『なあ、ゆきな!また歌ってよ!』
『いちかってほんとにゆきなの歌すきだよね』
『だって歌ってるゆきなってすごくカッコいいんだもん!』
『わたしもゆきなの歌はすきだ』
『わかった。いつものでいい?』
『うん!』
「・・・懐かしい夢を見たな」
色んな事件を経験し、その全てを解決して進級した3年生の夏休みのある日、IS学園の自室で起きた一夏。
昔、自分のファースト幼馴染みと共に幼少期を過ごした2人の幼馴染み。
よく一緒に歌を歌っていた、その時の事を夢に見ていた。
「久しぶりにギターでも弾きにどっかのスタジオ行くかな・・・。外出届出さなきゃ」
愛用のギターをケースに入れて外出届を寮長である姉に出し出かける一夏。
ポケットのiPodにヘッドホンを接続しお気に入りの音楽を流しながら歩いている彼の後ろにはストーカー紛いの事をしている5人の少女がいた。
「一夏の奴、一体何処にいってるのかしら?あんなでかいケースなんか持って」
「アレは・・・ギターケースか?」
「一夏さんギター弾けるのですか?」
「アイツは昔から弾いてたぞ。私と一夏、共通の幼馴染みと一緒にな」
「何それ私知らない」
「そりゃ私と一夏が小学3年生の時に引っ越したからな・・・知らないのも訳はない」
「それより見失うよ?」
「急ぐぞ」
一夏はある場所に向かって歩いていた。
最近ネットで噂のライブハウスに向かっているのだ。
そのライブハウスの名前は「CiRCLE」。
今話題のガールズバンド達がよく利用しており表にはテラス付きのカフェまである。
勿論機材もしっかりと揃っている。
たまにはゆっくりギターを弾きたいと思っていたのでこれ幸いと思った。
そして目的の場所に着き中に入る。
「いらっしゃいませ!CiRCLEにようこそ!」
「すみません、1人用のスタジオってありますか?初めてなんですが・・・」
「ご新規さまですね?ではこちらにどうぞ〜」
「ありがとうございます・・・ん?歌?誰かバンドしてるんですか?」
「ああ、今下でRoseliaが練習してるのよ。見てみる?」
「お願いします(なんか聞き覚えのある声だったな・・・)」
下のスタジオに降りた一夏は壇上で歌っている人物を見て固まった。
そこに立っていたのは忘れもしない9年ぶりに見る幼馴染みの姿。
あの頃と変わらない凛々しい歌う姿、綺麗な銀髪。
成長して昔より凛々しくなった様に感じる顔つき。
そして、ずっと大好きな人・・・湊友希那だった。
「ふぅ、お疲れ様。少し休憩にしましょう?」
「ええ、そうしましょう」
「ん?あれ?誰か見てる?」
「あ、スタッフさんだ。あれ?隣に誰かいる?」
「ごめんなさいね?新しく来た人が貴方達の練習風景を見たいって」
「ほう?新しい人ねぇ・・・え?嘘・・・?友希那!」
「え?う、嘘でしょう・・・?」
「リサ・・・友希那・・・久しぶり、だな」
「どうしました湊さん、今井さん。お知り合いですか?・・・湊さん?今井さん?」
「友希那・・・」
「一夏・・・」
「・・・その、歌、カッコよかったぞ」
「あ、ありがとう・・・」
「「・・・」」
甘い空気が辺りに漂う。
こういう空気に慣れていないメンバーは口の中が甘ったるくなっていたが昔から見飽きているリサは乾いた笑い声を出していた。
ようやく空気に慣れた氷川紗夜が口を開いた。
「今井さん、彼は誰なんですか?貴方と湊さんと知り合いのようですが・・・」
「・・・彼は織斑一夏、私と友希那の幼馴染みだよ」
「織斑一夏・・・確か世界初の男性IS操縦者でしたね・・・」
「あ!そういえばテレビで見た事ある!」
「わ、私も見た事あるかも」
「それで何故貴方と湊さんは驚いていたんです?」
「そりゃ私と友希那は小学3年生の時に一夏と別れたっきりだからね・・・9年ぶりなんだよ会うの」
「なるほど・・・それなら納得が行きます。・・・ただ幾らなんでも空気が甘いんですが」
