遊戯王-黒炎の決闘者-   作:ケケマロ

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瓦礫の海賊

「ここも廃墟…か…」

 

辺りを見渡す。

故郷とは違い、人為的に荒らされているように見える。

 

「おいガキ共ォ!!どこから入って来やがったぁ!!」

 

瓦礫の山にいるのはドクロを刺繍した扁平な帽子をかぶった男であった。

 

「遊悟、呼ばれてるよ」

 

遊悟「ガキ()って言ってんだから凛も含まれてるんだろ」

 

凛「でもあのおじさん遊悟を睨んでるよ?」

 

「俺はキャプテーン・ティース!!質問に答えな!!」

 

ティースを名乗る男は激昂していた。

 

「遊悟、彼はティース。僕の故郷、「融合次元」の猛者だ」

 

遊悟「ふーん…まぁ分かったことは…」

 

ここに来る前に貰った新型の決闘盤(デュエル・ディスク)を左腕に装着する。

 

遊悟「あいつは「敵」ってことだな…!」

 

新しい世界に来て初めて対峙する相手にニヤリと笑う。

 

ティース「ほう…いきったガキがいるな…それはそれとして…てめえ「ダリオ」!

ユーリに「シンクロ次元」の制圧を命令されていたハズだろうが!

何故ここに来ていやがるんだ!」

 

ダリオ「ユーリには無い…新たな可能性を見つけたまで…

僕は分かったんだ…!ユーリを止めなきゃならないと!」

 

ティース「ハッ!くだらん!ユーリに敵う決闘者(デュエリスト)はいねえ!」

 

遊悟「敵うかどうかじゃあねえ!俺はユーリを倒す!」

 

ティース「無謀なガキがよ…!ここでまとめて潰してやるよ!オラ、てめえら!」

 

ティースが手を挙げると無数の骸骨兵が地面から湧いて出てきた。

 

凛「なになに!?」

 

ダリオ「ティースの兵士たちだよ!

ユーリの力でデュエルモンスターズのモンスターを実体化させているんだ!」

 

遊悟「お前は闘わないつもりか!」

 

ティース「いいや!お前達が逃げないように囲ったまでよ!

どうする?一斉に掛かって来るかぁ!?」

 

遊悟「いや、俺が相手だ!」

 

凛「がんばってねー遊悟!」

 

ダリオ「…」

 

大丈夫かな…?

ティースのカードとシンクロとの相性は最悪…

でもティースにも勝てないんじゃあ…ユーリには到底かなわない…!

 

ティース「貴様が無謀なだけのガキということを教えてくれるわ!!」

 

  『デュエル!!』

 

ティース「俺の先行!俺は「融合」を発動!

「海賊船スカルブラッド号」と「スカル・ナイト」を融合!」

 

  広大なる海!その神秘の渦にて海賊の伝説は蘇るのだ!

    融合召喚!いざ抜錨!キャプテン・ロック!

 

赤い衣を着た海賊が瓦礫の海からその姿を見せる。

 

凛「攻撃力0…」

 

遊悟「あれだけ偉ぶっておきながらたかが攻撃力0か!」

 

ダリオ「いや…彼のモンスターは強力だよ…!」

 

ティース「俺は永続魔法「宝船の増援」を発動!カードを1枚伏せてターン終了だ!」

 

遊悟「俺のターン、ドロー!…!」

 

この手札なら…!バンブー・ホースから赤目のダイスを召喚して…

チャンバライダーを召喚して一気に終わらせる!

 

遊悟「俺はこのモンスターを…」

 

ティース「キャプテン・ロックの効果は相手の手札からの召喚・特殊召喚、

そしてモンスターのセット!全てを封じる!」

 

遊悟「!?…バカな!?場に出せないんじゃあシンクロ召喚ができない!!」

 

ダリオ「そう…!シンクロは封じられた…!」

 

ならこの手札じゃあ何もできない…!

 

遊悟「俺はターンエンド…!」

 

凛「手札事故…!」

 

ダリオ「それだけキャプテン・ロックが強力なロック能力を持っているということ…

 

遊悟「あぁ…「キャプテン・()()()」ってそういうことか!はっはっは!」

 

ダリオ「そんな呑気な…!」

 

笑う遊悟を見て凛は安心する。

 

凛「安心しなよ!遊悟はあんな程度で負けない!…というより…」

 

少女は肩を落とした。

 

遊悟「遊悟はいつも通り…ううん、いつも以上にリラックスしてる!」

 

ダリオ「!」

 

ティース「俺のターン!俺のスタンバイフェイズ!

