ストームチームは8年の傷が未だ残るネオポリスの街を抜けて山岳地帯に入っていた。
マザーシップは先の山岳地帯に停泊中である。
いよいよ敵本丸に突入しようかといったところだ。
しかし困ったことに、ストームチームの目の前には進路に沿ってシールドベアラーが配置されていた。
シールドベアラーを投下したのは敵輸送船1機。これもまたストームチームの目の先に浮遊している。
田中司令《ストームチーム、シールドベアラーを破壊しろ!》
宮藤《了解》
田中司令《なお、輸送船撃墜はブラスト中隊が担う。ストームチームは、投下される敵戦力、シールドベアラーに注力せよ》
ブラスト1《こちらブラストリーダー! イプシロン自走レールガン、配置完了。攻撃許可を待つ》
「ここから先は敵の本陣だ。宮藤、準備はいいな?」
宮藤「……分かってます!」
宮藤は深呼吸をして、彼の問に答えた。覚悟を決めた。
いよいよ敵の本陣。マザーシップはフォーリナーの兵器の中で最大最強の存在だ。
いくら精鋭部隊と言えど、無事では済まないだろう。
そんな事を考えている間に、先に動きを見せたのは輸送船だった。
下部ハッチが開き、シールドベアラーの防御スクリーンの中に甲殻型巨大生物が投下される。
田中司令《レールガン、射撃開始だ!》
ブラスト1《レールガン、射撃、開始ッ!》
ブラストリーダーが命令を復唱する。
1キロほど離れた場所に展開したイプシロン自走レールガン車両の戦車中隊、部隊名『ブラスト』の各車からレールガンが発射。
見事輸送船の内部に着弾し、転送装置の欠片が地面に落ちる。
しかし下部ハッチは閉じ、輸送船は移動を開始。
黒煙を上げながらも、浮遊し続けている。
「我々も行くぞ!」
宮藤「はい!」
彼と宮藤は前進を開始。先程のレールガン着弾で敵の存在を悟った巨大生物の群れが徐々に距離を縮めてくる。
彼はスラッグショットガンで1匹ずつ確実に葬っていき、宮藤はフェンサー用近接装備『ダイナモ・ブレード』(フォースフィールドの鎌を生成、投擲し敵に斬撃を加える武器)で巨大生物を複数体巻き込みながら切り裂いて行く。
間もなく殲滅し、シールドベアラーに攻撃を加えた。
護衛対象の居ないシールドベアラーは一方的に葬ることが出来る。
スカウト2(FO)《輸送船が開きます!》
ブラスト1《全車、射撃準備! 撃てぇ!》
そしてストームチームによるシールドベアラーの殲滅が確認され、
そのすぐ後に長い抵抗を続けた輸送船もブラスト中隊の撃墜が完了した。
【総合作戦指令本部】
田中司令「いよいよだ……」
沢見戦術士官「そうですね。8年前のあの日、フォーリナーは人類の生存圏を侵し、我々EDFも満身創痍でした。しかし、今は違います」
田中司令「うむ。奴らに目に物見せてやろう」
宮藤《こちらストームチーム、作戦エリアに入った》
田中司令「了解した。本隊が到着次第、作戦を開始する。それまでに弾薬を補給し、戦いに備えておけ」
宮藤《了解》
【山岳地帯、ストームチーム】
ストームチームは見晴らしの良い丘に息を潜めていた。
マザーシップは目前である。敵の兵器の中で最大最強の存在。野放しには出来ない。
宮藤「あれが、マザーシップですか…」
「そうだな……」
彼はなにか懐かしいものを見ているようで。
宮藤「隊長は、8年前戦いに参加しているのでしたか?」
「そうだ。あの頃はEDFもここまで力を持っていなかった。だが今は違う。のこのこと戻ってきた奴らに再び思い知らせてやろう」
宮藤「ええ」
宮藤は脱いでいたヘルメットを被り直す。
隊長の活躍ぶりについて、フォーリナー再襲来以前の記憶は全く知らない宮藤だが、紛れもなく8年前を戦い抜いた勇士なのだ。
伝説の英雄は8年前のマザーシップ決戦で消息不明になったと聞いた。
隊長もその作戦に参加していたのだろうか。
8年前の英雄。人一倍EDF軍人としての誇りが強い宮藤の憧れである。
もしかしたら隊長とも面識があったのではないか。それは分からない。聞いてみたい衝動にかられたが、敵を目前にしている手前、無駄口は慎むことにした。