『よう、久しぶりだな』
「……はい?」
誰ですか貴方……。明らかに悪!と言った感じの霧が辺りを漂ってます。
『あ?覚えてねえのか?』
霧から怒りにも似た声が聞こえます。
「知らない」
だって本当に知りませんもん。
『てめぇ……!』
「殴ります?殴りますか?霧の分際で私を殴りますか?」
『……こんな性格だったか?こいつ』
私は元からこんな性格ですが何か?
「どうせ、ミミックなんて汚い手を使わなきゃどうせ貴方は私には干渉出来ないのでしょう?なら……私はアキトを待ちます」
『……はっ!言ってくれるな!!……っておい待て。アキト……だと?』
その様子だとアキトくんを知っているようですね。
『あいつまで……復活してんのか!?俺が最後の力を振り絞ってまで封印した筈なのにか!?まさか……自力で!?』
……何言ってるんですか、この人。梨花ぁ!この人(霧です)怖いのですよー!!あうあうあう!!
言いたかっただけかのです。後悔はないのです。
『畜生……いっそのこと殺しておきゃ……無理か』
さっきから急に回想に入ってるんですがこの霧。
今の内に逃げますかね……扉がないのです!!
……アキトくん、ここを見つけるまで待つしか無さそうです……。
『畜生!こうなったら奥に眠っている
そう言って消えていく霧。あ、扉見えました。
今の内に逃げましょう。
音を立てず、ゆっくりと扉へ向かおうとすると……
「……あう?」
足が何かに絡まれている感じがしました。
下を見るとピンクの蔦みたいなものが。
いや、待ってください。これ蔦じゃないですよ。粘液ベタベタですよ。これ多分舌ですよ!?
「あう!?」
気づいた時にはもう遅し。私は宙吊りになる。スカートが翻る───
───のはなんとか防いで手で抑えますが後ろ隠れてる気がしません。まあスカートはそこそこ長いので見えることはないとは思いますが……
「……き、気持ち悪い」
ミミックからたくさんの触手みたいなものが出てくる。足に絡みつきお腹に絡みつき、胸に絡みつく。変なゴツゴツしたものが気持ち悪い。
なんで私はこんなににも人外モンスターから好かれるんですかぁ!!前はコボルトにも欲情されましたし!!
呪いですか!?これは呪いなんですか!!?
「でも……毎度毎度同じ展開には……!ならない!!」
ミミックの触手を絡みつかれていない自由な手で燃やす。その際、少し服が焼けて胸と脚が少し露出しましたが……今はそんなこと気にしている暇はありません。
「私だって!一人で戦える!」
そう言って魔法で杖の先から刃のような形を作る。長さは私の身長の半分ほど。それでも杖の長さで大分リーチは稼げている。
ミミックは私を睨むと突進してくる。
「遅いわ!」
ミミックの突進を避け、刃でミミックを攻撃。少し少しジリジリと攻撃を仕掛けていく。そしてミミックの動きが鈍くなった瞬間。私は勝利を確信した
「はっ!」
『ピギィ!』
……筈だった。
ミミックはぎこちない動作で避けると口からなにかを出します。それが私の服に当たると……
「えっ!?」
胸元の服が少し溶けました……ってちょっと待ってください。これまともに動いたら見えちゃう……!
『キシャァァ!!』
そう言って口から服溶解唾(命名)を沢山口から出してくるミミック。
肌に当たっても何も無いくせに服に当たると溶ける。なんですかそのエロゲ展開。というかちょっと待ってください。もう下の下着見えそうだし上に関しては危ないのですが……!もう見えちゃ行けないところまで見えますよ!?お嫁に行けなくなるんですが!?
「……もう知らない!!」
バーンナップを発動。元々ボロボロだったミミックは一瞬で倒すことが出来ました。
……出来たのですが、私の服……ボロボロなんですよね……。脚のラインとか見えてますし、胸も抑えてないと見えちゃうし。
スカートを一部分破り、胸に巻き付けてなんとか代用。一応、これでしばらくはなんとなりそうです。
……それにしても。
「ここどこ?」
絶賛迷子中です。あうあう……
アイリスさま初勝利。乙女の色々なものを代償にして。