地球防衛軍 〜地球の守護戦士達〜   作:きぬたにすけ

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さあ、連日投稿目指してがんばるぞい。(出来なかった1/22現在)


15話 大地崩落

【関東、ゴルフコース】

 

大西たちR6-1の目の前には『地下トンネルの出口』と言われている盛り上がった地面が点在していた。盛り上がった地面は人工芝を含み、小さな小山を作っている。更にその小山の中心には巨大生物が一匹ずつ通ることが可能なほどの穴が空いている。銃火器で攻撃しても土を微小巻き上げるほどなので、有効的な破壊をする為には内部からの爆発が効果的だとされた。

 

破壊作戦を行っている部隊は、いずれもグレネードをリュックサックに詰めて参戦している。

大西「お前ら!一つ勝負をしないか。あの穴の中にグレネードを投げ入れたやつの勝ち、破壊したら問答無用で勝利。勝ったやつには後で一杯奢ってやる!」

隊員「おお!やる気が出てきましたよ!」

関東のあるゴルフコースに出現した巣穴から繋がっているであろう大穴の破壊作戦で投入されていたレンジャ6-1及びレンジャー6-2の面々はMG14J時限式グレネードを片手に意気込んでいた。場の雰囲気も後押ししてか、士気は上々である。

隊員「おらあああああ」

一人の隊員が全身に力を込めて踏み込み、地下トンネルの出口に向けてMG14J時限式グレネードを振りかぶって投げる。

山なりに飛んでいったMG14J時限式グレネードは穴の中心に吸い込まれていき、深く入り込んだと思うと爆発。

盛り上がった地面は空高く土を巻き上げて崩壊し、その場所にははげてむき出しになった土のみが残っていた。

隊員「やったぜ!ホールインワンだ!隊長、1番高いやつをご馳走になります!」

大西「まじかよ...分かった。どんとこいだ」

 

突如辺りに爆音が響き、強い向かい風が落胆していた大西を襲う。

向かい風の来た方向を見ると、第1飛行隊隷下第1ネレイド隊属のEF31ネレイド2が1機、滞空しながら自動追尾式のM230機関砲を遺憾無く奮っていた。

 

ネレイドパイロット《こちらアウトノエー。巨大生物は我々に任せて入口の破壊を急いでくれ。歩兵部隊の健闘を祈る!》

 

大西《了解。任せとけ》

 

 

【総合作戦指令本部】

 

田中司令「状況はどうなってる」

報告から3時間後、田中は総合作戦指令本部の席についていた。

沢見戦術士官「はい。現在、各地で地下トンネルの出口の破壊作戦が行われています」

田中は、投入戦力と書かれたバインダーに目を通す。

そこには、各基地の項目に箇条書きで投入戦力が記されていた。

 

 

     

『巣穴破壊作戦投入戦力』        

 

北海道基地 担当:穂波 麗子(ほなみ れいこ)

 ・第7戦車中隊隷下デルタ中隊

 ・レンジャー11(第11レンジャー小隊)         

 ・第5装甲救急隊「アンヴュランス5」

 

東北基地 担当:宇佐見 隆(うさみ たかし)

 ・レンジャー15(第15レンジャー小隊)

 ・第3機械化戦闘隊「アームズ」

 ・施設大隊属無人重機

 ・施設大隊属ホイールローダー(エアレイダー)

 

関東基地 担当:桐島 雄二(きりしま ゆうじ)

 ・レンジャー6-1

 ・レンジャー6-2

 ・第1飛行隊隷下第1ネレイド隊

 

関西基地 担当:桑田 和夫(くわだ かずお)

 ・レンジャー9-1

 ・レンジャー9-2

 ・ウイングダイバー10-2

 ・ウイングダイバー10-3

 

九州基地 担当:山口 聖(やまぐち きよし)

 ・レンジャー21

 ・ウイングダイバー17-1

 ・ウイングダイバー17-2

 ・特設工兵隊(エアレイダー)

 

 

