彼も彼女たちも偽物を欲しない   作:風来のアスカ

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平日パート。


28章・よんでますよ、一色さん

折本とのデートも終わり、これで3人の偽物が消えた。しかし…全然共通点が見つからない7人が何故俺の偽物を消す方法なのか…イマイチわからない。

今日も奉仕部の教室で勉強をしながらそんな事を考える。もうすぐ終業式だから、夏休みに残り4人とのデートを済ますらしい。と、そんな時にいつも通りノックもせずに平塚先生が入ってくる。

「一色はいるかね。」

「平塚先生、ノックをしてください。一色さんは今日はまだ来ていませんが。」

「そうか、では来たら職員室に来るように伝えてくれたまえ。」

一色の奴また何かやらかしたのか。仕方ない、一応平塚先生には世話になってるからな…。

「…一色探しに行ってくる。」

「え、ヒッキーいろはちゃんに用事?」

「ちげーよ、平塚先生が呼んでただろ。」

由比ヶ浜も聞いてたはずなのに…。アレか、ナギナギですか、そーですか。

「電話すればいいんじゃないの?」

「あ。」

そーか、むしろ俺が何言ってんだってことだったのか!恥ずかしー!今すぐベッドでゴロゴロ悶えたい!

ダダダダダ…ガラッ!ピシャッ!

「ハァ…ハァ…せ、先輩が呼んでるって…どうし…たんですか…?ハァハァ…。」

何でコイツこんなに疲れてんの?

「はっ、もしかして、わたしに会いたいけど自分で電話するのは恥ずかしいから結衣先輩に頼んでしてもらったんですかちょっと可愛いかもとか思っちゃいますけどやっぱり自分でかけてくれた方が嬉しいので次は自分でかけてくださいごめんなさい!…ハァハァ…。」

は、早口過ぎて何言ってんのか聞き取れねえ。つうか疲れてんのに早口で話すなよ…。

「一色さん、呼んでるのは引き金くんではなくて、平塚先生よ?」

「何で俺は危険な奴みたいになってんの?何か危険のきっかけなの?」

「う…平塚先生…でしたか…。」

何かやったのか。ヤバイって顔してるけど。

「どうしたんだ?」

「じ、実は…生徒会の仕事あるじゃないですかー。その書類の締め切りを忘れてて…まだ…終わってなくてー。

「終わってなくてー。…じゃねえよ、平塚先生怒らせたら死ぬぞ。」

「で、ですよねー…。」

『2ーA、一色いろは、至急職員室に来るように!』

「ひっ!」

あー…終わったなー。

「…じゃあな一色。短い間だったが、お前の事は忘れない。」

「ちょ、せんぱーい!見放さないで下さいよー。」

「おい、掴むな!俺はまだ死にたくねーんだよ!」

「ぶう…先輩のせいでもあるんですからね!責任取ってくださいよー。」

あばばば…襟を掴まれてガクガク揺らされる。

「だぁー!何で俺のせいなんだよ!」

「先輩がぁ、増えたからに決まってるじゃないですかー。というわけで一緒に来てください!」

ぐっ…!きたねえ!コイツ、いつも思うが意外と策士だ…!

「比企谷くん…五月蝿くて勉強の邪魔だわ。一色さんと行きなさい。」

「…わかったよ…はぁ…。」

「よろしくです!」

キャピっとウィンクする一色。あざとい…。

「ほう…つまり締め切りを忘れていたと。どんな理由があったのかね?」

「えっと…その…。」

理由は言えないよな、あんな事を正直に言っても馬鹿にしてるとしか思われないだろうし。

「平塚先生。」

「なんだ、比企谷。そもそも何故君が居るのかね。」

「えーと、一色にはちょっと俺の用事を頼んでまして、代わりに俺が生徒会の書類の方をやるって言ってたんですけど…。」

「ふむ、言ってたんですけど…何かね?」

「忘れてました!」

てへぺろっ!おえ!

「比企谷、言い残すことはあるかね?」

「え?いや、ちょっと暴力はんた…」

「二重の極み!」

ドゴォッ!

「ひでぶっ!」

「仕方ない、一色、比企谷。二人で今日中に終わらせてこい。」

「すいません、先輩。」

「い、いや、別にいいんだけど…何か冷やすものくれね?」

思いっきり殴られたから腹がヒリヒリする。あの人マジで何で訴えられないの?俺だけなの?

「先輩、さっきのてへぺろは無いですよー。キモかったですし。」

「助けたのに酷くない?」

「でもちょっとかっこよかったですよ♪ありがとうですっ!」

すげーいい笑顔だなー俺殴られて痛いんだけどなー。

「それじゃ、ささっと終わらせちゃいましょー。」

「おー…。」

はぁ…。

「一色、こっち終わったぞ。」

「あ、ハイです!わたしも終わりました!」

「じゃあ後はいいだろ?平塚先生のとこは頼む。」

「えー。一緒に行きましょーよー。」

あざとく頬を膨らませやがって。断りづらいでしょうが。

「わかったわかった。じゃあ行くぞ。」

「はーい♪」

その後、平塚先生に二度とこんなことが無いようにと釘を刺された。怖い。平塚先生マジ魔王。

「終わって良かったです!先輩助かりましたー。」

「もう忘れんなよ。」

「はいっ♪」

後日、一色はまた平塚先生に呼ばれた。また違う書類忘れたらしい。俺は行ってないから知らんが、その後一色を見た者はいない…。

「勝手に殺さないでください!ヤバイんですヤバイんです先輩!また手伝って下さいよー。」

「お前なぁ…わかったわかった。行くから裾を引っ張るな。伸びる!」

 

 




いろはす、生徒会の仕事ちゃんとやってるんだろうか。

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