ヤッタネ!さて、次回予告だが、まずは次話の予告。『里を出た五霊白。彼は一体どうなるのか。そして、彼に近づく冷気の正体は!?』…よし!」

お衣「んで?まずはとか言ってるってことはまだあるんでしょう?」

犬城「ああ。次の投稿は『阿求ルートエンディング』を書こうと思う。分岐点は、『阿求の説得を受け入れるかどうか』だな。」

お衣「だそうです。というわけでまた次回!さよならー!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。