寝たと思ったら、真っ白な空間にいた。
重明と初めて会った精神世界にも似ているが、何かが違う。
前に進んでいくと、赤い髪の少女─うずまきレナがいた。
「もしかして…本来のレナ?」
「初めましてだね、〝レイカちゃん〟」
「…なんで…」
それ以上の言葉が出てこない。
毎日鏡で見ている顔だが、何故か私とは違うとわかる。
視界に入った私の髪は黒で、顔も前世のレイカのままなのだろう。
私がレナに代わり、本来のレナがどこへ行ったのかなどは考えないようにしていた。
私が殺したのか、レナが精神的に死んだから私が憑依したのかなど私が考えても答えは出ずに不安が溜まるためだ。
「レナ、どうしてここに…」
「私がレイカちゃんを呼んだの。」
「へ?」
「私が、人柱力としての苦しみに耐えられなくて…レイカちゃんに代わってもらった。
ずっと、見てきた。レイカちゃんが頑張って来た事。」
あぁ、なるほど。
私が唐突に転生したのは、死んだ私と精神崩壊寸前のレナとの波長とタイミングが合った為だろう。
〝誰かに変わってほしい〟とレナが強く望んで、もっと生きていたかったと思った私がレナに憑依した。
「そっか。レナ、…ありがとう。」
「な…なんで…私は貴女を勝手に呼んで、死ぬかもしれない危険な日々を送らせた張本人なのにっ!
貴女が命を狙われる事も無かった…私が呼ばなければ、貴女は日本で転生出来た…!」
「でも、呼んでくれなければやぐらやウタカタに出会う事も無かった。
だから、ありがとう。
生まれてきてくれて…3歳まで生き抜いてくれて…ありがとう。」
そっと抱きしめると、泣き始めたレナ。
背中をさすり、落ち着くまで待つ。
「レイカちゃん、…レイカちゃんの魂のチャクラ性質は水、土、火…それから、木。
私と一緒になる事で、雷、風も使えるようになるの。」
「一緒になるって…」
「私は正真正銘、レイカちゃんの中に入る。
私の自我は消えるけれど、レイカちゃんの力として生き続ける。
これが、身勝手にレイカちゃんを呼んだ私が出来ることだから。」
「そんなっ…!」
「レイカちゃん、ありがとう。
これからも、頑張って。」
レナの体が透けていく事を見ている事しか出来ない私。
消えていくレナは、穏やかな表情だ。
「…バイバイ、レイカちゃん。」
私の中に、暖かい物が流れてくる。
レナのチャクラ…本当に、消えてしまった。
そこで、私の意識も浮上するような感覚に陥る。
もうすぐ、目が覚める。
次に目を覚まして最初に目にしたのは、心配そうに覗き込むやぐらの顔だった。