白猫あうあう物語   作:天野菊乃

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連続投稿。秋休み中なので投稿していこうかと。


遺跡探検 その6

「ここが最深部みたいだな」

「ああ」

 

とうとう奥まで来てしまいました。

……途中でカイルさんが錆びた剣を手に入れたんですよ。あれ、どうするんですかね。あんな武器役に立ちそうもないのですが。

 

「……開けるぞ」

 

アキトくんが目の前にある巨大な扉を───蹴り開けます。

 

「おい!」

「……うるさいぞ金髪」

「開けたって……限度ってもんがあるだろ!?」

 

カイルさんが悲鳴じみた声を上げる。確かに、ここの島のボスの扉を蹴って開けるとか有り得ませんね。

 

「……!何かいる!」

 

アキトくんが、瞬時に臨戦態勢に入る。凄まじいほどの殺気。ドラゴンからではなく……アキトくんから。

……ねえ、この人、ラスボスじゃないよね?大丈夫だよね?

 

『ぐぁぁぁぁ!!』

 

禍々しいオーラを放つドラゴンが私たちの目の前に立ち塞がる!

 

「……勝てる、か?」

 

とカイルさん。

 

「に、逃げるのよ!」

 

とキャトラ。

 

「ほう……」

 

とアキトくん。何楽しそうにしてるんですか。

 

「…………って、なんで咆哮だけで杖が折れるの!?」

 

折れた。折れたのである。咆哮だけで折れた。

 

「…ぁぁ!!」

 

ドラゴンは口に何かをチャージ。

ブレスですね。

私は横に逃げる!

 

「……ファイアブレスか」

 

アキトくんはチュートリアルブレイドを持ってドラゴンに近づく。

 

『きしゃぁぁ!!』

 

ブレスを発射した!

 

アキトくんは口角を上げると剣を前方に突き出して更にスピードを上げる。

 

……()()()()()()()()()

 

「「はぁ!?」」

 

カイルさんとキャトラは素っ頓狂な声を上げる。私は絶句ですよ。カウンターするかと思ったらブレスを突っ切って切り裂いていくとは……頭が可笑しい。

 

「バスター……」

 

アキトくんは剣に力を込める。

どうやら決めるらしい。

 

「ブレイド!」

 

腕に向かって思いっきり剣を薙いだ。

 

……だが。

 

『がぁぁ!!』

「なに?」

 

腕に切れ込みは入りはしましたが……あくまでそれだけ。

アキトくんは驚愕に目を見開く。

ドラゴンの頭突き!アキトくんは吹き飛ぶ!

 

「……ちっ!」

 

アキトくんは空中で三回転するほど地面へ着地した。

どんな身体能力してるんですか。

アキトくんはドラゴンを睨みつけると私たちに向けてこう言い放った。

 

「───アイリス、カイル。数分でいい。標的になれ」

「はぁ!?」

「ア、アキト!?何言ってるの!?」

「時間が無い。散れ!」

 

私とカイルさんは散ります。ドラゴンのターゲットは……カイルさん。どうやら私ではなかったようです。

 

「今回の旅はついてねえなぁ!おい!!」

 

Don't mind.

私からはこれしか言えません。

 

「あーちくしょう!」

 

カイルさんのスキル発動!空中に飛躍し、刺突の雨がドラゴンを襲う!

そして咆哮で吹き飛ばされるカイルさん!

何やってるんですか!?

 

「悪い!ミスった!!」

 

ミスらないでくださいよ!!

って今度は私がターゲットですか!?

今杖持ってないんですよ私!?

 

「わわわ!」

 

私は必死で走り回りますが、ドラゴンの咆哮で転んでしまいます。

やっぱりついてないじゃないですか!もう嫌だぁ!

そう思って目の前を見るとカイルさんがいつの間にか手放したのか、先ほどカイルさんが宝箱から入手した錆びた剣が。

 

「……こういう時になんで杖がないの」

 

溜息しか出ませんよ。本当に。

でも……ないよりはマシです。

私がその錆びた剣を掴むと

 

 

 

 

 

 

 

───辺りが光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは?」

 

白い空間でした。

あれ、私死んだんですか?

 

「違うわ」

 

堀江由衣VOiCE。振り向けば、アイリス様が……ってアイリス様?

 

「アイリスさま!?」

「あなたもアイリスよ?」

 

アイリス様はクスクスと笑います。

そういえば色々と違う点がありますね。髪の毛とか服とか雰囲気とか。全体的に神々しい?

 

「ア、アイリス様はなぜここに?」

「だからあなたもアイリス……まあいいわ。あなたは私の武器を触ったの」

 

アイリス様の武器?私そんなのいつ触りましたっけ。

 

「今あなたが持っている錆びた剣よ」

「えっ、これなんですか!?」

 

どう考えても切れ味の悪い巫山戯た剣ですよねこれ!?

 

「なかなかの言われようね」

「ご、ごめんなさい!」

「いいわよ、事実だしね」

 

……あれぇ、アイリス様ってこんなキャラだっけ。

 

「これは……かつての私が使っていた武器なの……名はレクス・ルクース」

 

まあ随分と神々しい名前で。

 

「貴女は……いえ。新しい時代のアイリス。この剣を使って……闇を───」

 

再び私の目の前が光り輝く───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!アイリス!!」

 

カイルがそう叫ぶ。目前までドラゴンが迫っていたからだ。だが

 

「たぁ!」

 

ドラゴンの腕が───

 

『ぐぁぁぁ!!?』

「……なに?」

 

───切り落とされたのだ。アキトの剣ですら傷一つ付けるのが限界だったあの腕を。

 

「……私を、甘く見ない事ね」

 

カイルが声の主を見ると。

 

 

 

 

 

 

───左手に光り輝く剣を持ち、服装が多少変わったアイリスが立っていた。




アイリスさま……覚醒しませんよ。一時的です。
この作品の根幹は『イチャイチャラbあ、なにするやめ……』


アイリスさまに邪魔されました。

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