「宝船の増援」の効果を発動する!俺はデッキからカードを1枚ドローし、

キャプテン・ロックの攻撃力を400上昇させる!

言っておくが「キャプテン・ロック」にも弱点はある!

自身も含めて場に攻撃力1000以上のモンスターがいる時破壊されるのだ!」

 

立体幻影(ソリッドビジョン)の黄金の船から笛の音が鳴り響く。

海賊船長は大手を振りその声援に応える。

 

 キャプテン・ロック ATK0→400

 

遊悟「なるほど…なら強化して自壊させるのも手か…」

 

ティース「さらに永続魔法「大海戦」を発動!

俺の水属性モンスターの与える戦闘ダメージは2倍だぁ!」

 

凛「400の2倍で800…」

 

ティース「さらに「宝船の増援」で与えたダメージ分のダメージを与える!

ダメージはさらに2倍の4倍だぁ!!」

 

凛「ダメージ1600…!次ターンは800の4倍で3200!」

 

遊悟「何も出せないままなら2ターンでゲームエンド…!」

 

ダリオ「マズい!」

 

ティース「喰ぅらえぇい!ダイレクトアタック!!」

 

少年は腕を交差し防御姿勢をとる。

赤いドクロは遊悟に襲い掛かった。

 

 遊悟 LP4000→2400

 

遊悟「くっ」

 

少年は風に圧され後ろに飛び退いた。

 

ティース「次がラストターンだぜ?お祈りしてから引くんだなぁ!

それとも後ろの連中に助けを求めてみるかい?」

 

遊悟「ヘッ!あいにく理不尽な決闘(デュエル)なんて慣れっこなんだよ!

そして…この決闘(デュエル)に平伏すのはお前の方だ!」

 

ティース「大口を叩くのは俺に勝ってからにしな!カードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

遊悟「俺のターン、ドロー!俺は「シンクロヒーロー」をキャプテン・ロックに装備!

装備モンスターの攻撃力は500アップし、レベルが1上がる!」

 

 キャプテン・ロック ATK400→900

 

ティース「装備魔法を引いたか!強運な野郎だ!俺のターン、ドロー!

だが無意味!リバース速攻魔法!「宝船の氾濫」を発動!

俺の「宝船の増援」を破壊し、互いに500ダメージを受ける!」

 

黄金の船は爆裂し、二人を傷つけた。

 

 遊悟   LP2400→1900

 ティース LP4000→3500

 

遊悟「くっ!強化を無効に!?」

 

ティース「さらに「宝船の増援」の効果で互いに1枚ドローする!」

 

凛「キャプテン・ロックの破壊を防いで、なおかつドローする…」

 

ダリオ「やはりティースは強い…!」

 

ティース「キャプテン・ロックでぇ!ダーイレクトアターック!!」

 

 遊悟 LP1900→100

 

遊悟「ぐぁ」

 

小さい呻きが漏れる。

 

ティース「次のターンでお前の負けだぜぃ?1枚伏せてターンエンドだ!」

 

遊悟「俺のターン…ドロー!…!俺はカードを1枚伏せてターンエンド…」

 

少年は顔を上げないままターン終了を宣言する。

壁モンスターも出せないまま。

 

ダリオ「…!?何もできないまま終わり…?」

 

ティース「ガアッハッハッハ!!」

 

ダリオ「やはり乱入するしか…!」

 

凛「やめなよ」

 

少女がダリオを制止する。

 

凛「これは遊悟の決闘(デュエル)…ダリオは遊悟と闘ったでしょ?なら信じて」

 

ダリオは自分の勝手な賭けを思い返す。

そして信じて待つことも賭けの一つであると言い聞かせ、その場に座った。

 

ティース「信じるだけじゃあ助からねえのさ!

俺のターン!このままダイレクトアタック!!」

 

赤いドクロが遊悟目掛けて斬り付ける。

その攻撃を遊悟は、

 

遊悟「…かかったな!」

 

ティース「なに!?」

 

少年の場のリバースカードが光る。

 

遊悟「俺は「ダイスロール・バトル」を発動!

