「千佳～、一緒に帰ろうよ～。」
「ごめんかおり、今日ちょっと用事で残らなきゃいけないんだ～。」
「そっか～、わかった～。」
今日は一人で帰るか～。…ちょっと総武方面通って帰ろっかな。
「あれ？折本さんは今帰りかい？」
「あ～、玉縄君。そうだよ。」
「じゃあ僕と帰らないかな。」
「うーん、今日はそれ、ないかな。玉縄君と勘違いされても困るし？」
玉縄君は良い人なんだけど、中身無いんだよね～。何言ってるかわからないし。
「そっか…。」
玉縄君の帰り道デートを断って総武方面に向かって歩く。たまにだけど、私一人の時は最近総武方面を通って帰る。遠回りだけど、もしかしたら、比企谷に会えるかもなんて思いながら。
中学校の時に大して知らない比企谷に告白された。私は当然フッたし、更にふざけてみんなにもバラした。あの時の事は比企谷に悪いことをしちゃったな～。
去年比企谷に再開して千佳と葉山君とダブルデートみたいな事をして、以前の様に比企谷を馬鹿にしてたら葉山君に怒られて、しかも比企谷に二人も可愛い女の子の知り合いが居てびっくりした。
クリスマス、うちの学校と総武高校と合同でイベントをやったんだけど、玉縄君含めたうちらが話を進めなかったら比企谷にめっちゃ言われた上に雪ノ下さんって人に怒られちゃった。玉縄君何言ってるかわかんないもんね～。私もそれある！ばっか言ってた(笑)
で、バレンタインデーにも比企谷に会って、話したら意外と面白い。比企谷って頭良いし、玉縄君をコテンパンにするのは凄いって思ったし。
それからたまに会った時とかもちょこっと話したら楽しかった。何か良いかもなんて思ってきて、気づいたんだよね。私比企谷の事好きなんだな～って。
七夕の日、あの日も今日みたいに一人で総武方面通って帰ってた。駅の方に行ったら何か短冊配ってたから私も貰った。思い切って、書いた。
『比企谷に気持ち伝える！』
って。や～、私にしては頑張った方かな～。いっつも他人の言うことに流されて生きてきたからな～。私が比企谷に告白するのってアリかな～。
「ん～、今日も比企谷いないか～。なかなか会えないな～。」
「あれ？海浜総合高校の、先輩のお知り合いの人じゃないですか～。」
「あ、総武の会長さん。久しぶり～。」
比企谷の知り合い、発見。ちょっと聞いてみよ～。
「比企谷って今どうしてるの？」
「先輩ですか？先輩は受験勉強で奉仕部の部室にいますよ。先輩に何か用事ですか？」
「うん！ちょっと比企谷と話したいな～って。会長さんにお願いできないかな。」
積極的に行かなきゃね～。ライバル多いっぽいし。
「えっと、先輩とどんな話をするんですか？」
おおっと、この子も比企谷好きなのかな？怒ってるっぽいな～。
「…もしかして先輩狙ってます？」
「え？あ～、えっと…あはは～…」
私動揺してる！見透かされてんじゃん！
「えっと、まあ、うん。比企谷の事いいなーって…会長さんもでしょ？」
「ふぇ⁉」
お～顔真っ赤。やっぱりだ～。
「えと、そんな事は…」
「それある！でしょ？」
うんうん。しかしこの子も可愛いな～。比企谷可愛い女の子にモテすぎ。
会長さんを誘って喫茶店来たんだけどそこで衝撃的な話を聞いた。何か比企谷が分裂したらしい。しかも原因は私達の短冊だとか。告白したいって気持ちが比企谷分裂の原因って…それはない。
「マジ？」
「ですです。先輩がモテすぎて。」
「ふ～ん、それじゃこれからメンバー集まって話をするの？」
「そうですね～。告白の順番とか、そもそも先輩と少しでも関わらないと告白しづらいと思うので、まずはあんまり関わってない人はデートとかです。正直に言えば、やめて欲しいですけど、雪ノ下先輩とかが怖いですし。」
雪ノ下さんってあのおっかない人か。やっぱ比企谷の事好きなんだ。って、比企谷とデート出来るんだ～。それある！
「じゃあこれ私の連絡先！よろしく！」
「そういえば、先輩と折本さんは中学校の時に何があったんですか？」
「え？あー…比企谷に告白されてフッたんだよね～…。」
「ええっ⁉あのへたれな先輩が⁉」
「あはは、比企谷可哀相だよそれは。でも勿体なかったかもね。今は好きだし。」
本当に勿体ないな～。比企谷とあの時付き合ってたらどうなってたかな。
「そ、それじゃ折本さん、今日はこれで失礼します！」
「え、あ、うん。じゃあね。」
凄い焦って帰っちゃった。どうしたんだろ？
ラストのヒロインでした。八幡が作中で唯一明確に告白したと言っている人物、折本かおり！さてさてどう関わって来るのか。お楽しみに！