緋弾のアリア 〜Side Shuya〜   作:希望光

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はい、どうも。ご無沙汰しております。希望光です。
今回は蒼紗様の『緋弾のアリア -瑠璃神に愛されし武偵-』とのコラボ回となっております。
蒼紗様、コラボしていただき有難う御座います。
補足といたしましては、私の作品の本編でなく蒼紗様の作品の方をベースに書かせていただいております。
また、『Side Shuya』と『Side_Nayu』の2部構成でお送りいたします。
『Side_Nayu』はこちら→https://syosetu.org/novel/147165/3.html
では、本編をどうぞ


コラボ編 with 『緋弾のアリア -瑠璃神に愛されし武偵-』
法化銀弾(ホーリー)01 初接触(ファーストコンタクト)超能力(チカラ)乗能力(チカラ) Side Shuya


 ANA600便のハイジャック事件と作戦(オペレーション)コード『/(スラッシュ)』から数日後、俺こと樋熊シュウヤは特段普段と変わったことのない武偵高での生活を送っていた。

 

 そんな今日も、相変わらずつまらないと感じるレベルの一般教科(ノルマーレ)の授業を既に4時間終え、昼休みになっていた。これもまた普段と変わらない日常の一角である。

 

 ただし、今日の昼休みは気になる点があった。普段なら俺の横の席に座っているべき奴———大岡マキがいないのである。

 マキがどこに行ったのかを若干考えつつも俺は学食へと向かった。今日は弁当を作っていないので定食を食べに行ったのだが……相変わらず混んでいるな。

 

 まあ、混んでいることに関してはしょうがないとしても———ここの飯は値段と味があっていない気がする。悪い意味で。それなのに何故ここまで混むのだろうか。不思議だ。

 まあ、食えるだけマシだなと思いつつ購入者の列に並ぶ。そして待つこと5分、漸く俺の番になった。

 

 日替わり定食を頼むとすぐに出てきた。……作り置きか何かなのか? というか若干冷めてるから確定だわ。

 若干冷めてる定食を運びながら座席を探す。しっかし座席がないな……。まあ、昼時だからしょうがないのだが。

 

 しばらくうろうろしてると入口付近に空いてる座席を見つけた。急いでそこへ座る。そして、ここで漸く日替わり定食にしっかりと目をやる。

 今日のメニューは———鯖の味噌煮定食だ。ご飯に麩とわかめの味噌汁、そして鯖の味噌煮といったメニュー。前言は撤回しよう。最高かよ。

 俺は自身の目の前で合掌した。

 

「いただきます」

 

 そう言って箸を持ちいざ食べようとした瞬間、校内放送が入った。

 

『水無瀬、姫神、樋熊、沖田、土方。以上の5名は今から3分以内に教務科(マスターズ)に来い。来なかったり遅れたらぶち殺したるからな!』

 

 最後にブツンといった音を残して放送は終わった。俺は手に持っていた箸の1本を床に落とした。

 

「マジで———」

 

 それを皮切りに、俺は学食全体に聞こえるほどの大声で叫んだ。

 

「———ふ ざ け ん な ッ !」

 

 

 

 

 

 その後、2分足らずで定食を食べきり学食を出た。結局味わえずじまいだったよ。俺の鯖味噌定食……。

 因みに、ゆっくりと定食を堪能しようとしていたところを阻害された俺は途轍もなく機嫌が悪い。食べ物の恨みってのは怖いんだぜ? 今の俺なら間違いなく誰にでも噛み付くだろうな。軽くだろうけど。

 

 というわけで、教務科(マスターズ)へのささやかな抵抗として、俺はゆっくりと蘭豹の元へと向かっていく。

 学食を出てから3分後、つまり蘭豹の呼び出しから5分後、俺は教務科の蘭豹のいる部屋へと辿り着いた。

 そしてゆっくり扉を開ける。

 

「スイマセン。遅れ———」

 

