「沙希先輩。先輩のこと好きな人に心当たりありませんか?」
「え?ああ、うーん…。一人怪しいヤツなら居るけど…ただアイツは比企谷のこと嫌いだって思うんだけど…それに比企谷もアイツには関わりたくないと思うし…。」
アイツはあたしもムカついてるし!
「沙希ちゃん誰かそういう人知ってるの?」
「由比ヶ浜も同じクラスだからわかるかと思ってたけど、そっか、あんたは三浦とかと一緒にいるもんね。あたしも比企谷と同じクラスなんだけどさ、ソイツいっつもコソコソ比企谷のこと見てるんだよ。」
「え⁉同じクラスの子⁉あたしわからないよ⁉」
そりゃ由比ヶ浜は三浦達見てるか比企谷見てるかだけだもんね。あたしも比企谷を遠くから見てたから気づいただけだけど…。
「どなたかしら?今はどんな情報でもいいから知りたいの。教えて貰えるかしら?」
「…相模。」
「さがみん⁉」
「相模さん…⁉」
驚くよねやっぱ。
「その相模先輩?と先輩って何かあったんですか?」
ああ、この子はまだ比企谷のこと知らなかった時なのか。
「いろはちゃんはさ、去年の文化祭で文実に凄い嫌われものが居るって話聞いたことない?」
「えと、文実の他の女の子に凄く酷いこと言ったって。あと、テーマ決める時にも何かやったとか、2年に居るって聞きましたけど…。」
「それが比企谷くんのことなのよ、テーマ決める時は笑わせて貰ったわ、フフ。」
「ええ⁉先輩だったんですか⁉ああでも、先輩のことだから自分犠牲にして、何かやったとかですよね?」
「うん、正直言うとね、この話あんまりしたくないんだけど…。さがみんが実行委員長で文実自由参加にするってゆきのんやヒッキーとかに任せてほとんど来なかったんだ。あ、これは他の子から聞いたんだけどね。それでゆきのん倒れかけて…そんな時にヒッキーがテーマ決める時に『人~よく見たら片方楽してる文化祭~』みたいなこと言って来なかった人とかさがみんが怒って…参加するようにはなって何とか文化祭は出来る感じになったんだけど、さがみんがラストのスピーチから逃げちゃって。それを見つけたのがヒッキーなの。それからヒッキーはさがみんにやる気出させる為に隼人くんやさがみんの友達の前でわざとさがみんに酷いこと言って自分を悪者にしたんだって。それが2年で嫌われものが居るって噂の真相…。その後も体育祭でさがみんと色々あって…。」
今聞いてもムカツク。比企谷のおかげで文化祭出来たのに。まあ比企谷もやり方はダメだったかもしれないけどさ。
「そう、なんですか…。でもでも!先輩はやっぱ先輩ですね!どうせ『仕事だからな…俺がやりたいからやっただけだ、気にすんな。』とか言ってホントは雪ノ下先輩が心配だっただけな癖に捻くれたんですよね?」
「フフっ、その通りよ。」
「あはは、いろはちゃん似てる!」
「ぷっ、あんた、比企谷好きすぎでしょ。」
一色だっけ。こいつもやっぱ比企谷が好きなんだ。良く見てる。…ライバル強いな…。
「…それで?どうする?」
相模はムカつくけど比企谷が好きだったら必要なんだろうし…。
「さがみん…かぁ…。あたしも止められなかったから悪いけど、やっぱりあの時のはさがみんやりすぎだと思うし…。」
「…私は、相模さんに尋ねるべきだと思うわ。」
やっぱ雪ノ下はそういうだろうね。
「わたしは正直に言うと嫌ですっ。先輩や雪ノ下先輩に迷惑かけたのに先輩をひどい目にあわせておいて、先輩が好きだなんてふざけてますよ!」
うわー…こいつあざとい。わざとらしくプクーッて頬膨らませてるし。でも可愛いからこういう方が比企谷はいいのかな。
「あたしも雪ノ下に賛成…かな。ムカつくけど今は比企谷のことが一番大事でしょ。」
「さ、沙希ちゃん…ヒッキーが一番大事って…。大胆…。」
「ちょ…そ、そういう意味じゃないからっ!」
由比ヶ浜、ぶん殴りたい…。
と、とにかく!
「問題を解消するためにも!あたしから相模に当たってみるから。」
「先輩の為ですもんねー♪」
「あん⁉」
「ひっ、結衣先輩助けてくださいー!」
はぁ…まあいいか。
「じゃあね、あたしは帰るよ。妹とか待ってるから。」
「ええ。さようなら。」
「沙希ちゃんまたねー!」
「…沙希先輩またです…。」
次回はまたまたある女子のお話。相模ではありません。