墓地のモンスターと手札の「ダイス」チューナーでシンクロ召喚する!」

 

ティース「墓地のモンスター!?」

 

ダリオ「いつの間に…?…!そうか!」

 

遊悟「前のターン終了時!俺の手札は7枚…1枚手札オーバーで捨てていたのさ!

俺は墓地のメンコートに手札の三つ目のダイスをチューニング!」

 

     聡明に輝く澄明の翼!新たなる風を巻き起こせ!

  シンクロ召喚!出でよ、クリアウィング・シルフ・ドラゴン!

 

凛「来た!」

 

ダリオ「遊悟のエース…!」

 

ティース「なんとぉ!?」

 

透明の翼を煌かす、白い竜が宙を舞う。

白竜の召喚により赤い海賊ドクロはガラガラと瓦礫の海に崩れた。

 

ティース「…ふっふっふ!この程度想定済み!

俺は永続(トラップ)「デッドマン・パイレーツ」を発動!

破壊された「キャプテン・ロック」を蘇生させ、

さらに墓地のモンスターを装備し攻撃力をそのモンスターと同じにする!

「海賊船スカルブラッド号」を装備し一体化せよ!!」

 

ガラガラと海を割り、赤い海賊は地獄から蘇る。

その体は黒い船と一体化し、おおよそ人間とはかけ離れた姿に変わっていた。

 

遊悟「たかが攻撃力1600!「ダイスロール・バトル」のさらなる効果!

この効果で出したモンスターと相手モンスターで強制的にバトルする!」

 

凛「よし!返り討ちだぁ!」

 

白竜が海賊を引き寄せ、翼で切り裂く。

 

ティース「甘いわぁ!永続(トラップ)「ゴールデン・クルージング」!

墓地から蘇生した水属性モンスターの攻撃力を2倍にするぅ!」

 

 キャプテン・ロック ATK1600→3200

 

海賊ドクロは金色に染まり、白竜を返り討ちにした。

 

ダリオ「マズい!」

 

遊悟「俺は手札の「SR(スピードロイド)ビックリボー」の効果を手札から捨てて発動!

この戦闘ダメージは0になる!」

 

金色の海賊は砂柱を巻き上げ、白竜を討伐した。

球状の小悪魔が弾け飛び、衝撃を吸収した。

 

遊悟「さらに「SR(スピードロイド)ポックリンボ」の効果を発動!」

 

ぽっくぽっくと足音を鳴らした子鬼が地面に手を突っ込む。

 

遊悟「コイツを手札から捨てて破壊されたモンスターをそのままの表示形式で特殊召喚する!」

 

子鬼は瓦礫に沈んだ白竜を引き上げその姿を消した。

 

ティース「チィ!次のターンこそ終わりだ!ターンエンド!」

 

遊悟「俺のターン!…こいつは!」

 

引いたカードによりキャプテン・ロックの突破だけでなく、勝利への道筋を見出した。

 

遊悟「よし!俺は「SR(スピードロイド)バンブー・ホース」を召喚!

さらにバンブー・ホースの効果により、手札の「SR(スピードロイド)赤目のダイス」を特殊召喚!」

 

…召喚するのはチャンバライダーではなくコイツだ!

 

   双翼抱く煌くボディー、その翼で天空に跳ね上がれ!

  シンクロ召喚!現れろ、HSR(ハイスピードロイド) マッハゴー・イータ!

 

遊悟「俺はマッハゴー・イータの効果を発動!

このカードをリリースすることでフィールドのモンスターに、

「レベルが変化した時、その変化に1加える」効果を与える!」

 

ティース「効果を与えるだと?何をしても無駄だ!」

 

遊悟「俺は手札から「ハイ・スピード・リレベル」を発動!

墓地のマッハゴー・イータを除外し、場のモンスターのレベルを全て5にする!」

 

ティース「何を…」

 

その時、白竜に輝きが増していく。

 

遊悟「この瞬間!「マッハゴー・イータ」の効果によって付与された、

モンスターのレベルを変化させる効果が「キャプテン・ロック」から発動される!