 俺の言葉はここで遮られた。自身に向けて分厚いバインダーが投擲されたからだ。

 先に居た女子生徒達はそれを瞬時に察知したらしく、射線上から即座に退避した。それもかなり慣れた感じで。

 対する俺は、飛んできたバインダーを片手でキャッチした。

 

「……何すんだよ」

 

 相変わらず機嫌の悪い俺は、相手が教師だと理解しつつ敢えて噛み付くように返した。

 

「うっさいわ、アホォ。堂々と遅れおって」

 

 案の定、投げたのは蘭豹だったか。蘭豹の言葉を無視して、態度を一切変えることなく続けた。

 

「折角、人が———」

 

 機嫌の悪い理由を蘭豹に突きつけてやろうと思った矢先、俺の言葉は再び遮られた。

 

「遅れたらダメじゃん」

 

 1人の女子生徒に注意された。……マキだ。

 

「……マキもいたのかよ」

 

 俺は溜息を吐きつつ、マキが居なかった理由を納得した。

 こんなやり取りをしている俺とマキの様子を見て1人の女子生徒が首を傾げていた。

 

「……? 幼馴染か、何かなの、マキ」

 

 ……マキの知り合いか? というか凄い洞察力だな。

 

「あー、うん。そんなところかな」

 

 そう返したマキから、質問した彼女へと視線移す。あ、コイツ知ってるぞ。確かA組の水無瀬凪優(なゆ)。で、二つ名が———

 

「———なんで、『絶対零度』がいるんだ、こんな所に?」

 

 それを聞いた『絶対零度』本人は首を傾げていた。

 

「え……? それって……私のこと……?」

 

 あれ? もしかして本人が知らないやつなのか? 

 

「ああ。お前、水無瀬だろ? A組の。結構有名な二つ名だぞ?」

 

 多分あってると思うけど確認のために、ね。

 

「えっと、ソース元は誰なの……?」

 

 そっからなのか……。でも言うの若干躊躇ったり……。

 

「確か……理子だった気がするが」

 

 ……しなかったわ。理子なら良い気がしてきた。うん。

 

「ふぅん。そっか。情報ありがとう。御免なさい、蘭豹先生、一瞬で終わる用事済ませてきますんで」

「お、おぉ……早く行ってこい……」

 

 引き気味の蘭豹をよそに水無瀬は、ひゅぱんっと言う音ともに物理的に消えた。

 

「……水無瀬の奴どこに行ったんだ?」

 

 現状を把握するためにマキへと耳打ちで質問した。

 

「多分……理子ちゃんの所じゃないかな……?」

 

 ……理子のところねぇ。というかあいつはどう言う原理でここから消えたんだろうか。まあ、それは置いておくことにしよう。

 

「というかマキ、水無瀬とはどういう関係なんだ?」

 

 今1番な疑問を再び耳打ちした。

 

「ロンドン武偵局にいた時に何回か依頼(クエスト)で組んだんだよね」

 

 ああ、なるほどね。

 

「つまり、戦友みたいなもんか?」

 

 自身の中で出た凄く簡潔に、且つ的を余り射てない結論を言った。なんか絶対違う気がするけどもう良いや。

 

「そんなとこ」

 

 間違ってはいなかったご様子で。

 マキへの質問を終えた俺は周囲へと視線を移す。———って、凛音と歳那もいたのかよ。相変わらずの2人だな。……と、後1人は強襲科(アサルト)にこの前編入してきた姫神結衣だったかな? 

 などと思っていると水無瀬が戻ってきた。

 

「お待たせしてすいません。終わりましたんで大丈夫ですよ」

 

 終わった? 終わったって何が? 

 

「そ、そうか……」

 

 また蘭豹が引いてる。滅多に見ない光景だから慣れないな……。

 

「ねぇ、ミナ、理子にナニしたの?」

 

 姫神が水無瀬に問いかけた。確かに気になるな。

 

「え? ちょっとしたO☆HA☆NA☆SHIした後に凍てつく氷柩(ゲリドゥスカプルス)で閉じ込めてきた」

 

 なにそれ、新手の拷問かなんか? 名前から察するにエグいことになってるのが確定ですけど。

 

「容赦ないね。相変わらず」

 

 姫神が溜息交じりに言った。というか理子大丈夫なのか? 

