【上津川市】
夕方近く、EDFは蜘蛛型巨大生物の掃討に移行し、銃声も少なくなっていた。
本原がレーダーを確認していると、赤い点が次々に消失しているのが分かった。そして、最後の赤い点がレーダー上から消えた。
本原「よし、行くぞ」
本原の後方に控える平服の人々がそれに応える。
部下に順次レーダーを確認させて、部隊の元に向かっていた。
その時だった。
突如アスファルトが盛り上がり、土が露わになる。底の見えない大きな穴が空いたのだった。
さらにそこから甲高い咆哮が上がる。
本原隊が目の前の穴にAF-14を構えると、それ以降しんと静まり返っていた穴から
本原は動悸の荒い隊員に手を貸し立たせると、M92Fを装備するように言う。
それから本原達が穴に背を向けると1人の隊員が微小の振動を感じ取り、その旨を本原に伝えた。
が、他の隊員に軽くあしらわれ再び歩み出す。
だが次の瞬間、その隊員の危機感が優れたものだったと証明されることになる。
突然の地響きに市民はパニックに陥った。本原達は姿の見えないその要因に銃口を向けていた。何かが移動する感触を足に感じながら本原は部下達に合図し、再度穴に照準を定める。
本原「くそ...なんなんだ......」
隊員「早く出て来やがれ!」
隊員「馬鹿!あまり刺激するな」
隊員「隊長!」
本原「皆落ち着け!待つんだ。背中を向けた時こそ終わるぞ!」
隊員「変な汗かいてきたぜ……早く正体をあらわしやがれ……」
隊員「!?来ます!」
隊員「赤色型巨大生物だぁ!」
地響きの僅かな変化に感ずいた隊員は穴から迫る影を察知していた。
そしてすぐにそれは起こった。
穴から巨大生物が出現した。だがその個体は今まで戦ってきたものとは別の存在だった。巨大な蟻に酷似した身体、違いはそこではない。その甲殻は赤色だったのだ。原色の赤に限りなく近い色に包まれた巨大蟻は地上に全身を出すと咆哮を上げる。それを見逃さない本原達は集中砲火を浴びせた。だが、
隊員「隊長!固すぎます!」
隊員「あいつ、タフすぎるぞ!」
明らかに銃弾が甲殻を抉っているように見えるのだが、一向に赤色型巨大生物の絶命は訪れない。
隊員「笑ってやがる!」
巨大な蟻の表情なんて分かるわけが無いのだが、当の巨大蟻は今まで戦っていた個体よりも発達した赤色の牙をぱくぱくさせ反撃なく何かを探ってるようであった。隊員にはそれが嘲笑われているように感じたらしい。
隊員「くそっ!なめんな!」
痺れを切らした隊員が1歩前へでる。だが赤色型巨大生物もそれを見逃していなかった。赤色型巨大生物は構え、隊員へ突進した。本原はその隊員の恐怖に歪んだ顔と短い悲鳴を目撃し、赤色型巨大生物を睨む。
隊員「うわああああ!たっ助けて!」
赤色型巨大生物の強靭な顎と牙にアーマーはひしゃげ、隊員の脇腹に食い込もうとしていた。それを両牙を押さえてもがく。だが隊員の必死の抵抗虚しくどんどん入っていき、ついには口から血が垂れてきていた。どんどん抵抗する力が弱まっていく。
その隊員は天に見放されていなかったのであろう。抵抗をやめて牙を受け入れた瞬間、赤色型巨大生物は甲高い悲鳴を上げて丸まり、その衝撃で投げ出されていった。さらにその先が生け垣だったためダメージも少なく地面に足をつけた。だが先程のが余程ダメージを与えていたのか、地面でのたうち回る。
それを衛生兵である隊員がいてもたってもいられないとばかりにそばに寄っていった。
本原「市民の方々はJATYスーパーに避難していてください」
隊員「隊長...やはり変です。赤色型の存在は今まで確認されていませんでした」
赤色型巨大生物は前大戦でも確認され、酸を飛ばすなどの攻撃手段は持っていないが、通常種以上に強靭な肉体、甲殻に覆われ当時は酸攻撃以外を脅威としていなかったEDFは無視出来ない被害を被った。第二次戦役が開始されて以降その姿は確認されていなかったが、今倒したのは紛れもない赤色型巨大生物だ。それに、前大戦を生き抜いた本原には今回現れた赤色個体がより強固になっていると感じられた。
隊員「こんな大穴を掘って来たということは、まさか...」
隊員「おいおい待てよ!この先に巣があるってのか!?この前潰した巣穴以外にも!」
隊員「落ち着け!フォーリナーが投下した個体がたまたま穴を掘り進めてたってだけかもしれん」
隊員「だが、フォーリナーの行動は順次本部へ報告が入っている。赤色型が投下された記録はないはずだぞ!」
本原「ふむ...とにかく最悪の事態を考えなければならんようだ...」
本原「とにかく司令所に報告だ」
隊員「了解!」
本原(まさか、前回潰した巣穴が新たな個体の住処になってるなんてことは...いや、そうとしか思えない。実際巣穴はこのすぐ近くだ。あの穴も辿って行けば巣穴に辿り着くんじゃないのか?)