そして「クリアウィング」は発動したモンスター効果を無効にし破壊する!」

 

ティース「なんだとぉ!?」

 

遊悟「『ガスト・リフレクション』!!」

 

白竜は黄金の海賊を噛み砕き、透明の翼にその金色の輝きを宿した。

 

遊悟「さらに!破壊したモンスターの攻撃力を得る!」

 

 クリアウィング・シルフ・ドラゴン ATK2500→3700

 

ダリオ「攻撃力…5700!」

 

ティース「バカな…!?」

 

遊悟「バトル!クリアウィングでダイレクトアタック!

行け!『旋風のサイクロン・スラッシャー』!!」

 

白竜は回転を付けて、ティースへと突撃した。

 

 ティース LP3500→0

 

ティース「ぐわあぁ!!」

 

海賊の風貌の男は海賊帽子を飛ばされ、地面に叩き落とされた。

 

 Winner 遊悟

 

ダリオ「やった!」

 

凛「遊悟の勝ちぃ!!」

 

遊悟「ふ~ぅ…際どかったぁ…!」

 

気絶したコイツをどうするか…

 

  『ギャーオ!』

 

立体幻影(ソリッドビジョン)の白竜が東の方角を見つめ哭いた。

 

遊悟「クリアウィング?なんで消えてないんだ…?」

 

ダリオ「おそらくユーリの支配権内にいるからだろう…

立体幻影(ソリッドビジョン)に実体が付いているんだ」

 

遊悟「あっちの方角…?…!そうか…!」

 

遊悟はそう言うと男を担ぎ上げ、白竜の見つめる先へと進んだ。

 

凛「遊悟?」

 

遊悟「向こう側からユーノの…「ダーク・リベリオン」の鼓動を感じる…

そこにユーノがいる…合流しよう。そしてコイツもこのまま置いとく訳にも行かない」

 

少年たちは黒竜の鼓動をたどり東へと進む。

この荒廃した都市で何ができるのか、それを知るのは黒い少年遊希。

故郷に似た境遇の都市に遊悟と凛の心は少し穏やかであった。




ぽちぽちから投稿。

正直今でも環境は先攻ワンキルか先攻制圧のどっちかなら、
大会に復帰する気力が出ない。
先攻ゲー辛い。

以下オリカ効果。



≪宝船の増援≫
永続魔法
①:自分のスタンバイフェイズ時に発動する。
フィールドの「キャプテン・ロック」の攻撃力を400アップし、
自分はデッキからカードを1枚ドローする。
②:「キャプテン・ロック」が相手に戦闘ダメージを与えた時に発動する。
その戦闘ダメージと同じ数値のダメージを相手に与える。
③:このカードが破壊され、墓地に送られた時に発動する。
互いのプレイヤーはデッキからカードを1枚ドローする。

「キャプテン・ロック」のサポートカード。
効果増しましで楽しい。



≪宝船の氾濫≫
速攻魔法
①:フィールドの「宝船の増援」を破壊し互いに500ダメージを受ける。

今回のようにぎりぎりの数値を回避する時に使うといいカード。
産廃。



≪ゴールデン・クルージング≫
永続罠
①:自分フィールドの墓地から特殊召喚した水属性モンスター1体を対象に発動できる。
そのモンスターの攻撃力を2倍にする。
②:フィールド上の表側表示のこのカードが墓地へ送られた場合、
対象のモンスターをゲームから除外する。

微妙なカード。
C(カオス)No.(ナンバーズ)101S・H・Dark Knight(サイレント・オナーズ・ダーク・ナイト)」と相性抜群だ!
サイクロンやツイツイは知らない。



SR(スピードロイド)ビックリボー≫
レベル1/風属性/機械族/ATK300/DEF200/チューナー
①:相手モンスターが攻撃した場合、
そのダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動できる。
その戦闘で発生する全てのダメージは0になる。
②:1ターンに1度、自分の墓地の「SR(スピードロイド)」モンスター1体を
ゲームから除外することで発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

スーパーボールの別名「びっくりボール」+「クリボー」
現代版「クリボー」的なカード。
作者の好みに偏りありますねぇ…



SR(スピードロイド)ポックリンボ≫
レベル2/風属性/機械族/ATK500/DEF 0
①:自分のモンスター1体が戦闘で破壊された時に発動できる。
そのモンスターが破壊された時のコントローラーのフィールドに
同じ表示形式でそのモンスターを特殊召喚する。

タイム・マシーン内蔵カード。
産廃。

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