オーバーロード 〜幻想郷を愛する妖怪の賢者〜   作:村ショウ

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アインズさんはまだ名前を変えていないので、モモンガさんになっています。
もちろん、紫さんもモモンガさん呼びです


転移編
第二話 状況整理


 ーナザリック地下大墳墓ー

 

 

 玉座に座る魔王の様な風格を持つ、骸骨(スケルトン)は困惑していた。

 

(紫さんとRPをユグドラシルが終わるまでしていた筈だが…何故ゲームが終らない!!

 ログアウトもできない上に、ユグドラシル2である可能性はR18行為が可能である事から可能性は低い…) 

 

 モモンガは顎に手を当てて玉座に座り込む。

 

(NPCが意思を持って行動している点も考えなければなはない…設定厨のタブラさんや東方好きの紫さんやペロロンチーノさんなら発狂しながら喜びそうだが…)

 

(そうだ…タブラさんが作ったアルベドを汚してしまったんだった…)

 

 かつての仲間に対し、罪悪感を抱く。

 

(うん?そういえば紫さん…、伝言(メッセージ)があるじゃないか…!)

 

 ついさっきまで、伝言(メッセージ)を使って会話していた事を思い出す。

 

伝言(メッセージ) 八雲 紫」

 

 ………

 

 伝言(メッセージ)は繋がら無かった。

 

 だが、これには理由がある。

 モモンガが伝言(メッセージ)を使ったタイミングと、八雲 紫が伝言(メッセージ)を使ったタイミングがほぼ同時であった為だ。

 

 電話を同時に掛けると、お互いに話し中になったことは無いだろうか。

 

 それに近い状態である。

 

 さらに、モモンガはこれ以降も他のアインズ・ウール・ゴウンのメンバーに伝言(メッセージ)を試していた為、モモンガは電話で言う所の話し中状態であった。

 

(よし、まずは階層守護者を集めて、どう思われているか聞いてみるか)

 

 

 

 

 

 

 

 ー幻想郷 博麗神社ー

 

 

 ここ博麗神社には、幻想郷の各勢力が集結していた。

 

 紅魔館から吸血鬼とその従者(メイド)・白玉楼から幽霊と庭師 兼 剣術指南役・妖怪の山からは神二柱と現人神・天狗の長 天魔 と 新聞記者の烏天狗・他には竹林の奥にある永遠亭の使いの兎・豪族の仙人 御一行・仙人とキョンシー・妖怪の寺の僧侶・自警団代表として寺子屋を開く白沢の半獣人など多くの者が集まった。

 

 

 

「幻想郷は今、未曾有の危機にさらされていますわ」

 

 まずは外に敵がいる事を伝え、此方に向く可能性のある敵意を逸らす。

 

「だから、紫アンタがわざわざ協力を求めるなんて、どう言うことか聞きたいんだけど」

 

「霊夢の言う通りだぜ。ちゃんと話は聞かせて貰らわきゃ納得がいかないな」  

 

 どうやら、白黒の魔法使いは騒ぎを聞いて駆けつけて来たようだ。

 

 どう説明すべきだろうか…

 

  「まず、先に藍の報告を聞いてから話をしましょう」

 

 取り敢えずこれで時間稼ぎだ。

 

「はい、紫様。調べた限り既定ルート1から半径1kmには知的生命体は存在しません。さらに周辺地帯は平野で草原となっていました」

 

「それは本当なのか…。つまり今回の異変は外で起きているのぜ?」

 

 最初に魔理沙が反応する。

 

「一つ聞きたいのだが、人型を取っておらず弾幕ごっこをまともに出来ない妖怪が活発化しているようだが関係はあるのか?」

 

 慧音先生こと上白沢 慧音が質問を投げてきた。予測していたがやはり…

 

 自動POP型NPCが動いているのか…

 

 弾幕ごっこができない者もいるという設定は生きているようだ。

 

 人間の自警団が弾幕ごっこが出来なくても、役に立つ様に付けた設定だが…

 

