白猫あうあう物語   作:天野菊乃

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……あの、恥ずかしながら帰ってきました、はい。
8周年に間に合わせたかったんですけどね、忙しくて。
闇の王討伐ら辺までやれたらなと思ったりはしてます。
あと多分、ワールドエンドの書き直したいので、何話かお話消します。


見知らぬ孤島で敵意を向けられる

 しばらく歩くと開けた場所に出た。

 進んだ先にはキャトラは居らず「あのクソ猫……」と呟くアキト。

 そんな中、扉が開く音が耳に入った。金色の長い髪に、どこか物憂げな風貌。必要最低限の防具を身につけた長身の青年が、建物の中から現れた。

 エレサール。一時的に敵対するも、基本的には温厚なエルフだと記憶している。

 アイリスは小さく手を握ると、エレサールの方へゆっくりと近づく。

 

「あのー」

「……お前は!」

 

 こちらを見るなり、異様に敵視するエレサール。

 手にはよく研がれた短剣を握り、低く腰を落としたエルフの青年が鋭い視線でいつでも戦闘態勢に入れるよう警戒していた。

 咄嗟に両手を上げて敵対の意思がないことを告げるも、エレサールは警戒を解こうとしない。

 と、そこでエレサールの視線が自分ではなく第三者に向けられていることに気づく。自分にではなく、数メートル後方にいるアキトに向けられているような……

 

「……誰だ?」

 

 剣を構えようともせず、腕を組んだままエレサールを見下すアキト。身長は明らかにエレサールの方が大きいのだが、アキトから発せられる異様なオーラがそれを上回っていた。

 

「……忘れたとは言わせないぞ!!かつてこの島に訪れた際、俺たちを攻撃したお前の顔を……!!」

「人違いだ」

「いや、間違いない!その赤髪、その人を見下す態度!!お前以外に誰がいる!!!!」

 

 その言葉にアイリスはゆっくりと後退りしながら、アキトの方に近づく。幸いにもエレサールはアイリスに危害を加えるつもりは無いのか、それともアキトのテリトリーに踏み入れたくないのか、アイリスを捕らえようとはしなかった。

 

「……あの、アキト。あの人たちに何をしたの?」

「知るか」

「知るかって……!!」

「お前は星たぬきの判別のつかない顔を一々覚えるのか?」

 

 どうやら、アキトにとって彼らは星たぬきと同程度らしい。

 アイリスは額に手を当てながら、どうしてこんな人を好きになってしまったのだろうと今更ながら後悔する。

 そんな彼女を見てアキトは小さく息を吐いてから、だが、と続ける。

 

「なんてな、冗談だ。戦った奴の顔くらいは覚えているさ。それも、人型なら尚更な。少なくともエルフと戦ったことは一度もない」

「……それは、本当?」

「ああ。最も、遺跡で目覚める前のことは知らないがな。それでも誰から構わず喧嘩を売るような人間では無いはずだ」

 

 黒の剣を引き抜きながらアキトはエレサールを見やる。

 そんなアキトを見て、エレサールは眉を顰め、声を荒らげた。

 

「貴様……!なぜ槍を使わない!」

 

 アキトは黒の剣を構えてから首を傾げた。

 

「俺は元々剣一筋だ」

 

 そこでアイリスは確信する。本当に彼らを襲ったのはアキトでは無いのだと。

 しかし、何を血迷ったのか、アキトは黒の剣を地面に突き刺してから、右肩を回す。そして、とんでもないことを口にした。

 

「まあそうだな。今回はこれ抜きで戦ってやる」

 

 腕を組み、しかし、隙は一切見せない。エレサールとアキトの間に不気味な空気が流れる。一触即発。正にいつ戦いが始まってもおかしくなかった。

 ───先に動いたのはエレサールだった。

 風切り音と共に現れ、閃光の如き速度で振るわれた短剣を、アキトはそれを上回る反応速度で受け流した。

 

「なんだと!?」

 

 そのままエレサールの腕を左手でロックし、そのまま右肘で顔面目掛けてエルボー。

 咄嗟に顔を逸らして避けようとするも、僅かにアキトの右肘がエレサールの顎を掠める。戦慄の表情を浮かべるエレサールだったが、そこで終わらなかった。

 回避運動に集中していたためか、アキトの次の攻撃に気づかなかったのだ。

 

「こいつは効くぞ」

 

 アキトの前蹴りがエレサールの鳩尾に突き刺さり、さらに体勢を崩す。そして、トドメと言わんばかりにエレサールの背中にダブルスレッジハンマー。この時、僅かに魔力が込められているのをアイリスは見逃さなかった。

 完全に殺しにかかっている。アイリスはそんなアキトを見て冷や汗を垂らした。

 原作にない展開。そこまでは今まで通りだ。しかし、これはあまりにも乖離し過ぎている。

 このまま行くと、仲間になるどころかエレサールだった屍がこの場に生まれかねない。

 アイリスの心配を他所に微動だにしないエレサールの長髪を掴むと、アキトはゆっくりと持ち上げながら言った。

 

「少しは人の話を聞く気になったか?」

「貴様……!」

「このまま戦ってもいいが、死ぬぞ。正直な話、俺は意思疎通ができる人間を殺すことは好まん」

 

 ───その割にはカイルさんを斬ろうとしてましたよね、という言葉は胸の奥にしまっておく。

 

「俺と会話するのも嫌だろう?そこのアイリスは俺と違って温厚だ、あいつから話を聞け」

「……!」

「それに、お前は近接型でなく遠距離型だろ。筋肉の付き方を見れば分かる」

 

 エレサールの拘束を解き、その際に肩の関節を外すのを忘れずに、アイリスの目前に投げ飛ばすアキト。黒の剣を地面から引き抜き、エレサールとアイリスの方を見やると、首を軽く回した。

 

「何をしている。早く話せ」

 

 どこまでも傍若無人かつ、悪魔のような男であった。




Q.NEWWORLDはやってるの?

A.更新されればやってます。正直、NEWWORLDは書かなくていいかなと思ってます

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