灰色の濁った世界に垂らした赤い色は、灰色と混ざり、濁り、汚され、清廉され、新しい同系色へと変化していく。
彼(彼女)の前に新しく現れたその赤は、瞬間的にその性質を変えた。
その濁った赤は、やがて形を変え、変化し世界に溶けるように人になった。
赤は、やがて世界を侵食し、調和し、塗り替え、塗り替えられ、世界を変えていく。
彼(彼女)の世界は、彼(彼女)のものでは無くなった。
彼(彼女)らの世界へと変化していった。
彼(彼女)は、また歩き出す。
新たな位相となってしまった、新たな変化方を得た世界を。
ゆっくりと、ゆっくりと。
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「オーイ。リュージー。こっちぞーい。」
名前と方向を呼ばれそっちに顔を向けてみると、爽やかな顔の人当たりが良さそうな青年が手をふっている。
先ほど電話で場所を教えてくれたリョウタだ。
リュウジは、手に持っていたかき氷三つを溢さないように小走りしつつリョウタのもとへ向かう。
「いやー。やっと見つけた。」
かき氷の一つをリョウタに渡し、空いた片手でケータイを取り出し時間を確認するリョウタ。
「うわー。思ったよりも時間たってるな。」
リュウジがリョウタに電話をかけてから、更に五分ほどたっていた。
リュウジのケータイを覗きこんだリョウタも、かき氷を食べつつ驚いている。
「確かに結構時間たってたけど、もうこっちについて30分以上時間がたってるのな。奈美(ナミ)ちゃんも結構キレてるぞ。真咲(マサキ)も宥めるのに大変だぜ?あ、あと、もうテント建ててあるからすぐ日陰入れるぞ。」
ちなみに、ナミはリュウジの妹で、マサキはもう1人の(女)友達。
「読者諸君に説明しておくが、ナミちゃんはリュウジラブなブラコンって設定だ。あと、マサキは俺の嫁さん。(予定。)」
「お前、誰に向かって話してるの?遂に気が狂った?にしても、マジか。そっちいきたくね。」
リュウジは、しぶしぶといった感じで、リョウタは、少しウキウキしてテントへと向かった。
「あ、リョウタ帰ってきた。」
マサキは、リョウタが戻ってくるのを見つけると、キャンプ場のBBQ用の台に木炭を入れながら、先程まで駄々を捏ねていたナミを見る。
ナミは両頬をぷくっと膨らませて、怒ってますよアピールをしていた。
(やっぱり可愛いなぁ。ちっちゃい子は。)
そんな事を考えつつ、この後リュウジがナミに小さくなりながら謝るいつもの劇を思いだし、口角が少しだけ上がる。
「やっぱり、夏は楽しまなくッちゃね。」
そんな事を呟きながら、マサキは戻ってきたリョウタたちに手を小さく振るのだった。
登場人物増えた。
物語の進展が難しい。
色々難しい。