赤毛の末裔少女   作:ココスケ

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第23話

「俺…次代水影のトーナメントに出る。」

 

先日、3代目水影が引退の意向をまとめトーナメント大会を開催して優勝者に水影の座を譲る事を発表した。

 

それに、やぐらが出るとなれば…四代目水影はほぼ確実に人柱力であるやぐらとなる。

血霧の里フラグ再来?

 

「なんでまた…」

「俺、水影になって…お前らを守りたい。」

 

『…レナか。』

「…それも、ある。」

 

人柱力は影の近親者から選ばれる事が多い。だが、私達は全員孤児だ。

もしも新しい影が決まってその人が独身であれば、どんなに年齢が離れていようとも結婚させられる可能性がある。

 

私は今13歳。

あと数年経てば結婚出来る年だ。

 

自惚れる訳では無いが、顔もスタイルも良い方だろう。それを目当てに水影に…なんて人間もいるかもしれない。

最悪、木ノ葉に行けばいいが2人とは…会えないし守れないかもしれない。

 

だが、2人のどちらかが水影になれば…幼なじみという事でそんな心配も無くなる。

 

『本当にいいのか?

背負う物が多いぞ?』

「覚悟の上だ。」

 

短く答えたやぐらは目の奥に覚悟を灯しており、なんだか大きく…遠く見えた。

 

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「そうですか…相手が可哀想ですね。」

 

俺が水影になると決めた事を伝えると、相手の冥福を祈り始めた鬼鮫を一発殴り、ウタカタと暮らしている家へと戻る。

 

幼なじみ達の為であれば鬼だろうと何だろうとなれる気がした。

 

ウタカタとレナの2人とは3歳からの付き合いだ。

 

ウタカタは人見知りで感情表現がヘタクソで誤解されやすい癖に寂しがり屋。

一定期間構われず放置されると死ぬのではと思うくらい、構わないと拗ねるのだ。うさぎの様な性格だ。

クールで端正な見た目とのギャップも相まって年上の女性にとっては大好物だろうが。

 

レナは大人びている癖に、無理に子供っぽく装って大人に心配かけまいとする優しい奴だ。

ふざけているように見えて、俺らを押していってくれる。

俺らの中で精神的にも実力的にも一番強いのはレナだ。

 

今回の水影トーナメントは、美人のレナやイケメンのウタカタ、…不服ではあるが可愛いなどと言われる俺を狙う輩がいっぱい出てくるだろう。

 

俺らはいい。

男だから、男が水影になれば水影と結婚もクソもない。

例え女性がなったとしても、2分の1の確率だし失うものは…童貞位だが、まぁ…ダメージは少ない。

 

だが、レナは違う。

独身の男がなればどんなに年上だろうと結婚するべきだと名前が挙がる。

人柱力の女はレナ一人。

そして、レナは相手がどんなに嫌な奴でも受け入れなければならないだろう。

失うものが大きすぎる。

そもそも、美人のウェディングドレス姿の横に醜男はダメだ。醜男だと決まった訳では無いのだが。

 

俺らは幼なじみでチームメイトだ。

だから俺がなれば結婚を…なんて事にはならない、はず。

 

少なくとも、レナを相応しい人間に嫁がせる為に、ウタカタを理解してくれる女性に巡り合わせる為に、何よりも2人を守る為に、俺は水影だろうとなってやると決めたのだ。

 

…恥ずかしいから言わないが。


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