【東部山岳、レンジャー5、本原隊】
本原達は山岳中腹から低地を偵察していた。
本原「なんて光景だ...」
手には双眼鏡。スカウト2からスカウト用ツールを借りている。
スカウト2隊長《こちらスカウト2。タワーを確認。あのタワーが防御スクリーンを発生させているようです》
隣でスカウト2-4の隊長が本部へ報告を行う。
目の前にはシールドベアラーが2機、巨大生物が数十体に巣穴への入り口らしき大穴が防御スクリーン内に2つ。
本原達の頭上からタイヤが土道を抉る音が聞こえた。音が止むとすぐに傾斜を降りるフェンサー隊ともう1人異なった装備のフェンサーを目視する。
さらにタイミングを見計らうように本部から通信が入った。
田中司令《こちら作戦指令本部。これより作戦を開始する。作戦目標は、地下トンネル出口とその周辺の制圧だ!フェンサーが防御スクリーン内部に突入する。ストームチーム、レンジャーチームはフェンサーを援護しろ》
本原《こちらレンジャー5、突入部隊と合流しました》
田中司令《了解した。ストームチーム、レンジャーチームは先行して傾斜を降り、敵の注意を引け》
宮藤《了解》
本原《了解しました》
本原「いくぞ!フェンサーのために道を切り開く!」
部下たちは頷く。
この作戦の目標は、巣穴への入口を確保することにある。
まず先行してストームチーム、レンジャーチームが敵の注意を引き、空いた敵陣に後続のフェンサーチームが突入。シールドベアラーの破壊、また地上に出た巨大生物の殲滅を行う。
その後制圧した巣穴への入口から偵察部隊を派遣し、巣穴内部の現状を調査するための前段となる重要な目標である。
オハラ《フェンサー以外でも防御スクリーンを突破することはできるはず。だが、フェンサーはそのための訓練を受けている。この任務にはフェンサーが適任だ...!》
フェンサー2-1隊長《こちらフェンサー2-1!作戦エリアに到着しました》
田中司令《了解。フェンサーが到着した。各部隊は行動を開始せよ》
隊長(F)「我々が防御スクリーンを破らねば、人類が敗北する。行くぞ!」
隊員(F)「うおおおおおおおお!」
隊員(F)「この戦法のためにフェンサーはいる。この装備があれば、防御スクリーンを抜けられる!」
後方に勇敢な声を聞きながら本原達は傾斜に沿って降りてゆく。
スカウト《タワーの付近には巨大生物が作った地底トンネルへの出口があります。フォーリナーは防御スクリーンで巨大生物を守っているようです》
田中司令《一体なぜそんなことを......?》
オハラ《フォーリナーは巨大生物が進化増殖することを望んでいるに違いない。それも、我々が考えるより強い願いだ。そうでなければ、こうまでして巨大生物を守るわけがない。一体、巨大生物の進化の果てに何があるというのだ......?》
田中司令《その巣穴への入口は前回潰したと思われていた巣穴に繋がっている。やはりあの巣穴にはなにか秘密があるのか?》
オハラ《さあ......皆目見当もつかない......だが、このまま放置すればいざという時に対処に追われるだけだ。今行動を起こす他ない》
田中司令《よし、まずはこの作戦を成功させるぞ》
田中司令《防御スクリーンに近付いたときは迂闊に攻撃するな。防御スクリーンで攻撃が防がれるだけでなく、自爆の危険があるぞ》
司令の言葉の後、本原の後ろでは隊員が一人、銃口を下げた。
やがて防御スクリーンを見据え、手をかざす。間宮の報告通り、物質的な壁ではなく視覚的なものだった。内部に侵入したことを確認し、巨大生物に銃口を向ける。数匹めがけてバッファローショットガンを撃つ。
数発のショットシェルが地面を転がった。
仲間の元へ飛散する剥がれた甲殻と咆哮が突入部隊の侵入を告げる。
本原「蟻ども!こっちだ!」
巨大生物達は挑発に唸り声で応え、後退する本原達を追いかける。
隊長(F)「よし、我々も続くぞ!ラッシュ!」
隊員達(F)「「Yes, sir ! 」」
隊長(F)《こちらフェンサー!防御スクリーンに入った。》
田中司令《了解》
隊員(F)「こいつ、機械の故障か!?攻撃しても動かねえぞ!」
隊員(F)「ここがこいつの持ち場なんだろ」
隊員(F)「おい!地中から物音がする!」
隊員(F)「一旦引いた方がいいいんじゃないか!?」
隊長(F)「総員、バック!注意しろ!」
フェンサーの近接戦闘術には二つの戦法が存在する。
一つは『ラッシュ』である。
これはパワーフレームに搭載されたスラスターユニットによる推進力を利用し、前方に移動すること。
そして二つ目は『バック』と言われ、文字通り後退、『ラッシュ』と同じくスラスターの推進力を利用する。