「多いに関係があるわ。推測の域を出ないのだけど…

 幻想郷は元の場所から別の場所に転移したと私は考えているの。

 その転移の影響を受けている可能性が高いと見ているわ。

 さらに幻想郷は一つの世界として隔絶されている筈なのに外の世界の影響を受けている。

 幻想郷の妖怪が外の世界の影響を受けている事から、出入り口だけが転移している訳では無いないようだし、幻想郷全体まで影響を与ている事から、考えたくはないけれど外の世界にそれだけの力があり、外の世界に住む人が一人で、幻想郷を滅ぼせる力を持つ可能性も頭に入れて置かなければならないわ。

 外だけの警戒だけではなく、場合によっては活発化した妖怪により里の人間が殺されればバランスが壊れ、幻想郷が滅びる可能性もある。

 人が少なくれば神は信仰が減り、妖怪は恐怖心を抱く存在が無くなり、消滅する可能性もある。

 

 つまり、あなた達にも直接影響が出る可能性があるから、今回の集まりを開いたわ。

 幻想郷の妖怪だけでも厄介なのに、この問題は外の世界が、幻想郷の妖怪に影響を与える可能性が高いという事も由々しき事態だわ」

 

 注意を外に向けることで、状況の不自然さを出さないようにする。  

 

 何かこの説に不自然な話が出てきても、最初に推測だと言っているので修正が効く。曖昧な言葉を選んでいるので追求はできないだろう。

 

 好戦的な幻想郷の住人を多少でも警戒させて、安易な行動を取らせない為、相手が格上の可能性を示唆する。

 

「まずは今の幻想郷の状況と被害、伝達網の形成を行う必要があるとは思わないかしら?

 周辺が草原になってしまった既定ルート1の出入り口の隠蔽が一番最初にしなければいけないでしょうけど…」

 

 予め考えておいた議題を提示する。

 

「そうか…今の所大した被害はないが、妖怪が影響を受けているなら、自警団の警備を高める必要がありそうだな」

 

 慧音は話を聞いて、事態を再確認したようだ。

 

「私としては既定ルート1を幻術で隠蔽し、伝達網は天狗の新聞と伝言(メッセージ)を使うのはどうかと考えているわ」

 

 新聞と伝言(メッセージ)だけなのは、勢力別に分けている幻想郷では、協調性は期待できない為だ。

 

 妖怪の山は統率されては居るが、他の勢力との関係は良くないので利用しがたい。

 

「紫、アンタが言うとなんか胡散臭いのよね…」

 

「清廉潔白な私を疑うなんて…」

 

 ノリッツコミの勢いで、大袈裟な演技をする。

 

「はぁ…」

 

 何やら霊夢にはため息をつかれたが、やってみるとRPも違和感があまりないものである。

 

 いや、八雲 紫の体に心が引っ張られている可能性もあるが。

 

 カルマ値は善寄りの中立だから、極悪人になることはないと思いたい。 

 

 殆ど死にステータスだった、カルマ値はどうなっているのだろうか…。

 

 あれ、そう考えるとモモンガさんが凄い極悪人になってしまうのでは…。

 

 幻想郷のNPCのカルマ値は、殆ど善である。

 

 お尋ね者の鬼人 正邪もしっかりと、善寄りの値にして置いた。 

 

 当時の二次創作でよくあるパターンで、実は優しい不良の様な設定をつけていたためだが。

 

 一様、カルマ値がマイナスの者も居るが。邪仙とか、邪仙とか。(大事な事なので2回言いました)

 

「妖怪も活性化している為、今日は各自対策もしなければならないでしょうし、明日も博麗神社に集まる事としようかしら」

 

 この提案をして解散させる。今日は色々調べなければ不味いだろうし。

 

「そうね。今、話し合っても何も決まらなそうね」

 

 紅魔館の主、レミリア・スカーレットはかりすま的なポーズを取りながら話し掛けてきた。

 

「それでは明日のこの時間にもう一度集まりましょう」

 

 最後に時間を決めて解散させた。

 

 自分も戻ろうと思った矢先、白玉楼の主である西行寺 幽々子が話しかけてきた。

 

「紫、貴方にしては珍しいわね」

 

「今回は私も状況を理解できてないの。何かあったらその時はよろしく頼むわ」

 

