今回はコラボの第2回目です。
また、今回もこちらと『Side_Nayu』の二本立てとなっております。
↓『Side_Nayu』はこちらからどうぞ。
https://syosetu.org/novel/147165/4.html
では、本編をどうぞ!
「はい到着……っと」
俺たちは水無瀬と姫神の使った
水無瀬と姫神が言うには奥多摩の敵の本拠地近くらしいけど———
「こんなの何処にあるか解んないじゃん、コレぇ!」
多分みんなが思っていたことを姫神が代弁するかの如く叫んだ。よくやった。だが———うるさい。ついでに言うと『ここ』を示す意味の言葉2回いったぞ。
「結衣ちゃん……そんなに大声で叫ぶと見つかるよ!?」
普段は交戦時ぐらいでしか使わない声量で凛音さんが言っちゃうって……。どんだけだよ。
「大丈夫でしょ……。見つかったら記憶消すか、ぶちのめせばいいだけだし」
「「「「……」」」」
……こいつ何言ってんの? 普通の思考だったらそんなところには辿りつかねぇだろ?
いや、まあ、確かにその通りなんだろうけど、確かにその通りかもしれないけど、やって良いことと悪い事———それ以前に出来る出来ないがあるでしょ?!
特にそこの超偵2人を除いた俺を含めた面子じゃそんなことできないから! ———いや、
「……なぁ、
内面を悟られないように落ち着いた感じで聞いてみたのだが……なんか水無瀬にはバレてるみたい。
「……恥ずかしい事に、毎回」
水無瀬が深い溜息をつきながら答える。こいつも……普段から苦労が絶えないのだろう。その気持ち、よくわかるぞ。
「た、多分大丈夫だよ! 私達がサポートするから!」
「そうですよ。そんなに思い詰めないでください」
凛音と歳那が水無瀬にフォローを入れた。
「あ、ありがとう……」
あ、2人のフォローに水無瀬が嬉し泣きしてるよ。まあ、普段からあんな感じのやつの相手をしてたらそうなるよな……。
その、肝心の本人はと言うと———
「ねぇ、早く行こうよー」
そんなことはお構いなしで、俺達に催促していた。あのなぁ、姫神? 俺達はお前の事で色々と困ってるんだよ?
そんな事を思いながら、チラッと水無瀬の方を見てみると———めっちゃ怖い顔してるんですが。
「おーい……。顔が怖いことになってんぞ」
若干呆れた感じが出てしまったが、本人に伝えてみた。
「あっ……ごめん……」
対する彼女は、若干赤面しながら軽く俯いた。え、何その反応? 可愛くない? いや、普通にみても可愛i———って、そうじゃない!?
「……で、どうするんだ」
完璧なポーカーフェイスを取った俺は、話を先に進めることにした。
「んーやっぱり地道に聞き込みじゃない?」
「そうね。それが最善策ね」
「じゃあ……あそこの川で釣りしている人に聞いてみよーよ」
姫神が水無瀬に聞いた結果、1番初歩的な作戦にたどり着いたな。というかこんな山奥に普通に人がいるわけないよな?
そんな事を思いながら、姫神が指をさした方向を見ると———川で釣りをしているオッサンがいた。オッサン、何してんの、こんな山奥で? アレかな、この辺は鱒が釣れるって話聞いたことあるけど、それかな?
