アカデミー卒業試験を終え、班分けの日。
これから下忍になれる。
やぐらも、ウタカタも、私も合格し、それぞれの尾獣を肩に乗せて担当上忍が来るのを待っていた。
私達は、人柱力だ。
人柱力は色々と狙われる事も多々ある為、班員も担当上忍も厳正に選ばなければならない。
3人別々にするよりは、1組にまとめておくほうが実力者たちが全員担当上忍となってしまうという事態も避けられる。
「次、第9班!ウタカタ、やぐら、うずまきレナ。担当上忍は…干柿鬼鮫。」
------------------------------------------------------------
「取り敢えず…自己紹介をしてもらいましょうか。
私の名は干柿鬼鮫。好きなものも嫌いなものも特になし。」
「…ウタカタ。」
「やぐら。」
「うずまきレナ。」
「…合格です。忍たるもの、他人に無駄な情報は与えるべからず。私達はこれから鬼鮫班として任務を行います。
ですから、これから知っていけばいい。
そして、これから実力テストを行います。
では、ウタカタから順に。」
「…はい。」
開始の合図が鳴ると、ウタカタは先手必勝と言わんばかりに勢いよく泡を出して地面の草を枯らしていき、地面までボロボロにしていく。
が、当然鬼鮫は後ろへ飛んで避ける。
「当たれば…タダではすみませんね。
…当たれば、ですが。」
「当たらないなら、当たるよう餌を与えればいい。」
「なっ…!」
先ほど地面の草を枯らした泡。
それとは別に肩に乗ったウタカタの尾獣、犀犬が無色透明のガスを出していた。
犀犬特製の滑りやすく加工された油の入った、犀犬にしか出せぬ物。
それを避けるであろう位置を予測し、撒いておけば泡に気を取られていた鬼鮫は体制を崩す。ウタカタはその間を見逃さずに管からゼリー状の液体を出し、鬼鮫は身動き出来なくなってしまった。
(あの管便利だな…。)
「…降参です。」
本気を出してはいないとはいえ上忍を降参させるとは、と人柱力相手に手抜きをしないように気を引き締める。
「次、やぐら。」
「…ん。」
後ろに背負った緑の花がついた棒を構え、臨戦態勢を取る。
合図がなり、最初に動いたのは鬼鮫。
忍刀鮫肌を構えてやぐらに向けて振り上げて攻撃する。
「水遁・水鏡の術!」
黒い棍棒の前に水鏡が現れ、棍棒で割れば鬼鮫の分身が出てきて鬼鮫の攻撃を相殺。
手加減なしに勢いよく鮫肌を叩きつけた為、少しばかり隙が出来た。その隙に、やぐらはその隙に棍棒で鬼鮫の頭を殴りつけ、地面に叩き付ける。
その間2秒。
頭を容赦無く殴られていたが、大丈夫なのだろうか。
「はぁ…降参。次…レナ。」
「はい。」
連敗して少しやる気を無くしつつある事を隠さずに、頭から血を流しながらもレナと向き合う。
順番が回ってきたレナは、腕に薄く刻まれた紋章から大鎌を取り出し、構える。
演習場に、模擬戦開始の合図が鳴り響く。