地球防衛軍 〜地球の守護戦士達〜   作:きぬたにすけ

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マザーシップ撃墜作戦を開始する。だが、マザーシップはとてつもない数のロボット兵器に守られているため、まずは敵の守りを崩す必要がある。
本作戦の第一フェーズとして、まずは先遣部隊を投入。各地の敵の守りを突き崩す。
続いて第二フェーズ。先遣部隊の援護、そして敵本陣を叩く役割を負った本隊を戦線に投入。敵を掃討する。この間、司令部はポスト1に引き継がれる。
同時進行で第三フェーズ。本隊によるマザーシップへの攻撃を行う。
 
激戦が予想される。各隊の奮戦を期待する。


第2章 エリーニュエス 激戦
23話 巨人兵団 『マザーシップ撃墜作戦フェーズ1』


【総合作戦指令本部】

 

田中司令「状況はどうなっている」

沢見戦術士官「現在、戦局は膠着状態です。奪還に成功した街もあれば迎撃を受けて壊滅した部隊も。被害を受けた部隊のほとんどは建物内に避難するなどで逃れています。既に全ての先遣部隊が何かしらの損害を受けている状態です」

沢見戦術士官「また、複数の作戦エリアでヘクトル群が包囲網を形成するという計画的な行動をとっているようです」

田中司令「そうか…」

ゴリアス4《こちらゴリアス4! ギガンテス2両が大破、隊長も戦死されました! 撤退の許可を!》

沢見戦術士官「!? ゴリアス4が撤退の許可を求めています!」

田中司令「ぐッ…撤退は認めない! 新たな部隊を投入した。敵を押し返せ!」

機甲部隊『ゴリアス』は関西から召集した臨時編成の機甲部隊である。

田中司令は焦燥感に駆られ非情な決断を下す。撤退許可を切り捨てた。

滝山《こちらレンジャー8! 作戦エリアに到着した》

田中司令「了解。ゴリアス4を援護しろ!以降レンジャー8はストームチームの護衛から当作戦エリア内の部隊の援護に回れ!」

田中司令「ストームチームは前進を続けろ。コンタクトした場合のみ交戦を行え。それ以外には目も暮れるな!」

宮藤《ストームチーム、了解!》

田中司令「頼んだぞ…」

 

 

【市街地】

 

田中司令《撤退は認めない! 新たな部隊を投入した。敵を押し返せ!》

隊員(R)「なんだと!?」

隊員(R)「くそ! 馬鹿げてる!」

ギガンテス《敵が来るぞ! 構えろ!》

ゴリアス4は市街地をわかつように引かれた大通りに展開していた。

ビル間の小道からフォーリナーの地上戦闘用ロボット・ヘクトルが顔を出す。

隊員(R)「何がなんでも生き残ってやるぞ! エンゲージ!」

隊員(R)「そうだなぁ!」

ギガンテス戦車1両、レンジャー9-4分隊4名という少ない戦力だが、ヘクトル1機であれば破壊は造作もない。

隊員(R)「やつら、体の中に頭を隠してるのか……」

ヘクトルの胴体部上部が開き、頭部が出現した。

頭部と言っても枠にコアがはめ込まれているような見た目で、前面は円形に開いている。まるで1つ目を思わせる。

隊員(R)「顔を隠してるとはな。図体のわりには、シャイな野郎だ」

馬鹿にするような台詞を吐き捨て、AF-14のトリガーを力強く引いた。

ギガンテス戦車の砲撃は胴体前面を吹き飛ばし、露わになったコアをAF-14の弾丸が蜂の巣に変える。

 

フォーリナーの機械兵器はいずれもヘクトルであれば頭部(頭部を格納した際は胴体中央部)、飛行ドローンなどは顔の前額部を思わせる辺りに赤く光るコアが搭載されており、それが動力源であるらしい。コア自体は歩兵の小火器で穴を開けられるほど脆い。

 

コアが文字通り蜂の巣となったヘクトルはその場に崩れ、爆発を起こした。

 

ちなみにそのコアには異物を取り込んだ、撃ち込まれた際に自爆装置なるものが作動するようで、フォーリナーの機械兵器の大半は撃破後爆発を起こすのだ。

……と言っても灰も残さず爆散する訳では無いので撃破された機械兵器はもれなくEDF情報本部研究棟に回収されている。

割と異星文明人は科学技術の流出に無関心なのかもしれない。

 

