私、これでも空母なんですっ!   作:テディア

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はい、久々の戦闘回です!
所々で勇ましい神鷹の一面が垣間見える…かも?

ちなみにクオリティ上がってる。_はず。


龍と鷹

明石に連れられて海岸のコンクリートを踏みながら進む。

工廠やドックは攻撃されないように森で隠されているらしい。

ただ、塗装された道を辿っていけば港からはそう遠くない。

 

で、肝心の演習をする相手は_

 

「おぉ!君が新人かぁ~。うちは龍驤や!よろしゅうな~?」

 

「私は神鷹っていうんだけども・・・。」

 

顔を見た流れで目線がそのまま胸部装甲に。

・・・うん、一言で表そう。 『まな板』だった、と。

 

「なんや胸見て。どうかしたん?」

 

「え、あぁいや。_取り合えずいいかな?」

 

取り合えず龍驤の隣に立つ。

そのまま海に映る姿を見てみるが・・・龍驤の方が微妙に高い?

 

艦時代全長

神鷹:198m

龍驤:180m

 

なんでや・・・どう考えても私の方が高いだろこれ・・・。

 

「あー。お二人ともー?演習始めないといけないので準備してくださーい。」

 

明石から催促の声が飛ぶ。

本人の周りには機械や配線が既にスタンバイ。

 

「あぁ、せやったわ。じゃあこれが終わってからなー。」

 

龍驤も思い出したという風に艤装を展開して海に降りて手を振りながら離れていく。

仕方がないので私も艤装を展開して海に出て龍驤と距離を置く。

 

≪はーい、その辺りで大丈夫ですー。≫

 

明石からの無線を受けて速度を緩める。

流れるように旋回して振り向くとそこはお互いの顔が小さく見えるあたり。

ちなみに港も見えるが普通に遠い。

 

≪3、2、1…。≫

 

初演習だわー。緊張するわー。でも待ってくれない。

 

   ≪ 0! ≫

 

発砲音と共に演習開始の信号弾が空に昇る。

 

それを合図にすぐさま発艦準備に取り掛かる。

 

まず艦載機を発艦するため、艦載機を呼び出す。

餌掛けの上に青白い破片のようなものが集まり、大きな艦載機の形を作る。

それは一瞬で砕けて丸っこく大きな艦載機へと姿を変え_

 

「第一次航空隊_発艦!」

 

腕を振り、大きな艦載機を飛ばす。

ある程度進むと緑色の破片と共に砕け散って18機の零戦52型が現れた。

 

「第二次航空隊_発艦!」

 

間髪入れずに呼び出し、次に9機の九七艦攻を発艦。

飛んで行ったのを見送ると、そのまま艦載機を呼び出し_

 

「第三次航空隊、発艦!!」

 

_6機の零戦62型(爆戦)を放つ。

これが今の自分が持つ艦載機の全て。

 

海の上を滑りながら空の向こうを見据える。

しばらくしないうちに航空戦になるはず。

目をつむって艦載機の視覚を共有(リンク)して敵機の姿を見る。

『神鷹』の記憶を総動員し、情報を探る。

恐らくは…零戦52型と天山。

 

それを踏まえた上で指示を出す。

 

≪こちら「神鷹」より各隊へ。第一次航空隊は9機2隊に分かれて挟撃。

 次いで第二次航空隊、第三次航空隊は戦闘区域を避けて接近し攻撃。≫

 

続いて艦載機の妖精さんから無線が来る。

 

≪こちら第一次航空隊。挟撃後第二、第三航空隊の支援に回る。≫

≪こちら第二次、第三次航空隊。了解した。≫

 

こちらの指示を受けて艦載機の一部が2手に分かれる。

 

「_これより、航空戦を始めます!」

 

叫び、意思を固める。

 

「それにしても・・・眩しいな。」

 

海面が日光を反射してよく見えない。

もし、この光の中に潜望鏡が隠れていたら_

 

「いやいや、そんなまさか・・・。」

 

頭の中をよぎる悪夢を振り払い、接近することに。

 

 

海水をかき分けて飛沫を上げ、曲がりながら速度を落として少しずつ近づいていく。

 

「これは・・・まずいかな。」

 

正直にいって劣勢だった。

そもそも私と龍驤では搭載数が違う。

 

2手に分けて挟撃した第一次航空隊に対してあちらは3つに分け、

上下に分かれた2隊によって逆に挟撃される形になっている。

 

必死に耐えてはいるものの数の暴力には抗いがたく、

恐らく第一次航空隊の全滅も時間のように見える現状。

 

そして_

 

「_っ、きた!」

 

こちらに向かってくるのは多数の艦上攻撃機『天山』。

その多さと艦戦の中ほどの規模からして予想できるのは_

 

「天山・零戦・天山・・・? でもそれなら、あと1スロットは…?」

 

近づいてくる攻撃機。

そして私は_

 

 

 

最大の過ちに気づいてしまった。

 

「_直掩機が、ない・・・。」

 

そう、直掩機がない。

そもそも私はしがない軽空母。

たかだか対空砲火だけでやれることなど知れている。

 

「・・・仕方がない!なるようになれ!」

 

対空砲火はおまけ要素で考える。

落とせないなら回避に徹するまで。

 

向かい来る計14機の天山に艦首方向を向けて速度を落とす。

対空砲火が多少削ってはくれたが_

 

「・・・前方、雷跡多数。数_6?」

 

右斜めと左斜めから3つずつ。

ただ現存する天山は11機。

 

_罠だとわかっていても、回避行動以外に取れる方法がない。

 

右に舵を切って雷跡の隙間に滑り込む。

そしてそのまま足首を回して水を右に押し出しながら左を向いて左から迫りくる雷跡を避ける。

 

と、その時。

 

≪こちら第二、第三次航空隊、空母『龍驤』を発見せり。≫

 

即座に無線で返す。

 

≪こちら『神鷹』。第二次航空隊で攻撃。回避行動を狙って第三次航空隊も攻撃せよ。≫

 

≪了解!≫

 

可愛い無邪気な声で勇ましいことを言う妖精さんとの無線を切る。

 

そして、ふと空を見れば_

 

 

すぐそこまで、雷跡が来ていた。

 

「やっば_!?」

 

油断していた。無線に気を取られて天山のことを忘れていた。

急いで回避行動を取るも、躱しきれるわけもなく。

 

「_っぁあっ!?」

 

_爆音。

展開している艤装から青白い破片が飛び散り、艤装が破損する。

・・・そして艤装と一緒に服も破片となって一部が破れた。

 

警告音と共に中破の文字を示す画面が表示されると共に妖精さんからの報告。

 

≪魚雷命中認メラレズ。爆弾の命中ガ2発モ空母『龍驤』ノ被害軽微。≫

 

不幸中の幸いか。

飛行甲板はまだ使えそうな状態であることに安堵しつつ空を睨み。

次の砲撃戦に備えて艦載機が帰還してくるのを待つ。

 

しかし_

 

嫌な予感が背筋を覆う。

 

「__っ!?」

 

忌々しいあの気配。

その方向を振り向いて_

 

ひときわ眩しく光る海面と、あまりにも接近しすぎた雷跡を視界に収め_

 

_そのまま、世界は暗転した。

 

 




はい、どうでしょう。

それなりに戦闘の描写を細かくしてみたのですが・・・。

感想などありましたらお願いします。(/ω\)

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