ある日の夕暮れ、ある森の近くで戦っていた時のこと。魔王ハドラーが手下のモンスターたちを連れて現れた。
そのハドラーの手下のモンスターの中には、見たことのないモンスターがいくらかいた。
「スモーク!ガスト!行け!」
「「「「「「ジョワワワワ!!」」」」」」
スモーク、ガストと呼ばれたそのモンスターたちは、襲いかかってくるや、とある呪文を唱えた。
「「「マホトーン」」」
アバンとアテナが見事にマホトーンの罠にかかり、呪文を使えなくなってしまった。
アバンはそれでもと剣で応戦したが、捉えられない。とにかく剣で振り払いながら後ずさる。
アバンの元にすかさず駆け寄り、モンスターたちを一掃するマトリフ。
「メラゾーマ!」
「「ギョエーーー!!」」
燃え残ったガストがアテナに襲いかかった、まさにその時。
「やぁっ!」
アテナはガストを剣で斬って退治した。
「剣で…!?」
アバンとロカが驚いていると、まだ残っていたスモークがアバンに襲いかかった。
「アバン、危ない!!」
駆け寄ったアテナによって次々と斬られるスモークたち。
我に返ったアバンとロカは、とりあえず敵を倒すべく、自分の倒せるモンスターを退治していった。
残る敵がハドラーだけになった時は、ハドラーとレイラは魔法力を使いきっていた。
「必ずまた会おう」
そう言ってハドラーはキメラの翼を使って去って行った。
全員がその場にへたり込み、特にマホトーンで呪文を封じられてしまったアバンとアテナは深く反省した。
その時、アテナに掴みかかった者がいた。
ロカだ。
「アテナ、さっきのスモークやガスト、どうやって斬ったんだ!?」
あまりの剣幕に、レイラが割って入る。
「ロカ!女の子に掴みかかるなんて!」
「ああ、すまん。つい…」
アバンも思うところがあったらしい。
「あれはどういう理屈なんですか?ぜひ教えていただきたいのですが…」
「…わかった。でも、このまま続行するのは無茶だよ。一晩休んでからにしよう」
誰もが納得したところで、町に戻り宿を取った。
「説明だけでも先に聞いておきたいのですが…」
アバンは珍しく焦っているようだった。
食事中にもかかわらず、説明を求めてきたのだから。
「夜中に無茶しないでよ!?」
「もちろんです」
しばらくにらめっこした上で、アバンが目を逸らさなかったので、アテナは話すことにした。
「闘気だよ」
「闘気!?」
「うん、闘気ってね、誰でも持ってるものなんだ。城の兵士たちが訓練していた時に、目を閉じて観察してみたんだけど、ちゃんと感じるものなんだ。」
「目を閉じて感じる…」
「うん、だから、その闘気をめがけて、自分の闘気を込めた剣をぶつければ、倒せるんだよ」
「なるほど」
しばらく考えたアバンは、ロカに向かって提案した。
「ロカ、明日から、しばらく特訓に付き合って下さい。」
「あん?かまわねぇが…どうやって特訓するんだ?」
「目隠しをして戦うんですよ」
「目隠しぃ?…なるほどな、目に頼らないで敵を見るって事か。よし、付き合うぜ」
話は決まった。
アテナは、瞑想しながらアバンとロカの訓練を監督する役割を、マトリフとレイラは魔法力の強化を、という予定が組まれた。
翌日は早朝から訓練が始まった。何しろアバンとロカのやる気がすごかった。
朝食を食べる前から訓練を開始した。
アテナは眠い目をこすって、それを眺めていた。
「こんなに朝早くから…やる気があるのは良いことだぜ」
とマトリフが言えば、
「でも、ちょっと朝早すぎない?アテナが可哀想だわ」
とレイラがぼやく。
それでもマトリフは意見を変えない。
「何言ってんだ。朝早かろうが夜遅かろうが、敵が来たら戦わなきゃなんねぇぜ」
「だからこそ、休める時は休んでおかないと…成長を妨げるわ!」
意地になって言い返すレイラに、マトリフはニヤニヤしながら言った。
「成長ねぇ。しっかり母親になってんじゃねぇか、レイラ」
話を逸らされたレイラは憤慨した様子を見せたが、2人もトレーニングを開始した。
どうでも良い余談ですが、物語の初め、転生する前、コンビニにパートに通っていたという記述がありますが、実際に私は当時コンビニに勤務していまして、その店は昨年閉店致しました。