こんな意見もあるのか、という程度に捉えてください。
8月15日。
お盆中の本日も猛暑日で夏の日差しが注がれる。
そんな炎天下の中、日本国内外にある全鎮守府ではその場にいる誰もが正しく軍服や制服を着用し、埠頭や敷地内の広場に集まって整列してその時を待っていた。
時計の針が正午を指すと、放送スピーカーからーー
『先の大東亜戦争によって亡くなられた、英霊の方々、国民の方々に黙祷』
ーーと事前に録音された鬼山元帥のテープが流れ、皆は一斉に黙祷を捧げる。
この日は日本人ならば誰もが知っている『終戦記念日』……昭和天皇が玉音放送をなさった日だ。
因みに日本は「長崎への二個目の原爆投下でポツダム宣言受諾を決めた」と言われるが、それは誤った認識である。
真実は「昭和天皇実録」が公開されたことで明らかになっており、この実録によると"ソ連が参戦したことでこれを機に終戦を思し召されていた"とあった。
この「昭和天皇実録」は宮内庁がまとめた公式記録であることから、日本人は終戦に至った理由を改めなくてはならない。
話を戻し、終戦記念日といえば世界的に見てこの日を終戦記念日と言っているのは日本だけで、戦勝国のアメリカなどは9月2日を終戦記念日(戦勝記念日)としている。
日本の降伏調印式は1945年9月2日、東京湾上に浮かぶアメリカ戦艦ミズーリで行われ、その状況はラジオの実況中継で全世界に流された。
当時のアメリカ大統領トルーマンは、ラジオの実況中継後、全国民向けのラジオ放送で演説。
その中で9月2日を正式にVJデー(
したがってアメリカや他の戦勝国の第二次世界大戦の終了は1945年の9月2日ということになり、戦勝国の多くはこの日にパレードなどをする。
9月3日にアジアのどこかの国が遅れてパレードをするが、それは世界的に『我々も戦勝国だ』とアピールしているに過ぎない。そもそもその時代にその国は世界にその名前すら無かったし、今は深海棲艦によって国自体が崩壊しているのだが……。
そんなことは片隅に置き、この日は日本人にとってはなんとも言い難い日である。
GHQ
General Headquarters of the Supreme Commander for the Allied Powers
日本語にして《連合国総司令部》によって日本は支配された。
そこで連合国側はとあるプログラムを日本人へ試す。
それがーー
WGIP
War Guilt Information Program
ーー日本占領政策の一環として行われた「戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画」である。
ポツダム宣言にて交わした約束事も連合国側は武力や経済という圧力を使って支配し、それによって日本人の心に何年経っても消えぬ爪痕を残した。
深海棲艦や艦娘の登場、国防軍設立を経てその爪痕は徐々に徐々に薄くなりつつあるが、知れば知るほど
何しろ義務教育過程で真面目に勉強すればするほど自虐史観を植え付けられるのだから……。
中には自虐史観ではなく、冷静に大東亜戦争のことを教えている教科書もあることにはあるが、そうした学校を探すのが難しい。
しかし深海棲艦との戦時下である今の世の中では冷静に日本の歴史を教える学校は生き残り、自虐史観を教える教科書を使う学校は廃校になるところが多くなっている。
戦争はいけないこと
戦争をしてはならない
これまで多くのマスメディアがこういったワードを伝えてきただろう。
しかしその中にもGHQによる洗脳が混じっていることを日本人は知らなくてはならない。
実際に戦場へ赴いた方々が語る映像や音源の多くには、確かに上の言葉を語っている方々がいる。
しかしその言葉には続きがあることを知ってほしい。
戦争はいけないこと
しかし日本を守るために私は戦った
戦争をしてはならない
それでも家族や国を守るために志願した
インターネットが普及したことで、そういった妙な編集をされていない貴重な音源や映像を誰もが簡単に知ることが出来る時代。
そんな時代になったからこそ、日本人はもう一度大東亜戦争を初めから……寧ろそれよりも何年も前にさかのぼって国際情勢から知らなくてはならないのではないだろうか。
