地球防衛軍 〜地球の守護戦士達〜   作:きぬたにすけ

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投稿が遅れました、申し訳ありませんでした。

夏休み期間はついついだらけてしまいますね。電車、バス移動など、外出時じゃないとやる気というものが出ませんでした。


08話 凶蟲飛散

連合地球軍及び自衛隊は連日戦いに臨んでいた。

とある市街地では、自衛隊が防衛戦を張り、巨大生物に応戦していた。1列に置かれた3つの迫撃砲から周囲に「ドン!」という音が響き渡る。

隊員「半装填!」

隊員「半装填、よし!」

隊員「撃てぇ!」

隊員「だんちゃーーく!今!」

隊員「目標の撃破を確認!」

隊員「よし!」

今や日本中で黒煙があがり、航空機や戦車などの轟音が聴こえない日がない状態になっていた。

 

頭上をアパッチが通過する。

 

パイロット《こちらホーク03、巨大生物に対する機銃掃射、ホーク04がハイドラ70ロケット弾による攻撃を行う。至急退避されたし。10、9、8、7、6、5》

 

指揮官「急げ!」

巨大生物を足止めしながら部隊を下げさせ、パイロットに合図を送る。

 

パイロット《4、3、2、1、ファイア!》

 

パイロット2《ファイア!》

 

機銃掃射によるなぎ払いで巨大生物の大群は足を止め、ロケット弾は民家の塀を巻き込み巨大生物の体を削る。

 

パイロット《後は地上部隊に任せるぞ!》

 

隊員《了解した。砲撃開始!》

 

防衛線の後方に控えていた10式戦車が火を噴く。

隊員「赤城一佐、指示を願います!」

赤城一佐「撃て!奴らを防衛線に近づけるなぁぁぁ!」

その隣に控える小隊が小銃で射撃を開始する。

隊員「隊長、今日は一段と意気込んでるな!」

隊員「安全装置よし!弾込めよし!単発よし!戦線に復帰する!」

隊員「!?隊長ー!連合地球軍が到着しました!」

 

レンジャー8-2隊長「なにやら取り込み中のようだな!加勢する!」

自分達の後方から逃げ惑う市民をかき分けて赤一色や真ん中に赤のラインが入った漆黒のヘルメットが複数現れた。

赤城一佐「助かる!共に巨大生物を殲滅するぞ!」

レンジャー8-2隊員「手榴弾!」

今なお攻め立ててくる巨大生物の群に手榴弾を投げ込む。

レンジャー8-2の到着により、ある程度巨大生物を駆逐したあと、情報交換をし、その間も手を休めず巨大生物に銃弾を浴びせる。

レンジャー8-2隊長「連合地球軍レンジャー8傘下レンジャー8-2隊長の滝山(たきやま)だ」

と言って手を差し出す。

赤城一佐「第31普通科連隊連隊長の赤城(あかぎ)です」

差し出された手を握った。

自己紹介を済ませ、簡易的な補給地点をつくる。リュックサックを背負うと同時にレンジャー8-6からの援軍要請を傍受した。

 

レンジャー8-6隊長《こちら8-6、蜘蛛型巨大生物多数!ポイントαにて現在交戦中!援護を頼みたい!近い部隊は来て欲しい!はぁ!?糸だ避けろ!》

 

レンジャー8-2隊員「隊長!一番近くに展開中なのは我々です!」

滝山「了解した!これより先の区域へ向かう!赤城一佐!引き継ぎここの防衛線の死守と前方のポイントへ前進するにあたっての支援を頼みたい!」

赤城一佐「了解した。1小隊、レンジャーチームの側面を警戒!他は防衛線を維持せよ!」

赤城一佐「私は、防衛線に戻ります、ご武運を」

滝山「ああ。そっちもな。前進ーっ!」

隊員達「「「うおおぉぉぉぉ!」」」

 

大通りを横断し、住宅街に入ると、蜘蛛型巨大生物が糸を吐いてくる。民家の塀を遮蔽物に上手く使いながら家屋1軒分ずつ間隔を空けて散開し、慎重に進む。幸い蜘蛛型は密集せず1体1体が散開する形になっていたので、遭遇時には蜘蛛型1体に対し複数人での攻撃、また、1軒分の間隔を置くことで標的を分散させることが出来ていた。