「で、誰が聞きに行くの?」
そんなどうでも良いことを考えている俺を他所に、マキが皆んなに尋ねた。
「……この中で釣りの経験がある人、挙手」
思考を元に戻した俺は、聞きに行く奴を決める手掛かりとして、釣り経験者を募った。
「私あるよ」
と、マキ。
「私も」
と、水無瀬。
「私は無いかな」
と、凛音。
「私もありません」
と、歳那。
「私もー」
と、姫神。
「俺も一応ある。じゃあ、釣り経験者から選別するから———俺とマキと水無瀬の中からで良いな?」
俺の言葉に一同は頷いた。
「で、接触者だが……自分でこういうのはあんまりかもしれないが、俺はこういうのには向いていないと思う。特に相手が男性である場合は尚更な」
俺としてはこの場面、女子の方が聞き出せそうな気がするんだよね。
「じゃあ、私かマキの方がいいってこと?」
「……そうなるな。正直申し訳ないとは思ってる」
俺は若干俯いた。
「気にしないで。私達チームでしょ?」
「そうだよ。困った時こそ助け合うのがチームだよ?」
水無瀬とマキが俺にそう言ってくれた。それに、とマキが続けた。
「私たちチームメンバーなんだから、そこまで謝ることはないと思うよ? 人には得意不向きがあるものなんだから」
「……そう……だな」
2人からそう言われた俺は顔を上げた。
「ありがとう」
自然と俺の口からは感謝の言葉が出ていた。
「そんな、感謝されるほどのことじゃないよ」
「そうだよ、これも助け合うことだしね」
水無瀬とマキが揃って同じようなことを言った。
「じゃあ、私と凪優どっちが行く?」
「んー、私の方がいいんじゃないかな?」
水無瀬がそういった。
「なんで?」
これにはマキも疑問が隠せなかったようだ。
「マキは諜報よりの武偵だから
なるほど。たしかに抜き足のスキルは高すぎると逆に怪しまれるな。
「———たしかに。じゃあ凪優、お願いしても良い?」
「俺からも頼んで良いか」
「良いよ」
水無瀬はあっさりと承諾してくれた。
すると水無瀬は、何処からともなく釣り道具を一式取り出した。
何処から出したし……。そんな俺を他所に水無瀬は川へと向かっていった。俺たちは木陰に潜み、様子を伺うことにした。
水無瀬はと言うと、川釣りしていたオッサンの隣立つと、何やら話しながら釣りを始めた。
アイツ釣りうまくね? なんか俺と次元が違うような……。
そんな事を考えていると、オッサンはそこそこ大きい鱒を釣り上げた。それに続いて水無瀬も同じくらいの大きさの鱒を釣り上げた。
間髪入れず水無瀬は、また鱒を釣り上げた。今度の大きさはそこそこ。
暫く見てたら軽く10匹くらい釣ってた。え、どうやったらこの短時間でそんなに釣れるんですか?
と、水無瀬とオッサンが何か話し始めたぞ? それに、水無瀬の雰囲気も変わったぞ?
「……っ! 嬢ちゃん、サツの関係者か!?」
みていたら、オッサンが突然動揺し始めた。あ、カマかけたのか。で、相手はそれに引っかかったと。こいつはとんだ大物が釣れたな。ここまで釣りがうまいともう脱帽だね。
「……アレ、あのおじさんの足凍ってない?」
マキがそう指摘した。よく見るとオッサンの足は———徐々に凍り始めいた。
釣った魚は鮮度が大事だからな。本来なら血抜きするところなんだろうけど、氷に閉じ込めて鮮度を保つみたいだな。流石水無瀬、そういうところもしっかりと配慮している。
「身体……な゛っ……何時の間に!?」
オッサンは動揺しまくってた。生きが良いこった。取り敢えず、尋問までなんとか保たせてくれれば良いな。そこから先は俺の仕事だs———
「さて、これ以上続けるなら氷漬けにするけど?」
「………………」
……尋問する気満々で近づいていったら、既に終わりが近そうな感じが。アレ、俺の仕事は?
というか水無瀬、『なんで怯えてんの?』みたいな顔してるんじゃないよ。
「……どこがだよ。完全にやり過ぎじゃねぇか」
俺は呆れながら水無瀬にそう言った。
「あはは……凪優は変わってないね」
流石のマキも、これには苦笑いしてるよ。
「前もあんな感じだったのか……?」
今1番な疑問をマキにぶつけた。ぶつける相手が違う気がするけど気にしない。
「まぁ……うん。イ・ウーのメンバーってああなる傾向あるみたいだし」
へぇ……そういう傾向にあるのか。
「私は違うけどね」
「ヒメのも似たような物じゃん。ってか、お前のは私よりタチ悪いからね?」
なんか口喧嘩始まったよ。
「え、そうなの?」
「そうなの! どこに初っ端から精神崩壊させる奴がいるの?」
水無瀬が叫んでるよ。大変だな……って、初っ端から精神崩壊させる奴は普通に考えていないな。
「してたの?」
「してたわ……! 後処理がおかげで大変になるの!」
純粋って恐ろしいわ。……ん、イ・ウー……?
「そうだったんだ。どーりで何も喋らないわけだ。あれ? どうしたの、シュウ君」
……イ……ウー……イ・ウー!?
「姫神、それに水無瀬もイ・ウーのメンバーだったのか!?」
「え? うん。そうだよ。現役で今はほぼ休学状態だけど」
うっそだろ。いや、さっき見落としかけてた俺がいうのもあれだけどさ、信じられないわ。ていうか、休学ってなんだし。
「じゃあ、姫神も?」
「うん。そだよ。私が“隠者”、ミナが“魔術師”だよ」
否定して欲しかった……。というか、姫神が“隠者”で、水無瀬が“魔術師”?