隊員「おい! レーダーを見ろ! 囲まれているぞ!」

いつの間にかレーダーには全方位に敵を示す赤い点。恐らくヘクトル。そして作戦エリア中に戦闘中の味方の反応が交差している。

 

滝山「こちらレンジャー8! 作戦エリアに到着した」

田中司令《了解。ゴリアス4を援護しろ!以降レンジャー8はストームチームの護衛から当作戦エリア内の部隊の援護に回れ!》

田中司令《ストームチームは前進を続けろ。コンタクトした場合のみ交戦を行え》

宮藤《ストームチーム、了解!》

 

 

後方から援軍の声。

レンジャー8と武装装甲車両グレイプだ。ストームチームはグレイプに搭乗しているらしい。

しかし前方に新たなヘクトルが出現した。

滝山「ランチャー、射撃用意! 撃て!」

滝山の分隊員がスティングレイロケットランチャーを構え、ヘクトルの胴体部に直撃させる。

白銀の装甲は地面に焼け落ち、機械的な内部が露出した。

そしてコア部分に滝山達のショットガンやゴリアス4のアサルトライフルの弾幕が殺到。

ヘクトルは地に崩れた。

ゴリアス4「ゴリアス4はレンジャー8の指揮下に入ります」

滝山「よし!」

 

WD7隊長《こちらウイングダイバー。目標地点に到着しました》

 

続く後続部隊の到着をこれ幸いと救援要請が重なる。

フェンサー3隊長《こちらフェンサー3! 敵が列を成している! 我々だけでは処理できそうもない、援軍を!》

レンジャー2-9隊員《こちらレンジャー2-9、隊長が戦死されました……! 我々だけでは戦えません!》

田中司令《こちら本部。レンジャー8、フェンサー3と合流せよ》

田中司令《ウイングダイバー! レンジャー2-9の救援に向かえ!》

 

沢見戦術士官《現在、当作戦エリアを包囲するようにヘクトルの大軍が進軍中です!》

田中司令《こちら作戦指令本部。再度現地の部隊に告げる。後続部隊が到着した。ヘクトル群が到着する前に合流を完了し、総力を結集してヘクトル群を攻撃せよ》

 

 

【市街地、レンジャー8】

市街地を進むと、ビル間の小道にフェンサー3は身を隠していた。

ヘクトル群は大通りを巡回している。

フェンサー3隊長「良かった。もうすぐヘクトル群がここを通過する。共に迎え撃とう」

その後フェンサー3とレンジャー8+4名はビル陰に隠れ、

ギガンテスの搭乗員(エアレイダー)は”ZEランチャー”というロケット弾発射型のセントリーガンを大通りの車線境界線に沿って設置していく。

エアレイダー「セントリーガン設置完了しました!」

 

そして先頭のヘクトルが滝山達の横を通り過ぎた、その瞬間。

滝山「始めてください」

エアレイダー「了解しました!」

エアレイダーがセントリーガンを起動し、

凄まじいバックブラストや轟音を伴ってロケット弾が先頭のヘクトルに着弾。更にリズムを奏でるように発射されるとヘクトル群を包み込む程の煙が上がる。

レーダーを確認すると、続々とヘクトルを表す赤い点が消滅。

残りは最後尾のヘクトルのみとなった。

 

突如、煙の中からヘクトルの腕に搭載されたガトリング砲が唸りだす。

無数の光弾を撃ち込まれたセントリーガンは暴発し、ヘクトルを巻き込んで爆散した。

ヘクトルは片脚を吹き飛ばされ、また胴体部を大きく損傷。

しかし撃破まではいたっておらず、ガトリング砲を乱射しながら地面に倒れ込んだ。

未だ巻上がる煙の中から激しい損傷を受けたヘクトルが姿を現す。

すかさずフェンサー3がガリオン軽量機関砲(機関砲をフェンサーの個人携帯武器に再設計した火器)を撃ち込みヘクトルの装甲に穴を開ける。その攻撃によりズタズタになった装甲が剥げ、側面からコアが露出。滝山達のショットガンによってコアは蜂の巣へ。ガラス状の破片が飛び散った。

たちまちコアはオレンジ色に光だし、黄色に近くなった瞬間に爆発する。

そこには焼け焦げたヘクトルの残骸だけが残った。

 

