年末に備えてR18二次創作書いたりGuilty Bulletの更新したりデータが吹き飛んだりと散々なことが起きた一年。
結果、体が耐えられなくなりついに倒れました。皆様は体を大事にしましょう。
たまにはこう言う息抜き投稿もいいですね。何も考えずにキーボードを打つのは楽しいです。なので文脈とかは変です。
シャララランラン。クリスマス。
銀髪の少女、アイリスは強ばった面持ちで机に置かれた大量の料理とにらめっこしていた。
今日は年に一度のクリスマスで、アイリスが一年のうちで楽しみにしている行事のうちの一つである。ちなみに、一番はお正月である。
愛する人のために料理を振る舞う、というのは常にやっていることではあるがクリスマスとなるとやる気がさらに満ち溢れてくる。
結果、料理を作りすぎてしまい、気づいた時にはもう既に遅かった。
「……あう、どうしてこうなるんですか……」
最近なりを潜めていたドジっ娘がこんな所で発動するとは思いもしなかったアイリスは、頭を抱えながら蹲っていた。
「あう……ど、どうすれば」
───すべて食べて事なきを得るか。
無理である。アイリスは少食なので、これだけの量の料理を一気に食べれば間違いなく、綺麗なお花畑を背景にしばらくお待ちくださいの文字が流れることになるだろう。
───それならすべて燃やして事なきを得るか。
それはアイリスが尊敬する自身の祖母との約束を破ることになるので、その考えを直ぐに捨てる。
「何してるのですか?」
アイリスの頭上から今最も聞きたくない声が聞こえてきた。
アイリスは顔をゆっくりと上げて、嫌そうな顔を浮かべた。
サファイアブルーの綺麗な髪に、ルビーのように紅い双眸。陶磁のように白い肌にはシミひとつなく、その均整の取れた体の上からチャイナ服を身に纏った少女。
「……ノアさん」
「……私の顔を見るなりそういう表情を浮かべるの早めて欲しいのです」
いずれ語ることになるであろう、彼女もまた異世界転生者である。
本名はチノと言うらしいが、それはまたいずれかの機会に語るものとする。
「とりあえずコーヒーでも飲んで落ち着きましょう」
「……あう」
「……現実逃避したくなる気持ちもわかりますし」
何か、聞き捨てならない言葉を聞いたような気がした。
「……どういう意味?」
「いえ……私も……その……」
ノアは視線を泳がせた後、諦めたように息を吐くとワゴンを三つ持ってきた。
そこには様々なケーキが載せられており、その数は十数個を超える。
「……」
「……ネモのことを考えていたら、腕が止まらなくなったのです」
仕方がないことなのです、とボヤくノアの頭をアイリスは鷲掴みすると、声にならない声で叫んだ。
「なんであなたはこう面倒事を持ってくるんですかぁ!だから嫌いなんですよ!!ノアさんのこと!!」
「私だって悪気があるわけじゃないんですよ!!アイリスだって人のこと言えないじゃないですか!!」
「あ!人が気にしてることを!!」
いがみ合っていたアイリスとノアだったが、しばらくして頭を抱えた。
「「この量の料理どうすればいいのでしょう……」」
しばらく悩んだ末、アイリスは手をポンと叩いた。
「……ルウシェさんに、相談しましょう」
✧
「───ということがありまして……」
「あ、あはは……そ、それは災難でしたね」
冷や汗を垂らしながらルウシェは言う。無理もないだろう。
「あ、アイリスだ」
背後に大量のピザを積んだ赤髪の少女ことキアラ。話を聞かなくてもわかる、レクトを考えていた結果だろう。
「やっほー、アイリスー!」
チェリーパイを大量に詰め込んだ箱を背後に置くシエラ。その背後に控えるフレイヤはやれやれと言わんばかりに首を振っている。どうやら作りすぎたのだろう。
「……やっぱりこうなっちゃったかー」
苦笑いを浮かべながら笑うティナ。どうやら、最初からこうなることは予想出来ていたらしい。
