地球防衛軍 〜地球の守護戦士達〜   作:きぬたにすけ

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06話 地下洞

結城「まさか、また地下に潜る日が来るとはな.....」

葉山「そうだな....だが、行かなきゃならんぞ」

結城「そうですね......行きましょう」

 

田中司令《レンジャー1、その先に地下鉄に繋がる大穴がある。そこから地下鉄に侵入しろ!》

別働隊の隊長《ヘルメットのライトを付けろ!》

2020年に一新されたヘルメットに搭載されたヘッドライトのスイッチをONにする。すると、照明が付かず薄暗かったショッピングセンターの構造が光に照らされ明瞭になった。

 

葉山「さあ、行くぞ!」

結城&隊員達「「「了解!」」」

他の部隊も、同じ建物の別の大穴に向かっているらしく、声が反響して聞こえてくる。

別働隊の隊長「このショッピングセンターの中に、地底への入口があるはずだ!」

 

田中司令《巨大生物を放置すれば、やつらは地下で際限なく増殖し進化する。そうなる前に、撃滅しなければならない!総員、作戦を開始せよ!》

 

隊員「隊長!地底への入口です!」

葉山「よし、進むぞ!」

ショッピングセンターの床に出来た巨大な穴から地下鉄のホーム、地下トンネルと入っていく。

 

田中司令《デプスクロウラーには大型のライトがある。エアレイダーはデプスクロウラーで突入部隊を支援しろ!》

 

地下トンネルを少し進むと、三つの分かれ道にさしかかった。巨大生物の巣への入口である。

 

田中司令《よし、レンジャー1アルファはその先の分かれ道を右へ、レンジャー1ブラボーは左を進め!チャーリー以降は直進せよ》

 

2部隊1チームという編成で

レンジャー1-1とレンジャー1-2のチームはレンジャー1アルファ

レンジャー1-3とレンジャー1-4はレンジャー1ブラボー

レンジャー1-5とレンジャー1-6はレンジャー1チャーリー

となっている。

 

1-3隊長「死ぬんじゃないぞ」

葉山「ああ、そっちもな」

1-1隊長「じゃあな、幸運を祈る」

1-5隊長「じゃあな!皆、前進するぞ!」

そう言って別れると各部隊が直ぐに進行方向に向き直りそれぞれの進行方向を直進し始める。

やがて、巨大生物の巣に入ると、来客を出迎えるように巨大生物が襲いかかってくる。

1-1隊長「迎え撃て!竜兵隊長の仇だ!」

その言葉を皮切りに隊員達は掃射を開始する。

葉山(心)「最初の出動の時、隣で戦っていた隊長の名だ。余程現隊長は慕っていたのだろうか」

地下だからなのか銃声が響く。

次々と巨大生物が銃声に群がってくるので、絶え間ない戦闘にAF-14が熱を帯びる。

 

巨大生物からの反撃も凄まじくこちらも被害が多くなってきていた。

1匹の巨大生物が、天井の照明をもぎ取り、こちらに投げつけてきた。反射神経が鈍い隊員が2名、照明と共に後方に飛ばされる。

1名の隊員が細い鉄骨に吸い込まれるように飛ばされた。

絶叫を上げ、その隊員の胸部から赤に染まった鉄骨が顔を出す。

少しの痙攣の後、力なく全身をだらんとさせ、絶命した。

もう1名は照明と壁に押しつぶされ、大量の血を吐き出した。そしてまもなくこの世を去った。

1-1隊長「俺の部下をよくも!死ねやあああ!」

片手でAF-14を乱射しながら片手の手榴弾を投げその反動で1-1隊長の体が前のめりになる。そんな彼の肩をぐっと後ろに引っ張って危機一髪、巨大生物の噛みつき攻撃を逃れた。

