「レ、レナ…あのさ、その…」
3人で家のリビングでのんびり過ごす時間。
ウタカタがお風呂に入り、2人きりになった途端ソワソワしはじめたやぐら。
何か言いたげに口を開いては閉じるということを繰り返していた。
「ん?」
「す、好きだ!
初めて見た時から、ずっと…レナが好きだった。」
やぐらは赤い顔を隠す様に、言い切った途端に顔を逸らした。…可愛い。
「やぐら、こっち向いて?」
「むぅ…可愛いって思ってんだろ。」
「うん、やぐらは可愛いからね。
やぐら…私もやぐらの事が好きだよ。…大好き。」
今度は私が赤い顔を隠す番だ。
りんごのような髪色と同じくらい真っ赤に染まった頬を見られないように、やぐらの胸元に顔を埋める。
「…可愛い。」
今度はやぐらが私に可愛いと言う番だった。
抱き締められ、耳にそっと唇を当てられる。…ピクンと体が跳ねたのはご愛嬌である。
顔を上げると、同じくらい顔の赤いやぐら。自然とキスをして、やぐらの可愛い顔を眺める。
「…イチャつくなら他でやってくれ。
部屋ならベッドもあるだろ。」
「ベ、ベッド!?
な、な…な…まだ心の準備が…いや、そういう事じゃなくて、まだ付き合い始めたばっかで…」
「…やぐら、何ヤラシイ事を想像してるんだ。
水影の仕事で疲れてるだろうからと心配していたが…レナでエロイ事考える余裕があるなら大丈夫だな。」
ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべるウタカタに、してやられたと目を泳がせるやぐら。
「レナのエロイ姿…な…そんなこと考えて無い…訳でもないけど、ウタカタが妙な言い方するから…!
大体な、レナは無防備で胸がデカくて柔らかくていい匂いで…男ならぞうさんが反応するだろ!?
レナが近くにいるのに、そういう気分にならないほうがおかしいんだ!」
「ほう…本人の前で夜のネタにしていると堂々と口にするとは…
いつも通りやぐらはウタカタに玩具にされている。
しまったとこちらをちらりと見遣るやぐらの表情は、少し不安げだった。
「他の女の子をネタにしちゃダメだから。
やぐらがそういう事を考えるのは…私だけ、だよ?」
「…ウタカタ」
「明日は2人の予定は空けとくから安心しろ。」
阿吽の呼吸とはこの事だ。
あっという間にやぐらにお姫様抱っこをされ、やぐらの部屋に強制連行されていく。
「…へ…やぐら?」
「俺がそういう事を考えるのはレナだけに決まってるだろ?
夜の間に終わらないかも。…レナ…好きだ。」
「ぇ…あっ…ちょっ…やぐら…っ!」
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「知らない天井…でも無いけど、まさか自分がここに寝るとは思わなかった。」
『朝チュンってやつだな。それにしてもアイツ…よくあれだけ出せるよな。』
まぁ、確かに…川が出来るほどだったけど…。
目線を動かしてやぐらを探すが見当らない。
時計を見れば、もう既に10時を過ぎている事が分かる。ウタカタはやぐらの代理として書類整理をしているだろう。
『アイツならスッポンポンでトイレに行ってるぞ。お前もそろそろ服着ろ。
アイツがまた発情するから。』
「発情言うなし…。」
身体を起こし、隅っこで小さくなっていた掛け布団で身体を隠した。
…逆に発情のスイッチを押すとも知らずに。