白猫あうあう物語   作:天野菊乃

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やっとここまで来たか。
今回いつま以上の酷い完成度なので見なくてもいいですよ。


アイリス救出大作戦 その4

目覚めた時、まず周囲の確認でした。

私の周りには点滴?のようなもの。そして、木の壁。そして見慣れた赤髪……赤髪?

 

「……アキト?」

 

恐らくアキトくんです。アキトくんは下を俯きながらコクン、コクンと静かに吐息を立てながら寝ています。

 

「……そういえばなんでアキトが?」

 

これが謎です。本当に何故アキトくんがいるのでしょうか?

ここは私の部屋なはず……あれ?ここ私の部屋じゃない……?

さぁぁと顔が青くなっていく。

あれ、何でここにいるんだっけ?なんでアキトくんがここにいるの?

え、なんで?

 

「あう!!?」

「……なんだ?」

 

アキトくんが私の大声で目を覚ましたようです。というかいつも冷静ですね。

 

「な、なんで私がここに!?」

「話すと長くなるんだが……」

「いやいい!襲ったの!?襲ってないの!?」

「命の恩人になんてこと言うんだ」

 

アキトくんは不機嫌そうにこちらに顔を向けます。

 

「体は大丈夫か?」

「お、襲ってはいないのよね!?」

「おい……ってまあ仕方ないのか」

 

アキトくんは大きなため息をつきながら私に近づきます。

 

「こ、来ないで!」

「別に何もしないんだけど……ほい 」

 

口の中に何かを入れられます。

甘い風味にシャクシャクとした食感。これは林檎?

 

「……これは?」

「ここら辺で採れる果実。名前は知らないけど、味は保証する」

 

アキトくんは赤い果実を私に見せます。

……どこからどう見ても林檎です。この世界にもあったんですね。

 

「……落ち着いた?」

「あ、うん」

 

私の暴走を止めてくれたようです。感謝なのです。

 

「……ありがとう?」

「まあな……で、どうしてここにいるか説明するのだが」

 

アキトくんは林檎にかぶりつくとムシャムシャと食べていきます。いい食べっぷりですね。

 

「お前はグラスマラス……モドキに拘束されていた」

「モドキ?」

「覚えてないか?青いグラスマスみたいな植物系モンスター」

 

あ、だんだんと記憶が明確になって行きます。確か私が亀甲縛りで拘束されて、胸をひたすら触られて……その後滅茶苦茶コショコショされた気が。

……怖かったなあ、あれ。

 

「貞操は無事なのね……よかった」

「よくないだろ」

 

安心しているとアキトくんが怒ったような口調でそう言います。

 

「え、なんで?」

「最悪殺されるかもしれないんだぞ?何安心してるんだよ」

 

アキトくんの目は真剣です。

 

「どうしてそんなに真剣なの?」

「馬鹿か!」

 

私の頬に衝撃が走ります。

前を見ると叩いた動作をした後のアキトくんがいました。

……私は叩かれたのでしょうか?

 

「なんで叩いたの?」

「っ……!生きていなきゃな……この痛みも分からないんだぞ!!」

 

……?何言ってるのでしょうか。

 

「なんで……?」

 

死ぬってなんだっけ?あれ、何でここにいるんだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───危ない!

 

 

───いやぁ!!死なないで!!死なないでよ!!

 

 

───○○!私を置いていかないでよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぁれ?」

 

死ぬ時のヴィジョンが明確に頭の中で浮かぶ。

車に轢かれそうになった猫を助けようとして……跳ね飛ばされて…………血だらけになって……。

 

「……ぇ、な、に……こ、れ」

 

助けて。助けて。

 

通り過ぎていく人達。私の様子を見ている人達。助けようとしない人達。

 

嫌だ、死にたくない。死にたく……ないよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁぁぁ!!!」

 

これは誰の記憶?私の記憶?ナニコレ……キモチワルイ。ヤメテ、ナンデコンナモノヲミセルノ?ドウシテ?