大群だとかなり脅威だが、1体1体となると所詮雑魚に過ぎない。

 

歩を進めながら他に展開中の部隊へコールし、確認を行う。

滝山《こちら8-2、現在第1防衛線より前進、住宅街を進んでいる。ポイントαの公園まで後1分!他に向かっている部隊は?》

 

レンジャー8-1隊長《こちら8-1!向かうことは出来ない!我々は先の工場で交戦中だ。おされている。本部に援軍を要請したところ、ストームチームが来るらしい!》

 

レンジャー8-4隊員《こちら8-4、隊長が戦死されました!倉庫B3に面する道路で接敵!現在交戦中です!》

 

レンジャー8-5隊員《......隊長以下3名が戦死されました!現在第1防衛線です。動けるのは4名。チヌークに遺体を乗せた後ポイントαへ合流します!》

 

ウイングダイバー(WD)隊長《こちらウイングダイバー3-9、作戦エリアに向かっている!あと数分で到着する!》

 

フェンサー隊長《こちらフェンサー、我々も向かっている!》

 

レンジャー8小隊長《ストームチームとウイングダイバー、フェンサーの到着までに、ポイントα周辺の敵を一掃せよ!合流後部隊を再編成し、住宅街に散った蜘蛛型巨大生物を叩く!》

 

隊員(全)《了解!》

 

滝山《こちらレンジャー8-2、ポイントαに到着!レンジャー8-6を支援する!》

 

ポイントαの公園では、レンジャー8-6と機動隊が巨大生物に応戦し、市民の避難誘導を行っていた。

滝山「こちら8-2!8-6!助けに来たぞ!」

前方で果敢に応戦するレンジャー8-6に声をかけるが、連続したアサルトライフルやショットガンの銃声によりかき消される。

ことごとく遮られることに少し苛立ちを覚えると、部下達に伝えた。

滝山「レンジャー8-6を援護しろ!敵を側面から叩く!」

 

着いたことを知らせるため、無線で声をかけるとともに、手を挙げて大きく半円を描くように手を振る。ようやく気づくが滝山に一瞬視線を向け直ぐに巨大生物の群れに向き直った。

 

滝山《こちら8-2、ポイントαに到着、敵の側面に入った!援護する!》

 

レンジャー8-6隊長《助かった!隊員が5名戦死した。以降は機動隊と共に市民の避難誘導に手を貸す!巨大生物は任せた!》

 

滝山《了解!》

 

滝山「巨大生物ども!お前らの相手は俺たちだ!」

大声で言うと喉に重く負担がかかり、一瞬トリガーから人差し指を離す。そして、レーダーを確認すると10以上に上るの群が一斉に、大量の赤く光る目がこちらに向けられた。

 

 

【ストームチーム到着】

 

《こちらストームチーム、現地に到着した》

 

司令《作戦指令本部よりストームチーム。交戦中のチームがいる!救援に向かえ!》

 

司令《前方にレンジャー8-6と8-2がいる。徐々に押されつつあり、背後にはまだ大量の市民や機動隊員がいるようだ。すぐに向かえ!》

 

《了解》

 

こちらに向かって走ってくる市民の中を掻き分け、ポイントα手前の警察車両が並ぶ防衛線に着く。目の前では無数の糸が交差し網漁業の如くレンジャーチームを包囲していた。

 

ストームチームが担いできたのはスラッグショット。赤に塗られた銃身で徹甲弾を撃ち出す単一への威力を重視したモデルである。だがその貫通力によって複数体を穿つことが可能。連合地球軍の武器開発部が先日発表した開発レベルは10。開発レベルとは、フォーリナーテクノロジーの兵器への応用進度のことである。スラッグショットは従来のM4ショットガンにフォーリナーテクノロジーを応用して作られた。最大の長所は徹甲弾を使うことにある。その威力と貫通力を近距離で出せば、巨大生物と言えどタダでは済まない。

