シーファイターアルファ《こちらシーファイターアルファ。太平洋上を飛行中の1隻を確認。日本に向けて移動中の模様》
要撃管制官《了解した、直ちに帰還せよ》
シーファイターアルファ《了解!ん......?あれは!こちらシーファイターアルファ。マザーシップから飛行ドローンが発進している!巻き切るのは不可能だ!交戦する!》
シーファイターブラボー《マザーシップが浮遊砲台を起動しています!》
要撃管制官《逃げろ!すぐにだ!》
シーファイターデルタ《くそっ!被弾した!海にーーー》
後方では警告音が鳴り響いていた。無線は途中でノイズのみになった。
シーファイターチャーリー《飛行ドローンと交戦中!くそっ!キリがない!はっ!ぶつかる!》
撒こうと旋回するが、旋回した先に飛行ドローンが飛んでいた。いきなり方向を変えることが出来ず飛行ドローンと衝突した。
遠隔操作のドローンカメラに、その様子が映されていた。
シーファイターアルファ《くそ!くらえ!フォックスツー!》
パイロットのヘルメットに付いているバイザーに4つの緑色の三角形が現れる。そして4つの三角形の頂点が飛行ドローンの中点を囲うように三角形同士の間が狭まる。すると、三角形が赤色に変わる。そしてパイロットはミサイルの発射ボタンを押した。
機体からAAM-6(23式空対空誘導弾)が発射され、飛行ドローンを追尾。まもなく着弾し、火を纏った飛行ドローンは海中に消えていった。
AAM-6(23式空対空誘導弾)は、短距離ミサイル。従来のAAM-5の更に上を行く性能を誇り、現段階で装備出来るのはEDFの保有する戦闘機のみだ。
シーファイターブラボー《フォックススリー!》
別の空ではブラボー機が旋回を繰り返しながらバルカン砲を撒いていた。飛行能力ではファイターが勝るので、次々と正面に捉え撃墜していく。
だが、飛行ドローンも反撃をしてきた。何発も何方向にも撃たれたレーザーの1部が機体に直撃したらしい。
シーファイターブラボー《くそっ!被弾した、燃料タンクがやられた!》
要撃管制官《ブラボー、南西方向に要塞空母デスピナが展開しています。そこへ飛行してください》
シーファイターブラボー《了解!》
機体の向きを変え、南西方向に向かう。しかし、一瞬後方を確認すると、その一瞬で脳にインプットしただけでもピントのぼやけた飛行ドローンが20機程後ろについてることを確認した。機体を左下に傾けるなどでレーザーを回避する。
シーファイターブラボー「いたぞ!デスピナだ!《こちらシーファイターブラボー、着艦許可を願う!あと、後方についてくる金魚の糞を掃除してくれ!》」
すぐに正面からスタンダードミサイルが数発飛んできた。
そして、後方で数個の爆発を確認し、着艦した。
シーファイターアルファは飛行ドローンに気を配りながらマザーシップを追跡し続けていた。
シーファイターアルファ《こちらシーファイターアルファ、マザーシップが日本領空に侵入しました。飛行ドローンが一定の間隔で5、6機ずつ発進しています》
要撃管制官《了解。帰還のめどは?》
シーファイターアルファ《無理そうです。幸い弾薬、ミサイルの消耗は少量、数分なら戦えます》
要撃管制官《了解。空自、海自と協力して飛行ドローンを全て叩け》
シーファイターアルファ《了解!》
そして、前方にAAM-4が飛んできた。それに続くようにF-15Jの編隊が作戦エリア上空に到着。そして、次いで護衛艦が姿を現した。
護衛艦から艦対空誘導弾が発射される。
群を外れ、他の地域に散らばろうとしてた飛行ドローンを優先して攻撃していた。
海岸では、まさにマザーシップが日本の領土に踏み入れようとしていた。
アナウンサー《現地のドローンカメラの映像です!ご覧下さい、ついに彼らが帰ってきたのです!地球に降りたマザーシップ船団は1隻ずつに分かれ、世界の主要都市へと侵攻を開始しました。地球が、人類のものでは無くなろうとしています!あっ......ドローンカメラが撃墜された模様です》
インカムから戦術士官の声が聞こえる。