本原「まあいい...とりあえず任務をこなすぞ」
隊員達「「Yes sir!!」」
【港湾エリア】
ロッティー6《こちらロッティー6、配置についた》
ロッティー1《了解した》
ロッティー1《総員戦闘を開始せよ!》
ロッティー2《ロッティー2、了解!》
ロッティー3《ロッティー3、了解!》
沢見戦術士官《全エリア、戦闘が開始されました。》
田中司令《よし、こちら作戦指令本部。現在、日本全土でヘクトルとの戦闘が行われている。内地では大軍が侵攻中。これを迎撃するために各司令部が動いている状況だ。我々の作戦目標は新たに本土に上陸しようとするヘクトルを破壊することにある。各エリアの部隊は戦闘を開始せよ》
《アルファ、了解!》
《ブラボー、了解!》
《チャーリー、了解!》
《デルタ了解》
ロッティー1《エコー、了解!》
ロッティー1《聞いたな!射程に入り次第戦闘を開始せよ》
全開無線から指揮車であるロッティー1の声が響く。指揮下のロッティー中隊の面々はそれに応えるように砲塔を海原へ向ける。
そこには二足歩行戦闘ロボット『ヘクトル』が隊列を形成し、大きく波を立たせながらこちらへ向かってきていた。
田中司令《敵の侵攻を阻止せよ!》
ブラボー《こちらブラボー!敵はアウトレンジから攻撃してきます!》
チャーリー《敵は迫撃砲を持っているぞぉ!》
田中司令《敵は砲撃型だ。プラズマ砲に注意するんだ!》
田中司令《上陸を許すわけにはいかない。各員、持ち場を死守しろ!》
開始の合図も見せずロッティー各隊のギガンテス戦車が火を噴くと一体のヘクトルへ向けて砲弾が集中。
たちまち周囲が爆炎に包まれヘクトルも海の藻屑となる。
それをロッティー中隊のさらに後方で眺めている部隊があった。スティングレイランチャーを装備したレンジャー2小隊とストームチームだ。
早紀「私たちも行きましょう!」
八木「了解!」
レンジャー2-1隊長「総員、攻撃開始!」
レンジャー2-1隊員「了解!」
早紀「ところで、あの試作品。早速使って欲しいのだけど」
八木「ん?ああ、これですね」
八木は担いでいた武器を構え、早紀の飛行ユニットの窪みに近づける。その窪みに銃口を押し付けトリガーを引くと、銃口からカプセルが射出。カチリとはまった音が小さく聞こえた。八木はその射出機を飛行ユニットから離し射出したカプセルを銃口から切り離すとその瞬間カプセルの中身が青色に輝きだす。
八木「プラズマバッテリーガン。これがあればウイングダイバーの行動範囲が広がる……」
八木「サイオニックリンクに直結させた武器なんかはエネルギー供給がこれによって賄われて、使用者への負担を減らせ、その上火力向上が期待できるものです」
早紀「いいからいくわよ?」
早紀「発射!」
早紀は攻撃をしようと手の銃口を向けてきていたヘクトル目掛けてMONSTERレーザースナイパーライフルを撃つ。紫色の光の槍がヘクトルの胴体を貫き、ロボットの残骸は力なく水中に消えていった。
その後である。
早紀が本題であるMONSTERスナイパーライフルのチャージゲージを見ると、通常の数倍も早くゲージが溜まっていくのを確認した。
だがゲージが満タンになるよりも先にバッテリーカプセルの中身が消失。ただのカプセルとなった。
早紀「試作品は成功と伝えて。あ、でも実用化はまだ厳しいんじゃないかしらともお願い」
八木「了解です」