「水無瀬が“魔術師”って事は『氷天の魔女』なのか……?」
「あー、たしかそんな二つ名もあったっけ」
これは自分の二つ名に興味がない人間の台詞ですね。分かります。
「で、姫神が『紅蓮の魔女』……」
「そう呼ばれることは少ないけどね」
こっちは自覚しているみたいで。
「……マジかよ。マキは知ってたのか?」
「うん。ユイのは初めて聞いたけど、凪優のは前から知ってた」
マキも水無瀬に関しては知っていたのか……。
「どうりで……。納得行ったわ」
だから俺の
「それはなによりで」
全くもって何よりじゃないんだが。
そんな会話を繰り広げている隙に、オッサンが逃げ出そうとしていた。
「……な?! お前ら何処から?! 離せ!」
しかし、両サイドから凛音と歳那に掴まれ、あっけなく阻止された。流石隠密コンビ。気配を全く感じさせずに現れる。
俺は地面に押し付けられている状態のオッサンの前で屈んだ。
「あのー、あんたらの本拠地教えてくれない?」
俺は穏やかな表情で尋ねた。
「誰が言うか」
だよなぁ……。でも、今人のこと甚振るような気分でもないんだよな。
「頼むよおじさん、あまり酷いことはしたくないんだよ。だからさ、吐いてくれない?」
「駄目だ」
結構口堅いな。
「じゃあ、どうなっても知らないよ?」
「何があっても口開かないからな」
よし、やるか。
「歳那」
「はい」
俺が呼ぶと短く返事をした歳那は、オッサンを立たせると、全員から離れた所へとオッサンを連れて行った。
「じゃあ、ちょっくら尋問してくる」
俺はそう言い残すと歳那の後を追った———
その後5分程歳那と2人で尋問して吐かせた。何したかって? それは企業秘密ですぜ。
結果としては、本拠地はこの場所から徒歩で10分という近さ。
ということなので、オッサンを引き連れて本拠地へと向かうことにした。出発してから10分後、敵の本拠地と思しきところに着いた。
中にどう潜入するかを考えていた俺は、思考を最大限に活用していたが故、サイレントアンサーになっていた。
そんな俺の視界が、種類まではわからなかったが、銃火器がこちらに向けられているのを捉えた。
俺は咄嗟に他の女子達の前に立ち、自身の身を盾にした。
「嬢ちゃん達、伏せろ!」
そんな俺のさらに前に出てきたオッサンが、俺達を庇って撃たれた。
「怪我は無い……な……?」
倒れたオッサンに俺達は駆け寄った。俺はその流れでオッサンの容態を確認した。撃たれたのは……首筋。しかも深い……!
「無いよ。なんでこんな真似を!?」
水無瀬が必死にオッサンへ問いかけていた。……ッ! 駄目だ、大動脈が深く傷ついているが故に止血ができない!
「お前さんと……同じ年頃の娘が……いるんだ。……親としての……矜持だ」
「じゃあ、生きてよ! 娘さんと無言の再会なんてダメ!」
オッサンの言葉の直後にマキが口を開いた。そうだよ、アンタはこんなとこで終わらないだろ?!
「嬉しいねぇ……。だが俺は……今のままじゃあ……娘どころか家族に……さえ……も顔向け……出来ねぇ……。だから……これで良かったんだよ。おい、そこの兄ちゃん」
……俺?
「なんだ?」
「お前さんが……この嬢ちゃん達を……しっかり護れ。そう……約束してくれ」
オッサン、それがあんたの最後の頼みなんだな……。
「ああ。約束する」
「頼んだ…………ぜ」
オッサンはそういった直後、そっと息を引き取った。
……嘘だろ。目の前で……人が死んだ。
俺はオッサンの顔に手をかざし、瞼を下ろした。そして、ゆっくりと立ち上がる。
その際、ブレザーの内側のホルスターから
抜いたDEの銃口を弾丸の飛来した方向へ、サイレントアンサーの状態ですら感じる燃え上がるような感情———『怒り』と共に、ゆっくりと向けた。
その銃口の先にいたのは人ではなかった。———なんだ、アレ?
