流れていく時間のなかで   作:なゆたとふかしぎ

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前振りのネタがそろそろなくなってきた二週間後です。(笑)


第十三歩

彼(彼女)は、うずくまっていた。

足下には、多くの色がごちゃごちゃに入り乱れている。

彼(彼女)は、泣いていた。

足を抱えて。

差しのべる手はなく、彼(彼女)は、ずっと一人だ。

山頂は、相変わらず見えない。

黒いような、白いような、日の光が届いていない深海のような世界に見える。

ポツリポツリと雨も降りだした。

しかし、絵の具のように、乾いていない筈の彼(彼女)の足元の色たちは、雨を受けてもなお模様を崩さない。

彼(彼女)は、雨に打たれて、撃たれて、討たれて。1人でうずくまる。

更に小さく閉じ籠ったように見える。

鮮やかだった目下《かこ》の景色も、雨に濡れて、霞んでしっかり見ることさえできないー

 

―――――――――――――――――――――――――

 

リュウジとナミが、兄妹の逢瀬?を済ませたあと、昼食をとるために戻ってくると、やけにマサキとユウヒが仲良くなっていた。

リョウタはリョウタで、二人に関わるまいと一心不乱に肉を焼いている。

チアキとナオは、リョウタが焼いたお肉を美味しそうに頬張っている。

呆気にとられた高松兄妹は、変なテンションになっている女子二人?に何があったと(心の中)で同時に突っ込む。

二人が固まっていると、、チアキがお肉を頬張る手を止めて、二人に話しかけてくる。

「リュウジとナミさん。お先に頂いています。それと、いつまでもそこに固まっていないでこちらに入らしたどうですか?」

言うやいなや、1人分だけ隣にずれて、座れそうなスペースをつくる。

軽く思考が止まっていた兄妹は、言われるがままにそこに座る。(自然にナミはリュウジの膝の上に座った。)

リョウタが蒼白になりながら肉を持ってきて、思考が動き始めたリュウジは、膝に座っているナミを下ろして、リョウタのところへ肉を焼きに行く。

「なぁ。あの二人に何があった?」

蒼白になっていたリョウタは、リュウジに話しかけられることで、少しばかり落ち着きを取り戻したようで、自分達も食べる分の肉を取り出し、半分をリュウジに渡しながらゆっくり語り始める。

「ユウヒをお前は知ってるんだったな。あいつは、俺の妹だよ。血の繋がった、双子の妹。」

なんとく感づいていたリュウジは、さほど驚かない。

無言のまま話の続きを促す。

「まぁ、生き別れって言うのかな?少しだけ早く生まれた俺は、今の両親のもとに、少しだけ遅く生まれたユウヒは、小さな児童保護施設に預けられた。」

なんとなく、リュウジは、聞いてはいけないことを聞いているような、そんな気がした。

リョウタは、そんなリュウジの心を読んだように、むしろ聞いてくれたほうが楽になる。と話を進めた。

「施設に行ったあとも、俺や両親はちょくちょくあいつに会いに行った。だから、顔は知ってたし、あいつがどういう生活かは知ってる。無論向こうも、俺の生活を知ってるわけだが。」

程よく焼けた肉の一切れを自分の皿にとり、リョウタとリュウジは、肉を食べながら話を進めた。

肉の味は、あまり覚えていなかった。




初めてこんな長々と書いたよ。
この物語で!

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