『四凶と絵』
「「「バウムテスト?」」」
「うん!面白そうだからやってみよ~!」
ある日の事、コントンが人数分の紙とペンを持ってきてそんな提案をしていた。
「バウムテストってアレだろ?木の絵を書いてそれで性格とか精神状態やらを診断するヤツ。」
「まあ、ヒマしているし、やってみようか。」
「オレモ、ヤル!」
~描き中~
「よ~し!皆出来た~?」
「出来たぞ。」
「オレモ!」
「なかなか上手く描けたぜ。」
「じゃ~!私からね~!」
「どんな絵なんだろうな。」
「タブン、カワイイ、エ、ダト、オモウ。」
「はい!これが私の木だよ~!」
そう言って出て来たのは写真かって位にリアルな木の絵だった。
「わーお。」
「上手すぎやしないか?」
「エ?シャシン?」
「えへへ~♪ちょっと張り切り過ぎちゃったかな~?」
「「「そ、そうか。」」」
「ツギハ、オレダ。」
「トウテツかー。下手だろうな。」
「紙が破られていないだけ奇跡だな。」
「トウテツの絵楽しみ~!」
「…オレノ、エ、コレダ。」
トウテツが多少心に傷を負いながらも出したのは、絵本に出て来そうな、木の絵だった。
「かわいい!以外~!」
「あれ?代役頼んだ?」
「それとも本のイラストを切って貼ったか。」
「キュウキ、トウコツ、アトデ、オモテ、デロ。」
「トウテツって絵上手だね~!」
「ソウイッテクレル、コントン、ダケ。」
「さて……私だ。」
「ああ…そうだな。」
「もうやな予感する~。」
「ミギニ、オナジ。」
「…これが私の絵だ。」
トウコツの絵は…驚くほどに可も無く不可も無い普通の絵だった。
「最後、俺だなー。」
「そうだね~。」
「キニナルナ!」
「………そうだな。」
「ふふふ、遂に真打ち登場だな!」
「キュウキくん自信たっぷりだね~!」
「タノシミダ!」
「ああ…そうだな…楽しみだな…。」
「さあ!刮目せよ!これが俺の『木』だ!」
そこには、
木と言うよりただ糸くずが絡まったような絵しか無かった。
「「「………………………え?」」」
「どうした?」
「………木?」
「木。」
「………糸くずじゃなくて~木?」
「うん、木。」
「………ホンキ?」
「本気で、木。」
『『『全然木に見えねぇ。』』』
「いやーこの幹の当たりがうまく描けてるよな!我ながら傑作だと思うぜ!」
『『『自覚無しかよ!』』』
「ところでコントン。バウムテストの結果は?」
「あ~分かんない!よく知らなかったし!」
「結果出せないだろキュウキの場合は。」
「ソウダナ。」
「なんでよ。」
結論、バウムテストは関係無くなってしまった。
そしてキュウキは無自覚で画伯だった。
十凶目 終