傑が目を覚ました場所は真っ白な空間だった。
「・・・ここは?」
キョロキョロと首をふって辺りを見ると頭上からクゥが逆さまに降りてきた。
「やぁ、目が覚めたようだね。」
「・・・どんな登場の仕方だよ。」
「相変わらず君は反応が薄いね。」
「今回は予測ができていたからな。」
「えっ?何で?」
「この空間、どこにも引っ張られていない。つまり重力が無い。だからお前がどんな登場の仕方をしてもあり得ると思ったまでだ。」
傑は、無重力のような空間にいると予想しクゥがどんな登場をしてもあり得るだろうと思っていた。
そしてクゥが現れた事で現状を把握することに努めた。
「それで、俺はどうなった?真夜が死んだ事で俺の中のなにかが溢れ出たところ迄は覚えているんだが、そこから先は記憶がない。」
「そこまで覚えていたのはさすがとしか言えないよ。何せ君はその直後にこの空間に戻ったんだから。」
クゥは目を丸く見開きながらも傑の置かれている状況を説明しだした。
あの念話の後、傑の魂をこの空間に戻すために、傑に魔法を送ったそうだ。そして真夜の死を目の当たりにした傑は魔力を昂らせ無意識にその魔法を使用しこの空間に戻ったのだと言う。
「なら真夜は・・・」
「君が生き返らせた・・・いや、時間を巻き戻したから無事だよ。」
「そうか・・・」
真夜の無事に安堵の表情を見せる傑に、クゥはこれからの予定を話し始めた。
「それじゃあ伝えたとおり、君には此処で魔法の使い方を学んで貰うよ。」
「あぁ、よろしく頼む。」
「まぁなんにしても、まずは足場だね。」
そう言うとクゥは右手をヒラヒラと振るった。すると今まで感じなかった足場と、そこに吸い付く様な重力がうまれた。クゥは浮いたままだったが。
「まずはキミに覚えて貰う魔法について説明しておこう。見てて。」
クゥが右手の平を上に向けると空気が集まり圧縮し始めた。しばらくすると、圧縮した空気がバラバラに崩れ再び集まると輝きながらクゥの手のひらから飛び立った。
「これがキミに覚えて貰う魔法、
「マテリアル・パズル・・」
傑はクゥの放った魔法を目で追いながら説明を聴いていた。
「例えば今の風の魔法、ただ放っただけだけど、そこに癒しの指向性を持たせれば回復魔法に、貫通や爆発の指向性にすれば攻撃魔法にとバリエーションは様々だよ。」
クゥは傑がこちらに顔を向けるのを待って説明を続けた。
「でも一つの魔法にいくつも指向性を持たせると威力が十全に発揮されないから、基本は一つ一種にしてね。」
「解った。」
クゥの説明に素直頷くと「じゃあ」と両手を大きく広げて、
「キミに僕の居た世界の魔法使い達を師に就けるから、その人達から色々と学んでね。」
「・・・なぬ?」
「バイバイ」と言いながら消えていくクゥに疑問を持ちながら見送る傑。そしてクゥが完全に消えると、新たな人影が浮かび上がっていく。
「やぁ、君がクゥの言ってた人だね。じゃあこれから僕達がキミに魔法の修行をつけるから、頑張ってね。」
「ああ、よろしく頼む。」
そうして傑の魔法修行が始まった。
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~~
「僕の魔法は、
「そして・・・」と続けて、
「生き物に力を与える。ドレスとして纏えば、炎の力で潜在能力を引き出す。」
纏った炎を消して、
「更にこの炎は生き物の細胞の一つ一つまで行き渡らせるから、纏ったまま炎に戻すと、人体を内側から焼く。」
「中々エグい魔法だな。」
傑はひきつった笑みを浮かべた。
「そのための修行だよ。」
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~~スパイシードロップ編~~
「あたしの魔法はスパイシードロップ。飴を爆発させる魔法だよ。」
「随分ざっくりとした説明だな。もう少し詳しく聞かせてくれないか?」
「メンドイ。」
「お前が創った魔法だよな!!」
