比企谷がいきなり挨拶してくるから焦った…。い、いや別にあたしは…って誰に否定してるんだあたしは。
っと、それより。
「…で、何か用なの?戸塚が由比ヶ浜たちが呼んでるって言うから来たんだけど。」
「率直に言うわ。川崎さん、あなたは比企谷くんが好きでしょう?」
「なっ…!」
何て事聞いてくんだ、雪ノ下のヤツ!
「隠さなくていいよ、沙希ちゃん。あのね、ここに居るみんな、…ヒッキーが好きなんだ。沙希ちゃんの態度見てればわかるし。」
ゆ、由比ヶ浜まで…。
いや、焦ってばっかだあたし!ひ、否定しなきゃ…。
「な、なんでそういう話になってんのか知らないけど、よ、用が無いならあたしは帰るよ…!」
否定出来てない!馬鹿かあたしは!
「悪いんですけどー、帰しませんよー!わたしも先輩のことさらけ出したんですから、川崎先輩、うーん…沙希先輩も言ってもらいますよ!」
な、何で生徒会長まで…!しかも扉の前に居るから出られない!
「安心して。別にあなたをどうこうするつもりはないの。…簡潔に聞きます。あなたは七夕の日、短冊を書かなかったかしら?」
「な、何で知ってんの?み、見たの?」
「いいえ。見てはいないわ。ただ、少し比企谷くんに問題が発生してしまったの。正直に言って貰わなければ、比企谷くんが困るのよ。それで、どうなのかしら?」
比企谷が困る…?さすがにそれは…。仕方ない、言うしか無いんだね。
「か、書いたよ。ひ、比企谷に気持ちを知ってほしい、伝えたいって…。で、でもこんなので何で比企谷が困んの?あたしが好きになったら…ダメ、なの?」
確かにあたしは結構暴力振るっちゃうし、睨んだりしてるけど…。
「ち、違うよ沙希ちゃん!あたし達もヒッキーが好きだよ!そうじゃないの、えと、ゆきのん!」
「ええ。実は七夕の次の日から比企谷くんが何故か増えたの。」
…は?比企谷が…増えた?
「あんた、ふざけてんの?」
「いいえ。私は嘘偽りは言わないわ。信じられないかもしれないけれど、これは事実よ。そしてあくまで憶測ではあるけれど、その原因として考えられるのが、七夕の短冊。私達の願いが原因だと思われるわ。理由は私の他の願いまでが増えた比企谷くんに影響を及ぼしているから。増えた比企谷くんは7人。つまり7人が比企谷くんに伝えたい事があるということよ。」
7人…比企谷が増えたってのも信じられないけど、その原因があたし達の告白したいって気持ち…?
「あ、あんたも比企谷に告白したいんだ?」
「…ええ。恥ずかしいけれど、私も比企谷くんが好きよ。」
あの雪ノ下が、ねぇ。噂だけでも相当な数の男子をフッてきたって聞くけど。ま、まあ比企谷は格好いいもんね、…って何考えてんだあたし!
「そ、そう…。由比ヶ浜はわかってたけどさ…。あんたや生徒会長まで比企谷が好きって、比企谷モテるんだ…。」
「え⁉あたしバレてたの⁉ど、どうしようゆきのん、みんなにもバレてるのかな…?」
バレてないと思ってたのかよ…。にしても、こんなに比企谷が好きなヤツいたらあたしじゃ勝てないんじゃ…。
「…由比ヶ浜さん、比企谷くんは気づいていないのだからそんなに気にすることは無いわ。」
「そ、そっか。…うん、そうだね!ありがとうゆきのん!」
「苦しいわ、由比ヶ浜さん…。」
「それで?どうすんの?」
増えたことと原因がわかったって対処出来ないんじゃ話にならないでしょ。比企谷助けないといけないし。
「まずは比企谷くんのことが好きな女性を探さなければいけないのだけれど。」
「そうだね。ま、それはわかるけど全員見つかったら?」
「告白するわ。」
「は?」
「告白するわ。」
「え?」
「…告白するわ。」
「ななななな…!!! 」
聞き間違いじゃないのかよ!比企谷に告白って、あ、あたしも⁉ヤバイヤバイヤバイ!告白なんて出来る訳ないでしょ!馬鹿じゃないの?
「ば、馬鹿じゃないの⁉ひ、比企谷に告白って⁉」
「…川崎さん、声が大きいわ…。…仕方ないでしょう?私達の願いは比企谷くんに告白する、なのだから。それを解消しなければ多分比企谷くんはこのままよ。」
そ、そっか…あたしがあんなこと書いたから…。…あん時のあたしをぶん殴りたい…。
「沙希先輩、先輩のこと好きな人に誰か心当たりありませんか?」
長くなってしまったので2つに分けます。