その人ならざる『モノ』は、大軍と呼ぶにふさわしい程の数がいた。
「ねぇ、ミナ……これってあれと同型な奴にしか見えないんだけど」
「うわぁ……確かに。なんて厄介な」
水無瀬と姫神のそんな会話が俺の耳に入った。
「お前等、アレと闘った事あんのか?」
「まーね。気を付けないと装甲結構硬いからちょっとやそっとじゃ傷つかないんだよね」
「そーそー。無駄に統制機能も高いし、更に厄介なんだよね」
……防弾装甲ってことか? だとしたら余計厄介だな。
「アレは
「
「それに……それよりも戦闘力や武装も比べ物にならないね」
あれより小型なくせして……優秀なのかよ。しかも自律型と来た。
「なっ……マジかよ」
「それじゃあ……勝ち目はほぼ無いの……?」
マキが不安そうに口を開いた。
「いや、そんな事ないわ」
そう言った水無瀬は、ホルスターから取り出した
そこを撃ち抜かれた機械兵は動かなくなった。
「制御チップさえ正確に破壊してしまえば、統制命令はおろか、駆動命令も無くなるわ」
と、手にした自動拳銃を構え直しながら水無瀬が言った。よく見ると
「つまり、こうなっちゃえば只のガラクタ。それに中は無人だし9条にも抵触しないよ」
俺のどうでもいい思考に、姫神の言葉が、横から侵入してきた。
「成程な……何も気にせず全力で行けるわけだ」
相手が人じゃないって事は、バラバラになったとしても咎められない訳だからな。
「まぁ……そうね。あ、そうだ。シュウヤ君にこれ渡しとく」
若干引き気味の水無瀬は、何かを思い出したかのように、懐から何かを取り出した。
「これは……タロットカードか?」
見たことある。確かこの絵柄は———
「そう。
カードを受け取りながら、水無瀬の説明を頭に詰め込む。
「そうか、ありがとな」
「礼には及ばない。死なないでよね」
「当然だ。そっちこそ死ぬなよ」
「解ってる。死んでたまるもんですか。
お互いに死なないことを約束し、水無瀬は力を解放した。そして、それぞれの方向へと俺達は向かっていく。
さてと———命無き者達よ、生ける者を殺めたという深き罪、その身の滅びを持って償ってもらおうか。
「———行くよ、3人とも」
「うん」
「ええ」
「はい」
俺はマキ、凛音、歳那に問いかける。それぞれから了解という意の返事が返ってきた。
「———各員散開」
サイレントアンサーの俺が飛ばした軽い指示で、3人は別々の方向へと進んでいく。そんな中俺は、そのまま正面へと突っ走る。
「ミナ、私のもお願いっ!」
「あんまり無茶しないでよ? 下手すると暴走しちゃうんだし」
突き進みながらも、サイレントアンサーの俺の聴覚が水無瀬と姫神の会話を聞き取った。
え……このタロット使いすぎると暴走すんの?
自身が先程受け取ったカードの真実に肝を冷やしていると、機械兵の第1陣と接触した。
「ッ———せやぁっ!」
眼前に飛び出してきた機械兵を掴むと、強引に投げ飛ばし後続の機械兵へとぶつける。
その直後、ホルスターから2挺目のDEを抜き、
一体、また一体と機械兵が倒れていく。
途中、チラッと水無瀬の方を見ると———何やら呟いてる。それを読唇術で読んでみると———
「か弱いJKに団体様てえげつな……」
とか言いながら日本刀を抜いていた。か弱いって……どの辺がだよ。寧ろお前は……。
俺はここで思考を切らざる終えなかった。敵の猛攻の所為でもあるが……明らかな殺気が俺の方に向いていたからである。……すいませんでした。
再び、機械兵の集団へと視線を戻し応戦していく。しかし、数で勝る機械兵に徐々に徐々に押され始めた。
俺はブレザーの内ポケットの中から、先程水無瀬に貰ったタロットを取り出した。
さっき水無瀬は俺の本気を引き出すと言っていた。正直なところこれを使うとどうなるかの想像が自分自身付いていない。だが、俺はこのカードにかける。
「———
俺がそう言い放つと、自身に途轍もない威力の電撃が走った感覚に襲われた。
「ッ?!」
あまりの衝撃に俺は悶えかけた。だが、その感覚はすぐに無くなった。そして、分かった。自分が、バーストモードに変化していることに。
なるほど、たしかに
俺はDEが弾切れになると同時にホルスターに戻すと、背面から2本の刀———『霧雨』と『雷鳴』を抜いた。そして、自分でも知らず知らずのうちに口元を歪ませ、不敵な笑みを浮かべた。
……楽しんでるんだ、俺が、バーストモードの俺が、
それに呼応するかの如く、俺———否、バーストモードの俺が地面を勢いよく蹴り機械兵へと襲いかかった。そして、左右の刀で機械兵の両腕を肩から切り裂いた後、人間で言う首の部分を切り裂いた。これにより機械兵は立ったままの状態で沈黙した。
俺は空かさず次の機械兵へと襲いかかる。今度は両足を一振りで切り裂き、地面へ倒すと、その頭部に剣を突き立てた。こちらの機械兵も行動を停止した。
そこから1体、また1体と潰していき、第3波までは倒した。それでもなお敵は押し寄せる。
「とおりゃあ!」
俺は横一文字に刀を振るい、襲ってくる機械兵を纏めて5体、行動不能にする。
ふと、視線を移すとマキが押されているのが目に入った。
俺は手を貸しに行こうとした瞬間、目の前に多数の機械兵が回り込んできた。
「———チッ」
舌打ちした俺は、構えを取り直した。……こいつらは9条には引っかからないんだよな。だったら、とっておきを御見舞いしてやる!
