彼(彼女)は、うずくまっていた。
足下には、多くの色がごちゃごちゃに入り乱れている。
彼(彼女)は、泣いていた。
足を抱えて。
差しのべる手はなく、彼(彼女)は、ずっと一人だ。
山頂は、相変わらず見えない。
黒いような、白いような、日の光が届いていない深海のような世界に見える。
ポツリポツリと雨も降りだした。
しかし、絵の具のように、乾いていない筈の彼(彼女)の足元の色たちは、雨を受けてもなお模様を崩さない。
彼(彼女)は、雨に打たれて、撃たれて、討たれて。1人でうずくまる。
更に小さく閉じ籠ったように見える。
鮮やかだった目下《かこ》の景色も、雨に濡れて、霞んでしっかり見ることさえできないー
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リュウジとナミが、兄妹の逢瀬?を済ませたあと、昼食をとるために戻ってくると、やけにマサキとユウヒが仲良くなっていた。
リョウタはリョウタで、二人に関わるまいと一心不乱に肉を焼いている。
チアキとナオは、リョウタが焼いたお肉を美味しそうに頬張っている。
呆気にとられた高松兄妹は、変なテンションになっている女子二人?に何があったと(心の中)で同時に突っ込む。
二人が固まっていると、、チアキがお肉を頬張る手を止めて、二人に話しかけてくる。
「リュウジとナミさん。お先に頂いています。それと、いつまでもそこに固まっていないでこちらに入らしたどうですか?」
言うやいなや、1人分だけ隣にずれて、座れそうなスペースをつくる。
軽く思考が止まっていた兄妹は、言われるがままにそこに座る。(自然にナミはリュウジの膝の上に座った。)
リョウタが蒼白になりながら肉を持ってきて、思考が動き始めたリュウジは、膝に座っているナミを下ろして、リョウタのところへ肉を焼きに行く。
「なぁ。あの二人に何があった?」
蒼白になっていたリョウタは、リュウジに話しかけられることで、少しばかり落ち着きを取り戻したようで、自分達も食べる分の肉を取り出し、半分をリュウジに渡しながらゆっくり語り始める。
「ユウヒをお前は知ってるんだったな。あいつは、俺の妹だよ。血の繋がった、双子の妹。」
なんとく感づいていたリュウジは、さほど驚かない。
無言のまま話の続きを促す。
「まぁ、生き別れって言うのかな?少しだけ早く生まれた俺は、今の両親のもとに、少しだけ遅く生まれたユウヒは、小さな児童保護施設に預けられた。」
なんとなく、リュウジは、聞いてはいけないことを聞いているような、そんな気がした。
リョウタは、そんなリュウジの心を読んだように、むしろ聞いてくれたほうが楽になる。と話を進めた。
「施設に行ったあとも、俺や両親はちょくちょくあいつに会いに行った。だから、顔は知ってたし、あいつがどういう生活かは知ってる。無論向こうも、俺の生活を知ってるわけだが。」
程よく焼けた肉の一切れを自分の皿にとり、リョウタとリュウジは、肉を食べながら話を進めた。
肉の味は、あまり覚えていなかった。
初めてこんな長々と書いたよ。
この物語で!