ということで、外伝のはじまりはじまり。
外伝壱凶目
『キュウキという四凶』
「え?子供の頃?なんでまた?」
今日はいつもの3人は居らず、家事もほとんど終わった昼下がり。
珍しくお客さんが来ていた。もちろん人間じゃない。
「はい!キュウキさんの子供の頃!気になります!」ワクワク
名前を想(シアン)。とある事とで知り合った近くに住んでいる女の子。なんでもとある悪魔が作った薬に魂が宿って生まれた存在らしい。能力は自分の感情を具現化できる事。前に不本意で泣かしちまったら、家の周りが豪雨になって洗濯物が台無しになったのはいい思い出だ。
「まー暇だしなーいいぜー。」
「ありがとうございます!」パァァ
「えーとったしか…あれは…」
今から約数千年前。
神に仕える白い虎の一族がいた。
のちに四神獣の白虎と呼ばれる者達である。
そして、次に神に仕える事となったのは、まだ幼い兄妹だった。
兄はひねくれたところはあるが、妹の面倒見が良い兄として知られていた。しかし嘘を悪い事と認識しておらず、正直者を極端に嫌う問題児でもあった。
妹は兄が何より大切だった。兄が好きだった。兄を愛していた。それ以外の相手にはほとんど口を開いた事は無かった。
最初こそは反対する者達もいたが、神が決めた事は絶対だった。
そして数年後。
兄妹は神に仕え、神の教えを受け成長していった。
人化の術を使えるようになったり、
初めて妹が兄以外の存在に口を開いたりなど様々な事があった。
しかし、この頃から兄は神の教えに疑問を感じるようになっていた。嘘をつく事が、正直者でいない事が本当に悪なのかと。
そしてある日。
妹が人間の世界に行くこととなった。
地上の汚れを払うため、
妹はずっと一緒にいた兄の元を初めて、離れていった。
そのわずか数時間後。
兄は自らが仕えていた神を刺し殺した。
兄は知ってしまった。
自らが仕えていた神が人間達のためになるという理由で生け贄を捧げさせていた事。
それは人間達のためなんかではなく、自らの汚い欲望を満たすためだった事。
妹を人間の世界に行かせたのは、ただ邪魔だったため。
兄は他の神々からの追跡を逃れ、人間の世界に逃げ込んだ。
兄は確信した。
嘘をつく事が悪なのではない。
善人の皮を被り、自らの欲望のために、嘘を利用する事が悪なのだと。
そして正直者を名乗る者は皆そうであると。
そして兄は気づいた。
自らの体が変化しているのを、
白く美しかった肌は青く染まり、
黒と白の二色だった髪の毛は黒と青の髪に、
背中から青く、大きな翼が生えていた。
兄は人間の世界でたくさんの正直者を殺してまわった。
この世界から悪を断つため。
そして自分を貫くために…
いつからか兄は人間達からこう呼ばれるようになった。
′キュウキ,…と
「て、感じかな。」
「思った以上に…重い話でしたね…」ドンヨリ
(なんか…想ちゃんのまわりが曇ってる…)
「まぁ気にすんな!もう昔の話だしさ!」
「それもそうですねー。」アハハ
「ところで、もう外暗くなってきてるぜ?大丈夫か?」
「え?あ!本当ですね!もうこんな時間!遅くまで失礼しました!また遊びに来ますね!」アセアセ
「ああ!いつでもいいぜー!またなー。」
「それでは、さよならー!」スタスタ
「あいつ…彼女いたのか…」←仕事探しから帰ってきたトウコツ。
この後、コントンとトウコツから質問攻めにされる事はこの時のキュウキは知らなかった…
外伝壱凶目 終
感想、お待ちしております。