葉山「おい!怒りに身を任せるんじゃない!あんたも死にたいのか!」

葉山の言葉で1-1の隊長は我に返った。

1-1隊長「くそっ!仲間の仇だ!」

我に返った隊長は、少し下がると手榴弾を巨大生物へ投げた。

手榴弾程の小規模の爆発でも、巨大生物にとって狭く巨体が密集する地下鉄の空間には効果的だった。

手榴弾の爆発に数体の巨大生物が巻き込まれ、顔や胴体、足の甲殻が剥がれ落ちる。脆くなった部分に撃ち込み、確実に数を減らしていく、10分も経たずに殲滅し、少し休憩をとると前進を再開する。すると、大きい広間にでた。

だが、天井にライトを当てると、巨大生物がひしめきあっていた。

 

1-3隊長《こちらレンジャー1ブラボー!巨大生物に囲まれた!応援を!》

1-5隊長《こちらレンジャー1チャーリー!蜘蛛型だ!蜘蛛型がいるぞ!奴まで生き残ってやがった!》

 

他の部隊も巨大生物と遭遇したようだ。

 

1-3隊長《気づかれたぞ!撃てぇ!撃てぇ!》

隊員《助けてくれ!糸に巻かれている!》

隊員《こちらレンジャー2アルファ!蜘蛛型の巨大生物と戦闘中!.....はっ!糸だっ!しまった!うわっうわああああ!》

隊員《糸が!とれない!》

隊員《駄目だ!巨大生物は強くなってる!》

隊員《数が多い!倒しきれない!》

 

隊員「たいちょー!蜘蛛型が現れました!」

隊員「!?...糸が来るぞ!避けろ!助けてくれぇ!糸が絡まった!」

糸に巻かれている動けなくなった隊員に巨大生物が群がり、鮮血が舞う。糸が全身をくるんだ隊員は、宙に投げ飛ばされ、空中で巨大生物に口で引き裂かれる。

結城「巨大生物はより狡猾に強敵になってます!隊長!援軍を要請して下さい!」

結城に言われるままにインカムを手で押さえつける。

葉山「分かった!」

地下だからか少々電波が悪いようで、数秒のノイズの後本部との連絡が許された。が、葉山はこの時自分の側面の脅威に気づいていなかった。

 

葉山《こちらレンジャー1アルファ!応援を!.......しまった!、助けろーっ!うわあぁぁぁぁぁぁ!》

 

無線に気を取られ、足を糸にすくわれてしまった。巨大生物が目の前に現れる。口を覆う牙を開閉させて、葉山を捕食しようとしているらしい。が、突如その巨大生物に銃弾が集中し、絶命させた。

突然の事に結城も驚くが、直ぐに葉山のもとに駆けつける。

結城「大丈夫ですか!」

葉山「ああ、すまない。危ないところを助けてもらった」

葉山を救った銃弾が飛んできた方向を見ると、レンジャー1-5とレンジャー1-6のチャーリー部隊がそこにいた。

1-5隊長「我々の進んだ道も、ここに繋がっていた。危なかったな」

葉山「ああ、この借りは一生もんだな」

1-5隊長「帰ったら飲みに行こう。そっちの奢りでな」

葉山「望むところさ」

 

葉山《こちらレンジャー1アルファ、レンジャー1チャーリーと合流。共に進軍を再開します》

田中司令《了解した。その先は更に深部に繋がっていると推測される。だがこちらは予想以上に損耗が激しく、撤退状況は20%と言ったところだ。幸運を祈る》

隊員《助けてくれ!糸に巻かれるーっ!》

隊員《巨大生物の数は予想以上です!撤退の許可を!......おい!しっかりしろ!あいつを助けろ!ああああーっ!》

 

オハラ《なんという事だ.....犠牲者が増えていく!》

 

1-1隊長「撤退した部隊は2割に及ぶのか......だが、我々は巣穴の更に奥へ進む!皆、付いてきてくれ!」

1-1隊長はこのまま下がることは出来ないと命令を下す。

その場の全員「「「了解!」」」

 

隊員《助けてくれーっ!......うっ、うっ、うああぁぁぁぁぁぁ!》

隊員《みんなやられた!》

 

オハラ《また犠牲者が!?なんということだ.......なんということだ......》

 