 

「自業自得よ。まぁ、でも直ぐに脱出するでしょうけど」

 

 ……は? 今『直ぐに脱出する』っていったのか? 前言撤回。理子も大概じゃねぇか……。

 

「……そうなんだ」

 

 姫神の奴が呆れてるよ。

 

「「「「「流石、『絶対零度』」」」」」

 

 俺も呆れつつ周りにハモらせたが……正直言って次元がおかしくないか? と言うか強さが圧倒的だろ、水無瀬(コイツ)

 

「で、蘭豹先生、私達を呼び出した理由は?」

 

 ここで水無瀬が蘭豹に本題について突きつけた。そうだよ、完全に脱線しちゃってたよ。

 

「おぉ……そうやった。大岡、説明せぇや」

 

 蘭豹に言われマキが説明し始めた。

 

「ロンドン武偵局から、『欧州を拠点とする犯罪集団が東京で脱走し、屯っているので拠点に乗り込んで、捕縛せよ』と、依頼がありました」

 

 ……ロンドン武偵局から? おいおい嘘だろ。ロクなことがないじゃん。

 

「またロンドン武偵局(そっち)絡みか。で、なんで俺達6人なんだ? アリアとかでもいいだろうに」

 

 正直言って今の俺は、作戦コード『/』の時の怪我が治って戦線復帰したばっかりなんだし戦力としては十分あてにできない。尚且つハイジャックを解決したアリアの方が適任だと思うのだが? 

 

「……ねぇ、マキその依頼書貸してくれる?」

「あ、うん」

 

 マキは水無瀬に依頼書を渡した。

 

「成程。『敵は人間120人程。それに+αで機械人形(オートマタ)多数。人間の敵のうち、10人が元・英国特殊空挺部隊所属、そしてもう10人が元・ドイツGSG-9所属』か……。確かに私達の方が適任かも」

 

 触っただけで内容を瞬時に理解したらしい水無瀬はそう言った。と言うか何の犯罪グループだよ。化物しか居ねぇじゃねぇか。しかもロンドン武偵局(ロン武)はどうやったら100人も取り逃がすんだよ。後もう一つ———

 

「ん……? 水無瀬って超偵だったのか……?」

 

 今の瞬時の認識と先程の瞬時に消えたことから予測を立てて質問をした。

 

「んー? ま、一応ね。あとヒメもね」

 

 超能力の現物久々見ました。というかさっきの瞬間移動(テレポート)だよな? 聞いたことこそあるけど、生で初めて見たわ。うん。ていうか姫神もか? 

 

「そだよ。G(グレード)は測ったことないけど」

 

 え、G測ったことないの? 

 

「S研所属なのにか?」

 

 俺の記憶が正しければS研にこの2人の名前はなかったと思うが———確認のために聞いた。

 

「いや、私とヒメはS研所属じゃないの。私が強襲科(アサルト)情報科(インフォルマ)の掛け持ち」

「で、私が強襲科(アサルト)の所属なの」

 

 だよな。だってS研の名簿にこいつらの名前なかったし。

 

「そうなのか。で、水無瀬と姫神は何の能力持ちなんだ?」

「私は氷を操る能力ね。まぁ、威力は弱いけれど水と雷系も出来るわ」

 

 うわ、性能めちゃくちゃ高い奴じゃん。後の2つも威力が弱くても最高の組み合わせじゃん。

 

「私は炎を操る能力かな。白雪と同系統と思ってくれていいかも」

 

 白雪の……? 白雪が炎を扱う超偵だって聞いてたが実物を見たことがないから威力までは分からないな……。

 

「そうか……。で俺の方だが」

 

 相手だけ聞いて俺のを教えないって言うのもなんかフェアじゃない気がした俺は。水無瀬にそっと耳打ちしようとした。

 

「所謂、『特異体質持ち』なんでしょ。B(バーサク)S(シンドローム)T(タクティクス)、通称『バーストモード』と呼ばれるやつね。トリガーが死に瀕した時……極限状態に陥った時に発現するんだっけ?」

 

 ……ッ?! こいつ何で知ってやがる? 俺は今のところキンジにしか話した事がないんだぞ? 