沢見戦術士官「地下トンネルの入口のひとつから巣穴への侵攻が可能です。」

田中司令「よし第2地底戦闘中隊「フレイム」(デプスクロウラー隊)の部隊を向かわせろ」

鷺本オペレーター「え!?」

田中司令「どうした」

鷺本オペレーターの驚きの声に対し冷静に問いかける。

鷺本オペレーター「関東基地3キロ圏内に地下トンネルの出口出現!」

田中司令「直ぐに出動できる部隊はいないか」

沢見戦術士官「レンジャー2-4が出撃態勢を維持したままです」

田中司令「よし、繋いでくれ」

鷺本オペレーター「了解!」

 

鷺本オペレーター《こちら総合作戦指令本部。出動待機中の部隊に通達。司令に替わります》

田中司令《こちら総合作戦指令本部。関東基地3キロ圏内に地下トンネルの入り口が出現した。直ぐに向かってほしい》

小野《ですが、我々が出撃準備を整えていたのは巨大生物の駆除任務なのですが...》

田中司令《それは該当エリアで戦闘中の部隊に委託する。とにかく直ぐに出れる部隊が必要だ》

小野《了解。現地に向かいます》

 

続いて鷺本オペレーターが通信機をストームチームに繋げる。

 

田中司令《ストームチーム、出動準備!》

隼人《こちらストームチーム。関西から帰投したばかりなのだが》

田中司令《いい具合に身体は暖まっているだろう。兵を分散している今はしょうがないのだ、向かってくれ》

隼人《...了解。レンジャー2-4に合流する》

 

 

隼人が車両庫に到着すると、レンジャー2-4と車両庫から出されていた武装装甲車両グレイプM2が迎えた。

小野「おお、来たか。エアレイダーにグレイプを1両借りた。こいつで向かおう」

隼人「ああ、分かった」

そして隼人達一行は該当エリアへ急行した。

 

 

【総合作戦指令本部】

 

そして数分後、部隊が巨大生物が群生しているエリアに入ったことを確認した。本部のドローンのカメラには、ストームチームレンジャーの隼人とレンジャー2-4分隊長の小野が映されていた。隼人達の目の前では多数の逃げ遅れた市民が巨大生物に追われ、喰われている光景が広がっており、異様に盛り上がった地面から巨大生物が出現する。それが地下トンネルの出口だと直ぐ判断する。

 

割れたコンクリートを含んで蟻塚の様に盛り上がった地面には丁度巨大生物が1匹分出入り可能な穴が空いている。その穴は巨大生物たちの巣穴へ繋がっているのだ。

田中司令「くそ!新たな巣が誕生していると言うわけか...作戦開始!」

鷺本オペレーター「各エリアでも戦闘が開始されました」

鷺本オペレーターが日本各地が一斉に戦闘区域になったことを告げた。

 

 

【作戦エリア、数分後】

 

沢見戦術士官《巨大生物が次々と市街地に出現しています。巣穴から地下トンネルを掘り進み、市街地の地下まで移動してくるようです》

田中司令《安全な地下に通路をつくっているというのか》

沢見戦術士官《市街地に大きな穴がいくつか見つかっています。巣へ繋がるトンネルの出口のようです》

田中司令《その穴を潰さない限り、やつらは好き勝手にやってくる。トンネルの出口を破壊してやる!》

田中司令《巨大生物の地下トンネルがあるようだ。地上への出口が見つかった。急いで破壊しろ!このままだと次々と巨大生物が出てくるぞ!》

 

隼人「レンジャー2-4!援護を頼む!DNG2接触型グレネード(こいつ)をあの蟻塚に投げ入れてやる!」

小野「任された!」

白兵戦のさなか連携をとり、隼人はDNG2接触型グレネードを腕に力を込めて投げる。グレネードは盛り上がって出来た小山に直撃し、土とコンクリートが飛散する。飛んでくるコンクリートをものともせず巨大生物は破壊を行う者たちのもとへ反撃に向かうが正面からの複数のアサルトライフルの持続的な足止めによって抗うこともできずに絶命していく。

 

そして放たれた三つ目のグレネードが脆くなった小山にトドメをさす。

小山は綺麗に消し飛び、辺りは静けさを取り戻した。

 