この戦法らはつい最近確立されたもので、推進力に体を支えきれずに転倒、パワーフレーム自体の損傷が課題とされてきたが2025年4月に完成された。
案の定巣穴の入口から巨大生物が群れを成した状態で現れ、フェンサーに襲いかかるが、横一列に隊形を整えた彼らの前になすすべなく絶命していく。
隊長(F)「総員、再度ラッシュ!トドメだ!」
巨大生物の死骸を押しのけ無数の風穴が空いたシールドベアラーの前に躍り出た。シールドベアラーの前部にある紅く光るコアに突きを食らわせると、その一撃で輝きを失くし、まもなく防御スクリーンも消失した。
どうやらコアは心臓部として機能の全てを司っているようで、装甲を穴だらけにするよりも早い無力化方法を見出したのだった。
田中司令《よくやった!続けて次のシールドベアラーを破壊しろ!》
隊長(F)《了解》
田中司令《レンジャー、先行し、巣穴の入口を潰せ》
本原《当初の予定とは違いますが、いいのでしょうか》
田中司令《ああ、今は部隊の安全が第一だ。この段階での犠牲者は許されない。突入は、前回使った入口からに変更する予定だ》
本原《了解しました!》
本原「行くぞ!」
本原達はショットガンを左右に大きく揺らしながら走る。
隊員「前方に大穴です!」
本原「潰せ!」
レンジャー5-1の面々はMG-14J手榴弾を投げる。直後爆発。
盛り上がった地下トンネルの出口は土や草花を巻き上げて沈黙した。
隊長(F)「ありがたい!シールドベアラーは任せろ!」
すぐにシールドベアラーを取り囲み、紅いコアに攻撃を集中。水晶のような装甲が砕け散る。
2機目の防御スクリーンが消失。
地下侵攻作戦フェーズ1は、これにて終わりを告げたのだった。
【総合作戦指令本部】
田中司令「それにしても、何故巨大生物が再発生したんだ?」
オハラ「前回の掃討作戦で最深部まで隅々駆除したはずの巣穴。新たに投下された個体が開拓した記録もなし」
沢見戦術士官「司令、博士。実は、先日消息を絶った調査隊の報告の中に、興味深いものがありました」
田中司令「聞こう」
沢見戦術士官「《最深部の先を行く道がある。そこから大量の巨大生物が出入りしている》と」
田中司令「まさか、最深部と思っていた場所は実はそうではなく、まだ先があると。いや、正しくは前回の後開通したのか」
沢見戦術士官「そういうことになります」
田中司令「あの巣はもともと地下鉄建設時に閉じられた自然の地下洞窟。地下水層近くに位置している。まさか...繁殖条件が整っているとすると...奴らの行動も説明がつく」
田中の脳裏には8年前の戦いがうつされていた。8年前、多大な犠牲を払って成し遂げた地底侵攻作戦。その最深部での戦い。巨大な女王の存在......。
沢見戦術士官「すでに事態は手遅れになりつつあるのかもしれません」
沢見の没我の声、そして田中司令は喉を唸らせるなか、通信システムにコールがかかった。沢見はハッと我に返り応答する。
沢見戦術士官「たった今ペイルチームから報告がありました。無事に北海道に到着したようです」
ああ、あの件か。と田中は相づちを打った。
田中司令「北海道で新たに巣穴が確認されたと報告を受けた時は驚いたが、ペイルチームが到着した以上、鎮圧も時間の問題だ」
沢見戦術士官「続いてストーク隊より報告。ステーション1で研究開発が続けられていたウイングダイバーの新型飛行ユニット及び武器が北海道に無事届けられました。ペイルチームは暫くの間北海道に駐屯。以降は北海道でトライアル実験を継続し、事態に対処するとの事です」
田中司令「ペイルチームは、ウイングダイバーの精鋭部隊。彼女たちなら、あの新型兵器を使いこなせるだろう」
田中司令「敵の攻撃が激化してきた今、我々は戦力を分散せざるを得ない状況だ。だが、我々は地球人としての意地を示さねばならない」
司令官席のスタンドマイクの位置を直し、咳払いをする。そして、決意新たに告げた。
田中司令「よし、これより我々は再度地底への侵攻を開始する!」
最近steam版のWINGDIVER THE SHOOTERを購入しました。
ノーマルの穴埋めを行っているのですが、かなり難しいですね。
サンダーボウ系でゴリ押ししてます。たまにホーミング系で避けに専念するスタイルもやって見るのですが、一瞬でもペイルイレブンを見失うと体力ごっそり削られて...
ちなみに、steam版で確認した限り、メインメニューに戻ってもミッションのプログラムが継続したままで、無線や敵のSEが流れるというバグ(?)がありまして。まあプレイ自体に影響はないので平気です。
(武器選択画面の背景で断末魔。ちょっと気になっちゃうかな...)