 だが、ここで動揺するのは不味いと感じた俺はポーカーフェイスで返答した。

 

「ああ。その通りだ。何で知っている」

以前(まえ)に資料で見たから。それで覚えてるだけ」

 

 ……資料ってどこの資料を見たんだよ。少なくとも武偵高(ウチ)の資料ではないな。俺はこの学校で自身のこの能力に関して申告はしていない為記録があるはずもないんでな。取り敢えず今は納得しておこう。

 

「成程な。で、今から行くのか?」

 

 現状で行くのは少し厳しいと思う俺は水無瀬に尋ねた。

 

「できるなら早い方が良いけど、武装整えてからの方が良いなら、時間決める?」

「ああ。そうだな。そうだな……今から20分後に正門前でどうだ?」

 

 俺は一時帰宅する奴らのことを考えて少し多めに取った時間を提案した。

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 全員それで納得してくれたらしく、俺達は一旦解散した———

 

 

 

 

 

 解散後、俺はマキと共に装備科(アムド)にある俺の作業室へと向かっていた。

 

「今回はどの武装で行くんだ?」

 

 俺は隣にいるマキに尋ねた。

 

「……後方支援で行こうかなと思ってるんだけど。そう言うシュウ君は?」

「俺も後方支援で行こうかなと思ってるんだが……やっぱり前衛(フロント)の方がいいのかな?」

 

 マキは少し考え込んでから口を開いた。

 

「うん、シュウ君は前衛の方が向いてるよ。それは私が保証する」

 

 保証ね……。そこは保証してくれなくても良いんだがな。

 

「そっか。ありがとな、マキ」

 

 俺はそう言ってマキの頭を撫でた。

 

「う、うん……」

 

 マキは若干俯向きながら返事をした。

 ……? こいつどうしたんだ? とか思ってたら作業部屋に着いた。

 

「着いたよ。サクッと支度して行こう」

 

 俺がそう言うとマキはコクリと頷いて俺より先に作業室へと入っていった。それに続いて俺も作業室へと入った。

 そして俺は弾薬を探し始めた。確かこの辺に———あったあった。

 俺は見つけ出した箱を、作業台の上にあげて蓋を開けた。

 

「なにそれ?」

 

 俺の背後から顔を出して覗き込んできたマキが言った。

 

「武偵弾。確実に必要になるだろ?」

 

 俺はその中から9mm弾(パラベラム)と50.AE弾取り出した。

 

「後、7.62mm弾のやつも必要じゃないかな?」

「何でだ?」

「多分凛音がステアー持ってくると思うから」

 

 なるほどな。そのことを考慮するのを忘れてたよ。

 

「確かにそうかもな。んじゃあ7.62も持っていくか」

 

 弾薬を選び終えた俺は、作業室の奥の部屋へと向かった。そして、俺の持っている改造制服の内の1つ『工廠型(ラッキング)』に着替えた。

 

「あ、着替えたの? それは『工廠型』?」

「そう。弾薬を大量に使う可能性を考慮してね」

 

 この制服は軽量化と収納の増加を両立させたものである。詰まる所機動性はそのままで武装を増やしたといったところだ。

 これを着ることはそうそうないのだが、今回はその時みたいだからな。

 

 俺はブレザーの内側に、パーツ分けしたM110狙撃銃や予備弾倉(サブマガジン)などを仕舞っていく。

 ある程度の武装を整えた俺とマキは作業室を後にし、校門前へと向かった———

 

 

 

 

 

 その後、俺達は再び校門前で集合し、姫神と水無瀬の瞬間移動で敵の拠点・奥多摩に乗り込んだ。




はい、今回はここまでです。
まだまだ、続きますよ(予定)
ではこの辺で。次回もどうぞお楽しみに!

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