戦術士官《報道の通り、現在マザーシップ1隻が東北上空を飛行中です。ですが、我々地上部隊の任務は日本における巨大生物の殲滅です。後は確認されている限りこの地区が最後となります。各員の奮闘を期待します》
田中司令《こちら作戦司令本部。巨大生物掃討作戦を開始する》
田中司令《空からの客が来てる。まずは地上の掃除を済ませておくぞ》
運転手「各員戦闘用意!前方に巨大生物の群れを確認しました!」
その言葉を合図に、兵士達がEDF仕様の96式装輪装甲車から降り立つ。隊員の目に、暗く淀んだ空と逃げ惑う市民、それを追う巨大生物と情報が一気に入ってきた。
1名が銃座につき、96式40mm自動てき弾銃で射撃する。
警官A「EDFだ!EDFが来たぞ!」
警官B「本当か!この場は任せよう!」
警官A「市民の皆さん!押さないで!僕、一緒にお母さんを探そう!ほら手を握って走るんだ!」
女の子「ママああぁぁぁぁ!起きて!起きてよぉぉ!いやぁぁぁ!」
天堂「はっ!?まだ逃げ遅れた人がいるのか!?」
咄嗟に声の元へ、逃げる市民に何度も肩がぶつかるが、足を止めず逆の方向へ走り出した。
警官B「おい!持ち場にもどれ!何やってる
声の元に着くと、瓦礫の下敷きになった母親らしき女性を必死に救い出そうとする女の子がいた。
天堂「君!早く逃げるんだ!じゃないときょだ......!」
いつの間にか女の子の母が下敷きとなった瓦礫の上に巨大生物が立っていた。
咄嗟に天堂は拳銃を抜きこちらの動向を伺ってるかのような巨大生物に数発食らわせる。銃声に驚いたのか、女の子は天堂の足に手を回ししっかりと掴んでいた。だが、巨大生物はひるむ動作も見せず口をモゴモゴさせている。
突如、巨大生物がお腹を上げた。
天堂「くそ!効いてないのか!でも、ここで逃げたら.....」
天堂は身体中に汗を感じながら恐怖を押し殺し、拳銃を巨大生物に投げつけた。その拳銃を払う為に巨大生物がお腹を上げるのを止めた。
その瞬間、全ての時が止まったように感じた。
いきなり巨大生物が体液を撒き散らし絶命した。
時が止まっている間に死んだかのようにそぶりもなくいきなりの絶命にびっくりし腰が抜ける。
天堂「えっ.....!」
困惑しながらも足に手を回し怖がる女の子の頭を手で撫でる。
葉山「もう大丈夫です。よく守ってくれました」
天堂に手を差し伸べる男が言った。
葉山「EDFのレンジャー1分隊長の葉山です」
葉山「結城、
隊員達「「「了解!」」」
里見が民家の屋根に「住んでる方すみません」と言いながら窓枠に手を掛けて登る。登りきるとすぐにAF-15STのACOGサイトを介して辺りを見回す。
里見《敵5を確認しました。こちらに向かっています》
結城&大黒&高城《目標を視認》
結城《合図を待て。よーーい。今だ!》
単発式のAF-15STから短く乾いた音が鳴り、2発、頭、胴体にくらうと巨大生物4匹が絶命する。
大黒《結構な威力ですね....》
AF-15ST。それは、AF-14の威力向上をコンセプトに開発された新型アサルトライフル、AF-15。だが、威力を上げるにあたって射程を犠牲にした。そして、今作戦でレンジャー1-2が担いできたのはAF-15STである。STモデルは、連射力を無くし単発威力を底上げ、さらにはAF-15の欠点であった射程をも向上させたモデルである。
すぐに残りの1匹に銃口を向け発砲。
高城《敵殲滅!》
里見《よし!隊長、そちらは?》
葉山《今救出した。これより防衛線まで護衛する。しかし、フェンサーのパワーアーマーって凄いんだな。大きな瓦礫をヒョイとどかして見せたぞ。》
里見《流石というべきか......ん?》
里見は言葉を切った。それは、本部からの通信があったからだ。
戦術士官《マザーシップ1隻が作戦エリアに接近しています》
オペレーター《既に桐川航空基地からファイターが発進。迎撃に向かっています。.....あ!ファイターアルファから通信。『マザーシップへの攻撃は失敗。マザーシップは飛行ドローンを発進させながら前進を続けている。』とのこと》