俺は、低い姿勢のまま50機近い機械兵達の間を5歩で駆け抜けた。
俺が駆け抜けた直後、機械兵達は切れ込みが入り行動を停止した。
「———閃刃烈———」
そう言い俺が構えを解くと同時に、機械兵達は一斉に倒れた。
この技、閃刃烈は平山に伝わる技の1つで、1対多の状況で使用されるものである。その中身は、駆け抜けながら相手の急所を切ると言うすごく単純なものである。反面、正確な剣捌きが要求される。故にバーストモードでなければ出来ないという代物である。
そもそもは、殺人技なので俺は使用を禁じていたが、今回は相手が人ではないため使わせて貰った。
「邪魔だ!」
再び閃刃烈で機械兵達の間を駆け抜けていく。
これで、機械兵の第4波までを切り抜け、マキの元へと辿り着けた。直後、マキの後方から迫り来る影が見えた。
「大丈夫か?」
マキの真後ろから襲い掛かってきていた、機械兵をぶった斬りながら尋ねた。
「なんとか、ね」
マキはグロック17の
俺は刀を仕舞い、ベレッタM93Rを2挺取り出しマキと背中合わせで立った。
「久し振りだね、こうして2人で
マキがそう言ってグロックを機械兵へと放った。
「ああ、そうだな。ロンドンの時以来か?」
俺もそう返しながら迫り来る機械兵を確実に撃ち抜く。
左のほうを見ると凛音と歳那も背中合わせで敵を迎撃していた。
しかし、アイツらのコンビネーションって息ぴったりだよな。向こうの2人の連携に感心していると通信が入った。
『全員、聞こえる? 今から残ってる奴らを私がいる所を中心にして、150ft四方までの範囲内に
水無瀬からおよそ45m四方の範囲に機械兵を集めろとの指示が来た。
「『『『了解!!』』』」
俺たちはインカム越しに同じ返答をした。
「マキ」
「何?」
俺はDEを再装填しながらマキに声をかけた。
「俺が囮になるから機械兵をその後方から追い込んでくれないか?」
「分かったよ」
「ありがとう。それから———」
「凛音と歳那にも通達、でしょ?」
流石だな、ここまでわかるなんて。
「そうだ。後、作戦内容もわかるか?」
「もちろん」
最早彼女は
「頼んだよ」
「うん」
マキはそういうと、機械兵の間を潜り抜けていった。
俺はそう言った俺は、機械兵達の前で武偵弾『
辺り一面を眩い閃光が包んだ。だが、
俺は、真っ白で何も見えない状況で、感覚のみを頼りに敵の攻撃を躱していく。直後、俺の側の温度が上昇した。
やっぱ流石だぜ、マキ!
これは他の3人が俺の周りに武偵弾『
あの機械兵達は熱感知で動いてた。それは俺の直感だったが、先ほどの閃光弾で証明されている。
つまり奴らは温度の高い方へと寄ってくる。その性質を逆手にとれば、奴らをおびき出すことが可能と言うわけだ。
実際、俺の周りには無数の機械兵が押し寄せてきていた。
俺はタイミングを見計らって機械兵たちの間を潜り抜けた。
「ヒメ!」
「解ってる!
