今回いつま以上の酷い完成度なので見なくてもいいですよ。
目覚めた時、まず周囲の確認でした。
私の周りには点滴?のようなもの。そして、木の壁。そして見慣れた赤髪……赤髪?
「……アキト?」
恐らくアキトくんです。アキトくんは下を俯きながらコクン、コクンと静かに吐息を立てながら寝ています。
「……そういえばなんでアキトが?」
これが謎です。本当に何故アキトくんがいるのでしょうか?
ここは私の部屋なはず……あれ?ここ私の部屋じゃない……?
さぁぁと顔が青くなっていく。
あれ、何でここにいるんだっけ?なんでアキトくんがここにいるの?
え、なんで?
「あう!!?」
「……なんだ?」
アキトくんが私の大声で目を覚ましたようです。というかいつも冷静ですね。
「な、なんで私がここに!?」
「話すと長くなるんだが……」
「いやいい!襲ったの!?襲ってないの!?」
「命の恩人になんてこと言うんだ」
アキトくんは不機嫌そうにこちらに顔を向けます。
「体は大丈夫か?」
「お、襲ってはいないのよね!?」
「おい……ってまあ仕方ないのか」
アキトくんは大きなため息をつきながら私に近づきます。
「こ、来ないで!」
「別に何もしないんだけど……ほい 」
口の中に何かを入れられます。
甘い風味にシャクシャクとした食感。これは林檎?
「……これは?」
「ここら辺で採れる果実。名前は知らないけど、味は保証する」
アキトくんは赤い果実を私に見せます。
……どこからどう見ても林檎です。この世界にもあったんですね。
「……落ち着いた?」
「あ、うん」
私の暴走を止めてくれたようです。感謝なのです。
「……ありがとう?」
「まあな……で、どうしてここにいるか説明するのだが」
アキトくんは林檎にかぶりつくとムシャムシャと食べていきます。いい食べっぷりですね。
「お前はグラスマラス……モドキに拘束されていた」
「モドキ?」
「覚えてないか?青いグラスマスみたいな植物系モンスター」
あ、だんだんと記憶が明確になって行きます。確か私が亀甲縛りで拘束されて、胸をひたすら触られて……その後滅茶苦茶コショコショされた気が。
……怖かったなあ、あれ。
「貞操は無事なのね……よかった」
「よくないだろ」
安心しているとアキトくんが怒ったような口調でそう言います。
「え、なんで?」
「最悪殺されるかもしれないんだぞ?何安心してるんだよ」
アキトくんの目は真剣です。
「どうしてそんなに真剣なの?」
「馬鹿か!」
私の頬に衝撃が走ります。
前を見ると叩いた動作をした後のアキトくんがいました。
……私は叩かれたのでしょうか?
「なんで叩いたの?」
「っ……!生きていなきゃな……この痛みも分からないんだぞ!!」
……?何言ってるのでしょうか。
「なんで……?」
死ぬってなんだっけ?あれ、何でここにいるんだっけ?
───危ない!
───いやぁ!!死なないで!!死なないでよ!!
───○○!私を置いていかないでよ!!
「……ぁれ?」
死ぬ時のヴィジョンが明確に頭の中で浮かぶ。
車に轢かれそうになった猫を助けようとして……跳ね飛ばされて…………血だらけになって……。
「……ぇ、な、に……こ、れ」
助けて。助けて。
通り過ぎていく人達。私の様子を見ている人達。助けようとしない人達。
嫌だ、死にたくない。死にたく……ないよ……
「いやぁぁぁ!!!」
これは誰の記憶?私の記憶?ナニコレ……キモチワルイ。ヤメテ、ナンデコンナモノヲミセルノ?ドウシテ?
ワタシガナニヲシタノ?
『お前なんてなぁ!俺の性処理道具でいればいいんだよ!!』
「いやぁぁぁ!!!いやよ!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ダレノコエ?キキタクナイ。キキタクナイヨ。ナンデコンナヒドイコトイウノ?
「助けて!誰か助けてよぉぉ!!!」
デモ、ダレモタスケテクレナインダロウナ。アノトキダッテ……ダレモ……
「おいアイリス!!」
「っ!」
誰カノ一喝デ現実ニ戻サレタ気ガスル。
……ダレ?
「落ち着け!」
「……アキ、ト?」
「そうだ!」
アキトクンハ私ノ手ヲツカム。
寒気ガスル。触ラレタクナイ。
「離して!」
「離すか!」
アキトくんハ私ノ手ヲ強ク握ル。
「離して!酷いことしないで!!」
「しない!そんなこと絶対にしない!!」
ソンナコト……誰ガ信ジラレルト言ウノ!?
「無理よ!みんなそう言っていつも嘘をつくの!!」
「俺は嘘をつかない!安心しろ!!」
次ハ私ヲ強ク抱キ締メル。
「っ!嫌だ!近寄らないで!!」
首筋ニ噛ミ付ク。
首カラ血ガダクダクト出テイル。口ノ中ニ鉄ノ味ガ広ガル。
「……っ!!」
「離してよ!!」
「……離すもんか」
「どうしてよ!」
「誓ったからだよ……」
……ナニヲ?
「なにを!?なにをよ!!」
「2度と失わないようにだ……!」
「そんな口だけで!」
「……今度こそ守るためだ…あの時の手を2度と手放さないためだ!!」
……アキト?ナンデ……目ガ、黄色ク?
「アイリス……
……ぇ。
「……そんな嘘……いらない 」
「嘘じゃない……」
「私は……穢れてる」
「穢れててもいい……」
「……私は……貴方が思っている以上に穢れてるの……」
「穢れているからなんなの……?だからって見捨てるのか……?そんなの……可笑しいだろ!」
アキトクンは……私ヲ……しっかり見て……言う。
「……本当に?本当に私を守ってくれるの?」
「本当だ!」
「穢れてるよ?」
「だから!構わない!俺はアイリスを守る!」
金色の瞳で、彼はそう言う。
「……本当なのよね?」
「ああ!……っ!」
途端にアキトくんは首元を抑えて蹲ります。首から血が沢山……
「ご、ごめんなさい!」
すぐさまヒールをかける。
だんだんと傷口が消え、血も収まる。
「……本当にごめんなさい、どうかしてたわ」
「いやいいよ……俺ももっと落ち着いたてから話すべきだった……」
……アキトくんの目はもう青色に戻ってます。
……幻覚だったのかな。
「……さっきの言葉、本当?」
「なにが……」
「私を守る……ってこと」
嘘……じゃないと信じたいな。
「嘘じゃない。安心してくれ」
そう言うとアキトくんは目を閉じます。
「え?アキト?アキト!?ねえ、目を開けて!!?」
「眠いんだよ……アイリス探してたから」
アキトくんに怒られてしまいました。
アキトくんはそう言って立つと扉の方へ向かっていきます。
「……ここはヘレナの部屋の一室だ。今日はここで休んどけ」
そう言うとアキトくんは出ていきます。
「ァ、アキト!」
「……なに?」
「あ、ありがとう!」
アキトくんはキョトンとしていましたが、
「……どういたしまして?」
満面の笑顔で言いました。
……あれ、なんでしょう。この胸の高鳴りは。
……え、なんですか?
あうあう!おばあちゃん!!!なんですかこれ!!
チョロイン爆誕かな。
次からはやっと本編に入っていけそうです。
気づいたらお気に入り30人突破してました。
すごい見切り発車小説なのにありがとうございます。