戦術士官《サブマリン、巡航ミサイルを発射》
戦術士官《ミサイル、まもなくマザーシップに着弾。はっ......届きません》
戦術士官《攻撃失敗。ミサイルは防御スクリーンに命中。マザーシップの損害はありません》
戦術士官《ファイター第2編隊、攻撃を開始》
オペレーター《駄目!防御スクリーンに阻まれて......!》
戦術士官《ミサイル、第2編隊発射。着弾!......飛行ドローンに阻まれてマザーシップに届きませんでした》
田中司令《身を犠牲にして母艦を守るとは.....》
戦術士官《攻撃は失敗です。マザーシップは無傷》
田中司令《くそっ!これほどま大規模な防御スクリーンをはれるとは!》
オハラ《人類はフォーリナーの再襲来に備えて準備を続けたきた。だがやつらはそれ以上の準備をして戻ってきたんだ........!》
無線が終わるとすぐに会話から内容を抜き出し葉山に通信する。
里見《大変です。マザーシップ船団がこちらに向かっています》
葉山《本部!マザーシップ船団の到着までに避難を完了させたい。捜索隊の増援を頼めないか》
田中司令《了解した。レンジャー5とフェンサー1を向かわせる》
それからは合流、戦闘、生存者を連れた部隊とのすれ違いを重ねた。
レンジャー5-4隊長《こちらレンジャー5-4、現地に到着しました》
田中司令《マザーシップはあと数分でそっちに着く。それまでにタスクを完了させろ》
5-4隊長《了解》
それからまた数分.....葉山達は補給の為防衛線まで下がっていた。
5-4隊長《こちらレンジャー5-4、生存者4名を確保。1名軽傷3名が重症。1名は片足が吹き飛んでいる...。徒歩は難しい。救護班を頼む》
救護班《了解した。そちらにトラックを向かわせる》
救護班「レンジャー1-2、トラックの護衛をお願いしたい」
葉山「分かった」
高城「隊長、私が運転します」
高機動車後ろにトラックという2車構成で出発する。だが、
5-4隊長《ん?あれは.....マザーシップだ!マザーシップが上空にいるぞ!》
その言葉を聞いた瞬間車窓から外を覗いた。
鬱蒼とした曇り空に薄らと現れる球体。マザーシップだ。周りに飛行ドローンは飛んでいない様だった。
戦術士官《マザーシップが作戦エリアに侵入》
そして、マザーシップの下部が円状に開き、巨大な円柱が起動する。それは徐々に形を変え、巨大な鍵のような形状に変換。その矛先は、地上へ向いている。
オペレーターが叫ぶ。
オペレーター《ジェノサイド砲です!》
オペレーターがジェノサイド砲と呼んだそれは、大量の煙を発しながら赤く光り出す。8年前猛威を振るったフォーリナー最大の規模で最大火力の攻撃で幾つもの街を灰に変えた砲撃が放たれようとしていた。
赤く光っていたそれは何かをチャージする音を鳴らし、ぱっと白に光った。
その瞬間、耳を塞ぐのを免れなかった。
とてつもない轟音を鳴らし、直線上に光線が薙ぎ払うように発射され、着弾地点から続々と爆発が、火炎が舞う。
隊員《うわああああああああ!》
結城が腕のレーダーを確認すると、レンジャー5-4と思わしき青点が全て消失していた。この点は対象者の生命反応であり、それが消失することは死である。
戦術士官《マザーシップからの砲撃。レンジャー5-4が巻き込まれました》
田中司令《くそっ!》
葉山達はただ呆然とその光景を見ていた。遠くに一瞬で瓦礫とかしたマンション群や中小商店街が見える。
マザーシップは満足したのかジェノサイド砲をしまっていった。
葉山《レンジャー5-4!レンジャー5-4聞こえるか!返事をしろ!》
返答はこなかった。
葉山「くそっ!」
里見「.......」
葉山「レンジャー5-4が巻き込まれた。確保していた生存者諸共ジェノサイド砲の餌食に......」
大黒「おいたわしや......」
結城「どうしますか......」
葉山「決まってる。引き続き生存者の捜索だ」
と、決意を固めていると......