 何故か、慣れ親しんだ親友のように女口調で違和感なく話せる。

 

 やはり、八雲 紫の体に引っ張られていると考えるべきだろう。

 

 だが、不審に思われないように、直ぐに話を切り上げスキマで転移する。

 

 

 

 

 -幻想郷 八雲家-

 

 まず状況を整理しよう。

 Lv 30以下の自動POP型NPCが活発化している事。

 

 これ自体は設定が生きているなら、設定上、人里の人間には手を出さないし、人の多い場所や昼の間は積極的に人間を襲わない。人の多い村の中まで入ることは無い。

 

 夜は農村では殆どの人が寝ているし、予め設定した村の強者と農村の男達が交代で見回りをしている筈だ。

 

 人里に関しては飲み屋などが遅くまで開いているが、人里の人間を襲わないようになっている筈なので、農村では多少の被害が出るかもしれないが、直ちに問題はないだろう。

 

 人が死ぬ可能性があるのに、問題ないと感じてしまうのは妖怪としての性質に引っ張られているからだろうか。

 

 この当たりは検証の余地がありそうだな…。

 

 

 そう言えば、ギルド運営に必要な金貨も、穀倉地帯に『支配者の扇子』で簡単に制作できるLv 30以下の農民(NPC)達を配置して耕すようにしていた筈だ。

 

 Lv 30以下とは言え、かなりの数のNPCを生成しなくてはならなかった為、意外と苦労したがその分成果もあった。

 

 農民が収穫した一部を年貢として収めてもらって、エクスチェンジ・ボックスで商人系のスキルを持つNPCにユグドラシルの金貨と交換してもらう。

 これにより、ギルドの運営費以上の金貨が毎日ユグドラシルにログインしなくても手に入るというシステムを構築できたことだ。

 

 ユグドラシルの時は朝も夜も関係なしに働かせていたが、NPCが感情を得た今、収穫量は減るだろう。

 

 だが、年貢とは別に作物の買い取りもしていて、人里などで流通している通貨と交換している。(これは設定上で実際は作物を回収するだけだったが)

 

 幻想郷では設定上、紙幣は殆どないようにしている。

 硬貨はユグドラシルで大量に取れる鉱石から作ることで、買い取った作物をエクスチェンジ・ボックスでユグドラシルの金貨に変えて、その金貨で他のプレイヤーから鉱石を入手する。

 その鉱石を使いNPCの鍛冶職人に硬貨を作らせ、渡すようにしている。

 

 使う鉱石自体は、他のプレイヤーからしたら大量に手に入るゴミアイテムで初心者でなければ不要でしかなく、エクスチェンジ・ボックスに突っ込むくらいしか用途がない。

 

 だが、その鉱石をエクスチェンジ・ボックスの査定額の二倍以上の値段で、大量に買い取ることで他プレイヤーとWin-Winな関係で取引していた。

 

 殆ど価値のない鉱石なので、もちろん二倍で買い取っても安い。

 

 作物をエクスチェンジ・ボックスに入れた代金に作物の代わりに渡している鉱石の購入費を差し引いても金貨をかなり儲けることが出来る。

 

 さらに低レベルの鉱石の為、低レベルの鍛冶スキルで精錬可能である事もポイントの一つだ。

 

 現在、幻想郷では4種類の鉱石を硬貨として使っている。

 

 もちろん、こちらが与えるだけではインフレが大変なことになるのでお金を回収する経済体制も設定上は作られている。

 

 お金の維持にも鉱石が必要である。

 耐久値が切れて鋳潰した場合、量が減少するのだが、幻想郷のすべての硬貨を1000回以上は作ることができるだけの鉱石が有るので大丈夫だろう。駄目なら他の鉱石を使うまでだ。

 

 

 あと確認すべきはNPCのステータスくらいか。

 

 農民は大体、農業系の職業(クラス)+料理人(コック) Lv 1以上+ランダムな職業(クラス)の合計がLv 20以下になる様にしていた筈だ。

 

 料理人(コック) Lv 1を与えているのは、独身の男の(NPC)が料理をつくれないのは可笑しいのではという考えから、レベル1を全員に与えている。

 

