この素晴らしい世界に黄色い閃光を!   作:新田トニー

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このお話もついに10話まで来ましたね。正直たかだか10話なのにここまで続けられるか不安でしたが皆様の有難いご感想や評価してくれたことでここまで書けました。
これもひとえに皆様のおかげです!ありがとうございます!それではどうぞ!


第10話 このピンチなアクセルに救世主を!

 

「はぁ〜今日も平和だな!」

 

俺は1人散歩しながらアクセルの街の中を歩いていた。最近やっと厄介事がなくなって来たのだ。俺は明日も何もない日になりますようにとどっかの使えねぇ方の女神ではないエリス様に祈った。

 

ガチャ。

 

ドアを開けてみるとそこはまるで大災害でも起こるのかというくらい緊迫していた。

 

「何やってんだ?」

 

俺はそこにいるアクアに何気なく聞いてみた。するとアクアはアンタバカじゃないの!?とでも言いたげな目で

 

「デストロイヤーよ!デストロイヤー!!これからデストロイヤーがこの街を通過するのよ!」

 

またか。デストロイヤーってなんなんだよ。

 

そんな顔をしているとそれを察したミナトさんが

 

「デストロイヤー、動く要塞だよ。巨大で脚がある古い国が作った機動要塞さ。わかったかい?」

 

うーん。なんとなく分かったような分からないような。

まあ言った通りの動く要塞か。

 

ブーン!!ブーン!!ブーン!!

 

「な、なんだ!?」

 

突然の警報に驚いた一行は驚き、混乱していた。

 

「来たか………」

 

ミナトさんは真剣な表情で呟く。

 

「デストロイヤー警報です。マズイです。このままだとデストロイヤーがこの街を壊滅させます」

 

「ハァッ!?ふざけんなせっかく苦労して手に入れた家を壊させてたまるか!」

 

………別の理由もあるが。

 

「ああ。この街を壊すわけにはいかない!」

 

珍しくカズマの意見に賛成した。

 

「この街には大切なものを失いたくない人が沢山いる。俺も、ここの生活が気に入ったしそれを奪うなんて許せない!」

 

「「「ミナト………」」」

 

アクア達3人はミナトの演説に感動していた。

 

「よし!それじゃあいっちょ巨大要塞解体と行こうかのお!」

 

………多分この人も同じ目的だな。

 

サイレンが鳴り響いても構わず執筆していた自来也は手を止め、声を上げ扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

ギルドに来てみるとそこには沢山の冒険者達が血相を変えて集まっていた。しかもよく見ると男ばっかだな。

 

「おお来たかカズマ!それにエロ仙人とミナトさんも一緒か!」

 

「おい!今度はこの世界でも呼ばれる事になるのか!?勘弁してくれ!」

 

前も呼ばれてたのかよ。

 

俺は辺りを見回す。なんか思ってたよりも凄い事になってんな………。

 

俺は事の重大さに改めて気がつく。いきなり街に歩く要塞が来るなんて言われたらどうする?想像つかんわ。

 

「皆さん集まってくれた事に感謝します!これよりデストロイヤーの進路をご説明いたします!」

 

俺が物思いにふけっていると受付のお姉さんがかなり慌てながら説明を始めた。

 

「……これで以上になります!何か質問などはありますでしょうか?」

 

お姉さんが一通り説明を終えた。つまりはこうだ。デストロイヤーには結界が張られ爆裂魔法でも破れない。

近づけば轢き潰される。

まさに鉄壁だな。どうしようもないじゃん。

俺はどうにも出来ない事をどうにかしようと頭を回す。何か……何かないのか!?解決できる方法は!?

 

「やっぱりここ出てった方が良いわよね………別にここにこだわる必要も………」

 

あったわ。こんな所に。

 

「おい女神」

 

俺はアクアに声をかける。するとアクアは何か勘違いしたのかニヤニヤしながら

 

「何よカズマ。遂にこの女神アクア様に解決してもらおうとお祈りする気になったの?でも残念だけど今の私はちょっと調子がーー」

 

「お前デストロイヤーの結界破れるか?」

 

「えっ?まあ頑張れば出来ない事も無いけど?」

 

「こいつ出来ます!」

 

一つ目は解決した。あとは………

 

「どうすれば動きを止められる?」

 

そう、もう一つの課題デストロイヤーの動きを止める事だ。

 