皮肉にも今の時代は深海棲艦の侵攻によって本当の危機感が分かり、艦娘の登場によってその艦娘が大東亜戦争時はどのようにして奮闘し、英霊たちと今の日本を守ってくれたのか……などなど興味を引き、インターネットで調べることが出来る。
日本人はもうただ言われたことを鵜呑みにするのではなく、国民一人ひとりが自分の目で見、自分の頭で考えて世の中の物事を取捨選択しなくてはならないのだ。
ーーーーーー
そんな中、興野提督率いる鎮守府の艦娘たちは埠頭での黙祷を終え、また次の任務へと向かう。
静養日や休暇の者たちは各自いつものように気ままに過ごすが、その多くは地上波放送をこの日に限っては見ない。
どうせ"靖国神社参拝問題"や"総理大臣の謝罪の言葉がない"などの意味不明なことしかやっていないのだから。
そもそも靖国神社参拝に問題なんてない。
なのに躍起になって騒ぎ立てるとある隣国たちを配慮して、無駄に騒ぎ立てるマスメディアが滑稽なのだ。
何故、弁明も出来ぬ(生きていた時も弁明させず)英霊たちを今になっても責めるのか。
何故、国のために命を落とした方々ではなく、他国に配慮しなくてはいけないのか。
戦争中、日本軍もしてはいけないミスを犯したし、罰を受けるべくして受けた先人たちがいたのも事実。
敢えて例をあげるならば、それは神風特攻隊だ。
命令を受けて特攻していった多くの兵士たち。特攻隊自体に賛否両論があるにせよ、彼らの純粋に『日本を守りたい』という気持ちは誰も否定は出来ない。
しかし特攻隊設立に携わった者たちまで『純粋』と言えるのか……妙に疑問に思えてならない。外道と分かっていながらも特攻作戦に携わった者たちは罰せられて当然に思う。
ちゃぶ台返しをしてしまうが、旧軍が転けた原因は開戦する前に出口……つまりは終結点を決めずに開戦へ踏み切ってしまったからだ。その理由には世論を煽ったあるメディアのせいもあるが……。
何にしても亡くなった英霊たちには心から感謝するが、そんな無理難題を押し付けたろくでもないお役所勢の罪は決して赦されることではない。
多くの兵士たちは戦争へ人殺しをしに行くのではない、身を守るために人を殺すしかないのが戦争なのである。
国がやると決めた以上、家族や大切な人を守るために兵士たちは大東亜戦争を戦ったのだ。
戦争映画または戦争モノのゲームで、主人公やプレイヤーが戦場に降り立った時に物陰でただひたすら隠れていたり、ただただ突っ立っているなんてあるだろうか。
そんな作品へ誰が好き好んでお金を払うのか……少なくとも興野提督やここの艦娘たちは払わないだろう。
ーー
艦娘たちが解散していく。
しかしその目や表情に何一つ自虐史観の色はない。
みんながみんな、艦時代の己とその乗組員たちに誇りを持っているからだ。
そして深海棲艦に負けてはならない。
みんなで今度は笑って終戦を迎えるのだから。
「よし、俺らも執務室に戻っか」
提督は帽子を被り直し、隣に並ぶ阿賀野や能代たちに声をかける。
阿賀野たちはそれに笑顔で頷くと、執務室へ向けて歩き出した。
「しっかし大切な黙祷とは言え、真夏に正装は辛いぜ」
提督は苦笑いで愚痴をこぼし、上着のボタンを外して脱いだ上着を肩にかける。
「あはは、提督さんは長袖長ズボンだもんね〜」
「執務を再開する前にシャワーでも浴びて来た方がいいのでは?」
「能代姉ぇの言う通りね。ついでにパリッと着替えて来なさいよ」
「それまでにあたしたちが書類整理しとくよ〜♪」
能代や矢矧の提案、そして酒匂の言葉に阿賀野も「そうそう」と頷いて見せると、提督は「んじゃ、お言葉に甘えるわ」と返した。
すると提督は自身の視界の中にアイオワやサラトガといったアメリカ艦勢を見つける。
アイオワ・サラトガ・イントレピッド・ガンビー・サムの五名は、普段帽子を被っている者はそれを脱ぎ、未だに水平線を真っ直ぐに見つめていた。
当時は敵同士……しかも本気で戦った者同士。それが今では手を取り合う仲間なのだから、やはりこういう時は複雑なのだろう。
ここの提督や艦娘たちには無いが、未だにアメリカ艦を受け入れられない提督がいたり、アメリカ艦に怯えたりする艦娘はいるのだ。