 一部、農民にも天才枠としてLv 25程度を目安に設定しているため、一切、戦闘職を持たないスーパー農民的なLv 25も存在している。

 

 村の強者は普通の農民より低い農業系又は商工業の職業(クラス)と、殆どは料理人 Lv1に戦うことの出来る職業を取らせている。

 

 レベルは村の強者or戦闘技能を持つ農民でLv 15〜28、慧音先生こと上白沢 慧音を抜いた自警団はLv 18〜42までとなっている。

 

 つまり、最高で村の強者は魔法職なら第4位階まで、自警団は第6位階まで使用可能だ。

 

 ちなみに慧音先生はLv 56だが、妖獣化していない時はステータスが半分(他にも多数の弱体化効果あり)になる為、Lv 28程度のステータスである。妖獣化時は2倍になり、人間種のLv 100を超えたステータスになるがスキルは変わらない上に、妖獣化は満月の時にしか使えないが。

 

 その他にも設定を深く考えたオリキャラがいたりするが、自動POP型のNPCがLv 30以下なのであまり強くならない様に設定している。

 

 

 幻想郷の人間には直ちに影響出ることはない筈だ。

 

 

 他にするべきこととなると、外の様子くらいは確認すべきだろう。

 

 遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)から取り出す。

 

 もちろん、ぷにっと萌えさん考案の『らくらくPK術』の情報戦の対策を行っている。

 これはスクロールだけで行えるので楽なのが利点だ。

 

 コンソール画面が無くても、しっかりとスクロールも魔法も発動するようだ。

 

「さぁ、どれどれ…」

 

エフェクトと共に魔法が発動する。

 

「うん?これは…」

 

 鏡を起動する。

 すると突然、恐竜の顔のような物がうつる。

 

「ギガントバジリスク!?」

 

 

「いきなり、アップで映るなよ」

 

 そこにはトカゲの様なモンスターの顔が映っていた。

 

「視点調整して、これで良いかな…」

 

 操作方法をなんとかマスターして、縮小する事ができた。

 

「そういえば、ギガントバジリスクって、レベルはLv 30程度だったけ…まぁユグドラシルを始めたばかりに出会って殺されたのは今となっていい思い出…

 

 ではない!!

 

 初めてのガチャで手に入れたアイテムをロストしたんだぞ…軽くトラウマなんだよな」

 

 さらに独り言がエスカレートしていく。

 

「モンスターが居るという事は人も居る可能性があるな」

 

 うーん、ふと思ったけどやっぱり一人の時も、八雲 紫のRPをするべきかな…ボロでそうだし。

 

「こっから八雲 紫RPでもするか」

 

 鏡を(まえ)にずらしていく。

 

「人間がいたわね…第一村人て所かしら」

 

 違和感なく、女言葉が出せることが不思議に思えるが気にしたら負けなのだろう。

 

 そこには2-30人程度の集団がいた。

 

「よく見ると村人には見えないわね。

 全員同じ様な格好をしているから、何かの組織かしら」

 

 

 服装は夜なので分かりづらいが、青か藍色を主体とした服で装甲が薄いのでマジックキャスターだと思われる。

 

 

生命の精髄(ライフ・エッセンス)魔力の精髄(マナ・エッセンス)を使ってみた感じでは、何やら支持している隊長ぽいのが一応、属性にはよるけどギガントバジリスクに対抗出来そうね」

 

「どちらかに攻撃を仕掛けてみようかしら」

 

 そう考えたがどちらに味方するかを考えなければ一切、情報は手に入らないだろう。

 

「味方するなら人間ね。モンスターに話が通じるか分からない訳だし」

 

 そんな風に考えていると、隊長らしき人が何かを言うと隊列を変えた。

 

「どうやら、部隊を分けるようね」

 

 二つに分けられた部隊の内、一つは隊長と共にギガントバジリスクの方へ、もう一つはどこか分からないが移動を開始した。

 

「実際に見に行こうかしら。こちらでの戦闘は試していないし」

 

 

 直ぐに藍と橙を呼んで、準備をする。

 

 

 

 

 


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