八木《こちらストームチーム。応答せよ》
研究員《こちら化学管理研究ラボ》
八木《試作品のトライアル使用を完了。結論から言うと成功した。だがまだ実用レベルではないとのことだ》
研究員《分かりました。ではすぐにステーション1に帰還を》
八木《!?》
研究員《どうされました!》
八木《悪い、このまま戦闘に参加する。無事の帰還を祈っててくれ》
研究員《りょ...りょうかい》
八木「危なかったですね……」
早紀「よそ見なんてするからよ」
八木の元いた場所はコンクリートが抉れていた。
隊員「敵は砲撃型のようです!」
ロッティー2《敵装備を視認した。巨大な包のような腕。敵は腕に迫撃砲を装備している》
第1波のヘクトル群の後方では、海面に薄らと同様の影が落ちていた。
ロッティー1《各隊、敵砲撃に注意されたし》
ロッティー3《ああ、あんな攻撃を受けたら一溜りもねえな》
ロッティー4《上層部を憎むんだな!》
ロッティー1《泣き言はあとだ!帰還したら最新式ギガンテスの配備を申請してやる!》
ロッティー中隊に配備されているギガンテス戦車は旧世代。つまり新型のギガンテス戦車は配備されること無く、彼らは旧式のギガンテス戦車を乗り回していた。そのため装甲は新型に比べて脆い。2026年に新型ギガンテス戦車が何両か配備される予定だったが、それよりも先にフォーリナーが再臨してしまったのである。
ロッティー5《被弾した! くそ、離脱する!》
ロッティー6《うわあああああああ》
ヘクトルからの砲撃が直撃した2両は爆散。ロッティー5の搭乗員は間一髪脱出したが、ロッティー6は戦車と共に心中してしまった。
ロッティー1 《ロッティー6!》
ロッティー1が拳を打ち付ける音が無線で聞こえる。
ロッティー1《ロッティー5、大丈夫か?》
ロッティー5《ああ...以降は歩兵として戦闘に参加する》
その後戦車隊が大破3、中破1という被害を被るも、ヘクトルは残り2機に減らされていた。
デルタ《こちらスカウトデルタ。敵の砲撃により戦車隊は全滅!さらに後方から蜘蛛型巨大生物が多数!》
田中司令《第2防衛ラインから援軍を向かわせた。すぐに到着する!》
デルタ《了解! うわあぁぁぁ! 急いで下さい!》
フェンサー隊隊長《こちらフェンサー! デルタ地点に到着。デルタチームを援護する!》
田中司令《了解した》
沢見戦術士官《司令...桐島司令から報告が上がっています》
田中司令《どうした...?》
沢見はどこか悲しい様子だった。その訳を聞く意味も込めて田中司令官が訊ねると、驚くべき情報が沢見の口から話された。
沢見戦術士官《ヘクトルと交戦していた機甲部隊が敗北。ベガルタM2は全滅です》
田中司令《馬鹿な......!》
沢見戦術士官《敵が投入した新型歩行マシンが原因のようです。現在、総司令部がデータを分析しています》
田中司令《新型歩行マシンだと!? ...とにかく今はこの戦いを片付ける!総員ヘクトルの侵攻に備えよ!》
沢見戦術士官《通常型のヘクトル及び砲撃戦用ヘクトルが接近しています》
ロッティー1《総員戦闘用意!一体ずつ火力を集中させるぞ!》
ロッティー2《了解!》
レンジャー2-1隊長「了解!」
早紀「了解」
その言葉どおり一体ずつに集中し、確実に戦力を削ぎつつEDF側(エコー地点)は優勢に転じていた。
早紀「発射!」
八木「パワーポスト、展開!」
数分後...