アイオワたちは戦勝国として胸を張ってこれまでやってきた。しかし近年になって出てくる大東亜戦争時のアメリカ軍の非道さ、日本へ行った本土空襲や原爆投下による戦争犯罪を訴える声を聞き、その誇りに揺らぎを感じている。
多くのアメリカ人はそんな訴えにも胸を張って「NO」と言えるだろう。
しかし当時自分の意思を持たなかったアメリカ艦娘にとって、そういったことは客観的に見れるのだ。
なのでみんな複雑なのである。
「おう、お前らは本当にこういう時湿気た面すんのな」
提督はいつもの調子でアイオワたちへ声をかけると、みんなは苦笑いといった感じで笑顔を返した。
「もうあの戦争は終わったんだ。前を向けよ。現に日本人の多くは前を向いてるんだからな」
と提督はアイオワたちへ力強く言う
「私たちもあの時のことを忘れた訳じゃないから、アイオワさんたちには複雑かもしれないけどね」
と阿賀野は優しく笑う
「でも、区切りはついたんですから、提督が言われるように前を向きましょうよ」
と能代は冷静に告げる
「永遠に忘れることなんて出来ない。でもだからっていつまでも立ち止まってはいられないもの」
と矢矧は胸を張る
「艦娘になったからこそ、今度はみんなで世界を平和にしよ!」
と酒匂はみんなへ手を差し伸べる
そんな提督たちを見て、アイオワたちは同じことを思ったーー
日本人は強く、気高い
そんな日本人を相手にした自分たちが間違っていたのかもしれない
ーーと。
なのでアイオワたちは吹っ切れたように満面の笑みを浮かべた。
日本人がこうも言っているのだ、ならば自分たちも本気で戦った当時の相手として胸を張るべきだと。
「必ず、ミーたちが力になるわ!」
とドンと胸を叩くアイオワ
「今度は手を取り合って!」
と微笑むサラトガ
「どんな敵でも倒して!」
とニッコリするイントレピッド
「み、みんな一緒に!」
とオドオドしながらも大声を出すガンビー
「世界の平和を取り戻そ〜!」
と声を張り上げ、酒匂の手を握るサム
こうしてその場にいる全員が『おぉ!』と声を揃えた。
「それで〜、平和な海になったらハニーは私と本国のチャペルで盛大なウェディングを開くのよ!♡」
イントレピッドはそう叫ぶと、提督をその大きなイントレピッドマウンテンに埋める。
「ちょ、なんでそうなる!?」
「あら、じゃあジャパンでウェディング? 私はハニーと結ばれることが出来れば、国籍も形式も何も気にしないわよ?♡」
「そ、そういうのではなくてですねーー」
「慎太郎さんはもう阿賀野と結婚してますから! 離婚しませんし、出来ませんから! 日本は一夫多妻制じゃないですから!」
阿賀野はイントレピッドへ力強く言葉を返しつつ、グイッと提督の首根っこを引っ張って今度は自分の阿賀野山に埋めた。その際、提督が「くぇっ!?」と妙な声をあげたが、誰も提督を救おうとはしない。戦うことは得意でも色恋沙汰の戦争には加担したくないのだ。
「もう、阿賀野は独占欲強過ぎるわ! たまには違う味も楽しませてあげなきゃ!」
「阿賀野は毎晩色んな味付けで慎太郎さんに味わってもらってるもん!」
キャイキャイと激しく勃発してしまった日米正妻戦争。
このままでは伊、英、仏のガチヤバ勢まで参戦するようなことに発展して世界大戦になりかねないので、
スパーン! スパーン! スパーン!
「ふぅ……」
頼もしい
「じゃ、運びましょ」
救世主の夏の空にも負けない爽やか笑顔を前に、能代たちもアイオワたちも苦笑いで頷き、それぞれ犠牲者を運んだ。
イントレピッドは寮室へ、提督はシャワー室へ、阿賀野は執務室へと……。因みに提督は妖精たちがありの大群のようにして運んで行ったという。
こうして
オチはいつも通りですが、今回も真面目さメインの話にしました。
これで少しでも日本や大東亜戦争を知ろうとするきっかけになれば幸いです。
因みにこれは私の場合ですが、こういう良い悪いの区別が難しい事柄に関して、私は悪い証拠と良い証拠を見比べ、どっちの言い分が勝っているかで決めています。
今だからこそ明るめになった事柄もネットにはあるので、嘘と真実の言い分を見た上で自分で『これが正しいんじゃないか』と言うものを決めている次第です。
そう言っている筆者自身もまだまだ勉強中の身であります……^^;
読んで頂き本当にありがとうございました!