今回ベルディア戦行くかな?
やばい。なぜこんな言葉しか出ないかというと俺達は魔王軍の幹部、ベルディアに喧嘩をふっかけてしまったのだ。
奴は今凄くお怒りだ。あぁ…なんでこんな事になったんだろう。
「あれ?依頼の張り紙がほとんどないぞ」
「カズマ!カズマ!これにしようブラックファングと呼ばれる巨大熊討伐を!」
却下だ。
「これくらいならなんとかなるかもしれないな……」
いやミナトさんも何言ってんすか。
この日も俺達はこんな調子で1日を過ごしていた。
「しかも高難度クエストしかないぞ」
「申し訳ございません。ただいま魔王軍の幹部らしき者が近くの廃城に住み着いておりまして」
受付のお姉さんが親切に教えてくれた。
魔王軍の幹部か…あまり刺激しない方がいいな。それから俺達は別々に行動した。アクアはアルバイト、ダクネスは実家で筋トレ、ミナトさんは高難度クエストを連続で受けているらしい。あの人マジで何モンなんだ?ちなみになぜそんな事をするのかと聞くと
「ここのパーティを少しでも潤いを持たせないとね」
俺は感動してその場で泣いた。この人いい人すぎるだろ…
そして俺とめぐみんはめぐみんの爆裂魔法に付き合ってやっていた。
それがこのザマだよ。めぐみんが毎度撃っていたのはベルディアが住み着いている廃城だった。なぜあの時止めなかったんだ。己の無知を呪う。しかもこの時に限ってミナトさん居ないし。いやいやこの場を何とか切り抜けなければ!
「俺の城に爆裂魔法をポンポン打ち込んでくる頭のおかしい奴は誰だぁぁぁぁ!?」
そして今に至る。
「お前が爆裂魔法を打ち込んでくる大馬鹿者かぁぁぁぁぁぁ!?」
ベルディアはめぐみんにこれまでの鬱憤を全部ぶつけた。
「俺が!?魔王軍の幹部だと知って喧嘩売っているなら堂々城に攻めてくるがいい!それが嫌なら街で震えているがいい!ねぇどうしてこんな陰湿な嫌がらせするのぉ!?」
「我が名はめぐみん!アークウィザードにして爆裂魔法を操る者!」
一瞬沈黙が続いた。
「なんだめぐみんってふざけてんのかぁ!」
「ち、ちがわい!」
「フン、まぁいい。もう金輪際爆裂魔法は使うなよ」
「無理です。紅魔族は日に一度爆裂魔法を撃たないとダメな体質なんです」
「そんなこと聞いたことないぞ!?」
「そうか……どうしてもやめる気は無いと」
途端ベルディアの目つきが変わった。
「汝に死の宣告を……」
「まずい!死の宣告か!」
ベルディアの放った死の宣告がめぐみんに当たりそうになったその時
「ぐ…!」
死の宣告を受けたのはめぐみんを庇おうとしたダクネスではなく飛雷神の術で飛んできたミナトだった。
「ミナトさん!!」
ミナトは苦痛に耐えるがすぐにこちらに微笑み
「やあ、遅くなったね」
「そんな事はどうでもいいですよ!大丈夫ですか!?」
「痛みは消えたみたいだ」
「結束が固い貴様らだとこちらの方が応えそうだな」
「紅魔族の娘よその男は一週間後に死ぬ。お前のせいでな!」
「貴様がやったこれまでの行いを悔いるがいい」
めぐみんの顔が暗くなる。
「その呪いを解きたくば我が城に来い」
ベルディアは高笑いしながら消えていった。
めぐみんが立ち上がり、何か決意した表情で向かおうとしていた。
「めぐみん何をする気だ?」
「ちょっとあの城に行って爆裂魔法を撃ちこんで来ます」
「めぐみん」
ミナトがめぐみんに優しく言う。もしかして怒っているのだろうかとめぐみんは少しばかり涙目になる。
「君が行く必要は無いよ。これは俺が自分でやりたくてやった事なんだ」
「まさかミナトも私と同じーー」
「お前はちょっと黙ってろよ」
「でも!ミナトは私を庇って死の宣告を受けちゃったじゃ無いですか!私がベルディアに対して調子に乗ったばっかりに!」
「それは違うよ。めぐみん」
「!」
「君はあの中でたった一人でベルディアに立ち向かったじゃないか。誰でも出来る事じゃない。君は強い。この街で最強の爆裂魔法の使い手だよ」
「ミナト……」
「これは自分でやった事だからね。自分の事は自分で責任を取るよ」
「ちょっと!ミナトさんばっかりかっこいい真似はさせませんよ!」
「カズマ君…」
「でもやっぱりこれは私のせいで起きた事なので私も同行しますよ!」
「さっきは全然クルセイダーらしい事は出来なかったからな。今度こそはさせてくれ」
「お前のクルセイダーらしい事ってなんだよ」
「……良いのかい。生きて帰ってこれる保証は無いよ?」
「大丈夫ですよ!ミナトさんがいますし!」
結局他人任せじゃ無いですかとめぐみんはつっこむ。
「セイクリッド・ブレイク・スペル!」
「!これは!?」
ベルディアが放った死の宣告が体から消えて行くような感覚があった。
「このくらいの呪いだったら私の魔法で十分よ!」
あまりの突然の出来事に皆戸惑いを隠せなかった。
ウォォォォォォォォォ!と歓声が起こった。
「俺達の思いを返せよ」
周囲はとても盛り上がっていたがミナトは安心したように去って行った。
「ミナトさん!どこに?」
カズマがそう聞いた。するとミナトは
「少しばかりクエストに行って来るよ」
そう行ってミナトは去って行った。だが彼はクエストを終えたはずだ。一体なんのクエストに?
「まさかな…」
カズマ薄々彼がやろうとしている事は分かっていたが彼には何か話しかけづらい雰囲気が漂っていた。
ベルディア戦は第3話に移ります!少し時間がかかるかもしれませんが堪忍して(涙目)