「・・・さむっ」
雪の降りつもる街のとある本屋から出てきた黒髪の少年。
コートを着てはいるが今日は特に寒い。
ニット帽をポケットから取り出して被り足早に本屋を後にする。
「時間掛かっちまったな・・・拗ねてるだろうなぁ・・・」
普段は物静かで本を読み、コタツでみかんを食べてるがキレると怖い愛する彼女が今頃不機嫌そうに自分の帰りを待っているだろう。
それが容易に想像出来たので少しだけ寄り道して機嫌を直すために最適なあるものを買ってから帰路につく。
「後はこれで・・・出来た!かーんせーい!名付けてお兄ちゃん雪だるま!」
「ら、ラムちゃん危ないよ・・・!(おろおろ)」
「大丈夫よ!下は雪だから怪我はしないわよ!」
教会に近づくともう夕方だというのに外で雪遊びをしている双子の姿があった。
元気で活発なイタズラっ子のラム。
人見知りで擬音を口に出して喋る大人しいロム。
2人とも大切な妹だ。
あのでっかい雪だるまは俺を模しているようだが幾らなんでもデカ過ぎる。
少し呆れつつ双子を呼ぶ。
「ロム、ラム。ただいま」
「あ、お兄ちゃん!おかえりー!」
「お、おかえりなさいお兄ちゃん」
「もう暗くなって来てるだろ?そろそろ中に入らないとミナさんが怒るぞ?後ラムは直ぐにそこから降りなさい」
「はーい・・・」
「お兄ちゃん、その箱なーに?(そわそわ)」
「ん?ああ、これお土産。ちゃんとロムとラムの分もあるよ」
「やったー(わくわく)」
「お土産?わーい!あ、きゃあああああああ!?」
「ラム!?ロム、これ持っててくれ!」
「う、うん」
お土産と聞いた瞬間にはしゃぎ出し梯子から落ちるラム。
俺はお土産をロムに持たせてラムの真下に走る。
足にシェアを流して脚力を強化、何とか間に合いラムをキャッチ。
ちょっと腰が痛かったけどたいした事ない。
「・・・あれ?落ちてない?」
「全く、梯子を降りてる時に手を離したら危ないだろ?いくら下が雪だからって怪我するかもしれないんだからさ」
「ご、ごめんなさい・・・」
「ま、怪我が無いならいいさ。危ない事は控えろよ?」
「分かった・・・」
「お兄ちゃん!ラムちゃん!大丈夫?(おろおろ)」
心配したロムが両手でお土産を抱えながら駆け寄ってくる。
「大丈夫だよロム。さあ、中に入ろう。ブランが拗ねてるだろうs「誰が拗ねてるって?」・・・いつからいたんだ?」
「帰りが遅いから迎えに行こうとしたとこだよ。んで、だぁれが拗ねてるって?なぁ?」
「36計逃げるが勝ち!」
「あ!待ちやがれ!逃げんな!」
「待てと言われて待つか!」
これが俺、織斑一夏の今の楽しく、刺激的な日常です。