ワタシガナニヲシタノ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前なんてなぁ!俺の性処理道具でいればいいんだよ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁぁぁ!!!いやよ!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ダレノコエ?キキタクナイ。キキタクナイヨ。ナンデコンナヒドイコトイウノ?

 

「助けて!誰か助けてよぉぉ!!!」

 

デモ、ダレモタスケテクレナインダロウナ。アノトキダッテ……ダレモ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいアイリス!!」

「っ!」

 

誰カノ一喝デ現実ニ戻サレタ気ガスル。

……ダレ?

 

「落ち着け!」

「……アキ、ト?」

「そうだ!」

 

アキトクンハ私ノ手ヲツカム。

寒気ガスル。触ラレタクナイ。

 

「離して!」

「離すか!」

 

アキトくんハ私ノ手ヲ強ク握ル。

 

「離して!酷いことしないで!!」

「しない!そんなこと絶対にしない!!」

 

ソンナコト……誰ガ信ジラレルト言ウノ!?

 

「無理よ!みんなそう言っていつも嘘をつくの!!」

「俺は嘘をつかない!安心しろ!!」

 

次ハ私ヲ強ク抱キ締メル。

 

「っ!嫌だ!近寄らないで!!」

 

首筋ニ噛ミ付ク。

首カラ血ガダクダクト出テイル。口ノ中ニ鉄ノ味ガ広ガル。

 

「……っ!!」

「離してよ!!」

「……離すもんか」

「どうしてよ!」

「誓ったからだよ……」

 

……ナニヲ?

 

「なにを!?なにをよ!!」

「2度と失わないようにだ……!」

「そんな口だけで!」

「……今度こそ守るためだ…あの時の手を2度と手放さないためだ!!」

 

……アキト?ナンデ……目ガ、黄色ク?

 

「アイリス……()()()()()()()()()()()()()()()……!」

 

……ぇ。

 

「……そんな嘘……いらない 」

「嘘じゃない……」

「私は……穢れてる」

「穢れててもいい……」

「……私は……貴方が思っている以上に穢れてるの……」

「穢れているからなんなの……?だからって見捨てるのか……?そんなの……可笑しいだろ!」

 

アキトクンは……私ヲ……しっかり見て……言う。

 

「……本当に?本当に私を守ってくれるの?」

「本当だ!」

「穢れてるよ?」

「だから!構わない!俺はアイリスを守る!」

 

金色の瞳で、彼はそう言う。

 

「……本当なのよね?」

「ああ!……っ!」

 

途端にアキトくんは首元を抑えて蹲ります。首から血が沢山……

 

「ご、ごめんなさい!」

 

すぐさまヒールをかける。

だんだんと傷口が消え、血も収まる。

 

「……本当にごめんなさい、どうかしてたわ」

「いやいいよ……俺ももっと落ち着いたてから話すべきだった……」

 

……アキトくんの目はもう青色に戻ってます。

……幻覚だったのかな。

 

「……さっきの言葉、本当?」

「なにが……」

「私を守る……ってこと」

 

嘘……じゃないと信じたいな。

 

「嘘じゃない。安心してくれ」

 

そう言うとアキトくんは目を閉じます。

 

「え?アキト?アキト!?ねえ、目を開けて!!?」

「眠いんだよ……アイリス探してたから」

 

アキトくんに怒られてしまいました。

アキトくんはそう言って立つと扉の方へ向かっていきます。

 

「……ここはヘレナの部屋の一室だ。今日はここで休んどけ」

 

そう言うとアキトくんは出ていきます。

 

「ァ、アキト!」

「……なに?」

「あ、ありがとう!」

 

アキトくんはキョトンとしていましたが、

 

「……どういたしまして?」

 

満面の笑顔で言いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あれ、なんでしょう。この胸の高鳴りは。

 

……え、なんですか?

 

 

あうあう!おばあちゃん!!!なんですかこれ!!

 

 




チョロイン爆誕かな。

次からはやっと本編に入っていけそうです。





気づいたらお気に入り30人突破してました。
すごい見切り発車小説なのにありがとうございます。

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