スラッグショットを撃ち込み、着弾地点に溜まっていた3体の蜘蛛型巨大生物の腹部にポッカリと風穴が開く。腹部や脚、赤目を潰され絶命した。

 

滝山「救援部隊が来たぞ!敵を押し返せ!」

 

司令《ポイントα、ストームチームが到着した。以後ストームチームの指揮に従え。》

 

レンジャー8-6隊長《了解!うわ!?うわああぁぁぁ!》

 

レンジャー8-6隊員「隊長が戦死されました!以後ストームチームの指揮下に入ります!」

 

レンジャー8-5隊員《こちらレンジャー8-5!前方橋の下にいる。我々も加勢する!》

 

滝山が前方にある橋の下に通るトンネルに目を向けるとレンジャー8-5の隊員が両手を広げて手を振る。

レンジャー8-5が巨大生物へ向けて突撃を開始し、巨大生物の群に対して前方、後方、右側面からの攻撃を開始した。

だが、突如レンジャー8-5の足元が崩れ、2名の隊員が姿を消した。

残された2名が陥没した場所を見ると、底が見えず暗い穴が作られていた。すると、穴の暗闇から糸が放たれ、2名の隊員を捕らえる。その2名もその穴の中に引きずられ、暗闇の中から悲鳴が聞こえた。

レンジャー8-2隊員「巨大生物が落とし穴を作ったぞ!」

レンジャー8-2隊員「なんて戦術だ!」

レンジャー8-6隊員「滝山隊長!落とし穴の中に蜘蛛型巨大生物を捉えました!攻撃します!」

 

滝山「了解!レンジャー8-5の仇だ!」

8-6の隊員がM203グレネードランチャーを付けたAF-14を構え、穴に向けて2発発射する。

やがて落とし穴の中から爆発音と蜘蛛型巨大生物の悲鳴が聞こえ、それをかき消すように熱風が吐き出された。

隊員「クリア!」

滝山「よし!ポイントαを確保!」

 

司令《総員、ラジオをonにしろ。例の報道が流れているぞ!》

 

アナウンサー《重大な情報が明らかになりました!月面に、フォーリナーのマザーシップが集結しているというのです。先ほどEDFは、この情報が真実であると認めました。EDFはすでにこのことを知っていたのです。私たちは、情報を秘匿していたEDFに、抗議を行っていきますが......。重要なのは世界が再び脅威に晒されるということです!》

 

滝山「リークされたのか」

隊員「されたようですね」

滝山「これからもっと忙しくなるのだろうな......」

 

オハラ《兵士諸君、フォーリナーの襲来と時を合わせるように巨大生物が活動を再開した...フォーリナーと巨大生物は何かしらの影響を与えあっているということだろうか......?》

 

隊員「斥候から連絡!市街地に新たな巨大生物が出現しました!蜘蛛型です!」

滝山「ストームチーム、どうする?市街地には多くのチームが出ているが、後退を続けているらしい」

ストームチームは頷く。

ストームチーム「先の市街地に展開しているチームの援護に向かう!行くぞ!」

滝山&隊員達「「「Sir, yes sir!」」」

ポイントαから住宅街に入る。

まもなく蜘蛛型巨大生物が視界に入りショットガンの銃声が響く。

ストームチームはいつの間にかスティングレイST2に持ち替え、蜘蛛型巨大生物が密集している所を狙っていた。

まもなくレーダー上の自らの周囲の赤点は全て消えた。

レンジャー8-3「あなた達のお陰で助かりました!以後ストームチームの指揮下に入ります!」

ストームチーム「よし次だ!」

滝山&隊員達「「「おおぉぉぉぉ!」」」

またレーダーを頼りに青点の元へ向かう。

そこでは、4名の隊員が大通りで蜘蛛型巨大生物に囲まれていた。

すかさずストームチームのスティングレイから弾頭が現れる。

だが、民家に遮られ、巨大生物には届かないまま爆散。民家は倒壊した。

隊員達が360度から糸を吐かれる。逃れられぬまま地面に拘束された。もう間に合わないと思ったその時、ストームチーム達の頭上を1機のアパッチとキャビン内左右に機関銃を装備したUH-60JA多用途ヘリコプター2機が通過した。