「んなもん身体で覚えろ。」
「概要の説明も無しに覚えろて・・・」
傑がゲンナリしていると、アクアは飴玉をばら蒔いた。と・・・
チュドーーーーン
「どわあぁぁぁっ!!」
「さぁ!どんどん逝くよ!死ぬ気で避けな!」
「理不尽だぁーーー!!!」
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傑は永い時間を掛けて様々な師から魔法を修得していった。
主な魔法は、
スパイシードロップ
エンゼルフェザー
マスターキィ
ブルーリングス
パイナップルフラッシュ
オーライーター
メテオン
ディシーヴワールド
アイスランランス
ドラゴンスフィア
ゴッドマシン(完成)
等である。
更に魔法以外にも修得出来るものがあったためそちらにも時間を費やした。
万象の杖
バケラッタークス
轟天乱馬
剣仙十二刀流(数種のみ)
医術等々。
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「これで君への教導は終わりだ、これから先は君自身が考え、自分自身の魔法を創ってほしい。」
「色々と世話になった、感謝する。」
「そろそろクゥが迎えに来るはずだ、還る準備をしておけ。」
「はい。」
そう話していると、なにもない空間からクゥが現れた。
「久し振り傑くん、修行が終わったようだから迎えに来たよ。」
「本当にタイミングが良いことで。」
「神様ですから。」
「気を付けて行ってこいよ。」
「あぁ。行ってくるよ、ジャンクーア。」
「また戻って来たらいつでも歓迎しますょ。」
「リュシカ、・・・・君らクゥに喚ばれてここに来たから俺が出てったらもとの場所に還るだけじゃないか。」
「はぅっ!」
「お~い、そろそろいくよ~。」
「今行く!・・・じゃあな、みんな。」
「行ってらっしゃ~い。」( ゚∀゚)ノシ
「ガンバってね~。」
「お土産よろしく~。」
最後の
クゥは綺羅渼やかな装飾が施された扉の前で傑を待っていた。
「じゃあ傑君、これから君を肉体に還すけど何か聞いておきたい事とか有る?」
「ん~・・・なら1ついいか?」
「どうぞ。」
「俺、結構な時間此処に居たと思うんだけど身体は大丈夫なのか?」
「そこは大丈夫、ゴッドマシンの影響で君が目覚めるまで肉体の時間は止まったままになってるから。」
「そうか。なら問題無い。」
「わかったよ。」
そう答えると、クゥはブツブツと呪文を唱えだした。しばらくすると扉がゆっくりと開き光りが漏れてきた。
「この扉の先、真っ直ぐ行った所に有る門を潜ると君の肉体に戻れるよ。」
「わかった。」
言葉短く応えて傑は扉を通っていった。
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クゥside
「行っちゃったか・・・」
一人扉の前で佇んでいると
「奴なら心配無いだろう、俺達の扱きに耐えきったのだからな。」
「ジールボーイ」
背後から声をかけられた
「そうだね・・
刻が経つのは早いなぁ
「アレも渡したし、後は彼の選択次第。どんな結末になっても、彼ならハッピーエンドにしてくれるかな?」
頑張れ、傑君
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「ん・・んぅ」
門を潜り光りに包まれた傑は
「・・・・・何処だ?・・此処?」
状況を確認する。白を基調とした部屋、ベッドに寝かされ拘束されている感じは無し、窓に鉄格子は無く入る光の量から森に囲まれた家屋と推測される。ベッドの横にはなにやら大きな箱が置いてあり、身体の至るところに紐がついたシールが貼られている。
「・・・どんな状況だよ。」
そんな囁きの直後、ガチャッとゆう音をたて扉が開いた。そちらに目を向けると、黒髪をストレートに伸ばした女の子が、顔半分だけ出して部屋を覗いていた。
追憶編突入まであと少し。
頑張って書こう!