すると意外な人物が手を挙げた。

 

「それ、俺でもいいかな?」

 

ウチのパーティのエース、ミナトさんだ。

 

「えっ!?ミナトさんでも流石に無理があるんじ

ゃ………」

 

でもミナトさんはそんな冗談を言う人じゃない。それはおれたちも知ってるし、このアクセルの冒険者達も知っている。

 

「まぁ心配するな!コイツは出来ない事を言う奴じゃない!」

 

自来也さんがすかさずフォローをする。やっぱり師弟関係だからか絶大な信頼があるんだな。

 

つまり作戦はこう。アクアがデストロイヤーの強固な結界を破壊、その後ミナトさんがデストロイヤーの脚部を破壊し動かないようにする。かなりガサツだがアイツは腐っても女神だし大丈夫だろう………多分。

でもミナトさんどうするんだ?いくらミナトさんの螺旋丸でもアレは壊さないと思うんだが………。

 

「お前ら!あの店の為にも死ぬ気で行くぞ!」

 

自来也さんが先陣を切る。するとそれにつれて周りの冒険者達も

 

「おう!勿論だ!あの店を壊させる訳にはいかねぇ!」

 

そうだそうだとギルド内の男冒険者達が声を上げた。おそらくコイツらは同じ目的だな。まあ俺もそのうちの一人だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

配置についた俺達はかなり不安ながらミナトさんを見ていた。

 

「これで失敗したら一貫の終わりじゃないか!?」

 

「大丈夫ですよ。ミナトが言ったんですから」

 

「お前ホントミナトさんの事信頼してんな。さては好きなのか?」

 

俺はからかうように言ってみた。するとめぐみんはしれっと

 

「いえ、ミナトはそういう感じでは無いのです。優しいお父さんと言った感じですね」

 

まあ確かにそうだけど。なんかこう、もっといい反応するかと思ったけどなんか違うな。

 

「確かにミナトはそういう感じでは無いな。というよりミナトには奥方がいるからな」

 

ミナトさんの奥さんか、少し気になるな。ミナトさんみたいに優しい人なのかそれともすんごい怖い人なのか、どっちなんだろう。

 

「き、来たぞ!」

 

俺がそんな事を考えているうちにデストロイヤーは来てしまった。

 

「アクアー!頼むぞ!マジで!!」

 

「任されたわ!」

 

アクアは杖を構え、詠唱を始めた。辺りには神聖な雰囲気が漂い、見る者を魅了させる。

 

「セイクリッド・ブレイクスペル!」

 

放たれたアクアの魔法は遥か彼方にいるデストロイヤーに直撃した。強固な結界を破ろうとする光がぶつかり、結界にヒビが入り始めた。

 

「おりゃーーー!!」

 

アクアはさらに力を振り絞り、遂に結界を破壊した。

 

「おお!やったぞ!」

 

周りの冒険者は歓喜の声を上げる。結界は破れた。残りは足のみ。

 

「ミナトさん頼みますよ!!」

 

「分かってる!」

 

ミナトは離れた場所に移動した。そして

 

『全くお前もこんなことに巻き込まれて大変だなぁ?」

 

突然語りかけたのは、かつて木の葉で暴虐の限りを尽くした九尾。だが九尾も今はそれほど荒れてはいない。

 

「この街も守りたくなっただけさ」

 

『流石にこんな状況は慣れてるって事か。ほら見てみろ。あのチビなんかすげえ震えてるぞ?』

 

そこには杖を持ちながらガタガタと震えているめぐみんの姿があった。九尾は笑いながら指を指して笑う。そんな九尾に苦笑しながら

 

「早く終わらせなきゃね」

 

そして意識は現実に戻り、再び前を向く。

 

「さあ………行くよ!九尾!」

 

『ああ!さっさと終わらせんぞ!』

 

「あれ?ミナトさんなんか光ってね?」

 

うおお!?やべえ!凄い光ってるぞ!?