「そりゃ友希那も一夏もお互い大好きだからね・・・両想いなのにいつ告白するのかこっちはモヤモヤしてたもん(こしょこしょ」
「えぇ・・・」
「とりあえずあの2人連れて上のカフェ行ってくるね」
「分かりました。こちらは私に任せてください」
リサは未だに恥ずかしがって何を言おうか迷っている2人を連れてカフェに向かう。
しかし、カフェに来て席に着いたものの顔を合わせようとしない一夏と友希那を見てリサは強硬手段に出た。
「ねぇ、友希奈」
「な、何かしら?リサ」
「ねぇ一夏」
「な、なんだ?リサ」
「見てて焦ったく感じるからさっさとお互い告っちゃいなよ」
「「ぶほっ!?」」
突然のリサからの爆撃により口に付けていたコーヒーを吐き出す一夏と友希那。
なおその頃後ろでは箒と鈴が必死にセシリア達を抑え込んでいた。
「い、いきなり何を言い出すのリサ!?」
「てか何で俺の友希那への気持ち知って・・・!?」
「いや気付かない方がおかしいから。多分箒も気付いてたよ」
「え?」
「うぅ・・・」
「あー・・・その・・・友希那・・・えっと・・・(どうしよう、いざ言うとなるとどう言えば・・・)」
「一夏・・・私は・・・その、あ、貴方の事が・・・(は、恥ずかしくて死にそうだわ・・・!)」
「・・・あーもう!こうなったら!一夏!そこに立って!」
「お、おう・・・」
「友希那も!」
「え、ええ・・・」
「せーの・・・!でぇや!」
「きゃっ!?」
「おっと、だ、大丈夫か?友希那」
「あっ・・・」
焦ったくなったリサが2人を立たせて友希那を一夏の方に突き飛ばす。
一夏に受け止められた友希奈は顔を真っ赤にしていた。
けど友希那は不思議と嫌な感じはせずむしろ心地良く感じていた。
「(何故かしら・・・恥ずかしいのに一夏といると心が暖かいわ・・・)」
「ゆ、友希那?どうした?何処か痛むのか?」
「いいえ、違うの・・・貴方と一緒にいると心が暖かいの・・・」
「友希那・・・」
「ねぇ、一夏・・・私は・・・貴方の事が・・・」
「待った友希那。それは俺の口から言わせてくれ。・・・友希奈、俺はお前の事が好きだ。愛してる。初めて歌ってくれたあの時・・・いや、違う。初めて会ったあの日からきっと俺は友希那に惚れてたんだ・・・。俺の告白、受け取ってくれるか?」
「・・・ズルいわよ。私が言おうとしてた事全部先に言ってしまってるじゃない・・・。けど、私で本当に良いの?私を選んで後悔しない?」
「するわけないだろ?俺の初恋でずっとお前の事を忘れたことなんてない」
「・・・ありがとう、一夏」
そう言って友希那は誰にも見せた事が無いような笑顔を一夏に見せた。
リサは漸く2人がくっ付いたを見てやれやれと母親の様な気持ちになって見ていた。
ちなみに後ろのヒロインズは箒からの連絡で千冬が回収、鈴が付いて行った。
「ふぅ、漸く静かになった・・・。久しぶりだな、リサ」
「箒?久しぶりー!大きくなっちゃってこのこの〜」
「それ胸の事か?身長の事か?それより漸くくっ付いたかアイツらは」
「9年も離れ離れだったってのにずっと一途なんだもん。呆れ通り越して天晴だわ」
「ははは、言えてるな」
「って、やばっ!?もう戻らなきゃ!友希那!練習しなきゃ!」
「・・・もう少しだけ、ダメかしら?」
「ダメに決まってるでしょ!ほら、いくよ!」
「いやよ」
「ハァッ・・・しゃーない、俺も行くよ」
「ゴメンね一夏・・・」
「私も見学して良いか?」
「いいよー。私達、Roseliaの歌。存分に聴いて行って!」
これは漸く再開を果たした青薔薇の歌姫と白い騎士の物語。
「なあ、友希那」
「何かしら」
「前が見えないんだけど」
「私は貴方が見れて満足なんだけど」
「ダメだこりゃ」
イヴェルカーナを狩りまくってたらいきなり怒り喰らうイビルジョーとこんにちわしてました。
実は過去作でも一度も狩ったこと無いんですよね怒り喰らうイビルジョー。