目的地へ向かうハンヴィーの車内。
俺達はブリーフィングを終え、緊張を隠せずにいた。
誰1人口を開かない厳粛な雰囲気の空間には、時々窪みに引っかかるタイヤ音だけが聞こえていた。
そんな中口を開いたのは一人の隊員だった。
レンジャー1-2隊員「なあ、もしかして
その
8年前、人類に対して無差別で無慈悲な殺戮を行い、各国軍を壊滅させ、地球に多大な被害を負わせた宇宙からの侵略者。フォーリナーだ。
俺も彼と同じ考えでいる。この騒動の裏に奴らが関わっていないはずが無い...と。形のない恐ろしいさや不安に囚われていた俺達を、運転手が引き戻した。
運転手「もうすぐ目的地です。各員準備を」
と、運転手がルームミラーに目を向けて俺達に告げる。
そして隊長も俺達の精神的な追い込みを心配したのか、
葉山「俺も少なくとも同じく考えだ。だがな、今は地上の敵だぞ。奴らを迎える前に地上の掃除だ」
隊員「Yes,sir」
【運転手】
私は、後ろに控える隊員達にもうすぐ着くと告げた。
すぐに運転に戻るため前方に向き直す。ガランとした道路を走り、交差点を曲がろうとしたその瞬間。
そこで私は自分の目を疑った。
そして、震える手に要らぬ力を込めると、ハンドルを大きく切った。
【結城】
俺はビル街を固唾を呑んで見守る。
それは一瞬のことだった。一瞬気を緩めたせいで、俺は次の瞬間身を投げ出された。
結城「ぐあっ!?」
隊員「うわあぁぁぁぁ!」
運転手が運転を誤ったのだ。車体がスピンする。
車体が宙に舞った。だが一回転の後タイヤが地につく。
しばらくして車体の揺れが収まると、前席に手を置き身を乗り出す。
結城「おい!何があった!」
俺は運転手を問う。
運転手「あ、あれ...をみてください...」
と、指が刺された方を見る。
そこには、無惨にも身体を食い割かれてるグロテスクな光景が広がっており、そうした死体の数は数体に及んでいた。臓物の臭いが漂ってくる。地獄が、8年前の恐怖の再来だ。
隊員「何を見ろって...うっ」
一人の隊員が口を抑える。
俺はここにいるのはまずいと思い、運転手にすぐに退くよう促した。
あんな光景を目の当たりにした以上、巨大生物は出現し、今も市民を襲っているのは確定した。
俺は電子腕時計の画面を切り替えレーダーに目をやる。
もうすぐ目的地だが、8年前に見たあの忌々しい赤い点が見当たらない。地底に潜ったかあるいは別の場所で人々を襲っているのか。
そして、無線が入った。
レンジャー1-1隊長《巨大生物と交戦。数匹を撃破しました》
ここから近くの別の場所に展開したレンジャー1-1からの無線だった。
田中司令《なんだと!?そんな馬鹿な...》
決まりだな。
AF-14に手を伸ばす。その時、悲鳴がレンジャー1-2全員の耳に届いた。いつの間にか腕のレーダーには赤い点が数十出現していた。
田中司令《展開しているレンジャーに告ぐ。総員、巨大生物を殲滅せよ。一匹も残すな!》
それに、葉山さんが応える。
《レンジャー1-2、了解!》
《レンジャー1-3、了解しました》
《レンジャー1-4、戦闘開始!》
俺達は全員が顔を合わせる。そして無言で頷いた。
葉山「さあ、行くぞ!巨大生物との戦闘になる!皆気を引き締めろ!」
結城&隊員達「「「了解!うおおぉぉぉぉぉぉ!」」」
隊長の掛け声と共に俺達は叫びながら車から飛び出す。
目の前には全長10mにもなる巨大な蟻が群れをなし、市民に襲いかかっていた。この巨大蟻こそが『巨大生物』。
そして、射撃を開始した。