 

それだけでは終わらなくミナトは宙に浮き、九本の尾を持つ巨大な狐へと変わった。

 

「「「「「えええええええええええ!?!?」」」」」

 

冒険者達は驚き混乱している。それもそのはずさっきまで普通だった人間がいきなりデストロイヤーにも劣らない巨大な狐へと変わったのだ。

 

「ミナトは………こんな事も出来るのか……?」

 

「これってもしかして前に話してた九尾と呼ばれるやつですか!?カッコいいです!是非ウチのペットにしましょう!?」

 

「デカすぎるわバカ!いやでもホントデカイな!?こんな奴があと八匹向こうにいるのか!?」

 

九尾なんてのがいるなら一尾も二尾もいるわけか。ここと同じくらい変な世界だな。

 

『オラァァァ!喰らいやがれぇ!!』

 

九尾はデストロイヤーの脚部を掴み思い切り振り回した。

デストロイヤーはまさか自分と同じサイズの敵が出るとは思わなく、あっけなく吹っ飛ばされてしまった。

 

『こんなもんじゃ終わんねぇぞォ!』

 

さらに攻撃は続きアッパーを繰り出した。

 

「おい!壊すなら足にしろ!」

 

『分かってんよォ!!』

 

いやいや絶対目的忘れてただろとミナトは心の中で呟く。

暴れるのをやめ九尾は足を狙い始めた。

 

「すげえあのデストロイヤーが抵抗出来ねぇ………」

 

カズマは感無量とばかりに呟いた。

 

『これでももらっとけ!!』

 

九尾は口を思い切り開け、何かを始めた。

 

「何でしょうか………。何か凄く私の立場が危うくなってきました」

 

めぐみんが冷や汗をかきながら九尾の力を溜めている光景を見ていた。

 

押さえつけられているデストロイヤーはどうにか逃げようと動こうとする。だが

 

「そうはさせんぞぉ!」

 

自来也はデストロイヤーに向けてそう言うと

 

「土遁・黄泉沼ァ!」

 

冬将軍と戦った時にも使った敵を拘束する術。そこで立ち上がろうと力を入れていたデストロイヤーはさらに足を滑らせた。

 

「これで終わりだ!!」

 

遂に尾獣玉を撃った。脚を狙って撃ったがやはり威力は大きく脚だけではなく胴体の部分も激しく損傷していた。

デストロイヤーは突然脚を失い大地に倒れる。もう攻撃手段は無いようにも思える。

 

「おお………すげえ………本当にやりやがった!!」

 

ちょっとフラグ臭いな。

 

「俺……これが終わったら結婚するんだ!」

 

おい………今定番のセリフが………

 

「さあ終わったら乾杯よ!報酬はおいくらかしらね?」

 

「このバカー!!なんでお前はそうお約束事が好きなんだ!!」

 

もう既にボロボロのデストロイヤーからサイレンとおぼしき音が鳴った。

 

「被害甚大につき自爆機能を作動します。乗組員は直ちに避難してください。繰り返します。被害甚大につき自爆機能を………」

 

「「「「「マジかよォ!?」」」」」

 

突然の警報にもう手遅れと思った冒険者達は一目散に逃げ出した。

 

「む、無理だ!逃げるしかねぇって!!」

 

絶望的状況に屈した冒険者達は逃げた。だがこの状況にミナトさんは元に戻ったあと直ぐにデストロイヤーにクナイを投げ、乗り込んだ。

 

「オイオイオイ!?ミナトさんがデストロイヤーに臆する事なく向かってってるぞ!?」

 

「あんなの見せられて俺達だけ逃げる訳にはいかねえ……

よっしゃあ!俺達も行くぞぉ!!」

 

「「「「「「「おお!!!」」」」」」」

 

沢山の冒険者達は逃げるのをやめデストロイヤーにフックを引っ掛けデストロイヤーへと乗り込んだ。

 

…………ん?あれ?おかしい。あれ?おかしいぞ。さっきまでアイツらのやかましい声が聞こえてたのに突然聞こえなくなった。

俺は中が気になりフックを引っ掛け登ってみた。するとダクネスがデストロイヤーから出てきた。

 

「あれ?お前あんなに張り切って入ったのになんだその顔は。何かあったのか?」

 

俺がそう聞くとダクネスが驚くべき発言をした。

 

「ミナトが中のモンスターを全部倒していた」

 

えっ。

 

 

 

 

 

 

 

「こいつか………」

 

俺はおそらくこのデストロイヤーを作ったとおぼしき人物を見つけた。明らかに未練を残して死んでそうなんだが。

 

「この人なんの未練も残さずに成仏してるわ。それはもうすっきりと」

 

いやでも雰囲気とかが………

 

「見て!多分この人が残した手記みたいね………」

 

