彼も彼女たちも偽物を欲しない   作:風来のアスカ

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ゆきのん篇はっじまっるよ~!


33章・ゆきのさん@がんばらない

ついに残るはただ一人。だが…問題は猫耳けもしっぽ持ちと言う事だ…。何でコイツはこんな状態に…と思ったが、最初から雪ノ下以外に原因は無いよな…。猫だし。パンさんだし。さてどうなることやら。

ピンポーン!

朝早くからチャイムが鳴った。

─────偽八幡(雪)─────

「おはよう、ネコヶ谷くん。」

「俺は比企谷だ。」

「失礼、噛んでしまったわ。」

わざとだろ…。かみまみたとは言わせん。

「随分早いな。しかも家に来るとはどういう風の吹き回しだ?」

「あなたに会いたかったからよ?」

「なっ…!」

「ふふっ、冗談よ。」

このアマ…!!

「まあ、会いたかったからと言うのは本当なのだけれど、その、猫耳…触らせて貰えないかしら。」

「触らせたら…何かしてくれるのか?」

「…ゲスね…私に何かいやらしい事をさせようという事なのでしょう?………いいわ、私の」

「だが断る!この比企谷八幡が最も好きなことの1つは、自分に価値があると思ってる奴に『NO』と言ってやることだ。」

決まった…。ずっと言ってみたくて仕方なかった言葉の第4位の台詞が言えたぜ。つーかいつもの雪ノ下なら我慢してそういうの隠すんだが、コイツ今自分の何をどうしようとしてたんだ?禁断症状でも起きたのか?

ガシッ。

ん?

「雪乃さんいらっしゃいませ~。さあいくらでも触っちゃって良いですよ~。」

「小町、お前…!」

「フフフフフ…比企谷くん、覚悟することね…。」

「や、やめろ…!!い、いやあああああああああ!!!!!!」

このあと目茶苦茶猫耳をナデナデされた。

「ふう…。」

コイツ、満足した顔しやがって。何か大事なものを失った気がするぜ…。

「小町さんありがとう。危なくこの男に貞操を奪われるところだったわ。」

「おい!一言もそんな事言ってないし、そもそも断っただろうが!」

「そうだったかしら?」

こめかみに手を当てて首を傾げる雪ノ下。何だコイツ、あざとくなっていやがる。可愛すぎんだろうがよーーーーーー!!!…取り乱した。反省している。

「いいんですよ~!雪乃さんのためならこんなごみいちゃんの一人や二人や三人や四人、なんなら百人でも生け贄に捧げるまでありますよ~。」

何その話し方は、小町ちゃん?可愛いけど可愛くないよ?なんならムカつくまである。…俺の話し方の真似ですね、わかります。

「本物の比企谷くんはどうしてるのかしら?」

「お前ら、五月蝿いぞ。せっかくの夏休みだというのに寝られねえじゃねえか。」

「五月蝿いのは貴方よ?」

「いや、そうだけども。俺だけど俺じゃないからね?」

『本物の』俺に対しても容赦しない雪ノ下である。しかしシュールだなこの光景。俺が目の前で怒られるのを見るというのは。

「ああ、兎に角静かにしろ。じゃあな。」

「ええ、さようなら。」

ニコニコしてるんだけど雪ノ下はいつもの如く何か怖いオーラを纏っている。

「ところで─俺のこの耳と尻尾取れないけどどうすんだ?出かけるにもこれじゃ行けないだろ。」

「そうだったわね…どうしようかしら。」

「ふっふーん、小町にお任せだよ~!はいこれお兄ちゃん!」

小町がフード付きの丈が少し長い服を取り出す。

「猫耳はフードで、尻尾は下の部分で隠せってことか。」

「そう!これで雪乃さんとの『デート』に行けるんだよ!小町的にポイント高い!」

あーあーそうですね、最後の台詞がなければね。

「デート…。猫耳とパンさん尻尾の比企谷くんと…。」

何か雪ノ下が小さい声でブツブツ言ってるが気にしないでおこう。何か怖いしな。

「じゃあ行くか。何処か行くところ決まってるのか?」

「え?ええ、勿論よ。ここよ。」

雪ノ下があまりない胸を張って(なんか寒気がする)、一枚の紙をどや顔で見せてくる。

「アニマルテーマパーク、わんにゃんランド…。成る程な。最近出来たとこか。」

「小町も行きたいから今度連れてってねお兄ちゃん。」

「本物の方に言えよ。」

「あーそうだったね。わかった!」

うんうん素直で宜しい。俺に集る気満々なのは癪にさわるが、可愛いから許す。可愛いは正義だからな。ソースは戸塚。戸塚は天使、つまり正義そのものだからな。

「さて行きましょうか。寄って行きたいところもあるのだし。」

「寄って行きたい?何処だ?」

「ふふ、着いてからのお楽しみよ。」

そこには…魔王がいらっしゃった。いや、すまん、陽乃さんが居た。駅前の喫茶店のあまり目立たない席に。陽乃さんは目立ってるけど。

「ひゃっはろー比企谷くん。ふむふむ、あ~本当に猫耳とパンさんの尻尾があるんだね~。」

「あんまりジロジロ見ないでくれますかね。雪ノ下さん。」

「陽乃でいいよ、比企谷くん。うむ、なかなか可愛いよ、比企谷くん。触ってもいいよね?」

え、何この人。躊躇いが微塵も感じられないんだけど。

「いや、ダメ…」

「よいではないか、よいではないか~。」

…結局また触られた。どさくさ紛れに雪ノ下まで今度はパンさんの尻尾まで触って来やがった。

「いや~、満足満足。雪乃ちゃんも楽しそうで良かったよ。そうそう、比企谷くん。」

「…なんすか?」

ちょっと不機嫌に応える。

「雪乃ちゃん不幸にしたら許さないからね?」

耳元でそう呟く。ゴクリ、と俺の喉がなった。

「なーんてね。雪乃ちゃん、楽しんでおいで~。」

「ええ。姉さんも彼氏さんと楽しんで来て。」

「うんうん、じゃあね。」

陽乃さんに彼氏…だと…?魔王も遂に陥落したのか。…御愁傷様です、知らない彼氏さん。

つーか、この二人随分仲良くなったな。

 




ゆきのん篇も二部構成です。

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