私、これでも空母なんですっ!   作:テディア

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さてさてさて。
あえて深くは言いません。



第三章:現実と艦隊戦
忍び寄る足音


で、あれから。

 

おにぎりを持ってきていたので取り敢えずそこらへんの段差に腰かけて食べた。

うん、潮風に当たりながらのおにぎりは美味しかった。

・・・船だと潮風で錆びそうなもんだけど。

 

まぁそれはおいといて。

私達は今潜水艦寮の裏側から回って沿岸に来ている。

さっき見えた飛行物の確認なんだけど_

 

「はいはーい! どうしたのー? あっ、新入りさんじゃーん!」

 

・・・正体は伊14(イヨ)の晴嵐だった。

こっちをみるなり砂浜に上がってきてベンチに載せてあったジャージを着ている。

ただ_その横に置いてある一升瓶は敢えてスルー。

うん、絶対飲む用だもん。これ。

 

「私は伊十三型潜水艦の2番艦、伊14!『イヨ』って呼んで?」

 

「私は特設航空母艦の神鷹だよー。」

 

さらりと自己紹介を流す。だってもう知ってると思うし。

 

「じゃあささっ。これ!」

 

小さいコップを強引に渡される。

その中には透明な液体_それも、アルコールの匂いがするやつ。

 

「ぇ? なにこれ? ・・・まさか。」

 

「なにってそりゃあ_歓迎の一杯だよ!」

 

・・・やばい。 断りづらい状況になってしまった。

というかこいつは自重というものを知らないの? 馬鹿なの?

あぁ、こうなったら腹をくくって_

 

「イーヨー? はっちゃん 前にも言いましたよねぇ?」

 

「ひっ!? は、はち?いつからそこに_」

 

「最初からです。まずお話はこっちでしましょうかぁ・・・。」

 

ナイス、はっちゃん。ドンマイ、イヨ。

自業自得だ。諦めろ・・・。

引きずられていくイヨを見ながらしばらくの間私達は立ち尽くしていた。

ちなみに手渡されたお酒は一升瓶に詰めなおしましたとさ。

____________________________________________

 

なんだかんだでイクとも別れて、今は空母寮の整備室に向かっている。

 

理由としては、大鷹が急に

『そろそろ艦載機とかの整備があるから・・・。』

とのこと。 まぁ暇だから一緒に九六艦戦の整備でもしようかな。

補給してもらってから一度も点検してないし。

・・・まぁ流石にしてあげないとね。可愛い私の艦載機だし。

 

「_あら? あれは・・・?」

 

「おわっ!?」

 

急に大鷹が立ち止まるものだからびっくりしたわ。

はぁ、一体なにが_

 

「いたいたぁー! 神鷹だっけー?」

 

「うん、そうだけど・・・。 えっと・・・?」

 

嫌な予感しかしない。 なぜかは知らないけど。 

・・・ごめん、嘘。第6感がそう告げてる。

 

「私ー? 時津風だよー? しれぇが神鷹っていう子を連れてこいだってー。」

 

提督が?あの提督が?

うっわぁ、どうしよう。 超行きたくねぇ・・・。

まぁ提督からのお呼びとあれば断ることも出来ず。

 

「・・・大鷹? ごめん。先に行ってて。」

 

「えぇ、じゃあ私は先に行ってて整備を始めておきますね。」

 

まぁ、そういうことで。

結局ついて行くことになりましたとさ。

____________________________________________

 

「はいはーい!しれぇー! 連れてきたよー?」

 

「失礼しますね?」

 

無邪気に笑顔でドアを跳ね飛ばして入る時津風。

まぁ駆逐艦だから仕方ないか・・・。 だって時津風だし。

 

「あぁ。 ご苦労だった。 もういいぞ。」

 

「いえーい! それじゃあ失礼しましたー!」

 

いつものことのようにスルーする提督と、軽く頭を下げながら流れるように出ていく時津風。

うん、多分これ日常茶飯事だわ。 どこぞの世界の自衛隊とかが見たら二度見するほどだね。

 

「_それで、だ。」

 

「は、はいっ!」

 

提督がこちらに向き直る。

反射的に姿勢を正しながら一瞬の間を置いて_

 

「大本営から君に、命令が出された。」

 

「なっ__!?」

 

大本営から命令? 

うわぁ・・・。 胡散臭いわぁ。

そんなことを思いながらも、体は正直にその鼓動を早くする。

 

「それで、何をすれば。よいのでしょうか。」

 

「まずは、工廠に大本営から君への艦載機が一通り手渡される。_そして、その見返りとして。」

「君の能力値を提出して欲しいそうだ。」

 

「な、なぜ。でしょう。」

 

理由がわからない。

なぜ大本営はそんなことをするのだろうか。

 

「さぁ。わからんさ。 _まぁいい。工廠に届いている。これから行くといい。」

 

「・・・ありがとう、ございます。」

 

表情を必死に隠しながら提督室を出る。

・・・あの大本営が、なぜ『たった一人の艦娘』に対して装備を出すのだろう。

それも鎮守府ではなく、この私に。

 

_私は、新しい装備に心を躍らせてつつ工廠へ向かった。

・・・同時に、不思議な違和感を抱きながら。

 

 




ちょこっとこの辺りで変化球。
そして2度目の大本営 登★場! 

ひさしぶりの感想ありがとうございました!
楽しんでいただけたら何よりです!

そして読者の皆様と感想での絡み、楽しいです!
ぶっちゃけ、これからもいままでもやる気で書いてます!
スミマセン!|д゚)

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