そして潜り抜けた直後、水無瀬が姫神に呼びかけ俺たちはひゅぱんっ、と言う音ともに姫神の瞬間移動で上空へと飛ばされた。
「
水無瀬がそう叫ぶ中、俺は上空から下を見下ろした。
150ft。その範囲内全てが凍っていた。す、凄え……。
俺が圧巻していると、水無瀬は再び詠唱と思しきものを始めた。
「
”
詠唱の直後、凍結した機械兵が粉砕された。そんな光景に圧倒されていたが、あることに気がついた。今上空にいる俺を含めた4人、着地の手段を考えていなかったのである。
俺は弾が空になっているDEを取り出すと、とある弾倉を装填しそれぞれの予想落下地点へと放った。
弾が着弾すると、その地点に白いクッションのようなものが出来上がった。
これは平賀さんに貰った試作弾を改良したもの。名付けて『
マキ、凛音、歳那はそれぞれクッションの上へと落下し、無傷のようだ。
俺も自身の落下地点へ向けて吸収弾を放った。
……って、アレ? クッション展開されてないんだけど。
あ、不味いこれ。落ちたら死ぬわ。
などと考えている俺の思考とは別に、俺の体はもう片方の空のDEに
そして地面へ衝突する直前、その
瞬間的に自身の銃から、上方向への激しい衝撃が発生した。
これにより、重力加速は緩和され地面へと1m位の高さから落ちた衝撃程度で着地した。……ああ、今の弾
取り敢えず、1つの戦闘が終わったことで安堵していた俺は、緊張を解いた。それにより、バーストモードも切れたみたいだ。
これは恐らくだが、タロットによるものだったためなのだろう。自身が気を張っている間のみその力を発揮する。そう言うことなのだろう。
しかし凄いカードだったな。でも、これによるバーストモードは普段のが32倍なら30〜31倍と言ったところまでしか出せていなかった。これも推測だが、しっかりと極限状態に陥っていないからであろう。
などと考えていると、水無瀬が声を掛けてきた。
「こんなものかな。協力感謝するわ」
「気にすんな。同じパーティなんだから。……てか最後の凄まじいな」
正直な感想を水無瀬に伝えた。俺の言葉にマキ、凛音、歳那も頷いた。お前らはどっちに対して頷いてるんだ?
「まぁ……私の最凶技だしね」
「そんな大技使って大丈夫なのか……?」
「うん。それは問題無い。回復しとくし」
なんか、何処ぞの天界出身みたいな会話繰り広げてるな、俺たち。
そんなこと考えている俺を他所に、水無瀬は腰に下げているポーチから……ん? 結晶みたいなもなのを取り出したぞ?
何アレ。なんの用途で使うの?
いや、多分俺は使わないと思うけどめちゃくちゃ気になるわ。後で聞いてみよっと。
「さて……次、行こうか」
「「「「「ああ! (うん!)(はい!)」」」」
俺達は水無瀬に言われ、次の敵が待ち構えているであろう場所へと向かい始めた。
「あ、水無瀬、ちょっと良いか」
「ん、どうしたの?」
俺は水無瀬を呼び止めた。
「俺の頼みを……2つ聞いてくれないか?」
「いいけど、どんな頼み?」
水無瀬は首を傾げた。
「1つ目は、この
「もちろん。寧ろ断る理由なんてないよ」
「そうか、ありがとう。で、2つ目だが———」
俺は改まって水無瀬の方を向いた。
「お前に俺の
少し悩んでから、水無瀬は口を開いた。
「———分かった。でも、あまり多くは語れないよ?」
「機密保持と身の安全のためだろ? その事なら重々承知している。だから、話せる所まででいい」
「了解。じゃあ、私からも1つお願い」
……水無瀬からの頼み?
「私のことを『凪優』って呼んでほしいな」
……交換条件ですか?
「まあ、それくらいなら構わないぞ———
あ、なんか呼ぶの恥ずかしい。
「じゃあ、皆んなが待ってるし行こうか」
「そうだな」
俺と凪優は皆んなと合流するために再び進み始めた。
今回はここまでです。まだまだ続くはずです。
取り敢えずこの場を借りて少し進捗報告を。
ええッと、どの作品もほとんど進んでおりません。はい。
完全にリアルが死にかけだと言うことと、書く気力が消滅していることが原因です。本当に申し訳ありません。
ですが、これからも執筆は続けていきたいと思ってます。
最後に、宜しければ感想・評価等お願いいたします。また、『Side_Nayu』の方もどうぞご覧ください。では、これで。