転生!アテナの大冒険   作:塚原玖美

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【27】見えないものを斬る…?

ある日の夕暮れ、ある森の近くで戦っていた時のこと。魔王ハドラーが手下のモンスターたちを連れて現れた。

そのハドラーの手下のモンスターの中には、見たことのないモンスターがいくらかいた。

 

「スモーク!ガスト!行け!」

「「「「「「ジョワワワワ!!」」」」」」

 

スモーク、ガストと呼ばれたそのモンスターたちは、襲いかかってくるや、とある呪文を唱えた。

 

「「「マホトーン」」」

 

アバンとアテナが見事にマホトーンの罠にかかり、呪文を使えなくなってしまった。

 

アバンはそれでもと剣で応戦したが、捉えられない。とにかく剣で振り払いながら後ずさる。

アバンの元にすかさず駆け寄り、モンスターたちを一掃するマトリフ。

 

「メラゾーマ!」

「「ギョエーーー!!」」

 

燃え残ったガストがアテナに襲いかかった、まさにその時。

 

「やぁっ!」

 

アテナはガストを剣で斬って退治した。

 

「剣で…!?」

 

アバンとロカが驚いていると、まだ残っていたスモークがアバンに襲いかかった。

 

「アバン、危ない!!」

 

駆け寄ったアテナによって次々と斬られるスモークたち。

我に返ったアバンとロカは、とりあえず敵を倒すべく、自分の倒せるモンスターを退治していった。

残る敵がハドラーだけになった時は、ハドラーとレイラは魔法力を使いきっていた。

 

「必ずまた会おう」

 

そう言ってハドラーはキメラの翼を使って去って行った。

 

全員がその場にへたり込み、特にマホトーンで呪文を封じられてしまったアバンとアテナは深く反省した。

その時、アテナに掴みかかった者がいた。

ロカだ。

 

「アテナ、さっきのスモークやガスト、どうやって斬ったんだ!?」

 

あまりの剣幕に、レイラが割って入る。

 

「ロカ!女の子に掴みかかるなんて!」

「ああ、すまん。つい…」

 

アバンも思うところがあったらしい。

 

「あれはどういう理屈なんですか?ぜひ教えていただきたいのですが…」

「…わかった。でも、このまま続行するのは無茶だよ。一晩休んでからにしよう」

 

誰もが納得したところで、町に戻り宿を取った。

 

「説明だけでも先に聞いておきたいのですが…」

 

アバンは珍しく焦っているようだった。

食事中にもかかわらず、説明を求めてきたのだから。

 

「夜中に無茶しないでよ!?」

「もちろんです」

 

しばらくにらめっこした上で、アバンが目を逸らさなかったので、アテナは話すことにした。

 

「闘気だよ」

「闘気!?」

「うん、闘気ってね、誰でも持ってるものなんだ。城の兵士たちが訓練していた時に、目を閉じて観察してみたんだけど、ちゃんと感じるものなんだ。」

「目を閉じて感じる…」

「うん、だから、その闘気をめがけて、自分の闘気を込めた剣をぶつければ、倒せるんだよ」

「なるほど」

 

しばらく考えたアバンは、ロカに向かって提案した。

 

「ロカ、明日から、しばらく特訓に付き合って下さい。」

「あん?かまわねぇが…どうやって特訓するんだ?」

「目隠しをして戦うんですよ」

「目隠しぃ?…なるほどな、目に頼らないで敵を見るって事か。よし、付き合うぜ」

 

話は決まった。

アテナは、瞑想しながらアバンとロカの訓練を監督する役割を、マトリフとレイラは魔法力の強化を、という予定が組まれた。

 

翌日は早朝から訓練が始まった。何しろアバンとロカのやる気がすごかった。

朝食を食べる前から訓練を開始した。

アテナは眠い目をこすって、それを眺めていた。

 

「こんなに朝早くから…やる気があるのは良いことだぜ」

 

とマトリフが言えば、

 

「でも、ちょっと朝早すぎない?アテナが可哀想だわ」

 

とレイラがぼやく。

それでもマトリフは意見を変えない。

 

「何言ってんだ。朝早かろうが夜遅かろうが、敵が来たら戦わなきゃなんねぇぜ」

「だからこそ、休める時は休んでおかないと…成長を妨げるわ!」

 

意地になって言い返すレイラに、マトリフはニヤニヤしながら言った。

 

「成長ねぇ。しっかり母親になってんじゃねぇか、レイラ」

 

話を逸らされたレイラは憤慨した様子を見せたが、2人もトレーニングを開始した。

 




どうでも良い余談ですが、物語の初め、転生する前、コンビニにパートに通っていたという記述がありますが、実際に私は当時コンビニに勤務していまして、その店は昨年閉店致しました。

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