フェンサー《こちらフェンサー!蜘蛛型巨大生物を殲滅した。デルタ生存者をキャリバン装甲救護車両に収容後、撃ち漏らしたヘクトルの殲滅に移る》
エコースカウト《こちらエコースカウト。上陸したヘクトル群がエコー後方から接近中!》
フェンサー《すまん。エコーに侵入したヘクトルの処理は任せたぞ!》
八木《何!?》
早紀「はぁ...やるわよ」
八木「了解」
レンジャー2-1隊長「ストームチーム、レンジャー2-2を連れていけ!」
村瀬「我々レンジャー2-2が護衛します」
八木はヘルメットのバイザーに手を掛け小さく礼を返した。
早紀「敵ロボット2機!こっちに向かってくる」
八木は双眼鏡を介して敵を確認した。砲撃型ヘクトルが2機、こちらに向かってきていた。
敵も気づいたらしく、手を空高く上げる。両者が臨戦態勢に入った。
早紀「発射!」
何かが弾けたような音と共に光の槍がヘクトルの腕を貫く。ヘクトルはアウトレンジ攻撃の方法を失うも核のエネルギーは尽きておらず、敵目標に向かって尚も迫ろうとしていた。
もう片方のヘクトルは高々と上げた腕から眩い光を発する。
発射された光弾はゆっくりと山を描いて落ち、着弾地点の周囲を破壊した。破壊されたガードレールや着弾時風圧で吹き飛んだコンテナが村瀬達の頭上へと降り注ぐ。
村瀬「避けろ!」
隊員「俺たちを狙ったのではなくこれを狙ってやがったのか! 流石ロボットだな! 計算通りってわけか!?」
隊員「ひいぃぃ!」
村瀬「もし受けてたら即死だっ......」
村瀬達は寸でのところで避けるが、先程まで自分達がいた場所の惨状に絶句する。
八木「次、くるぞ!」
八木の言葉どおり、ヘクトルは次弾発射の態勢に入っていた。
村瀬「もう遅い!軌道を逸らせる!」
隊員「了解!」
隊員「了解!」
村瀬以下3名はスティングレイランチャーの照準をヘクトルの腕に合わせ、射撃した。
発射された3発のロケット弾の内2発が腕に命中。命中した腕は爆風に翻弄され、光弾は明後日の方向に飛んでいった。
早紀「チャージ完了!発射する!」
再度放たれた光の槍はヘクトルの胴体部分の真ん中を貫いた。
早紀「敵1撃破!」
村瀬「俺たちもやるぞ!胴体を狙え!」
隊員「Yes sir!」
村瀬達がスティングレイランチャーを構え直し、ロケット弾を発射する。その瞬間、ロケット弾は胴体部分を抉り内部の機械をも完膚無きまでにズタズタにした。
ストームチームとレンジャー2-2がヘクトルを片付けた頃、港線戦も終わりを告げた。
田中司令《作戦は成功した。皆よくやった!》
【作戦指令本部】
田中司令「作戦は成功した。皆よくやった!」
田中司令「さて......次の課題だ。新しい情報はないか?」
沢見戦術士官「いえ...!? 新型歩行マシンの情報が入りました。どうやら防御スクリーンを展開できるようです。武装は確認できません。防御スクリーンを運搬する輸送用マシンと思われます」
田中司令「輸送マシンにこれだけの被害を受けたのか!?」
鷺本オペレーター「ベガルタM2の攻撃、そして空爆すらも防がれました。ヘクトルは防御スクリーンで守られ、戦いは一方的なものとなりました!」
田中司令「ほかの兵器を守るために運用されるマシンか。厄介な相手だ。以後、この敵をシールドベアラーと呼称する!」
沢見戦術士官「!...偵察中のスカウト6から報告。敵の一部が現在作戦行動中の上津川町に向かっています」
田中司令「何!?」
沢見戦術士官「どうされますか?」
田中司令「情報本部に作戦立案を要請。本作戦は作戦指令本部の管轄とし、現地の司令所及び部隊に連絡を!」
