私、これでも空母なんですっ!   作:テディア

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事前準備

 

あれから。

明るい喧騒と固い物がぶつかり合う音があちこちからする中で、

私達も同じような音を立てながら装備を選びあっていた。

そういえば前お店に連れて行かれた時みたいだなぁ。

女子の買い物ってどこもこんな感じなんだろうか…。

あ、これ綺麗。なんか可愛い。

 

「あら?それ…天山?」

「そうだよ、色々と便利だし。これにしようかな。」

 

天山を手の中で回しながら眺めてうっとりしていた私に横から大鷹からの声がかかる。

大鷹は…零戦32型を掴んでるね。使いやすいって聞いた事あるし今度使ってみようかな。

対潜戦闘だけを考えたら艦戦はいらないと思うけどさ。

 

「ふぅ…。こんな感じでいいかな。」

とりあえずは天山・九七式艦攻・三式水中探信儀(ソナー)この3つ。

少々どころか全力で対潜兵装につぎ込んだ形になる。

対空? ・・・知らんな。

 

最後に明石さんと話したり相談したりするテーブルから少し離れた所にあるテーブル。

その上に乗ってるスマホの画面をパソコンに置き換えたような機械へ手を伸ばす。

取得した兵装の写真を探し、ポチっとな。

すると写真の横に番号が書かれたレシートが出てくる。

…のでそれを取ってその場を離れることに。

 

あとは特にないので大鷹と一緒に部屋に戻るのでしたとさ。

_________________________________________

 

部屋に戻ってからというものの…暇。

とにかく暇。

この1文字で今の私を表現できる。

スマホなんかで遊ぶとかそういうのもありだけど、やる気でないしやっぱり暇。

とはいえ、暇っていうのはいい事なんだけどね。

これから戦闘が多くなると思うと少し憂鬱かなぁ…?

悪くない気もするんだけど。

…怖いというかなんというか。 なんか複雑。

戦う事に対して何かが沸き上がってくるような高揚感もあるけど…。

今まで何度か痛い目に合ってるしね。

 

激痛、恐怖、焦燥感。

体の痛みは心の痛み。心の痛みは体の痛み。

出来れば二度と経験したくはないけど、じゃあ出撃禁止ってのもなんか嫌だし。

不思議だよねぇ…。葛藤ってやつ?

 

まっ、今はゆっくりしますかね。

後ろの窓から差し込む昼下がりの陽光で日向ぼっこ。

椅子の上で足を揺らしながら左手を後ろ手に支えてぬるいお茶を口に含む。

少しだけ苦いけど美味しい。心が温まるっていうのかな?

お茶の温度はぬるいけども。

最近は先月あたりとすると段々と暖かくなってきてる。

それでもまだ少し寒いけどね。今は薄手のジャージを肩にかけてるけど。

 

椅子を後ろに傾けて器用にバランスを取る。

もう一つの窓から海を眺めてお茶を一気に飲み干す…が。

「わわわわっ!?ちょ_」

 

些細なバランスの崩れがより大きなバランスの崩れを呼び、後ろに椅子ごと倒れる羽目に。

さらに倒れた拍子にお茶を変に飲み込んでしまい、盛大にむせた。

おまけに力の入らない態勢。しかも椅子と後ろの壁が邪魔で立ち上がれない3コンボ。

やばい。つらい。立てない。

 

板挟みにされるような態勢のままむせること数分。

落ち着きを取り戻した私はここから抜け出る事に。

息を大きく吸い、力を適度にかけた。

 

「いよっ_と!」

左腕を後ろの壁に当てて右に転がり出る。

2回ほど脱出を試みた後3度目の正直でようやく抜け出せた。

立ち上がってから改めて椅子の辺りを見た時に溜め息が少し漏れたのは許してほしい。

 

というわけで後処理。

倒れた時に床に置いておいたコップを机の上に置いて椅子を元に戻す。

むせたからか喉の勝手が悪いので水を軽く飲む。

服や体についた埃を払って大体元通りになった。

…腕や腰をぶつけた痛みは別だが。

 

それは置いておいて。

暇だしどっか行くかな…。 そういえば如月ちゃんの姉妹と直接会ったりした事ないな。

_行ってみるか。

 




準備して備えるはずが気が付けば睦月型に突撃訪問。
脱線の予感。 これも睦月型の魅力にゃしぃ!

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