滝山(心)「軍には疎く詳しくは知らないが自衛隊の第1ヘリコプター団の連中らしい」

 

パイロット《こちらハンター02、手を貸すぞ!》

 

無線で応える。

「お願いする!彼らを救おう!」

 

パイロット《機銃掃射を行う!一旦離れていろ!》

 

カウントダウンの後、アパッチに搭載されたM230機関砲が轟音を上げ蜘蛛型巨大生物の群れを襲った。

 

パイロット《あらかた片付いたか。EDFの旦那ら、後は任せたぞー》

 

ストームチーム《了解した》

 

パイロットは歩兵部隊に向かって人差し指と中指をくっつけ、

「頑張れよ」という姿勢をとり、

ヘリコプターの向きを180度変えて去っていった。

それを見送ると、機銃掃射を生き延びた蜘蛛型に追撃した。

機銃掃射を受けて疲弊していたのか、生き残りの装甲は脆く倒しやすくなっていた。

滝山「8-7!大丈夫か!」

8-7隊長「な、なんとか!助けていただきありがとうございます!」

ストームチーム「他のチームは?」

滝山「はっ!レンジャー8-1がこの先で怪我人の手当を。8-4は倉庫付近の大通りに展開中。蜘蛛型巨大生物と交戦中のようです」

ストームチーム「.......8-2、レンジャー8-1の元に向かえ!怪我人をポイントαまで護衛しろ。無事送り届けた後、我々と合流を」

滝山「了解、我が分隊はレンジャー8-1の元に向かいます」

 

フェンサー隊長《こちらフェンサー、現地に到着!住宅街のアパートで待機中です》

 

司令《了解した。ストームチーム、フェンサーと合流しろ!》

 

ストームチーム《待ってくれ。先に交戦中のレンジャー8-4の救援に向かう!》

 

司令《了解。フェンサー、その場で待機しろ》

 

フェンサー隊長《了解!》

 

ストームチームがレンジャーを引き連れてレンジャー8-4のもとへ向かうと、レンジャー8-4の会話が銃声と混合して聴こえてきた。

 

レンジャー8-4隊員A「隊長が戦死して、俺たちも巨大生物に囲まれて全滅を待つだけってか!?」

レンジャー8-4隊員B「死んでたまるか!もうすぐ救援部隊がやってくる!それまで持ちこたえろ!」

2丁のスナイパーライフルが乾いた音を鳴らし巨大生物の頭部を撃ち抜いていく。

レンジャー8-4はスナイパーライフルの扱いに長けた隊員が集まった部隊で、狙撃外の前線でのスナイパーライフルの扱いや立ち回りはレンジャー8中隊の中では群を抜いて好成績であった。じりじりと距離を詰めてくる巨大生物に対して身に近い個体を目で測り撃破、後退を繰り返していた。

 

隊員「8-4だ!うまく後退しながら敵を撃破してる!」

ストームチーム「だが、呑まれるのも時間の問題だ。その前に助けに行くぞ.....よっと」

スティングレイで8-4に近づき側面に回る個体を粉砕していく。

8-4隊員B「来たぞ!救援部隊だ!」

8-4隊員A「た、助かった!救援感謝します!」

ストームチーム「礼は目の前の敵を駆逐してからだ!」

それから横隊になり、近づく巨大生物を返り討ちにしていく。

 

数分の後、片足を引きずるレンジャー8-1の隊員達の肩に手を回し足となっている滝山達レンジャー8-2が建物の隙間から現れる。片手にはM92Fが握られ、近づく巨大生物に発砲、細かながらダメージを与える。そんな滝山を囲うようにショットガンを手にした隊員達が向かってくる巨大生物に応戦している。

滝山「防衛線に敵がなだれ込んでいた。交戦中のようだが、そんなところに連れていけない。本部に回収班を要請したからあと少しの辛抱だ!加勢するぞ!」

レンジャー8-4隊員A「怪我人抱えてる部隊に援護されてたまるか!撃ちまくれぇ!」

レンジャー8-2の介入とストームチームとその傘下の部隊の盛り返しで巨大生物の群は総崩れとなり、脱落者も出さずレーダー上の赤点は全て消滅した。

 