オハラ「意見を...述べてもいいだろうか」
田中司令「オハラ博士! なにか打開案があるのか?」
オハラ「シールドベアラーはあらゆる攻撃を遮断した。そうだな?」
オペレーター「は、はい!先程述べた通り、あらゆる攻撃を遮断しました。」
オハラ「だがこれを見てくれ。」
そう言ってオハラが指さしたのは、現在シールドベアラーを追っているドローンカメラだった。
その映像には、市街地を縦横無尽に歩き回る四足の小型シールド展開機、『シールドベアラー』の姿が映されていた。
田中司令「この映像がどうかしたのか?」
オハラ「よく見たまえ。様々な武器を遮断した防御スクリーン。しかしながら遮断されずに通過しているものがあるだろう?」
沢見戦術士官「は! 家屋は防御スクリーンの影響を受けていません。つまり...」
オハラ「流石の観察眼だ...そう。つまりは高い運動量と質量をもった兵器は遮断され、家屋などの運動量を持たないものは無害なものとして通過させる。先程戦いの記録を見させてもらったが、待機していたベガルタM2は通過していた。さらに死体までも」
沢見戦術士官「ということは運動量を持たない物体、そして質量の小さな物体が低速で通過することは可能... もしくは脅威と感知されなければ、生身の人間なら防御スクリーンを越えられる......」
オハラ「ああ、確証は無いが、可能である可能性は高い」
田中司令「まさかそれを試してみろとでも...」
オハラ「その通りだ。それに、このための訓練を受けている者達なのだろう?」
田中司令「だが危険すぎる」
オハラ「それしか方法はない。人類が勝つ方法はな」
田中司令「......そうだな」
【上津川町】
アンヴュランス1《こちらアンヴュランス、現地に到着した。負傷者を収容する》
本原「よし、我々も帰還の用意だ」
隊員「了解!」
間宮「お前ら! 帰って一杯やるぞ!」
隊員(F)「おぉ!いいですね」
帰路につこうとする第3中隊の面々は談笑しながら準備を進めていた。
その時である。
沢見戦術士官《こちら作戦指令本部、第3中隊応答してください》
突然作戦指令本部からの通信が入ったのだ。
本原《こちら第3中隊、どうぞ》
沢見戦術士官《作戦指令本部より通達です》
隊員「なんだ...?」
田中司令《現在敵がそちらに向かっている。その敵を撃破するために、情報本部は作戦を立案した。その名は『防御スクリーン突破作戦』 作戦の詳細は追って通達する。以上だ》
本原《了解しました》
続けての出動に本原の周りではため息を漏らす者がいたが、本原は淡々と事を進める。
本原「各員補給を済ませ、戦闘態勢を整えておけ」
間宮「おい!あれを見ろ!」
間宮の指さす先にはドーム状の光があった。思わず綺麗だと漏らしてしまうような光のドームは先程まで自分達がいた市街地を進んでいる。
隊員(F)「見てください、空軍です!」
さらにその上空には空軍の爆撃機が颯爽と現れる。光のドームの真上に踊りでると爆弾を投下した。だが不可解なのはこのあとだった。
真っ直ぐ落ちていった爆弾が光のドームに衝突し周囲に甚大な被害を与える。
爆風と煙が去った頃、驚くべき光景が本原達の目の前に展開されていた。
光のドームは傷一つついていなかったのだ。
本原「防...がれ...た......?」
本原は小さな声でそう呟いた。
間宮「我々の出番だ!」
隊員達「「うおおおおおおーっ!」」
本原の隣で間宮隊が雄叫びを上げる。
本原「勝算はあるのか?」
間宮「我々はこの為の訓練を積んできた。今この時が、その真価が発揮される時だ!」
隊員(F)「奴らに目に物見せてやる!」