「いや、シエラさんはただのおすそ分けだと思うんですよ。でも、アイリスたちのは───」
背後に聳える巨大な調理済みの食材の山。ため息をついてからティナは言う。
「ただの馬鹿、かな」
「あ、愛する人のために作るのが何が悪いんですか!」
「珍しくアイリスと意見があったのです」
「レクトくんに沢山食べてもらいたかった」
ギャーギャー喚く少女三人。ティナとルウシェはどうしようかと首を傾げたその時だった。
「あ、あのー」
部屋の端で控えていたエレノアがおずおずと手を上げた。
「エレノア、なにかしら」
殺気立っているアイリスに若干脅えながらも、エレノアは口を開いた。
「飛行島のみんなを集めて、クリスマスパーティ……というのは?」
エレノアの言葉に部屋がシンとなる。エレノアはどぎまぎしながらいかがでしょうかと呟く。
そこからの行動は早かった。
アイリスが島中の限られた人間に急遽パーティを行うことを告知。時間は夕方からを指定。それまでに料理の鮮度を保つ魔法をすべての食材にかけておき、腐敗を防ぐ。
そして、時間になった。
もし来なければこの量の食材をアイリスたちがすべて食すことになる。アイリスは自分のカリスマ性を信じて待つこと数分。
島中の人間が一斉に集まってきた。
「どうしてこんなっ!?」
アイリスはここでまた自分がドジをやらかしたかと思うが違う。耳を凝らせば、「光の王が料理を振る舞ってくれる」という曲解した情報が伝わっていたのだ。
足りるだろうか。思わず後ろを振り返る。そして、アイリスは頬を引き攣らせた。
さっきよりも量が増えている。ふと、ルウシェとティナの方を見ると二人はあらぬ方向を向いていた。どうやら、彼女たちも料理を作りすぎてしまったようだ。
「……ル、ルウシェさん!」
「ごめんなさーい!」
夕暮れ時の空の下、アイリスの声とルウシェの声が木霊した。
パーティも終焉に近づきつつあった。
アイリスはアキトを探すべく湖畔へとやってきていた。
「……アキト?」
「……アイリス?」
「やっぱりここにいた」
寝そべっていたアキトは眠気眼を薄く開くと、また目を閉じた。
「疲れたの?」
「いきなりスピーチしろとか言われれば誰だってそうなるだろ」
言われて、あうっと情けない声を上げるアイリス。
「隣、座るね」
「……ああ」
ぶっきらぼうに答えるアキトを横目にアイリスは夜空を見上げた。
「月が綺麗だね」
「……確かにな。悪くない」
「そういう時は、君の方が綺麗だよって言うの」
「……そういうもんか」
「そういうもの」
「……。…………。………………。はあ。アイリス、君の方が綺麗、だ」
疲れた様子でアキトが言う。
タルタロスの一件以降、アキトは変わった。
色んなことに積極的になり、かなり優しくなった。あのままのアキトでもアイリスは愛していたが、今のアキトでもアイリスは愛している。
「アキト」
「なんだ」
「ありがとうね」
「……俺は何もしていない」
「知ってるよ。パーティのこと、みんなに広めたの、アキトなんでしょう?」
「……さあな!」
アキトは僅かに赤くなった顔を隠すように立ち上がった。
「酒でも飲んでくる!」
アキトはそう言って広場へと足を運ぶ。
「アキト!」
そこでアキトは足を止めて、振り返る。瞬間、アキトとアイリスの唇が重なった。アイリスは小さく微笑んでからウィンクをすると
「───ありがとう。アキト。メリークリスマス」
アイリスはアキトの呆けた顔を見て、そう言った。
ノアさんも実は転生者だったんだよ!
な、なんだってー!
名前は最近見た心がぴょんぴょんしそうなキャラクターから取りました。
名前は香風チノという名前です。心がぴょんぴょんしそうですね。
前世は中学生でカフェの一人娘でした。やっぱり心がぴょんぴょんしますね。
難民キャンプはルルイエにあります。SAN値を減らしに行きましょう。