オペレーター《レンジャー8が展開中のエリアの地下に巨大生物多数出現!敵第2波と呼称します》

 

司令《本部よりストームチーム!敵第2波の到着までに、周囲に展開中の全部隊と合流しろ!》

 

ストームチーム《本部、敵の出現予測地はだせるか》

 

司令《今割り出している。到達予想時刻は14時12分》

 

ストームチーム「後3分か....」

 

WD《こちらウイングダイバー、作戦エリアに到着。ポイントαからすぐの橋の手前住宅街側にて待機中》

 

滝山「ストームチーム、怪我人を連れてウイングダイバーの元に辿り着くには時間が足りないのでは?」

ストームチーム「そうだな。よし!取り敢えずフェンサー部隊と合流だ。急ぐぞ!」

兵士達がパタパタと駆け出す。

 

ストームチーム《ウイングダイバー、現在地から見て橋を正面として、川に沿って右に進んでくれ。我々はその橋から右に、商店街の通りにかかる橋に向かう》

 

WD隊長《了解した。すぐに合流地点に向かう》

 

フェンサー隊員「お!来たか」

ストームチーム「肩の赤ペイントは誰だ?」

フェンサー隊員「隊長は......戦死されました」

フェンサー隊員「実は、先ほど巨大生物が倉庫方面に大移動を開始しまして、我々は巨大生物の群の中心に呑まれ、戦闘を余儀なくされました。そして隊長は......以後ストームチームの指揮下に入りま」

ストームチームら一行は、自分達の戦いで知らずに犠牲者を出していたことに後悔した。

 

WD隊長《こちらウイングダイバー!巨大生物は我々のすぐ隣りに出現しました!大群です、どうしますか!?》

 

司令《こちら本部、下手に動くな!ストームチーム達の到着を待て!》

 

WD隊長《りょ、了解!》

 

滝山「急ぎましょう!」

ストームチーム「ああ!行くぞ、付いてこい!」

指揮下隊員達「「「了解!」」」

 

 

【中小商店街】

WD隊長「くそう.....」

咄嗟に商店街の一店舗に身を隠したが、時々巨大生物と目が合いそうになる。

WD隊員「ひぃ!?......隊長、見つかるのも時間の問題です。」

死角になる壁を渡りながら一人の隊員が口を開いた。隊員全員がお店の奥に着くと静かに指でカウントダウンをし、「...ゼロ」の言葉と共に

お店の裏口から出て道路にでるが、足を止めないまま会話を続ける。

WD隊長「そうだな........」

その時、

隊員(自)《砲撃を行います。川付近に展開中の部隊、及びEDFの部隊は離れてください》

突然の自衛隊のFO隊員から通信がはいる。

 

すぐ近くで自衛隊の120mm迫撃砲を牽引した高機動車が道路を走る音が聞こえ、ウイングダイバー達のいる路地裏からその姿を捉えることが出来た。数両の高機動車が停止し、流石な手際で隊員が小銃を手に持ち迫撃砲の発射体制を整える。

 

隊員(自)《半装填!》

 

隊員(自)《半装填良し!》

 

隊員(自)《撃て!》

 

隊員(自)《弾着、今!》

 

迫撃砲の着弾時の轟音が地響きを起こし、体がふらつく。

 

隊長(自)《特科に任せるぞ!》

 

隊員(自)《了解、FH70、射撃準備完了しています》

 

隊員(自)《撃て!》

 

隊員(自)《命中!》

 

そして、敵の攻撃に気づくものの位置を掴めず右往左往している巨大生物をよそに、74式戦車の戦車隊が進出してきた。

数分後、自衛隊の歩兵部隊が橋の隣にある階段を降り、橋の下の影に移動する。

 

萩村(自)《こちら萩村(はぎむら)、橋の下の影に待機中。合図を待つ。送れ》

 

富塚(自)《木部(きべ)班、萩村班、位置につきました。送れ.....おや?》

 

ストームチーム「待ってくれ。我々も戦闘に参加する」

 

WD隊長《本部、ストームチームと合流した》

 