沢見戦術士官《トンネルの出口を破壊》

田中司令《トンネルの出口はまだほかにもある。探せ!》

隼人《了解》

 

すぐ近くの住宅地から地響きが聞こえると、住宅が倒壊、盛り上がる。地下トンネルの出口が出現する。

隼人「よし、いくぞ!」

小野「前進する!」

部下「了解」

住宅の間に出現した巣穴の出口に対してグレネードを投擲しようとする隼人に小野は忠告する。

小野「ストームチーム!住宅に囲まれている。爆発物は危険だ!」

隼人「構うものか。排除を最優先に遂行するぞ」

 

田中司令《住宅地での爆発物の使用は許可している。ストームチームの言ったとおりだ。目標の排除を最優先にしろ》

 

田中司令が最後にトーンを落とすが、構わず隼人はグレネードを地下トンネルの出口に向けて投擲する。

二つ目の巣穴の出口が閉ざされ、部隊は休息を取るためにリュックサックを地面に下ろすが、直後に休息がないことを沢見戦術士官が告げる。

 

沢見戦術士官《巨大生物が別の場所に出口を作ったようです。地底から次々と出現しています。現地の部隊はレーダーを確認してください》

 

沢見戦術士官からの通達に従い腕時計のレーダーを確認する。

『遠い』を意味する赤い三角形が一箇所に集まっている。白い『市民』を表す三角形、そして蠢く巨大生物を表す赤い三角形が数個表示されていた。

 

田中司令《トンネルの出口を破壊しろ。巨大生物め……地底からは絶対に出さん!攻撃部隊、前進!巨大生物を殲滅せよ!!》

 

田中司令の命令を受け、隼人たちは前進を開始した。

その頃他の作戦エリアでは...

 

 

【北海道】

 

穂波司令《キャリバン救護車両、負傷者を収容せよ!》

アンヴュランス5《了解!レンジャー11二名を収容》

デルタ1《こちらデルタリーダー、目標No.3、火力を集中せよ》

 

デルタリーダーの命令に答えるように3両のギガンテスJ戦車の砲塔が一つの地下トンネルの出口に向けられる。

 

椚原《こちらレンジャー11、No.2から敵多数!迎撃する!》

デルタ1《撃て!》

 

殺到した120mm榴弾砲によってNo.3の地下トンネルの出口は沈黙。

非常に戦略的かつ豪快な作戦を展開していた。

 

 

【東北】

 

宇佐見司令《ベガルタ隊、前へ!》

アームズ1《アームズ、前進!》

 

緑色の装甲に身を包んだバトルマシン・ベガルタファイアウォーリアが機敏な挙動で地下トンネルの出口に接近。

巨大生物が地上に顔を出すその瞬間を狙い、両手に装備された火炎放射器『コンバット・バーナー』で焼き切る。

抵抗も出来ないまま死骸と化した巨大生物はその大きな体で仲間の進路を遮った。

 

宇佐見司令《ホイールローダー、突撃しろ!》

 

その命令の直後、アームズの後方からエアレイダーの操縦するホイールローダーが突撃を行う。

装着されたバケットが盛り上がった土の中に深く入り込み、そのまま小山を崩すと地下トンネルの出口は沈黙。

堅実な作戦遂行による芸当である。

 

 

【関東】

 

アウトノエー《こちらアウトノエー、弾薬を撃ち尽くした。これより帰投する》

アガウエー《こちらアガウエー、俺もだ。帰投します》

アクタイエー《アクタイエー、置き土産だ。怪物ども!》

桐山司令《了解。後は地上部隊に任せろ!》

 

滞空したEF31ネレイド2三番機アクタイエーから無誘導ミサイルが発射、ミサイルは一直線に地下トンネルの出口へ殺到し、辺りの芝などに凄まじい被害を残し第1対地制圧ヘリ隊は帰投した。

 

アウトノエー《こちらアウトノエー、残りの獲物は譲ってやる。じゃあな!》

大西《稼がせてもらうぜ。...ガシャン(バッファローショットガンのポンプ音)》

 

