「……むにゃ?」
爽やかな眠りから覚めた私はお腹の上に心地のよい温かみを感じた。顔を上げて確認するとそこには白猫が。
十中八九、キャトラである。
「……キャトラ、起きて」
「……あと30分」
「髭引っこ抜くよ?」
「おはようアイリス!今日もいい天気ね!!」
流石猫。髭は苦手なようです。
「さて、今日も一日頑張るぞい!」
髪を結びポニーテールにして、お弁当の制作に入ります。
「キャトラー?お弁当どうするー?」
「私はいいわ!」
「アキトから奪うなんてことしないでね?したら……」
「わかった!わかったわよぉ!!」
ジトーとした目を向けたらキャトラは悲鳴のような声で叫びます。
……前世でもこの目を向けたら友達から怖がられてたなぁ。この世界でも有効なんですね。
「さて、何を作ろうかな」
サンドイッチでもいいのだけれど、こう、少し凝ったものも作りたい。かと言って朝からそんなに多く食べるわけにもいかない。どうしましょう。
「……あ、そうだ。これなら……」
頭の中にパッとあれが浮かびます。そうだ、あれにしよう。
「おはよ、アイリス」
「お、おはようごじゃ!おはようごさいましゅ!!」
噛んだ。なんでアキトくんの前はこんなに緊張するんですか……
「アイリス、深呼吸だ」
「う、うん」
吸って吐いて吸って吐いて……。
大分落ち着きました。
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
アキトくん苦笑してます。うう、恥ずかしい……。
「今日もお弁当?」
「う、うん!」
「へぇ……なんだろう」
アキトくんの目が輝いてる。
うう……可愛いなぁ……。
「今日はおにぎりだよ」
「おにぎりか……」
ランチバッグを開けるとアキトくんはおにぎりを取ります。
……そういえばいつもなぜかアキトくんウェットティッシュみたいなの持ってるんですよね。あれなんなんでしょう?
まあ、それよりも……
「アキト」
「ん?」
「お、美味しい?」
おにぎりなんだから味は同じだろ、とか言われそうな気がしますけど……
「美味しいよ。味付けもちゃんとしてあって」
……やった!小さくガッツポーズを思わず取ってしまう。
アキトくんは1個、2個と平らげていきます。私も少しずつおにぎりを食べました。
「アイリスー!」
「なに?」
「私を解放してよー!!」
つまみ食いをしようとしたキャトラはひもで縛っておきました。
私たちが食べているところを遠くからでも眺めていてください。
「うう……アイリスー!!」
「聞こえなーい。アキトどう、美味しい?」
「中の具から1から作ったのか?」
「一応はね」
「すごいな」
幸せな時間なのですよ……あうあう☆
次回からしっかり入りますから。
どうでもいいんですがアイリス様のポニテって似合いそうですよね……