安堵する一同。しかしそれは突然だった。

フェンサー3隊長「はっ! シールド構え!」

隊員(F)「うわあああああ」

フェンサー3の面々は咄嗟にシールドを構えるが、爆風で吹き飛ばされてしまった。

煙の中から赤い光弾が数発コーン状に発射され、続け様に着弾地点で爆発を起こす。

隊員(F)「いててて…」

目の前に佇んでいたのはもう1機のヘクトルだった。

残り1機だと思われていたが、煙に紛れて息を潜めていたのだ。

重なる煙で姿は見えていなかったし、立て続けの爆発のせいで機械の音も聞こえずにいた。

滝山「ランチャー!」

隊員(R)「はいっ!」

滝山隊のランチャーがヘクトルに着弾。装甲が地面に剥がれ落ちた。

煙にコアの赤い光が映える。

露出したコアに攻撃を加え、そのヘクトルは崩れた。

滝山「大丈夫ですか!?」

フェンサー3隊長「ははは、油断は禁物ですね」

フェンサー3隊員「ったく酷い目にあったぜ…」

どうやら全員無事なようだ。

 

 

【市街地、ストームチーム】

 

ストームチームはレンジャー8と別れた後、市街地に深入りしていた。

ストームチームの隊長である彼、そして宮藤が向かい合っている。

宮藤もよく喋る性格では無いが、向かい合う隊長は寡黙で殆ど無口なので、居心地悪く感じていた。

「宮藤、戦闘準備だ。任務と人情、どちらを優先する?」

かと思うと唐突に答えに詰まるような質問を投げかけてくる。

宮藤「…と、言いますと?」

何かを見通したような口ぶりに戸惑うが、装備を持ち上げた隊長にならった。

 

その瞬間、隊長の予感は的中した。

キャリー1「戦闘のご準備を!」

宮藤「どうした!?」

キャリー1「前方にヘクトル5機と交戦中のレンジャーチームを発見。回避出来ません」

「本部。ここは激戦区と言ったな?」

無線の向こうの田中司令は察したのか、ため息をついた。

田中司令《分かった……作戦指令本部よりストームチーム。レンジャー2-9と合流し、戦闘を続行しろ》

やはり、隊長と田中司令のやり取りはただの司令官と一隊員の仲とは思えない。

宮藤は不思議に思いながらも意識を戦闘に向ける。

宮藤「行ってくる。そこに停めててくれ」

キャリー1「了解しました」

「行くぞ」

宮藤「Yes sir!」

宮藤と彼は互いに頷くと、グレイプの後部ハッチを勢い良く開け放った。

 

 

WD7隊長「エンゲージ! レンジャー2-9、加勢する!」

2-9隊員(R)「助かるッ!」

宮藤「ストームチーム、エンゲージ! ショルダーウェポンシステ厶、アンロック!」

宮藤の肩に装備された(これもまたフェンサーのパワーフレームが可能にした。)個人携帯用軽量迫撃砲、FGO2高高度強襲ミサイルが起動した。

宮藤の隣に立つ彼はライサンダースナイパーライフルを構える。照準は真っ直ぐ敵に向いていた。

WD7隊長&2-9隊員(R)「ストームチーム!?」

宮藤「俺達も混ぜてもらう!」

 

それからは連携がヘクトル群を圧倒した。

宮藤は両手の武器、軽量迫撃砲を駆使してヘクトルの装甲を散らす。そしてレンジャー2-9はMMF-43狙撃銃でヘクトルのコアに注力。

ウイングダイバー7は持ち前の飛行能力を駆使して敵の注意を引きながら攻撃を加える。レーザーライフルから発射されるレーザーはヘクトルの装甲を切断には至らないものの傷をつけた。

板に切れ込みを入れたように。

そこに彼はいつの間にか肩に担いでいたスラッグショットショットガンに持ち替え、AP弾を撃ち込んだ。AP弾を受けたヘクトルの装甲はいとも簡単に折れ、勢いの止まらない弾はコアに風穴を開けた。

 

その後もEDFの反撃は続く。

結局最後の機体が撃破されるまでストームチームは加勢し続け、敵の全滅を確認すると無事だったキャリー1の元へ。

次の戦地に向けて移動を開始した。




気付けば40話。
本編の更新は遅いですが話数はそれなりに大きくなりましたね。

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