司令《了解した。現地の部隊と共に巨大生物を殲滅せよ》

 

富塚《こちら富塚(とみつか)。全部隊、突撃準備!我々は逆流から。EDFが川の流れのに沿って突撃する。要は挟み撃ちだ。おわり》

 

胸に手を置き、大袈裟な深呼吸をする。

 

富塚「よし、行くぞ......突撃開始!」

 

全員「「「うおおおおおおおお!」」」

 

二方向からの攻撃で、レーダーに映る赤点の集合体はひょうたん型になる。

集った突撃部隊の数もそれなりなので、二方向からの攻撃は瞬く間に巨大生物を駆逐していく。

 

アナウンサー《さらに驚くべき情報です!月面に集結しているマザーシップは10隻とのこと。単純に考えても前回の10倍の戦力です。人類はこの時に備えて様々な準備をしてきました。しかしこれほどの大軍は想定していません。果たしてEDFには対策があるのでしょうか》

 

隊員《なんだと!?》

 

隊員《そんな大軍が今俺達の頭上に控えてるのか!?》

 

突然の報道に、他のエリアに展開している隊員達も聞いていたようで、驚きを隠せずにいるようだ。

滝山「も...もしも地球に降りてきたら、人類は勝てるのか!?」

WD隊長「そんなことより周りをよく見なさい!ここで死んだら何もかも守れなくなるわよ!」

滝山「そっそうだな!(カチッ……カチッ……)くそ!弾切れだ!」

腰のホルスターからM92Fを抜き、蜘蛛型巨大生物に応戦する。

 

隊員「隊長!」

ショットガンの弾薬が尽き、ハンドガン1丁で応戦している滝山に

部下の隊員がホルスターからM92Fを抜き、滝山へ向けて地面に滑らせる。障害もなく滝山の足元に滑っていった。

回転して足に当たったM92Fを拾い上げた。すり減りや不備をコンマ秒で確認し、すぐに巨大生物に照準を合わせた。

胴体への効果的なダメージは期待出来ないので、蜘蛛型の赤く光る目を狙い、敵を足止めするのに徹した。

「キシャアアアァアアアァァ」

隊員「隊長!ナイスです!」

WD隊長「敵がひるんだ!一気に畳み掛けるわよ!」

WD隊員達「「「はい!」」」

だが、巨大生物も頭上から戦士達を襲う。頭上から降り注ぐ糸に絡め取られ犠牲者が出始める。

ウイングダイバーの1名が糸に腕を絡め取られ橋に叩きつけられる。即死だった。

そして出来た屍に蜘蛛型巨大生物が殺到し、後には何も残ら無かった。蜘蛛型巨大生物の頭部が真っ赤な鮮血で色つけされる。

 

それを見た自衛官2名が立ちすくむ。

滝山「おい!側面だ!」

その言葉も届かず、2名とも蜘蛛型巨大生物の牙で胸部から体が二つに分かたれた。

 

搭乗員(自)《戦車隊による砲撃を行う!巻き込まれるなよ!》

 

蜘蛛型巨大生物が展開している車道の向かい側の車道に戦車隊が展開し、砲撃で三拍子を奏でる。

直撃した蜘蛛型巨大生物は1部の部位が刈り取られ、絶命。その周囲にいた蜘蛛型巨大生物も爆風で皮膚を焼かれ、行動を制限させ、下に展開する突撃部隊がとどめを刺す。

 

搭乗員《ああくそ!後ろに回られたぞ!旋回が間に合わない!ああ!糸が車体に絡まりやがる!使い物にならなくなった....こうなったら....》

 

バタンと勢いよくハッチを開けて、9mm拳銃を構えながら顔を出す。

すると目の前にはヨダレを垂らした怪物の顔が視界に広がった。

搭乗員「うわああああああ....!ぁぐ.....」

突如目の前に出現した蜘蛛型巨大生物に恐怖で体を動かすことが出来なかった。そしてそれが命運を分けた。

 

搭乗員《くそっ!退避!退避ー!》

 

退避する戦車隊を追いかけるように蜘蛛型巨大生物がはねた瞬間、その胴体にロケット弾が着弾した。

カメラに目をやると、1人のEDF隊員のもつロケットランチャーから煙が出ていた。

 