地と空の連帯による攻撃は巨大生物を寄せ付けはしなかった。

 

 

【関西】

 

桑田《ウイングダイバー、次に備えろ!》

WD10-2《了解!》

神田R9-1《巣穴より巨大生物多数!》

WD10-2「かかったな!」

桑田司令《よし、投げ入れろッ!》

 

巣穴の出入り口にウイングダイバー10-2、10-3が極限まで接近し、巨大生物のターゲットを自分たちに向けさせる。飛行ユニットを駆使し飛び回りながら巨大生物を地下トンネルの出口から遠ざける間にレンジャー9-1及び9-2が総出でMG14J時限式グレネードを投げ入れる。タイミングの合わさった起爆に耐える力もなく地下トンネルの出口は土埃を上げて消滅した。

大胆さは作戦において効果的な戦術である。

 

 

【九州】

 

山田司令《工兵隊、突撃しろ!》

 

戦闘バイクSDL-1数台のサイドカーに乗車した工兵隊は地下トンネルの出口に送られると、C24プラスチック爆弾を数個設置。設置完了後すぐにサイドカーに乗車、レンジャー21やウイングダイバー17の後方へと送られる。

そして起爆装置を握り締め、巨大生物の出現と同時に起爆。土やコンクリートとともに巨大生物の死骸が吹き飛ばされる。

非常に戦略的な作戦を展開していた。

 

 

総合作戦指令本部のドローンカメラには依然として巨大生物の姿がうつされている。

 

沢見戦術士官《北海道、東北、関東、関西、九州にて、作戦終了を確認。残りはこのエリアのみです。巨大生物が地底から出現しました。トンネルの出口を新たに作ったようです》

田中司令《トンネルの出口を破壊しろ!》

小野R2-4「ラストスパートだ、いくぞ!」

隼人storm「ああ!」

隼人はAF-15アサルトライフルの弾倉の底を下から叩き気合を入れ直す。

 

沢見戦術士官《おそらくこの出口が最後です》

 

最後とされる地下トンネルの出口は中ビル街を抜けた公園の中であった。盛り上がった土は埋め込まれたベンチの脚を浮き上げ、出口の一部にしてしまっていた。

 

小野《本部!最後のトンネルから出現しているのは蜘蛛型です!》

田中司令《奴らまで地下で繁殖を続けているのか...よし、第2地底戦闘中隊を派遣しよう。巣穴に潜む巨大生物どもを今度こそ掃討する》

沢見戦術士官《すぐに第2地底戦闘中隊とレンジャー6を派遣します。トンネルの出口には攻撃せず、出現した巨大生物を殲滅してください》

隼人&小野《《了解!》》

 

 

【総合作戦指令本部】

 

田中司令「四足歩行要塞の問題はどうなっている」

沢見戦術士官「先ほどスカウトから報告。日本近海に投下された四足歩行要塞は依然として上陸せず、海岸線にて活動を休止しているとのことです」

田中司令「そうか...海岸に部隊を派遣し迎え撃つぞ。8年前のようにはいかないということをやつらに教えてやる」

沢見戦術士官「次いで先ほど桐川航空基地より報告がありました。例の新型兵器の試作型の搭載が完了したとのことです」

田中司令「よし、今のところは我々は優位にコマを進められているようだ。実践での情報収集も含め四足歩行要塞(やつ)に使用する」

 

 

翌日~

 

関東基地食堂に備えられたテレビでは報道ヘリの決死の現場撮影が行われていた。橙色の空をバックに輝く銀色の装甲。そして「四足歩行要塞」の名の由来でもある脚が4本。赤い光を持たず、ひと目で休止状態だと分かるその巨体は、尚も佇んでいた。

目の前に迫りつつある迎撃部隊()を威圧するかのように。

 

アナウンサー《戦局報道です。マザーシップは四足歩行要塞を多数投下。EDFは歩行要塞の侵攻を阻止するため、各地に防衛線を築いています。なお、本土に上陸した場合、関東全域が敵の射程にあると思われます。射程圏内にお住まいの市民の皆様は万が一の備えを行ってください》

 

 

 


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