とアクアが指を指した先にはほこりをかぶった随分古いものだった。

 

だが書いてある事は雰囲気を完全にぶち壊す内容だった。

この骸骨が言うには蜘蛛を潰した設計図が案外好評で自分の知らぬ間にどんどん作り上げていく。そして伝説級のコロナタイトを持って来いと適当に言ったらホントに持ってきてしまった。そしてヤケ酒して機動要塞の核であるコロナタイトに根性焼きと称しタバコでグリグリ押し付けたとか。そして当然このデカブツは暴走し、国をぶっ壊してしまった。

 

俺がその内容を朗読すると周りにいたみんなは冷めた目で俺を見ていた。

なんだよ。俺は悪くねぇぞ。

 

「まあコレが作られたワケはわかったとして、どうする?」

 

そう。問題はこれから爆発するコイツをどうやって破壊するかだが………多分規模はデカイ。どうにかしてこれをどっか人が居ない場所に………。

 

「俺に任せてくれ。もう先手は打ってある」

 

「早っ!?用意周到っすね」

 

流石と言わざるを得ない。ミナトさんは多分デストロイヤーを偵察してた時にクナイをいくつか人が居ない場所に刺しといたんだろう。

 

「とりあえずこれは俺が処理するよ」

 

頼れる上司って感じだな。

と俺が物凄く感心しているとミナトさんはクナイを持ちながらコロナタイトに向かって手をかざす。

 

「ここはやらせないよ」

 

とミナトさんが呟いた瞬間、今の今まであったコロナタイトは一瞬で消えた。

 

「よっしゃあ!これで万事解決だな!」

 

俺も言ってはならない事を言ってしまった。大体こういう事言うと

 

「カズマ、私の鼻がまだ香ばしい危険な香りを嗅ぎつけている。まだ終わってないぞ」

 

「えっ」

 

ダクネスが真剣な表情でバカな事を言っていると

溜まった熱を吐き出す為の冷却機能を失ったデストロイヤーからまたあのアナウンスが流れた。

 

「やべえ!一旦外に出るぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、皆出たか?」

 

カズマが聞くと皆は頷く。

 

「それじゃあめぐみん。アレをお前の爆裂魔法で吹っ飛ばしてくれ」

 

まだめぐみんは爆裂魔法を使っていない。そうなればあのデストロイヤーを完全に破壊できる。カズマはそう考えた。

 

多分さっきのミナトさんの攻撃でもう装甲はボロボロのはず………

 

「分かりました!やっと私の活躍を見せる事が出来ます!」

 

「そうよーめぐみんやっちゃいなさい!」

 

とアクアがめぐみんを応援する。アクアに応援されてスイッチがさらに入ったのかめぐみんはさらにテンションが高くなった。

 

「ふっふっふ。美味しい所を持っていくとは紅魔族の血が騒ぎますね………」

 

そしてめぐみんは詠唱を始めた。周りは暗くなり禍々しいオーラ、雰囲気が辺りを包み込む。

 

「エクスプロージョンッ!!」

 

遂に爆裂魔法を発動した。めぐみん渾身の爆裂魔法は足を失い装甲を失い、さらに結界まで失ったデストロイヤーには決定的な一撃となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デストロイヤーを破壊し、このアクセルの街を救ったカズマ達はいつも通り屋敷で暮らしていた。ある日そんな5人に王都から派遣があった。どうやら伝えたい事があるらしくカズマ達はどんな報酬が貰えるのか楽しみにしていた。

 

「さて何が来るのか………」

 

ギルドに集まったカズマ達は派遣された騎士達と1人の女性と面向かっていた。

 

「サトウガズマ、ナミカゼミナト」

 

女性に声をかけられた2人は次の返事を待った。だが次の言葉は期待していたものでは無かった。

 

「貴様ら2人を領主アルダープ様の別荘にコロナタイトを転送し殺害しようとしていたとアルダープ様が訴えている。自分と一緒に来てもらおうか」

 

「えっ」

 

そういえばそうだった。ここは常識が通用しない世界。

なんでこうも上手くいかないんだろう。ああ神様。

 

「!逃げたぞ!追え!」

 

神様!今度は俺をこんなロクでもない世界に転載させないでくださいィィィ!!!

 

カズマは涙を流しながら全速力で逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





一ヶ月も更新遅れてすみませんでした!

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