橋の下では戦士達が応戦を続けていた。

滝山「敵、残り20!」

木部「旦那!側面だ!」

滝山「なに!?うお....!」

咄嗟に横を向くと蜘蛛型巨大生物の顔がそこにあった。M92Fの15発x2(1マガジン全てx2)を浴びせ、蜘蛛型巨大生物が絶命したのを確認する。

フェンサー隊員A「狙って、突き!狙ってー、突き!」

フェンサー隊員B「馬鹿!前に出すぎだ!」

フェンサー隊員A「なに!?うわぁ!」

振り向きざまに蜘蛛型巨大生物と目があい、咄嗟に槍を作動させてしまった。槍は橋を貫通し、抜けなくなってしまった。そしてそこに付け込また。左右から糸に絡まれ、両腕を拘束された。そして左右からとてつもない力で引っ張られる。その隊員のパワーアーマーの隙間から鮮血が吹き出す。

レンジャーの1名が、ロケットランチャーを撃つ瞬間に腕を噛み砕かれ、発射されたロケット弾はやや上に、橋に直撃した。爆発の衝撃で橋が崩落した。そして、その橋の下に居合わせていた自衛官2名が下敷きとなる。

それから数匹を駆逐すると、一帯に静けさが訪れ、いきなりその場に心地よい静かな風が吹く。

周囲の巨大生物が全て絶命したのを確認した。だが、レーダーにはまだ数ブロック先に赤い点が映っていた。

滝山「敵残り10!」

ストームチーム「そいつらはどこに?」

滝山「レーダーを見る限り.....ポイントαです!」

WD隊長「なに!?我々が行きます!他は負傷者の手当てを!」

ストームチーム「了解した。ウイングダイバーに任せるぞ!レンジャー8-2は負傷者を中小商店通りに運べ。各隊の衛生兵は負傷者の手当にあたれ。フェンサー、進路の確保を。俺は......チッ」

頭上に一匹の蜘蛛型巨大生物が顔を出した。すぐにスラッグショットに持ち替え撃破した。

フェンサー隊員C「よっこらせっと!」

バシュン――!

フェンサー隊の装備する武器は近接武器なのである。その名はブラストホールスピア。カードリッチを使用し、槍を発射。その瞬発力は目で追えないほど速い。それ故威力も高い。装甲車の装甲に軽く風穴を開けられる。

そしてそれを使い橋の残骸を砕き、進路を確保しようとしている。

富塚「萩村班、負傷者を優先しろ。木部班、萩村班を護衛だ」

萩村「了解.....立てるか?」

きべ「周囲に敵なし。商店通りまでは安全だ」

 

WD隊長《こちらウイングダイバー、敵を殲滅した》

 

ストームチーム《了解。よくやった。その場に待機せよ。負傷者をポイントαまで運ぶ》

 

無線を終了すると、一気に疲労が押し寄せた。

はあ....と息を漏らし、まぶたを閉じる。そして地面に横たわった。

蜘蛛型巨大生物の紫色の体液がアーマーの下のスーツに付くだろうが気にしない。

だが、次の瞬間に聴こえた本部の会話で、意識が現実に戻される。

 

戦術士官《総司令部から緊急通信。重大な問題が発生しました。フォーリナーの船団が移動を開始》

 

司令《なんだと!?くそぅ....アジア上空の衛星網が破壊された事で発見が遅れてしまったのか......》

 

戦術士官《月面から地球に向かっています》

 

司令《くそっ、10隻を相手に対策などあるものか!いくらEDFが力を増したとはいえ、一溜りもないぞ!》

 

オペレーター《すでに各地のレーダーが最大出力で稼働中。全サイロオープン。超音速ミサイルテンペスト、発射体制です》

 

戦術士官《赤道のリニアキャノン、起動シークエンスに入っています。大気圏突入時を狙い、マザーシップの撃破を試みます》

 

オペレーター《リニアキャノン発射と同時に、テンペストによる長距離攻撃が開始されます》

 

司令《それでも全ては落としきれない。地獄になるぞ!》

 


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