彼も彼女たちも偽物を欲しない   作:風来のアスカ

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連続で書かないと次の話が飛びそうです(汗)
ある程度は次も考えてますが、基本は書くときに考えながら書いているので、たまに内容が変わりそうになります。



9章・その少女は独り未来に期待する

──こんなくだらないものがあるんだって、私は知らなかった。少し前の私は、いつものように家を出て、そこに向かって駆けていく。そして仲のいい子達と笑いながら話してた。

──くっだらない。

自分も含めて全部がくだらない。クラスの女子はみんな私を見てクスクス笑う。だけど、その前は私もあっち側だった。気持ち悪く相手を笑い、話しかけても無視をする。こんな関係がくだらなく見えるのも当たり前だった。

あの日私は林間学校に行った。私は行きたくはなかったけど、お母さんにバレたくなくて、意地を張ってカメラまで持って。

そこで、八幡に会った。死んだような、腐って見える目。その目は、すでに私みたいな期待も持ってなくて、周りを完全に隔離してた。私は中学校に入ればもしかしたら、なんて少しは期待しちゃってた。でも、違うと知った。

「残念ながらそうはならないわ。」

八幡の横にいた女の人。凄く綺麗で八幡なんかとは違った意味で孤独な人。その人が、中学校に行っても何人かは必ず同じ学校に来て、結局同じようになるって。

私はやっぱりそうなんだ、って諦めた。

八幡はそんな関係なんていずれ薄れてくって言ってた。どんなに友達が出来ても、大人になればそんなのは1人2人残ればいい方だって。

林間学校でも色々あったけど、その後は私は結局一人を選んだ。お母さんは少し悲しんでたけど、私が決めたから。

クリスマス、また八幡に会った。相変わらず捻くれてるみたいで

「俺の方がもっと上手く一人を出来る。」

とか変な事言ってた。でも多分あれは八幡の優しさなんだと思う。一人で居るって楽だけど、やっぱり何か寂しいと思う自分もいることに気づいたから八幡の優しさにも気づけた。そして私は八幡に劇の主役をやってみないかと言われてやったんだ。上手く出来たし楽しくて、久々に笑えた。…まあ一度一人になったら戻れなかったけど。

中学校に入って、クラスの女の子がまた標的になった。あの時林間学校で同じ班だった子は別の学校に行ったけど、違う班の子は大体居たから、まだ続けてるんだって思って気持ち悪くなった。

「…いつまでくっだらない事してんの?」

我慢出来ずに、クラスで言ってしまった。

「…小学生じゃあるまいし、いつまでやってんの。あんたもさ、何で何もやらないの?ばっかみたい。」

私はその後、またクラスで陰口をされた。対象がその子から私に変わる。…その子は違う子と仲良くなったけど、一人にはならなかったし、そういうことをしてる奴等からは離れられたんだろう。

ある時、その子からお礼を言われた。あの時はありがとうって。あんな言い方をした私に対して優しいねって言って去っていった。ああそうか、八幡もきっと優しくしてくれてたんだ、って初めて気づいた。

八幡はぶっきらぼうに言ったけど私が寂しく見えたから、あんな言い方だけど話しかけてくれたんだ。

八幡もそうなんだ。

そう思ったら私はあることに気づいた。

八幡に会いたい。会ってまた変な話をしたい。でもこの気持ちが何なのかわからなくてお母さんに聞いた。お母さんはびっくりしたけど、恋だって教えてくれた。会いたくなって、話をしたいなら、それは好きになったって事だって。

 

全然会えなくて、七夕の日、ちょっと用事で行った総武駅の前で竹に短冊を括ってる人達がいた。

ー八幡だ…!

妙に嬉しくなって、呼ぼうと思ったら隣にあの時の女の人達や知らない女の人に囲まれてて胸が苦しくなった。

それを無言で見送って、私も短冊にお願いを書いた。

ー八幡にまた会って沢山話をして、私の気持ちを言いたい。

それから私はちょこちょこ総武駅に出掛けたりした。そして、

「留美ちゃん?」

あの時八幡が八方美人だって言ってた女の人に会った。

 




と言うことで鶴見留美回でした。
考えながら書いてるので矛盾やおかしな点がありましたら是非ツッこんでください。

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