白猫あうあう物語   作:天野菊乃

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……あの、私の見間違えですよね?
……評価10と9が3つって……見間違えですよね!?


アイリス、恋をする。part2

寝れませんでした。

寝ようとするとアキトくんが頭の中を過ぎるんです。

あの綺麗な笑顔。透き通るような青い瞳。炎のような赤い髪。ホワイトライオンのように白い肌。ああ、彼のすべてが欲しい。

気づけばそう思うようになってました。

……どう考えても私は変態ですね。

 

「ん、アイリスか。おはよう」

 

今日もいつも通り、海へ出かけるとアキトくんがいました。

ジャケットを羽織っておらず、今の彼はインナーだけの姿。程よく引き締まった筋肉がよく生えてます。

……いけない鼻血が。

 

「……アイリス?」

「ふぇ?」

「……熱でもあるんじゃないか?」

 

アキトくんが私のおでことアキトくんのおでこをくっつけます。

 

……。

 

…………。

 

………………。

 

……………………はぅぅぅ!?

 

「あうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあう!!?」

「どうした」

「ア、アアアアアアアアアアキト!?」

「なんだ」

「ち、ちちちちちかい!!」

「?」

「か、顔!近いからぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ああ、そういうことか」

 

そう言うとすぐにアキト君は顔を遠ざけます。

 

「……なんで悲しそうな顔してる?」

「ふぇ?」

 

え、なに。私アキトくんなしじゃ生きれなくなってるの?

こ、これはやばい。本格的にやばい。私のお父さんみたいになっちゃう。

……いえ、あの人は本当のクズですから忘れましょう。

……ふぇぇ、まだ顔が赤いよぉぉ。

 

「……もう少し休んだ方がいいんじゃないか?」

「だだだだ大丈夫!大丈夫だよアキト!!」

「……そうか?」

 

その困惑顔やめてください。どれだけ貴方私をドキドキさせれば気が済むんですか。

あ、そうだ!今日は頑張ってアキトくんのためにご飯を作ってきたのでした!サンドイッチというなんとも簡単なものですが、いつも以上によく出来た気がします。自信作です!

さあ、アキト君に食べてもら…………

 

「……どうした?」

 

……やべえ渡し方がわかりませんよ!?私男の人にご飯とか作ったことないし……強いて言えばおじいちゃんですよ!?(※おじいちゃんは普通なのです)

それに加えて渡し方ですか!?出来るわけないじゃないですか!!

 

「……アイリス?」

「……へ?ふ、ふぁい!!」

「いや緊張する必要ないからな?」

 

そうなんです、そうなんですよ。確かに緊張なんてする必要ないんですよ。でもね、アキトくん。

お姉さんリアルで恋したことないからさ!わからないんだよ!!どうしろと!?

 

「……ぉ、お…と…」

「……?音がどうかしたのか?」

「ちが……ぅ……おべん……とう 」

 

言えた!言えたよおばあちゃん!!アキトくんに言えましたよ!!見ててくれてますかおばあちゃん!!

どこからかよくやりましたねと聞こえてる気がします!

 

「……アイリスが作ったの?」

「ぅ……ぅん」

「だから緊張しなくていいって」

 

そう言うとアキト君は私からランチバッグを受け取ります。

 

「中身は?」

「サ、サンド……イッチ」

「へえ」

 

そう言ってランチバッグを開けます。

 

「おお……美味しそう」

 

アキトくん、目が輝いてる!

ふふふ、こう見えても私は家事が大の得意ですからね。山菜だって摘めますよ!!

 

「それじゃあいただきま……」

 

アキトくんがサンドイッチを手に取って口に運ぼうとした瞬間

 

「いただいたわ!!」

 

白いニャンニャンがサンドイッチを奪っていきました。

キャトラさあ……

 

「……おいクソネコ」

「にゃに!欲しかったらここまでおいでー!!」

「……今日という今日は猫の丸焼きだ!」

「ギニャァァァ!!?」

 

ああ、アキトくんとキャトラの鬼ごっこが始まりました。ああ……お弁当、渡せなかったな……。キャトラのせいで全部ひっくり返っちゃったよ……。

……ちょっと悔しいかも。

回収して捨てよう。また明日作り直してアキトくんに渡そう。そう決意して引き返そうとした束の間、

 

「……おいアイリス、それどうするの」

 

キャトラを紐で吊るしあげたアキトくんがいました。本当に何でもできますね。

 

「どうするのって……捨てるのだけれど」

「なら俺にくれ」

「いや、でも砂まみれだし」

「いいから」

「……アキトがそう言うなら」

 

砂がついたサンドイッチを渡すとアキトくんはそれを平らげていきます。

……ってちょっと!

 

「アキト!?」

「……砂が混じってる」

「当たり前よ!?」

「でも美味しいよ」

 

笑顔でアキトくんは言う。

……そこで笑顔は反則だよ……。

 

「あ、明日も作るね!」

「うん、待ってる」

「……!」

 

顔が真っ赤になってる気がする。

 

「そ、それじゃあ!!」

 

私はアキトくんに背を向けてここから韋駄天の如く駆け抜けました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

途中でコケたのはアキトくんには言わないでください。シーですよ?

 

……それにしても

 

『うん、待ってる』

 

……あの顔で!あの笑顔で!あの梶ボイスで!!

あんなこと言われたら心がドキドキしますよ!?

 

もう私……どうかしちゃってますよ……あうあう……。




次回からは遺跡探索がやっと。やっと始まる筈。

……明日死ぬんじゃないか。私

……絵とか描いてみようか|ω・`)

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