高城「しっかり捕まってください!防衛線へ帰還します!」
住宅地に深入りしてしまっていたので、遅い速度で走るが、高城の手は少しでも早く去りたいと物語っているように震えていた。
隊員《見ろ!マザーシップだ!》
隊員《やつら、とうとう戻ってきやがった!》
隊員《巨大生物が地中から出てきたと思ったら、フォーリナーまできやがった!やつら、連絡をとってたのかよ!》
隊員《フォーリナーは、巨大生物が地球を汚染するのを待っていたに違いないぜ!》
高城「そんな......」
高城がブレーキを掛けた。
里見「どうした!」
高城「上です!上を見てください!」
言われた通りに上を見ると、輸送船が5隻、葉山達を囲うように浮遊していた。
里見「おいおい冗談じゃねえぞ......!」
新庄「巨大生物が!」
オハラ《巨大生物を撒き散らし、あとは待っているだけで地球の汚染は進む。フォーリナーは急ぐ必要が無かったのかもしれない。十分に休息を取り、準備を整えてから舞い戻ってくればいい。その頃には地球は巨大生物に覆われている......》
輸送船5隻はそれぞれのハッチを開き巨大生物を投下しはじめる。
葉山「全員降りて迎え撃つぞ!」
葉山《こちらレンジャー1-2!輸送船5隻に囲まれている!輸送船は巨大生物を投下中だ。このままでは囲まれて終わりだ。救援を!》
フェンサー1-3隊長《我々が向かう!持ちこたえろ!》
レンジャー5-5隊長《こちらレンジャー5-5、我々も向かうぞ!》
レンジャー8-2隊長《こちら滝山。我々も同じ状況下にいる。合流しよう。河川に近いところにある小学校ではどうだろうか》
葉山《分かった。そこへ向かう》
ストームチーム《...こちらストームチーム。学校まで援護する》
気づかなかったが、ストームチームもこのエリアで戦っていたらしい。
戦術士官《フォーリナーの輸送船から、巨大生物が投下されています》
田中司令《総員、巨大生物を殲滅しろ》
オハラ《むしろフォーリナーは少し早く戻りすぎたのか......?》
田中司令《作戦エリアに展開中の部隊に告ぐ。まずは巨大生物を全滅させるんだ。空からの客をもてなすのは、その次だ!》
里見「さて、我々も行動開始しますか」
大黒「くそ!道を開けろ!」
高城「車は置いていきましょう」
新庄「くそ!既に退路が絶たれてしまったようです!」
戦術士官《マザーシップから飛行ドローンが発進。このままでは地上部隊が攻撃に晒されます!》
田中司令《こちら作戦司令本部、飛行ドローンがくる。撤退しろ、急げ!》
新庄「なにっ!?」
新庄が頭上を見上げると、マザーシップから飛行ドローンが発進していた。飛行ドローンは降下しながらこちらを見ていた。
レンジャー8-2隊長(以降滝山)《こちらレンジャー8-2。飛行ドローンに追いつかれた。現在交戦中、このままでは全滅します!救援を!》
田中司令《ストームチーム、レンジャー8-2が敵と交戦中だ。救助に向かえ!》
ストームチーム《.......了解》
田中司令《レンジャー8-2、ストームチームが救助に向かっている。持ちこたえろ!》
滝山《レンジャー8-2、了解!うぁっ、こっちに来る!》
結城「隊長、我々も向かいましょう」
葉山「ああ、そうしよう」
フェンサー1-3隊長《飛行ドローンが来るぞ!》
フェンサー1-3隊員《ぶち抜け!穴を開けてやれ!》
滝山《撃ち落とせ!》
8-2隊員A《上からも来る!》
8-2隊員B《うわああああーっ!》
レーダー上の青点が一つずつ消失していく。
里見「くそ!どんどんやられてます!」
葉山「急ぐぞ!」
【レンジャー8-2】
8-2隊員C「またひとりやられました!」
滝山「くそぅ.....」
足元に目をやる。そこには、苦悶の表情を浮かべた先程まで隣で戦っていた友の姿があった。アーマーの付かない脇腹の当たりから煙とともに焦げた臭いを発し、破れた戦闘着からは真っ黒に、その周りは真っ赤に染まった皮膚が見えていた。
ふと、目の前の数機に小型の歩兵携帯用ミサイルが飛んできた。後ろを振り返ると、ME3エメロードを構えたストームチームがそこに居た。
レンジャー8-2のもとに急行するレンジャー1-2は高架線の下で一度立ち止まった。
大黒「はあ...はあ...それにしても、1匹も巨大生物と遭遇しませんね。レーダーにも表示されませんし、あれだけの量がいつの間に.....」
里見「そりゃ、あの男の所為だろ.......」
里見が指さす方向には、ストームチーム。ME3エメロードのリロードをするストームチームを見て、結城は8年前を思い出していた。だがすぐに思考を現実に戻す。
結城「まさか......な。あのストームチームだ。そんぐらいの精鋭が集った部隊であることは不思議ではないと思うぞ」
結城は、懐かしいものを見る目でストームチームをしばらく見つめていた。
数分後、飛行ドローンを殲滅した1行は、迎えのトラックに乗り込んだ。乗り込む寸前、空を見上げたが、輸送船団もマザーシップも綺麗さっぱり厚い雲の中に消えていた。