隊員《こちらレンジャー2ブラボー!レンジャー2-4隊長以下7名が死亡!4名が重症です!自由に動けるのは3名のみです!撤退します!》

田中司令《危険だ!レンジャー3アルファを護衛に行かせる。レンジャー3アルファ、前方にレンジャー2ブラボーがいる。合流し、以後撤退を支援しろ!》

隊員《レンジャー3アルファ、了解!》

 

オハラ《我々の準備は一体なんだったのだ......私は何のために!》

 

田中司令《敗北は許されない。勝たねばならない戦いだ》

 

オハラ《しかし....》

 

田中司令《空軍に支援を要請した。120ミリ砲を搭載した大型攻撃機ホエールが、こちらに向かっている。巨大生物を吹っ飛ばしてやる!》

戦術士官《砲兵隊、要請に応じて出動。自走榴弾砲、自走ロケット砲がこちらに向かっています。到着すれば、砲撃支援が受けられます》

田中司令《よし。戦いはこれからだ!奴らに目にもの見せてやる!》

 

合流を果たしたレンジャー1各隊は進む事に暑くなる地下を縦に並んで進んでいた。

隊員「くそ......被害が大きすぎる。というか、いつからあのオハラって人ネガティブになった?」

結城「そんな事は後だ。作戦指令本部の見解ではここを抜けた先が最深部らしい。気を引き締めろ!」

1-1隊長「女王がいるのか?」

最深部に女王がいるかは通達されなかったため不安が残る。もし遭遇すれば...生きて帰れるか分からないだろう。

葉山「分からない。だが、覚悟を決めなきゃな.....」

隊員「でっかい縦穴の底らしいな」

1-5隊長「じゃあ少し待っててくれ」

一応本部に最深部へ着いたことや他に指示を仰ぐために通信する。

1-5隊長《こちらレンジャー1チャーリー。最深部の前に来てる。どうすればいい?》

田中司令《了解した。レンジャー1チャーリー、現在の戦力は》

1-5隊長《レンジャー1アルファ、レンジャー1チャーリー計23名での突撃が可能です》

田中司令《了解、そのまま進軍せよ。女王がいるかもしれん、慎重に進め》

 

1-1、1-2、1-5、1-6それぞれの隊長が顔を合わせ、決意を固めた面持ちで頷き合う。

?「お待ちを!」

葉山「あなたは、真田中隊長殿!」

真田「我々も同行させてください」

先日の市街地戦で行動を共にしていた真田中隊長とその部下達も合流する。葉山は真田中隊長の部下が少ないことに疑問を抱いた。聞いてみると、

真田「ここに到達するまでに分かれ道が続いたので」

分かれ道にあう度に部隊を分けて進んでいたらしい。

葉山《こちらレンジャー1アルファ、自衛隊特殊作戦群真田中隊長の部隊と合流しました。共に進軍します》

田中司令《了解》

 

1-1隊長「進めーっ!」

1-5隊長「倒れていった仲間のために!」

真田「彼らに続け!我々の命に変えてでも日本を守れ!」

真田傘下の隊員達「「「おおおーっ!」」」

そして最深部と思われる大広間に突撃を開始した。

だが.....

1-1隊長「女王は、いないようだな」

隊員「ただの巨大生物の前哨基地。のようなものだったのでしょうか」

葉山「そうらしい。だが見ろ!奴らすごい数だ」

発煙筒で辺りを照らすと、闇ではない黒で壁が埋め尽くされ、ひしめき合っていた。

真田「地下に、我々の住む世界の下にこんなに息を潜めていたなんて......驚きです.....」

隊員「根絶やしにしてやる!」

 

そして散開しながら広間に入っていく。AF-14による牽制で床の巨大生物は怯みこちらへの攻撃を封じることが出来たが、頭上や壁に張り付く巨大生物の酸攻撃は免れることが出来なかった。

広間の奥に到達するまでにEDF、自衛隊共に2~3人の隊員を失う。

 

