地球防衛軍 〜地球の守護戦士達〜   作:きぬたにすけ

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遅くなりました。
1周年記念小話です。


一周年記念小話 第2話 田中本部長の憂鬱

その日は猛暑を迎え、外は強い日差しに晒されていた。

 

関東方面情報局本部局のクーラーの効いた一室では、田中本部長をはじめとして各方面の支部長が集まっていた。

 

今日は攻撃的地球外文明体対策会議の日だ。

クーラーが効きすぎているのか、夏服で参じた面々は落ち着かない様子だ。

桑田と山口が露出した腕を擦った。一方、穂波は平気そうに会議の始まりを待っている。

田中は席を立った。壁に敷設された装置に手を伸ばし、温度を上げる。

席に戻ると、桑田と山口が「お心遣い、痛み入ります」と礼を述べた。

田中はコの字型に並んだ各方面支部長達に目を向ける。

支部長達は目礼で応えた。

田中「それでは、攻撃的地球外文明体対策会議を始める」

会議は研究棟から提出された『8年前より強固となった巨大侵略生物データ』や、『再来した攻撃的地球外文明体機械兵器データ』の情報共有や戦術のプレゼンだった。

フォーリナーの再来はEDF内に大きな精神的ストレスを与えたばかりか、戦死者も続々と出ている。EDFが築いた8年の努力をまさに踏みにじられたように。

田中「これにて、攻撃的地球外文明体対策会議を終了する」

一通り終了し、皆が机の資料に目を落としていた時。

ふと、桐島支部長が呟く。

桐島「ストームチームの英雄がいれば...」

その言葉を少なからず内包していたのか、穂波、宇佐美、桑田、山口がハッと顔を上げる。

穂波「田中本部長、彼の消息は。死亡したのは真実なのでしょうか」

田中「そうだ」

宇佐美「そんな一言で...」

田中「彼は死んだ。失踪宣言もなされた。私は実際に立ち会っている」

桑田「...」

田中「皆、予想外の事態で平静さを失っているんだ。彼が成し遂げたことを守り抜くのが英雄への手向け。しかし、現在敵は8年前のように猛威を振るい、殺戮の限りを尽くしている。所詮、我々はちっぽけな存在であるのに代わりない。彼が残した平和も仮初だったのだ。現実を見たまえ。我々は英雄に委ねるのではなく、現実に戦う。それが今のEDFのあり方だ」

 

しばしの沈黙の後...

穂波の元に1枚の紙が届く。

穂波「EDFオーシャンによると、日本海上空にて敵の輸送船団が移動中とのことです。あと11時間後に本土に上陸する恐れがあります」

宇佐美「迎撃部隊の編成に務めますのでこれで」

桐島「空軍に要請を行います」

山口「我々も備えます」

 

4人が仕事へと向かう中、関西支部長桑田は田中へと向く。

桑田「田中本部長。あんたの指示で動いてた俺には分かる。あんたの本心をな。いつか、彼は生きているという吉報を待っている」

田中「...」

会議室に1人となった田中はポツリと呟く。

田中「貴様が私に背負わせたものは重い。必ず精算させてもらうぞ」

 

そして田中は関東基地への帰路についたのだった。

 




これにて1周年記念小話を終了し、本編にシフトしようかと思います。

短い。

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