突入から既に20分が経過していた。

最深部突入部隊はリュックサックから弾薬の補給を済ますグループ、そのグループを守るように展開する牽制グループをローテーションし絶え間なく迎え撃てるようにし延命していた。

相変わらず銃声が鳴り止まず、マズルフラッシュが辺りを、瞬間的に照らしている。

だが、隊員達の疲労度は限界に達していた。

必要分の補給を済ませ、全員が戦闘に加わる。

散開して歩を進めながら制圧射撃をするが、一向に巨大生物の波は止まらない。それに比例するように隊員達の疲労度も溜まっていく。

そんな鈍くなった隊員を巨大生物は狙い、黒波の中に引きずり込んでいった。

 

そしていよいよ大広間の隅に壁を背に追い詰められてしまった。

1-5隊長「撤退しろ!退路を確保するんだ!」

隊員「やってます!ですが奴ら止まりません!次々に綻びが埋まっていきます!」

巨大生物を殺して一瞬そこに道が出来るも、すぐに巨大生物がその道に立ち塞がる。その綻びを埋める。

1-5隊長「くそ!ここまでなのか!」

隊員「しゅりゅう...ぐあぁぁ!」

1-5隊長「手榴弾だ!下がれ!」

噛み切られ、持ち主の胴体を離れた手が手榴弾を握ったまま1-5の目の前に飛んできたのだ。

1-5隊長「うわあああ!足が!足がぁ!......やめろ....やめろ近づくな!ぎゃあああ!」

手榴弾の爆発に巻き込まれ、片足が吹き飛ぶ。

そこに付け込まれ、巨大生物の餌食となった。

隊員「隊長がやられた!」

結城「くそ!死ねっ!死ねっ!隊長!このままでは全滅です!」

いつの間にか40名ほどに膨れ上がっていた突入部隊は半分ほどになっていた。

突然、自分達が入ってきた入り口からライトの明かりが。縦穴の螺旋階段を登った先の入口から1発のロケット弾が飛んできた。

?「進め!突入部隊を救出しろ!真田中隊長!無事ですか!」

真田「ええ!私は無事です!乱戦で見えませんが、孤立した隊員がいます!彼らを!」

ここへ来るまでに分かれた真田中隊長の部下達の声だった。

隊員(自)「了解!3班はそこの坂を下りながら側面を攻撃!彼らを支援しろ!4班は左翼、5班は右翼に展開!6班を先頭に突撃せよ!」

 

3班が広間の中心の螺旋の坂を下り始め、

突入部隊が入ってきた穴から4、5、6班が凸の形になら巨大生物の狩場に足を踏み入れる。

突然後方に攻撃を加えられ、巨大生物はさながらモーセの奇跡の海が割れる現象のように群れの統率が崩れる。

葉山「援軍だーっ!敵を押し返せ!」

隊員(全)「「「EDF!EDF!」」」

そして、さらに後方に光が現れた。広大な範囲を照らすその光の正体を理解した葉山は、口元が綻んだ。

1-1隊長「デプスクロウラーだぞ!」

葉山「ストームチームか!」

隊員「行くぞ!俺たちのターンだ!敵に思い知らせてやる!」

デプスクロウラーのガトリング砲が、ロケット砲が火を噴く。

たちまち巨大生物は粉々になっていった。

そして......

葉山「殲滅完了だ!」

隊員(全)「「「おおーーっ!」」」

戦いを生き残った者達の喝采が巣穴に響き渡った。

数分後後続部隊が到着し、途中途中、倒れていった仲間達の死体を一体ずつ目に焼き付けながら地上にでた。

 

 

【2日後】

 

結城「なんとか、生き残れましたね」

葉山「そうだな。運が良かったんだ。俺はもうあの時死んだと思ったけどな」

苦笑いでそんなことを言っていた。

そんな中、焦った様子の司令の声が無線に響いた。

田中司令《みんな聞け!我々は巣の巨大生物を駆除した。だが、巣を脱出した個体が複数いる。エリアJ-13の市街地への侵入を許してしまった。付近に展開中の部隊は、至急殲滅に向え!》


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